毎日の生活に彩りを与えてくれるチョコレート。甘くて豊かな風味が人気ですが、実は健康や美容にも嬉しい影響を与えることをご存知ですか?ダークチョコレートには抗酸化物質が豊富に含まれており、血圧の改善や心臓病リスクの低下、さらには肌の健康維持に期待されています。本記事では、チョコレート摂取がもたらす具体的な健康効果について詳しく解説します。甘い誘惑を美容と健康へと転換するヒントを見つけてみましょう。
チョコレートの成分は健康に寄与する?その効果と1日あたりの適切な摂取量をご案内
チョコレートが体に良い影響をもたらすという認識が広がる中、その成分への関心も高まっています。この記事では、特に高カカオチョコレートに多く含まれる「カカオポリフェノール」を中心に、チョコレートの多様な成分について解説します。また、毎日どの程度の量を食べれば良いのかや、健康に良い成分を効率的に摂取する方法についても考察します。
【カカオポリフェノール】多様な健康効果が期待される話題の成分
カカオポリフェノールは、チョコレートの持つ色や苦味、渋みの由来となる重要な成分です。カカオ自身が光合成の過程で自衛のために生成するこの成分は、人間の体内において抗酸化作用を持つことが確認されています。具体的な効果について詳しく探ってみましょう。
ストレス解消の効果が見込まれる
ストレスを感じると、副腎という腎臓の上に位置するホルモンを分泌する器官から「コルチゾール」と呼ばれるストレスホルモンが急激に分泌されます。この反応はストレスから体を守ろうとする自然なものですが、ホルモンの分泌が長引くと病気に対する免疫力が低下すると言われています。ある研究では、高カカオチョコレート(カカオ分75%)を不安感が強い人に1日40g、2週間にわたって摂取してもらった結果、「コルチゾール」の排泄量が減少し、ストレスに関連するエネルギー代謝が改善されたことが確認されました。
アレルギー反応における新たな展望
アレルギー反応は、体内に入り込んだウイルスやダニ、花粉などに対する免疫系の過敏な反応によって、くしゃみや鼻水を引き起こす現象です。アレルギーのプロセスは、①アレルゲンに接触することで特異な抗体が生成される、②その抗体がアレルゲンに暴露されると反応し、ヒスタミンなどの炎症促進物質が分泌される、③好酸球が関与して症状を悪化させる、といった流れをたどります。カカオポリフェノールは、これらの各段階に作用する可能性が指摘されています。
動脈硬化の予防策
動脈硬化は、動脈の壁が硬くなり血流が妨げられる疾患で、進行すると深刻な健康問題となります。この状態は、酸化した悪玉(LDL)コレステロールが血管に溜まることが一因です。カカオポリフェノールは、このコレステロールレベルを一定に保つ働きがあるとされ、また血流を改善する可能性があります。11名の健康な男女を対象に、25gのチョコレート(カカオポリフェノール500mg含有)を摂取する前後で血流量を調査したところ、摂取後には血流が促進されることが示されました。
カカオポリフェノールの抗酸化力
細胞やそのDNAは、活性酸素によって損傷を受け、これが老化を促進したり、がん化を引き起こすことがあります。そのため、抗酸化機能を持つカカオポリフェノールへの期待が高まっています。カカオポリフェノールは酸化ストレスを和らげる可能性が示唆されていますが、具体的なメカニズムはまだ完全には解明されておらず、さらなる研究が求められています。
【食物繊維】腸の機能を促進する
日本人に不足しがちな食物繊維は、意外にもチョコレートでも補うことが可能です。カカオに含まれる「リグニン」という食物繊維は、大腸で便のボリュームを増し、その働きを活性化します。これによりスムーズな排便をサポートします。ちなみに、ミルクチョコレート25g(板チョコ約半分)では、0.98gの食物繊維を摂取できます。
【脂肪酸】不足すると脳卒中のリスク増加
チョコレートが口の中で優しく溶けるのは、カカオ豆の中に存在する「ココアバター」と呼ばれる脂質のおかげです。この脂質は、私たちの体にとって重要なエネルギーとして機能しますが、過剰に摂取するとエネルギーの過多となり、体脂肪を増加させる可能性があります。適量を心がけることが大切です。ところで、ココアバターには飽和脂肪酸が豊富に含まれています。これらの脂肪酸は、通常の植物油には少なく、バターやラードといった動物性の脂肪に多く見られる特徴があります。脳卒中のリスクを高めるといったネガティブなイメージがありますが、日本人の飽和脂肪酸の摂取量が少ないことが、逆に脳卒中のリスクを増しているという見解が近年明らかになっています(※1)。
チョコレートを効果的に楽しむ方法
多くの健康成分を持つことで話題となっているチョコレート。特に、カカオポリフェノールが豊富な「高カカオチョコレート」は近年人気を集めています。これから、チョコレートの健康効果をさらに感じるための食べ方をご紹介いたします。
日々、少量を摂取する
カカオポリフェノールはチョコレートの主要成分で、体内に長く留まることはできません。摂取後約2時間で血中濃度が最高に達しますが、その後は徐々に除かれ、24時間後にはほぼ消失します。毎日を通して数回に分けて食べるのが理想的です。
チョコレートの適切な消費量
チョコレートは嗜好品であり、具体的な摂取目安量は存在しませんが、厚生労働省と農林水産省は、菓子や嗜好品の摂取を1日あたり200kcal以下に抑えることを推奨しています。ミルクチョコレートのエネルギー量は100gで551kcalですので、板チョコの半分、約25g(138kcal)で適量と言えるでしょう。また、高カカオチョコレートは、ポリフェノールが豊富で糖質が少ないため、より効率的にポリフェノールを摂取できます。日本チョコレート・ココア協会の報告によれば、毎日5〜10g程度の高カカオチョコレートを継続して食べることで、健康に良い影響が見られることがわかっています。たとえば、1日に7.5gの高カカオチョコレートを10年間食べ続けた場合、心臓病のリスクが軽減されたり、1日に約10gに相当する4.18gのカカオを5年間摂取し続けたところ、血圧の管理が可能になったという結果があります。食べ過ぎは避けるべきですが、高カカオチョコレートは特に毎日の摂取に値するでしょう。
毎日の健康にチョコレートの成分を賢く取り入れる方法
甘さと健康効果を兼ね備えたチョコレート。カカオに含まれるポリフェノールなどの成分には、健康に良い影響を与える可能性がありますが、まだ研究途上の部分も多いです。それでも、毎日少しずつ食べ続けることで、健康面での変化を感じることができるかもしれません。健康的なチョコレート習慣を始めてみませんか。