ダージリンでお茶の栽培が本格的に始まったのは1852年、英国人によって茶樹が植えられたことが起源です。中国の福建省や武夷山から運ばれた約2万本の茶樹の種や苗がダージリンの地に根付き、現在のダージリンティーの基盤が築かれました。これらの茶樹は「中国種（チャイナ）」と呼ばれ、爽やかな滋味と自然な香りを持つ品種として知られています。

さらに、樹齢100年以上を超える茶樹が今も老舗茶園で育てられている一方、近年では香気や風味に優れる「クローナル」と呼ばれる高級品種の栽培も進められています。また、茶葉を製茶する際に複数の品種をブレンドする手法も取り入れられており、それぞれの茶園ならではの個性豊かな風味が生まれています。こうした伝統と革新の融合が、ダージリンティーの独自性を高める重要な要素となっています。

ダージリン地域では日本と同様に四季があり、年間を通じて異なる風味を楽しめるのが魅力です。特に、春の「ファーストフラッシュ」、夏の「セカンドフラッシュ」、秋の「オータムナル」と、年に3回の収穫期があり、それぞれの時期に異なる香りと味わいを持つ紅茶が作られます。

また、ダージリンティーの風味は茶園の地勢や茶樹の品種、製造技術などによっても大きく変化します。同じ茶園でも収穫場所や製造日の違いで異なる味わいを持つため、ダージリンティーは「ロットナンバー」というシステムで品質管理が行われています。このナンバーが明記されている紅茶は、茶園や生産時期を特定できる高品質の証として信頼されています。季節や茶園ごとの特徴を楽しむことができるダージリンティーは、その多彩な魅力から多くの紅茶愛好家を惹きつけてやみません。

ダージリンティーのしっとりとした余韻とその深い複雑さは、その他のどんなお茶よりも鮮やかで美味しい。その穏やかな香りが口の中で輝き、味わいに深みを与えます。まさに、ダージリンティーは極上の香りが集まった宝箱のような存在。その驚くべき風味と内面の豊かさは、他の追随を許さない何ものかで、私たちの感覚を癒し、心を喜びで満たします。ダージリンティーとは、こんなにも特別で、魅力満載のお茶なのです。