ドリップコーヒーを淹れたときに、豆の鮮度が高いと表面に泡が浮かぶことがあります。しかし、これをクレマと混同してはいけません。ドリップの場合、加圧せずお湯を注ぐだけなので、泡はすぐに消えてしまい、エスプレッソのような密度やクリーミーさはありません。クレマとは、圧力と時間、豆の条件がすべて揃ってはじめて生まれる、エスプレッソ独自の泡なのです。

クレマがしっかりと現れるエスプレッソは、豆が新鮮である証拠ともいえます。焙煎されたコーヒー豆は、時間とともにガスが抜けていきます。クレマはこのガスが十分に残っているときにしか生まれません。つまり、クレマの質や厚みを見れば、豆の鮮度をある程度判断できるのです。自宅でエスプレッソを淹れる際には、購入後なるべく早めに豆を使うのが理想です。

クレマを再現したい場合、家庭用エスプレッソマシンを使えば手軽に実現可能です。最近では、手頃な価格で購入できるモデルも増えており、初心者でも挑戦しやすくなっています。また、マシンがなくてもインスタントコーヒーと砂糖、お湯を使って、似たような泡を作る裏ワザもあります。カップの中でしっかり空気を含ませながらかき混ぜることで、とろみのあるクレマ風の層ができるので、気軽に楽しめます。

クレマは、エスプレッソを特別な存在にしてくれる重要な要素です。そのクリーミーな泡は味わいの深さを引き立て、香りを閉じ込める役割も果たしています。豆の鮮度や抽出方法によってクレマの質が大きく変わるため、ぜひ自分に合った方法でおいしい一杯を追求してみてください。自宅でも工夫次第でクレマに近い泡を楽しむことができますよ。