アイスクリームとソフトクリームは、夏の定番デザートとして多くの人に愛されています。しかし、二つの違いを正確に理解している人は少ないかもしれません。実はこの二つには、原材料や製造方法、食感などの点で大きな違いがあります。今回は、アイスクリームとソフトクリームの違いについて詳しく解説していきます。
アイスクリームとソフトクリームの違いは温度だった
アイスクリームとソフトクリームは、原料や製造工程は似ていながらも、温度管理の違いによって全く異なる食感を生み出しています。アイスクリームは製造後に-18度前後まで冷やし込み、冷凍庫で硬く凍らせることで、口に入れると徐々に溶け始め、なめらかでクリーミーな味わいが楽しめます。一方のソフトクリームは、-5度から-7度程度にしか冷やさず、フワフワとした空気を含んだ柔らかい質感を実現しています。口に広がるとなめらかに溶け、軽やかな味わいが特徴です。同じ乳製品を使用しながらも、適切な温度管理によって異なる魅力を生み出しているのが、2つのデザートの違いなのです。
アイスクリームは4種類に分けられる
アイスクリームは、夏の風物詩として親しまれる冷菓ですが、その種類は実に多彩です。乳固形分と乳脂肪分の含有量で区分されており、乳脂肪分10%以上が本格的な「アイスクリーム」、3%以上8%未満が「アイスミルク」、3%未満が「ラクトアイス」と呼ばれます。一方、乳製品を使用せず、水あめやフルーツなどで作られる個性的な「氷菓」もあります。なめらかでミルキー、さっぱりと爽やか、そしてカラフルで斬新など、様々な味わいを楽しむことができます。嗜好に合わせて選べば、一年を通して気分転換の一助となるでしょう。
含まれる乳脂肪分によってコクに違いが出る
乳製品には乳脂肪分の量によってさまざまなコクや風味があります。例えば、アイスクリームは乳固形分15%以上、乳脂肪分8%以上と高い含有量のため、なめらかでコクのある濃厚な味わいが楽しめます。一方、ラクトアイスは乳固形分3%以上とほとんどが植物性脂肪を使用しているため、あっさりとした軽やかな風味が特徴的です。 このように、乳脂肪分や乳固形分の含有量が高いほど、コクと香りが増し、なめらかで濃厚な味わいとなります。逆に含有量が低い製品はさっぱりとした味わいが魅力となります。アイスの種類を選ぶ際は、求める味わいに合わせて乳脂肪分や乳固形分の量を意識するとよりおいしく楽しめるでしょう。乳固形分3%未満のものは氷菓として分類され、シャーベット状の軽い味わいとなります。
ジェラートはアイス?
ジェラートとアイスクリームは、同じ氷菓子でありながら、作り方や食感、味わいに大きな違いがあります。ジェラートは乳製品を主原料とし、伝統的なイタリア製法で作られています。アイスクリームに比べてミルク分が少なめなので、なめらかで軽い食感が特徴的です。一方のアイスクリームは生クリームや卵を多く使用しているため、よりコクのある味わいとなっています。 ジェラートは製造時に空気をゆっくりと注入することで滑らかな舌触りを実現し、低温で長時間かけて凍らせるのに対し、アイスクリームは機械で空気を激しく含ませ、比較的高温で短時間で作られます。このような製法の違いから、風味や味の違いも生まれています。ジェラートは「アイスミルク」に分類され、乳脂肪分が5%前後と控えめなので、アイスクリームほど濃厚ではありませんが、カロリーも抑えられています。また、製品の温度もソフトクリームよりも低めに設定されているそうです。暑い夏には、お好みの氷菓子を選んでみるのも一興かもしれません。
「ソフトクリーム」は海外では通じない
ソフトクリームは日本の国民的な人気スイーツですが、海外での認知度はそれほど高くありません。アイスクリームの一種でありながら、柔らかい食感が特徴的なことから、日本では"ソフトクリーム"と呼ばれています。一方、海外では"ソフトサーブ"や"クストード"などの言葉が一般的に使われ、"ソフトクリーム"という言葉はあまり浸透していません。 実際、ヨーロッパやアメリカなどで"ソフトクリーム"と注文しても、なかなか理解してもらえないことがあります。メニューにアイスクリームとソフトクリームの項目があっても、柔らかいアイスクリーム全般を指しているのか、日本流のソフトクリームを指しているのかがわかりにくいのが実情です。日本の名物であるソフトクリームの魅力を海外に伝えるには、まずは"soft serve ice cream"と適切に表現することが重要でしょう。"ソフトクリーム"は和製英語であり、海外で直訳すると"柔らかいクリーム"と解釈されてしまう可能性があるためです。
違いを知って冷たいデザートを美味しく食べよう
夏のひんやりデザートの代表格、アイスクリームとソフトクリームは見た目は似ていますが、実は異なる特徴を持っています。アイスクリームは、乳製品や卵、砂糖を凍らせた製品で、滑らかでコクのある食感と風味が魅力です。一方のソフトクリームは、空気を含ませて軽く泡立てた食感が特徴的で、ミルク感が強く甘みは控えめになっています。 アイスクリームは手作りも可能で、自宅で本格的な味を楽しめます。ソフトクリームは特殊な機械が必要なため、街のお店で購入するのが一般的です。それぞれ異なる魅力がありますので、濃厚なコクを求めるならアイスクリーム、さっぱりとした口当たりを好むならソフトクリームと、その日の気分に合わせて冷たい美味しさを堪能するのがおすすめです。製品の成分表示も参考にして、お気に入りの一品を探してみてはいかがでしょうか。
まとめ
アイスクリームはミルク、卵、砂糖などを混ぜ合わせ、攪拌しながら冷却して製造されます。一方、ソフトクリームは空気を含んだ軽い食感が特徴で、ミックス粉末にミルクや水などを加えて作られます。アイスクリームは固く、なめらかな口当たりですが、ソフトクリームは柔らかく、クリーミーな食感です。夏の定番デザートなので、それぞれの特徴を理解して、好みに合わせて楽しむのがおすすめです。