牛乳と生クリームの違い:その特徴と使い方を徹底解説

料理やお菓子作りに欠かせない牛乳と生クリーム。しかし、それぞれの特徴や使い分けについて詳しく知る機会は少ないかもしれません。牛乳は日常の飲み物としても親しまれ、一方で生クリームは料理やデザートに濃厚なコクを加える役割を果たします。本記事では、牛乳と生クリームの違いや特徴、そして具体的な使い方について詳しく解説し、どのように選び、活用するかを紹介していきます。

牛乳とは

牛乳はさまざまな過程を経て製品化されています。今回は商品として店頭に並んでいる牛乳の製造プロセスを追ってみましょう。

①乳牛からしぼった生乳は、細菌検査を受け、安全と判断されれば加工工場へと運ばれ、不要なゴミが機械で除去されます。

②次に、生乳に含まれる脂肪分が滑らかにされ、飲みやすい口当たりに整えられます。

③生乳にはさまざまな種類の菌が含まれているため、それらを殺菌する作業が行われます。

④最終的にはパックやボトルに詰められ、店頭へと出荷されていきます。

牛乳の殺菌方法には「低温殺菌」、「高温殺菌」、「超高温殺菌」の3種類があり、日本で一般に流通しているのは主に「超高温殺菌」です。

●低温殺菌:生乳をタンク内で63~65℃に保ち30分加熱する方法や、加熱プレートを通過することで65~68℃で30分以上加熱する方法があり、加熱による味の変化が少ないことで注目されています。

●高温殺菌:75℃以上で15分以上、生乳を加熱する手法や、72℃以上で15秒以上加熱する方法です。

●超高温殺菌:生乳を120~150℃の高温で2~3秒加熱する方法で、非常に高い殺菌効果があり、賞味期限も長めです。一部の製品は、無菌充填することで常温保存も可能になっています。

栄養価に関しては各種あまり変わりませんが、高温殺菌ではたんぱく質に熱変性があります。これは消化吸収率が高まることを意味し、体に悪影響を及ぼすものではありません。

「牛乳」として販売されるものには、加熱殺菌のみの「牛乳」、成分を調整した「成分調整牛乳」、脂肪を一部除いた「低脂肪牛乳」、脂肪をほとんど除いた「無脂肪牛乳」の4種類があります。生乳に乳製品を加えたものは「加工乳」や「乳飲料」として表示されます。

生クリームとは

生クリームは、生乳や牛乳を遠心分離機にかけて乳脂肪分を取り出したもので、具体的には「生乳・牛乳(特別牛乳含む)から乳脂肪以外の成分を除去し、脂肪分が18%以上である」と厚生労働省が定義しています。市販されている生クリームの脂肪分は35%から45%程度が一般的ですが、業務用にはさらに幅広い濃度のものがあり、用途に応じて選ばれています。

では、生クリームの製造過程を見てみましょう。

①牧場から工場へ生乳を運びます。

②検査で基準を満たしたものを冷却し、タンクなどに保存します。

③機械にかけてクリームと脱脂乳を分離します。

④これを殺菌し、脂肪含有量を均一化して安定した製品に仕上げます。

⑤その後、冷却し、パック詰めして最終検査を行います。

パッケージに「クリーム」と表示されているのが一般的に生クリームと呼ばれる製品です。他にもホイップ(クリーム)と呼ばれるものがあり、これは「植物性脂肪のみ」または「動物性と植物性脂肪のミックス(コンパウンドクリーム)」が用いられているため、クリームとは異なります。動物性クリームにアレルギーがある場合や、軽い食感を好む場合に選ばれることが多いです。

牛乳と生クリームの違いとは

牛乳と生クリームはどちらも乳製品ですが、成分や用途、風味に大きな違いがあります。それぞれの特徴を詳しく見てみましょう。

成分の違い

牛乳

原材料:生乳
脂肪分:通常3.0~3.8%程度
特徴:水分が多く、乳脂肪分が低いため、さっぱりとした飲み口です。

生クリーム

原材料:生乳または生乳と乳脂肪を混ぜたもの
脂肪分:18%~47%(製品による)
特徴:脂肪分が高く、濃厚でリッチな風味。ホイップすると泡立ちやすく、クリーミーな食感が得られます。

製造過程の違い

牛乳は、生乳をそのまま殺菌処理した後に瓶やパックに詰められます。成分調整をして脂肪分を一定にしたものもあります。
生クリームは、生乳の中から乳脂肪分を分離・濃縮して作られます。脂肪分の濃度に応じて種類が分かれます。

風味と使用感の違い

牛乳
さっぱりとして軽い口当たりで、飲料としてそのまま楽しむのに適しています。
料理では、スープやソースにコクを加える際に使われますが、味は軽めです。

生クリーム
濃厚でコクのあるリッチな風味が特徴です。
料理やスイーツの仕上げに使用され、泡立ててホイップクリームにすることができます。スープやソースに加えると、クリーミーで深い味わいを作り出します。

用途の違い

牛乳
飲み物(そのまま、カフェオレ、ココアなど)
料理(シチュー、グラタン、パンケーキ)
デザート(プリン、フランなど)

生クリーム
スイーツ(ケーキのデコレーション、ムース、アイスクリーム)
料理(クリームパスタ、ビスクスープ)
トッピング(フルーツやホットチョコレートに添える)

栄養面の違い

牛乳はカルシウムやビタミンB2が豊富で、日常的に摂取することで骨の健康をサポートします。
生クリームは脂肪分が多いためエネルギー量が高く、少量で料理にコクを加えるのに適しています。

これらの違いを理解して、用途や目的に応じた乳製品を選び、料理やスイーツ作りを楽しんでください。

牛乳生クリーム