チョコレートは、カカオ豆から作られる甘美な食べ物で、古代から現代まで世界中で愛されています。その滑らかな口当たりと豊かな香りは、ただの甘味を超え、人々の心を掴んで離しません。美味しいだけでなく、文化や歴史にも深く根ざしているチョコレート。この記事では、その定義から魅力を探ります。チョコレートの魔法に触れ、あなたもその虜になってみませんか。
チョコレートとは何か
普段特に意識せずに口にしているチョコレート。しかし、日本で販売されているチョコレートには、全国チョコレート業公正取引協議会が運用する「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」によって、明確な定義が存在しています。チョコレートと認められるためには、以下の基準のいずれかを満たす必要があります。
● カカオ分が35%以上であること● カカオ分が21%以上且つカカオ分と乳固形分の合計が35%以上となるチョコレート生地を全体の60%以上使用していること
これらの基準に該当しない場合でも、カカオ分が15%以上、またはカカオ分が7%以上で乳固形分12.5%との合計が35%以上となる生地を全体の60%以上使っているものは、準チョコレートとして分類されます。それでは、次にチョコレートの原料について詳しく見ていきましょう。
カカオの実
チョコレートの主要な成分として欠かせないのがカカオ豆です。このカカオ豆は、カカオの木から収穫される果実の種子です。正式には豆類ではなく、マメ科に属しませんが、一般的に「豆」と呼ばれています。カカオの木は暖かい気候を好むことから、主にアフリカのコートジボワールやガーナなどで広く栽培されています。チョコレートを作る過程では、生のカカオ豆を加工してカカオマスを抽出する必要があります。
重要な役割の砂糖
カカオ豆自体には甘さがほとんどないため、美味しいチョコレートを作る上で砂糖は重要な役割を果たします。通常のグラニュー糖以外にも、ココナッツシュガーやアガベシロップなど、さまざまな甘味料が用いられることがあります。どの甘味料を選ぶかによって、出来上がったチョコレートの風味が変わりますので、製造者やチョコレートの種類によって選択が異なることもあります。
ミルクパウダーを使うと?
ミルクパウダーとは、牛乳を乾燥させて粉末状に加工したもので、脱脂粉乳や全粉乳が典型的な例です。脂肪分が豊富なカカオ豆は液体状の牛乳と混ざりにくい特性を持っています。このため、製菓業界ではミルクチョコレートやホワイトチョコレートの製造時に、特に粉末状態のミルクパウダーが活用されています。
香りづけのバニラ
バニラは、長い歴史を持つチョコレートの香り付けとして知られています。かつて古代のアステカ文明では、粉砕したカカオ豆にトウモロコシの粉とバニラを混ぜ込んだ飲み物が親しまれていたと言われています。しかしながら、今日では天然バニラの価格が非常に高騰しているため、チョコレートの製造にはしばしば人工香料が活用されています。
レシチンについて
「レシチン」は脂質の一部で、食品の品質を保つために使われる添加物です。一般的に乳化剤として知られ、大豆や菜種、ひまわりなどから抽出されます。特にチョコレート製造においては、テンパリングという温度管理の過程でレシチンを加えると、粘度が下がり、なめらかで扱いやすい状態になります。
カカオ豆からチョコレートへの変貌
チョコレートが誕生するまでには、たくさんの時間と熟練した作業が求められます。カカオ豆をチョコレートに変える過程は、大きく2つの主なステップに分けられます。それぞれの工程を詳しく見ていきましょう。まずは、カカオ豆をカカオマスに変える工程です。収穫されたカカオ豆は、発酵、乾燥、ローストを経て細かく砕かれ、カカオニブとなります。カカオニブは脂肪分が多く、すりおろされると油が出て液状になります。この液状のカカオニブを固めると、カカオマスが完成します。次に、カカオマスからチョコレートを作るプロセスです。まず、カカオマスにココアバターを混ぜ、砂糖やミルクパウダーを追加します。そして、24~72時間かけて機械で練り上げる(コンチング)、さらに温度を制御してココアバターを安定化させる(テンパリング)工程を行い、最後に型に流し込んで成形します。チョコレートの種類は、カカオに対する砂糖やミルクパウダーの比率によって異なります。コンチングによる長時間の練りが、口どけの良さを生み出します。テンパリングは、チョコレートを安定させ、輝きを与える重要なステップです。