健康志向の高まりと共に注目を集めている「もち麦」と「押し麦」。どちらも大麦の一種ですが、その違いや特徴を詳しく知っている人は少ないかもしれません。一見似ているようで実際には異なるこれらの食材は、栄養価や食感、調理法において大きな違いがあります。本記事では、もち麦と押し麦の具体的な違いを明らかにし、あなたの食卓に合った選択をサポートします。健康的な食生活を送りたい方必見の情報をお届けします。
もち麦と押し麦の違いとは?
店頭で「もち麦」、「押し麦」が隣り合わせで並んでいると、どれを選ぶべきか迷ってしまうことはありませんか?
ちなみに、どの種類にもそれぞれの良さがあるため、この記事では「もち麦、押し麦の違い」について、栄養学や調理学の観点から詳しく解説します。
オオムギの種類分け
大麦は穂の形状により、「二条大麦」と「六条大麦」の2種類に分類されます。
二条大麦はビールや麦焼酎の原料として使用されます。対して、六条大麦は「もち麦」や「押し麦」として私たちの食卓に親しまれています。それでは、「もち麦」と「押し麦」にはどんな違いがあるのでしょうか?
それはまるで米の「もち米」と「うるち米」に似ており、大麦にも「もち性」と「うるち性」が存在するのです。名前の通り、もち性のものが「もち麦」であり、うるち性のものが「押し麦」です。
参考までに、小麦やライ麦もイネ科に属していますが、大麦とは異なる植物です。
デンプンの性質における相違点
異なる性質はデンプン由来です。
デンプンにはアミロースとアミロペクチンがあり、アミロペクチンが多いと弾力が増し、食感がモチモチになります。逆にアミロースが多いと粘りが少なく、乾燥した感じになります。
モチモチした「もち麦」は主にアミロペクチンで構成されています。一方、「押し麦」はアミロペクチンとアミロースの両方を持っています。
アミロースとアミロペクチンの構造を考えてみましょう。アミロースは直線的で、アミロペクチンは枝分かれした形状です。
これらの成分の割合が、食材の粘りや硬さを決定する要因です。
触感の違い
もち麦と押し麦は、「アミロースの含有比率」で大きく異なります。
押し麦はアミロースを約20~30%含むのに対し、もち麦はわずか2~5%程度で、主にアミロペクチンから成り、もち米に似た構成です。この違いが味わいに直接影響を与え、もち麦はモチっとした弾力があり、押し麦は柔らかな食感が特長とされています。
アミロペクチンは、その複雑で強固な構造により高い保水性を持つため、冷めても美味しさを失いません。おにぎりやサラダに加える際は、もち麦が適しているかもしれません。一方、より柔らかな食感を楽しみたいなら、押し麦を選ぶと良いでしょう。
お米でも同じように、品種によりアミロースとアミロペクチンの割合が異なり、「コシヒカリ」と「ミルキークイーン」でも食感が変わります。皆さんも好みに合わせて選んでいますよね。「もち麦」と「押し麦」を試しに食べ比べてみて、気に入った方を選んでみてはいかがでしょうか。
異なる加工技術
「もち麦」と「押し麦」は、精麦と呼ばれる加工の方法においてわずかな違いがあります。
大麦は最初に硬い外皮が取り除かれ、その後、蒸されます。この点においては、もち麦と押し麦の工程は一致しています。
もち麦は蒸した後、さらに丁寧に磨かれることで、丸みを帯びた形状になるため、「丸麦」とも呼ばれます。対照的に、押し麦は蒸した後、ローラーで平たくされることからその名前がついています。この押し潰す工程により、押し麦は水を吸いやすく、柔らかな食感を持ちます。
栄養成分の差異
それぞれ異なる特徴を持つ「もち麦」と「押し麦」。では、栄養価にどんな違いがあるのでしょうか。
「もち麦」の方が食物繊維や栄養素が多いとされていますが、これはメーカーによって異なるため、購入する際には栄養成分表示を確認することをおすすめします。食物繊維やその他の栄養素をしっかり確認してください。
ただし、大麦類全体として栄養価が高いことは確かです。白米よりも大麦を混ぜたほうが、食物繊維、ビタミン、ミネラルをより多く摂取できます。
白米と大麦を比べると、大麦にはカルシウム、カリウム、マグネシウムが豊富に含まれています。カルシウムは骨や歯だけでなく健康を保つためにも重要なミネラルで、カリウムはナトリウムと一緒に身体のバランスを整えます。さらに、マグネシウムは穏やかな生活には欠かせない成分です。
まとめ
もち麦と押し麦を試してみましたか?
それぞれに異なる特徴が存在します。
どちらも魅力的で、目的に合わせて使い分けるのがおすすめです。ご飯に混ぜて炊く場合には、大麦の割合を変えることで食感が変わるので、ぜひ自分の好みの組み合わせを見つけてみてください。