乳製品アレルギーは、牛乳やチーズなどの乳製品を摂取した際に免疫系が過剰反応を示し、多様な身体症状を引き起こす状態です。食物アレルギーの一種として、特に子供に多く見られるが、大人でも発症することがあります。主な症状には、皮膚のかゆみや呼吸困難、消化不良などがあり、日常生活に大きな影響を及ぼすことも少なくありません。本記事では、乳製品アレルギーの具体的な症状と、それに対する効果的な対策について詳しく解説します。
乳製品アレルギーについて
乳製品は乳幼児における主要なアレルギー源で、特に食物によるアナフィラキシーの主な原因として知られています。このアレルギーを引き起こすのは、カゼインやα、β-ラクトグロブリンといったタンパク質です。多くの場合、乳幼児に発症しますが、3歳を過ぎると自然に治るケースが一般的です。牛乳アレルギーの代表的な症状には、新生児・乳児消化管アレルギー、即時型アレルギー、アトピー性皮膚炎の三種があり、それぞれ異なる影響を及ぼします。
①新生児および乳児の消化管アレルギー
新生児から乳児に見られる病気で、牛乳が原因で嘔吐や血便、下痢などの消化器官に影響を及ぼすケースがあります。この病気は新生児期に多く発症しますが、生後数か月後に現れることもあります。牛乳由来の調製粉乳が要因となることが多いですが、時には母乳によっても症状が出ることがあります。即時型アレルギーよりも症状の出現が遅く、摂取してから24時間以内に表れることが多いです。治療法としては、原因となる食物を取り除くのが基本です。また、乳児期の間に耐性を身につけることが多く、1歳で50%以上、2歳でおよそ90%が耐性を持つと言われています。
②アレルギーの即時型反応
摂取後しばらくしてから、通常は1時間以内に症状が現れますが、まれに数時間後に出ることもあります。 特に、皮膚の症状として蕁麻疹が最も頻繁に見られ、約90%の確率で現れます。続いて、喉のかゆみや呼吸しにくさ、喘鳴といった呼吸器に関する症状が約30%の割合で発生します。さらに、嘔吐や下痢などの消化器症状、頭痛や意識がもうろうとするような神経症状、血圧の低下や皮膚の蒼白といった循環器症状もみられることがあります。 乳製品アレルギーに関しては、6歳までにその70%の子供が耐性を得ると考えられていますが、特異的IgE抗体の値が高いほど耐性の獲得に時間がかかり、高い抗体値が持続する場合が多いです。
アトピー性皮膚炎について
乳幼児期には、牛乳などの食品アレルギーがアトピー性皮膚炎を引き起こすことがあります。牛乳アレルゲンのひとつであるβ-ラクトグロブリンは、80℃以上で加熱するとその抗原性が低下します。しかし、牛乳に含まれるたんぱく質の約80%を占めるカゼインは、100℃に達してもその抗原性が減少しないとされています。そのため、牛乳や乳製品に含まれるたんぱく質の量を基に“食べられる範囲”を判断することが可能です。チーズは主にカゼインから作られ、バターの乳たんぱく質含有量は約0.6%と非常に少ないです。また、牛肉は牛乳とは異なるアレルゲンであるため、通常除去の必要はありません。ただし、やぎ乳やめん羊乳はアレルギー表示の範囲外ですが、牛乳と強い交差抗原性があるため使用を避けるべきです。
乳製品アレルギーかも
乳製品アレルギーの診断には、血液中のIgE抗体の測定が役立ちます。この抗体は牛乳と結合する性質を持ち、その量が増えるとアレルギーの可能性が高まります。ただし、この方法には限界があり、確実な診断を行うためには食物負荷試験が必要です。この試験では牛乳の摂取によりアレルギー反応を観察します。少量から始めて徐々に量を増やすことで反応を軽減しつつ、どのような反応にもすぐ対応できるよう、経験豊富なスタッフと設備が整った施設で行います。この試験によりアレルギーの有無だけでなく、安全に摂取できる牛乳量を特定し、その結果を基に管理方針を決定します。
食生活と日常生活における注意点
牛乳を含む食品にはその表示が求められていますので、購入の際には必ず表示を確認し、選択してください。しかしながら、特に店頭で販売される食品や包装されていないもの、または表示スペースのない小さな包装の食品には表示義務がないため、こうした場合には牛乳が含まれていても表示されていない可能性があることに注意が必要です。外食時には、アレルギー成分をメニューに表示しているレストランを選ぶことをお勧めします。また、お子さんを親戚や知人に預ける際は、しっかりと牛乳アレルギーがある旨を伝えてください。学校や保育所では事故防止のために「生活管理指導表」と呼ばれる書類を提出します。この書類には、食物アレルギーの種類や原因となる食品、診断の根拠、治療薬、学校生活での制限の有無などが詳細に記載されています。