お米は日本の食卓に欠かせない主食ですが、その中でも「もち米」と「普通の米(うるち米)」の違いをご存知でしょうか。料理によって使い分けられるこれらの米は、それぞれ独自の特徴と魅力を持っています。もち米はもちもちとした食感が特徴で、おこわや餅作りにピッタリ。一方、普通の米は軽やかな食感で、普段の食事に最適です。この記事では、もち米と普通の米の特徴を解説し、その使い分け方を詳しくご紹介します。
もち米について知ろう
もち米は、お餅や赤飯、おこわやちまきの材料として用いられる特別なお米です。こがねもちやヒヨクモチといった品種が特に名高いです。見た目は乳白色で不透明、丸みを帯びていることが特徴で、収穫されたばかりの時はうるち米のように透明ですが、乾燥することで白く変わります。その独自のもちもちした食感が人々に親しまれ、冷めても固くなりにくく、長くおいしさを保つため、おはぎや白玉、大福などの和菓子には欠かせない材料です。和菓子作りに用いられる白玉粉やもち粉、道明寺粉なども、もち米を粉末状に加工したものです。
うるち米の特徴とは?
普段の食事でよく親しまれるお米がうるち米です。コシヒカリやあきたこまち、ひとめぼれといった品種も、その分類に入ります。胚乳部分の透明感が特徴的で、全体的に半透明な外見を持っています。このうるち米はご飯として炊く以外にも、きりたんぽや五平餅といった料理でそのつぶつぶとした食感を楽しめます。また、和菓子に使われる上新粉も、このうるち米から作られた素材です。上新粉は強いコシとしっかりとした歯応えが求められる柏餅や草餅に最適です。ちなみに、世界的に人気を博している「日本酒」の原料としてもうるち米が重要な役割を果たしています。しかし、これは通常食べるものではなく、特に日本酒の醸造に適した「酒造好適米」として特別に栽培されています。現在、この酒造り専用米は全国で100を超える品種が育てられているそうです。
うるち米ともち米の成分の相違点
見た目に違いがあるうるち米ともち米ですが、最も大きな差は、でんぷんの構成に起因します。お米に含まれるでんぷんは「アミロペクチン」と「アミロース」の2つで、この比率が食感や風味を左右します。アミロペクチンは調理時に粘性をもたらすため、その含有量が多いほど粘りが増します。逆に、アミロースの割合が高いと、米はかたくパサついた食感になります。うるち米ではアミロースとアミロペクチンの割合が2対8なのに対し、もち米はアミロペクチンのみから成ります。このため、もち米はうるち米と比べて粘りがあり、もちもちとした食感を楽しめます。ちなみに、タイ米がパラパラするのはアミロースが多く、粘り気が少ないからです。ふっくらとした仕上がりを求めたり、粘り気を避けたい料理にはうるち米が、もち感や弾力を望む際にはもち米が適しています。赤飯やおこわ、おはぎにはうるち米ともち米を混ぜて使用することもあり、それぞれの特性を活かした料理選びが大切です。
うるち米ともち米の調理で押さえておきたいポイント
うるち米ともち米の炊き方には、それぞれ異なるポイントがあります。以下で詳しく見ていきましょう。
■うるち米 うるち米を炊く際は、まず30分以上浸水させるのが基本です。1合の米(180cc)に対しては200ccの水を使用することが推奨されます。この準備をしっかり行うことで、ふっくらと美味しいごはんに仕上げることができます。
■もち米 もち米は、水をよく吸収する性質があるため、浸水の必要はありません。むしろ浸水し過ぎると柔らかくなり過ぎるため、注意が必要です。また、水の量は少なめが重要で、1合(180cc)の米に対して180ccの水が最適です。
各特徴を理解しつつアレンジを楽しもう
今回の記事では、うるち米とももち米の違いについてお話ししました。各種でんぷんの構成の違いが、食感や調理方法にどのように影響するのか、理解を深めていただけたのではないでしょうか。それぞれの米の特性を活かして使い分けることで、料理のレパートリーが一段と広がります。時には、うるち米とももち米を上手くブレンドして、おはぎやおこわなどの料理にトライしてみるのも良いでしょう。