りんごエチレンガス

りんごエチレンガス

りんごエチレンガス

りんごは、人間が最も身近に接する果物の一つです。その美味しさと栄養価の高さから、古くから世界中で愛され続けてきました。しかし、りんごの美味しさを左右する大きな要因の一つに、「エチレンガス」があります。エチレンガスは、りんごの成熟や老化に深く関わる植物ホルモンです。このエチレンガスの作用を理解することで、りんごの鮮度を保ち、おいしさを最大限に引き出すことができます。本記事では、りんごとエチレンガスの関係性について、その仕組みと対策を紹介します。

エチレンガスとは?

エチレンガスは、青果物が自ら分泌する植物ホルモンの一種で、熟成を促進する働きがあります。リンゴやバナナが色づき、香りや甘みが増すのは、このエチレンガスの影響によるものです。


このガスは自身の熟成を促すだけでなく、周囲の青果物にも影響を及ぼします。例えば、エチレンガス生成量の多いリンゴと一緒に他の果物を保管すると、早期に熟成が進行します。


しかし、熟成と老化は表裏一体の関係にあり、熟した後もエチレンガスの放出が続くと、過熟により品質が低下し、ついには腐敗に至ってしまいます。そのため、収穫後の青果物管理においては、エチレンガスをコントロールすることが重要となります。

なぜ青果物はエチレンガスを放出するのか?

青果物は呼吸の過程で、植物ホルモンの一種であるエチレンガスを放出します。このエチレンガスは、種子の運搬を担う小動物を呼び寄せるための重要な役割を果たしています。


エチレンガスは細胞壁を結び付けているペクチンを分解することで、細胞間に隙間を生み出します。この隙間から果実特有の香りとなるVOC(揮発性有機化合物)が放出され、小動物を誘引します。


小動物は、香りに誘われてやってきた果実と一緒に、その中の種子を別の場所へと運びます。このように、青果物がエチレンガスを放出するのは、種子を効率的に拡散させるための自然の摂理なのです。

りんごエチレンガス

青果物におけるエチレンの生成量と影響度

エチレンは、果実の成熟や野菜の老化を促進するホルモンです。果実の中でもリンゴやバナナなどのクライマクテリック型では、成熟に伴いエチレン生成量が増加します。一方、キウイフルーツやオレンジなどの非クライマクテリック型ではエチレン生成量が低く変化も小さいです。


野菜類では、エチレンは葉物野菜の黄変や軟化を引き起こしますが、アボカドやトマトなどの果菜類では食味の向上に役立つため、人為的にエチレン処理することもあります。このように、エチレンは鮮度や食味に大きな影響を及ぼします。


よって、エチレンガスの生成量が多い果実や、影響を受けやすい野菜を適切に取り扱うには、保存・輸送環境におけるエチレンガス管理が不可欠となります。流通過程でのエチレン管理により、品質保持とロス低減が期待できるのです。

まとめ


りんごの鮮度とおいしさを長く保つためには、エチレンガスの影響を最小限に抑えることが重要です。適切な温度管理や換気、エチレンガス吸収剤の使用など、様々な対策を講じることで、りんごの過熟や老化を遅らせ、新鮮で美味しい状態を維持することができます。エチレンガスの性質を理解し、適切に対処することが、おいしいりんごを長く楽しむための鍵となります。


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