コーヒーの起源:伝説と歴史を紐解く

コーヒーは、世界中で愛されている飲み物であり、その歴史は多くの伝説や物語とともに語り継がれています。エチオピアのカルディの伝説に始まり、アラビア、オスマン帝国、ヨーロッパを経て、日本に至るまで、コーヒーは人々の手によって育まれ、進化してきました。この記事では、コーヒーの起源から現代に至るまでの興味深い歴史を紐解き、その広がりと文化を探求します。

コーヒーの起源:伝説と歴史を紐解く

コーヒーの起源にはいくつかの伝説があります。一つは、9世紀頃のエチオピアでヤギ飼いのカルディが、ヤギたちが赤い実を食べて元気に飛び跳ねるのを見て、自身もその実を試したところ活力が湧いてきたという話です。別の伝説では、イスラム教の聖職者シーク・オマールが、病気を癒す祈祷を行った際に、美しい羽根を持った小鳥が赤い実をついばむのを見て、その実を口にしたところ美味しかったという話があります。これらの実を煎じてスープにしたところ、爽快な気分になったとされています。

コーヒーの広がり:イスラム世界からヨーロッパへ

コーヒーは、エチオピアからアラビア半島へと伝わり、イエメンで栽培されるようになりました。イエメンではコーヒー豆を焙煎して煮出し、「カフワ」(眠りを防ぐもの)と呼ばれる飲み物が作られました。1510年頃にはカイロに世界初のコーヒー店が現れ、1554年にはコンスタンチノープル(現在のイスタンブール)に「カヴェー・カネス」という著名なコーヒー店が誕生しました。オスマン帝国ではコーヒー豆を焙煎し、細かく挽いてお湯の中でゆっくり加熱するいれ方が生まれ、コーヒーは庶民の間にも広まりました。トルコでは、夫が妻に十分なコーヒーを与えられない場合、妻が離婚を求めることができたほど、コーヒーは重要な飲み物でした。

ヨーロッパにおけるコーヒー文化の隆盛

17世紀に入ると、ヨーロッパにもコーヒーが伝わり、コーヒーハウス文化が花開きました。イタリアでは、ベネチア商人がコーヒーを持ち帰り、1645年に最初のコーヒーハウスが開店しました。イギリスでは、1650年にオックスフォード大学にコーヒーが持ち込まれ、その後ロンドンでコーヒーハウスが開店し、「ペニー大学」として親しまれました。フランスでは、1669年に在パリ・トルコ大使がルイ14世にコーヒーを紹介し、1686年には伝説的なカフェ プロコップがパリで開店しました。フランス人は、コーヒーを煮出す代わりに、細かく挽いたコーヒーを布袋に入れて熱湯に浸す浸漬式を開発し、ミルクを入れた「カフェ オレ」も考案しました。オーストリアでは、1683年にウィーンに最初のコーヒーハウス「ブルーボトル」が開店し、ウィーン人の味覚に合わせて、抽出後のコーヒーの粉を茶こしでこし、クリームとハチミツを加えたコーヒーが人気となりました。ドイツでは、1670年代にコーヒーが伝わり、ベルリンでは1721年に最初のコーヒーハウスがオープンしました。スペインでは、トルコ移民からコーヒーを手に入れ、油分で表面が光るほど深く煎ったコーヒー豆で、力強い風味のコーヒーを作る独自の焙煎スタイルが発展しました。

コーヒーの現代化:ドリップ方式の誕生

フランスではコーヒーの近代化に重要な貢献がありました。ドリップ式の考案です。しかも、この方式を考え出したのは、驚くべきことにひとりの名もないブリキ職人だったのです。ポットの中にたらした布袋にコーヒーの粉を入れ、熱湯を注いで浸透させる器具の発明によって、煮出すコーヒーから漉(こ)すという、近代コーヒーの基盤が編み出されたのです。それは1763年、まさにコーヒーの一大革命でした。

コーヒーの世界的な広がり:プランテーションの拡大

18世紀初頭までに、オランダ人はセイロン(スリランカ)および東インド諸島の植民地で大量のコーヒーを栽培できるようになりました。アムステルダム市長がルイ14世にコーヒーの木を献上し、その木からフランス領マルティニーク島にコーヒーが広がり、そこからジャマイカ、キューバ、中央アメリカへと伝播しました。また、ポルトガル陸軍将校パリエッタが、フランス領ギアナ総督夫人からコーヒーの種を受け取り、ブラジルに持ち帰ったことが、世界最大のコーヒー生産国となるきっかけとなりました。18世紀から19世紀にかけて、宣教師、旅人、商人、入植者によってコーヒーは世界中に広がり、各地で栽培されるようになりました。

日本へのコーヒー伝来と喫茶店の誕生

日本へのコーヒー伝来は、江戸時代に長崎出島にオランダ商人が持ち込んだのが有力な説です。1797年の記録には、長崎丸山の遊女が貰った物の一つとして「コヲヒ豆一箱。チョクラート」という記述があります。江戸末期には、シーボルトがコーヒーの効能を説き、普及を試みました。明治時代に入ると、西洋料理店でコーヒーが提供されるようになり、1888年(明治21年)には、鄭永慶(ていえいけい)によって東京・下谷黒門町に「可否茶館」という日本最初の本格的な喫茶店が開業しました。その後、明治の中ごろからコーヒーを飲ませる店が増え、銀座に「カフェー・プランタン」や「カフェー・ライオン」が開店しました。ブラジルコーヒーの販路拡大のために開かれた「カフェ・パウリスタ」は、コーヒーの大衆化に貢献し、キーコーヒーの創業者・柴田文次も「パウリスタ」で働いていました。

結び

コーヒーは、その起源から世界中に広がるまで、多くの人々の手によって育まれ、愛されてきました。伝説的な発見から、喫茶店の誕生、そして現代の多様な楽しみ方まで、コーヒーの歴史は私たちに豊かな文化と味わいをもたらしてくれます。一杯のコーヒーを味わうとき、その背後にある長い歴史と、世界中の人々の情熱を感じてみてください。

コーヒーの起源はどこですか?

コーヒーの起源はエチオピアです。9世紀頃にヤギ飼いのカルディが赤い実を食べて元気になったという伝説が残っています。

世界初のコーヒー店はどこで生まれた?

世界で最初にコーヒー店ができたのは、1510年頃のカイロです。その後、1554年にはコンスタンチノープル(現在のイスタンブール)に「カヴェー・カネス」という著名なコーヒー店が誕生しました。

日本初の喫茶店はいつ、どこにオープンした?

日本で最初に喫茶店ができたのは、1888年(明治21年)4月13日で、東京・下谷黒門町に「可否茶館」という名前の店が鄭永慶(ていえいけい)によって開店しました。

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