クローブ効能

クローブ効能

クローブ効能

クローブは、スパイシーな香りと独特の風味が魅力のスパイスです。古くから世界中で利用されてきたこの小さな乾燥した花芽は、料理に香りづけする以外にも、さまざまな効能を秘めています。健康面での利点から美容面での活用まで、クローブの持つ驚くべき力について見ていきましょう。

クローブとは?

クローブは、熱帯性常緑樹チョウジノキの未開花の花蕾を乾燥させたスパイスです。インドネシア、モルッカ諸島が原産地で、世界各地の家庭や飲食店で幅広く親しまれています。


チョウジノキは樹高12~15mに達する常緑樹で、年に2回、夏と冬に小さな薄ピンク色の花を咲かせます。その花が咲く直前の未開花のつぼみを摘み取り、しっかりと乾燥させたものがクローブとなります。開花すると、つぼみ特有の香りが弱まってしまうためです。


乾燥したクローブは、茶褐色の小さな釘のような形状をしており、この独特の形状から、フランス語で「釘」を意味する「Clou」が語源となり「Clove」と呼ばれるようになったと言われています。一方、中国では古くから「丁(クギ)」の意味から「丁子」と呼ばれ、遠く離れた国でも同じように「釘」にちなんだ名前が付けられているのが興味深いところです。

クローブの悲しい歴史

クローブは、東インド諸島のスパイス産地であるモルッカ諸島が原産の香辛料です。しかし、その魅力的な香りと味わいの裏側には、長い間の植民地支配と残酷な歴史が潜んでいました。


16世紀半ば、ポルトガルとオランダは東インド諸島のスパイス貿易を独占するために激しい争いを繰り広げました。当時ヨーロッパでは、スパイスは高価な商品でした。オランダ東インド会社は、モルッカ諸島の支配者から高額のスパイス独占貿易権を認められました。


1621年、オランダ軍はモルッカ諸島に上陸し、残虐な行為に走りました。島民への虐殺に加え、クローブの木を根こそぎ伐採し、他の島への持ち出しを禁止しました。オランダは、他国がクローブを入手できないよう、徹底した独占体制を築いたのです。


この虐殺と強制的なクローブ栽培は、島民に深刻な打撃を与えました。多くの島民が飢餓や病気で命を落とすこととなり、美しい香りのクローブの裏側に、悲惨な歴史が刻み込まれました。


しかし、18世紀末、フランスやイギリスがモルッカ諸島からクローブの苗木を盗み出し、他の植民地で栽培に成功したことで、ようやく原産地には平穏が訪れました。長い間、魅惑的なスパイスに惑わされた侵略者に翻弄された悲しい過去がありました。

クレオパトラも愛したクローブの香り

クレオパトラは紀元前の古代エジプト最後の女王として知られる美の女神でした。官能的な誘惑と豪華絢爛な生活が彼女の魅力でしたが、特に愛したのがクローブの香りだったと伝えられています。


クローブは東南アジア原産の蕾状の香辛料で、辛味と甘みを併せ持つ独特の強烈な香りが特徴的です。食欲をそそる一方で、温かみと柔らかさも感じさせる香りです。古くから食材や薬効、香料としても親しまれてきました。特にインド風の料理には欠かせない香辛料で、エキゾチックでスパイシーな香りはクレオパトラのような官能的な女性を想起させるでしょう。


香りの名人とも言われたクレオパトラは、薔薇の香りの他にクローブの香りも好んで使っていたと言われています。船の帆にクローブの香りを染み込ませていたので、陸で待つ人々は風に漂う香りからクレオパトラの帰船がわかったと言い伝えられています。妖艶な雰囲気を醸し出す一方で、ある種神秘的でミステリアスな魅力もあるクローブの香り。その強烈な印象は男心を捉えるのに絶好の一手だったに違いありません。


エキゾチックでオリエンタルな甘さのある香りは今もなお愛され続けています。クローブの香りがする名香はオードリーヘップバーンが愛したGIVENCHYの「ランテルディ」やDiorの「プアゾン」などが有名です。筆者もJo Maloneのクローブ×柘榴の香水を愛用していますが、甘い煙のような香りがとても魅力的です。

クローブ効能

クローブは食材の中で抗酸化効果が高水準のスパイス

クローブは、古くから様々な料理で使用されてきた香辛料ですが、単なる香りづけ以上の価値を秘めています。1930年代から始まった研究により、クローブがあらゆるスパイスの中で最も高い抗酸化効果を持つことが明らかになりました。


病気や老化の原因は酸化から生じます。酸化とは、新鮮さを失い腐敗へと向かう過程です。しかし、クローブに豊富に含まれる抗酸化物質が、この酸化を防ぎ、体内の活性酸素から細胞を守ります。特に、クローブに含まれるエーゲル酸は、ビタミンEの3倍の抗酸化力を発揮するとされています。


さらに、クローブには抗菌作用や抗炎症作用もあり、風邪や歯痛、消化器系の不調にも効果的です。また、血糖値を下げる働きもあるため、糖尿病の予防や改善にも役立つ可能性が指摘されています。


このように、クローブは料理の風味を高めるだけでなく、体の健康維持にも大きく貢献する機能性食品なのです。ぜひ、香りを楽しむだけでなく、その抗酸化力や様々な効能にも注目して、日々の料理に取り入れてみてはいかがでしょうか。

クローブの効果・効能

クローブは、古くから多様な効能が認められてきた万能なハーブです。漢方薬ではチョウジとして使われ、胃腸を温め体内の冷えを改善する働きがあります。西洋でも冬の料理に欠かせないスパイスとされ、ポカポカ温まる効果を実感してきたのでしょう。


クローブに含まれるオイゲノールには強い鎮痛と抗菌作用があり、歯科医療でも歯痛や歯肉炎の治療に使われています。正露丸にも配合されているのは、この鎮痛効果を活かしたものです。さらに、クローブには消化を助ける作用や抗酸化作用もあり、老化防止や美容にも一役買っています。


加えて、血糖値を下げる作用、解熱作用、抗がん作用なども報告されているスパイシーな魅力がつまった万能ハーブなのです。料理の際の強烈な香りが気になる方もいるかもしれませんが、多彩な効能を備えた貴重な存在と言えるでしょう。

クローブで温活!

クローブには体を温める働きがあり、新陳代謝を高め血行を促進する効果があります。手足の冷えを和らげ、風邪予防にも役立ちます。寒さで低下しがちな免疫力を高める助けともなるのです。


クローブには胃腸の状態を正常に保つ作用もあり、冷え症の方の内臓の冷えにも効果的です。温活に最適なスパイスと言えるでしょう。シナモンやジンジャーなど、同じく温める効能のあるスパイスと一緒に使えば、より一層の相乗効果が期待できます。


利用法は様々で、お風呂に入れたりホットドリンクに加えたりと、ほのかな香りに癒されながら体の芯から温まることができます。マサラチャイなどのホットスパイシードリンクで一休みすれば、心身ともにリフレッシュできそうです。


日本の伝統薬膳でも重宝されてきたクローブの高い温活効能を、寒い季節にこそ活かしましょう。クローブの力で、快適な冬を過ごせるはずです。

クローブの使い方

クローブは香り高い香辛料として、料理の風味を引き立てる魅力を秘めています。食材に合わせて、ホールとパウダーを使い分けることがコツです。


ホールクローブは硬く食べられないため、肉料理や野菜料理に刺して香り付けに活用します。調理の最初から使うことで、じっくりと香りが染み込みます。調理後は取り除く必要があります。


一方、クローブパウダーは練り込む量に気をつける必要があります。ひき肉料理などに適量を混ぜ込むと、臭みを消し素晴らしい風味を生み出します。しかし、過剰に使うと逆効果となる薬臭さが出てしまいます。


このように、クローブは少量から使い始め、お好みの香りの強さを見つけることが大切です。料理に合わせてホールとパウダーを使い分け、適量を活かすことで、素晴らしい風味を堪能できます。

チャイにおけるクローブの役割

インド料理の伝統的な香り付けとして、チャイにクローブを加えることがあります。クローブは独特の芳香と風味を持つスパイスで、チャイの味わいに奥行きと立体感を与えてくれます。チャイづくりで理想の味や香りが出せない場合は、クローブの量を調整すると良いでしょう。


ただし、強い香りのスパイスなので使いすぎには注意が必要です。適量を見極めながら、お好みのチャイの味を楽しんでみてください。

まとめ


クローブは古くから多くの文化で親しまれ、健康増進や美容の目的で活用されてきました。抗酸化作用や抗菌作用が認められており、風邪やインフルエンザの予防に役立つとされています。また、歯周病の予防にも効果があるとの研究結果もあります。さらに、クローブ油は血行促進作用があり、肌の引き締めやアンチエイジングとしても注目されています。スパイスとしてだけでなく、クローブには驚くべき効能が秘められているのです。


クローブ