果物愛好家や健康志向の方々の間で人気のある食材、なつめとデーツ。見た目や食感が似ているため、それぞれを混同してしまう方も多いかもしれません。しかし、これらの果実は起源や栄養価、利用方法において異なる特徴を持っています。この記事では、なつめとデーツの各々の特性を徹底解説し、あなたの知識を深めるお手伝いをいたします。それぞれの魅力を知って、日々の食卓に新しい風を取り入れてみませんか?
なつめとデーツとは
最初に、それぞれの基本的な分類とその特徴について確認してみましょう。
なつめについて
なつめは、中国北部を故郷とする果実で、クロウメモドキ科に属する落葉高木に赤い実をつけます。クロウメモドキ科はバラ類に分類され、蔓状の葉が特徴の植物です。一般的な果実の長さは約2cmで、形状は卵型や楕円形です。
デーツ(ナツメヤシ)について
デーツは、英語でdateやdate palmと呼ばれることもあり、ヤシ科に属しています。写真にあるように、多数の実が一度に付き、収穫が行われます。原産地は北アフリカから中東周辺と広範囲にわたり、長年にわたり多くの人々に親しまれてきました。果実の大きさは直径2-3cm、長さ3-7cmの楕円形です。
※「なつめ」と「ナツメグ」は名前が似ていることがありますが、混同される場合があります。しかし、これら二つは全く異なるもので、ナツメグはニクズク科の植物の種子を挽いて作られる香辛料です。
なつめとデーツの違い
なつめとデーツの違いについて、さらに詳しく見ていきましょう。
起源と歴史
なつめとデーツは、どちらも紀元前から親しまれてきた歴史ある果実です。なつめは中国原産で、比較的冷涼な気候を好んで育ちます。古代から薬用としても利用されており、東洋の美人として知られる楊貴妃もその愛好者であったと伝えられています。また、朝鮮半島の宮廷料理でも重要な食材として使用されていました。
一方、デーツはアフリカや中東が発祥地で、砂漠や乾燥した地域で育ちます。キリスト教文化圏のヨーロッパでも知名度が高く、聖母マリアが食べたとも言われる果物です。また、エジプトのクレオパトラが好んでいたとも伝えられています。このように、育つ環境は異なるものの、これらの果実は古来から多くの女性たちに愛され、食されてきたことがわかります。
味わい
デーツは、サイズが大きく、粘り気のある食感が特徴的です。甘味が強く、「自然のキャンディー」とも呼ばれます。成熟したなつめやしの木から水分が程よく残ったものが、デーツとしてドライフルーツ市場に出回ります。
一方で、なつめは生の状態で食べるとりんごのようにシャキッとした食感があり、甘味は控えめで少し酸味があります。デーツのように無加工ではなく、甘露煮にしたり、乾燥させて生薬や料理に使われることが多いです。
栄養素
なつめとデーツはいずれもビタミンやミネラルに富んだ食品ですが、特定の栄養素においては顕著な違いがあります。
なつめはタンパク質、食物繊維、カリウム、鉄、葉酸が豊富であるのに対し、デーツはマグネシウムやβカロテンの含有量が多いです。
なつめとデーツの栄養素
棗(なつめ/ナツメ)は、鉄分やカルシウム、カリウム、マグネシウムなど多くのミネラルを含んでおり、ビタミンB群の葉酸やナイアシン、そして食物繊維も豊富なため、非常に栄養価が高い食材です。見た目や名前が似ているデーツ(なつめやし)との栄養素の違いについて考えてみましょう。
タンパク質
乾燥デーツのタンパク質含有量は100gあたり2.2gですが、乾燥された大棗は100gで3.9g、なつめチップになると8.2gのタンパク質を含んでいます。同じドライフルーツとして見た場合、約1.8倍も大棗の方が豊富です。成人女性が1日に摂取すると良いとされる目安は50gです。
カリウム
乾燥デーツには100gあたり550mgのカリウムが含まれていますが、乾燥ナツメは100gで810mg、そしてナツメチップスには1,000mgのカリウムが含まれています。ナツメのカリウム含有量はデーツよりも約1.5倍高いです。成人女性が1日に必要とされるカリウムの摂取量は2,600mgであり、ナツメにはカリウムが豊富に含まれていることから、山登りの際のおやつとして雑誌で紹介されたこともあります。
葉酸
細胞の成長と分裂に重要な役割を果たす葉酸は、乾燥デーツ100gに19μg含まれています。一方、乾燥なつめは100gあたり140μg、なつめチップには23μgの葉酸が含まれ、乾燥状態の比較では7倍以上の差が見られます。
亜鉛
乾燥デーツには100gあたり0.4mgの亜鉛が含まれていますが、大棗(乾燥なつめ)はその2倍の0.8mgを含むと言われています。さらに、なつめチップの場合は1.3mgの亜鉛を含んでおり、このように大きな違いがあります。
マグネシウム
乾燥デーツは、100g中に60mgのマグネシウムを含んでいます。一方、大棗(乾燥なつめ)は39mgで、なつめチップは52mgのマグネシウムを含んでいます。これにより、ドライフルーツとしてはデーツが約1.5倍多くのマグネシウムを含むことになります。成人女性の1日の摂取目安は290mgです。
カルシウム
100gあたりのカルシウム量を比較すると、乾燥デーツは71mgであるのに対し、大棗(乾燥なつめ)は65mg、なつめチップは73mgのカルシウムを含んでいます。この比較から、デーツの方が9.2%多くカルシウムを含んでいます。成人女性の1日のカルシウムの推奨摂取量は650mgです。
鉄分
乾燥デーツには100gあたり0.8mgの鉄分が含まれています。これに対して、乾燥なつめ(大棗)は100gあたり1.5mgの鉄分を含んでおり、なつめチップでは100gあたり1.8mgと、デーツの約2倍の量です。この鉄分は植物由来の非ヘム鉄で、たんぱく質やビタミンCと一緒に摂取すると吸収が促進されるとされています。一般的に、鉄分の摂取目安は成人女性で月経なしの場合6.5㎎、月経がある場合は10.5㎎です。
ナイアシン
乾燥なつめ(大棗)は100gあたり1.6mgのナイアシンを含んでおり、なつめチップでは1.7mgが含まれています。それに対し、乾燥デーツはわずかに多い1.8mgのナイアシンを持っています。成人女性のナイアシンの1日摂取推奨量は10㎎NEから13㎎NEです。
パントテン酸
乾燥デーツ100gには0.94mgのパントテン酸が含まれています。これに対して、大棗(乾燥なつめ)には100gあたり0.86mg、なつめチップには1.47mgのパントテン酸が含まれています。同じ乾燥フルーツでは、デーツはパントテン酸含有量で9.3%上回っています。成人女性が1日に摂取すべきパントテン酸の目安は5mgです。
食物繊維
乾燥デーツの食物繊維は100gあたり7.0gですが、それに対して大棗(乾燥なつめ)は100gで12.5g、さらに進化形のなつめチップでは15.3gと、食物繊維の含有量が約2倍に及びます。成人女性の場合、食物繊維の摂取目標は1日最低18gとされており、意識的に多めに取り入れることが健康に良いとされています。