中国茶種類

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中国茶種類

中国は5000年以上にわたり豊富な茶文化を育んできた国です。広大な国土と多様な気候風土は、多種多様な茶の品種を生み出しました。味わいの違いや製造方法の特徴など、中国茶の種類は実に豊富です。この記事では、中国茶の代表的な種類とその魅力について紹介します。

中国茶の種類について – 6大分類

中国茶には様々な種類がありますが、その根源はただひとつ、茶の木「カメリア・シネンシス」からできています。烏龍茶、ジャスミン茶、プーアール茶など、聞きなれない名前も多いですが、実はみんな同じお茶の木から生まれた兄弟分けです。
お茶の原産地は中国の雲南省付近で、人類がお茶を飲むようになったのはいつ頃からかははっきりとはわかっていません。ただ、現存する800年以上の年輪を持つ古木があることから、人類のお茶との付き合いが非常に古くからあったことが窺えます。
同じ茶葉でも製造方法を変えると、まったく異なる香りや味わいが生まれます。中国茶は主に発酵の度合いによって分類され、緑茶、白茶、黄茶、青茶(烏龍茶)、紅茶、黒茶(プーアール茶)の6種に大別されています。
透明な黄緑色の緑茶から、深紅のプーアール茶まで、発酵度合いが高くなるほど水色は濃くなっていきます。茶葉の色より水色のほうが分類のヒントになります。それぞれの個性的な風味を楽しむのが、中国茶の醍醐味といえるでしょう。

6大分類以外の中国茶

中国茶の豊かな世界は、千年を超える歴史と多様な産地が育んだ個性に満ちています。有名な6大分類に加え、華やかな香りや風雅な形状が魅力の「再加工茶」、さらには茶葉以外の原料から造られる「茶外茶」と、その種類は実に豊富です。

安徽省の手摘みの「毫茶」や上品な「黄山毫茶」、雲南の名高い「正山小種」、北部の渋味が特徴の「祁門紅茶」、広東の個性豊かな烏龍茶「鳳凰単叢」や「英デ紅茶」など、産地ごとの風土が息づく味わいは格別です。加えて、黄大茶や柑普茶、菊花茶といった伝統の素朴な味わいも愛される中国茶の個性的な一面です。

再加工茶には、本来の茶種にジャスミンの香りや花の形を付加したジャスミン茶や工芸茶があり、茶外茶には漢方素材を使った八宝茶や花茶(薔薇茶、菊茶)、苦丁茶や杜仲茶などのハーブ茶が含まれます。体質調整の温性や涼性の概念も取り入れながら、多彩な茶種を味わい分けるのが中国茶の醍醐味なのです。

中国茶種類

茶葉の発酵度と「温性」「涼性」の性質の関係

茶葉の発酵度が高いほど、体を温める作用があると言われています。中国茶の分類では、発酵が進んでいない緑茶や白茶は「涼性」とされ、発酵が最も進んだ紅茶や黒茶は「温性」と考えられています。半発酵の烏龍茶は、発酵度によって「温性」と「涼性」の両方の性質を併せ持っています。

一般に、涼性の茶葉は夏季に適しており、温性の茶葉は冬期に適しているとされています。体質に合わせて、季節ごとに飲む茶葉の種類を変えるのがおすすめです。例えば、暑い夏には涼しげな緑茶を、寒い冬には体を温める紅茶を楽しむといった具合です。

特に冷え性の方は、冬場に発酵度の高い温性の茶葉を選ぶことが重要です。ジャスミン茶のように、ベースが涼性の茶葉である場合も、体を冷やす作用があるため注意が必要です。体質に合わせて、茶葉の発酵度による「温性」「涼性」のバランスを意識することで、より一層お茶を楽しめるでしょう。

緑茶(不発酵のお茶)

緑茶は、中国大陸で最も親しまれているお茶です。特に龍井茶は非常に人気があり、鉄観音と双璧をなす銘柄です。緑茶は発酵を経ていない茶葉なので、"涼性"といわれ、体を冷やす働きがあります。そのため、夏の暑い日や過度の飲酒後、発疹が出たときなどに飲むのがおすすめです。また、カフェインを含むため目覚めの効果も期待できます。

緑茶には様々な風味があり、それは製造方法の違いによるものです。中国の緑茶作りは、摘み取り→殺青(高温で酸化を止める)→整形→乾燥の工程を経ます。摘みたてのうちに高温処理を施し、発酵を止めるのが特徴です。殺青と乾燥の方法は大きく4種類あります。

A.炒青緑茶(釜炒り):平らな形や球形など。香ばしい香り。西湖龍井や碧螺春など。

B.烘青緑茶(熱風・熱風乾燥):ふわっと開いた形。さわやかな香り。黄山毛峰や太平猴魁など。花茶の下地茶葉にも。

C.晒青緑茶(日干し):そのままの形を留めた茶葉。本来の味。雲南毛峰や生普洱茶の原料など。

D.蒸青緑茶(蒸す):中国産は少ないが、恩施玉露など。また日本茶はほぼこの製法。

主流は炒青、烘青、晒青ですが、最近は日本輸出用に蒸青製法の緑茶も増えています。中国の高級緑茶は荒々しくフレッシュな香りが特徴的で、日本とは一味違う魅力があります。新茶の味わいは、両国で「春の訪れ」を連想させるプレミアム感があります。

白茶(微発酵のお茶)

白茶は、中国福建省で古くから生産されてきた微発酵茶です。摘み取った新芽を軽く蒸し、自然乾燥させる特殊な製法により作られ、柔らかな香りと上品な旨味が特徴です。福鼎市や福安市で作られる白毫銀針、白牡丹、寿眉などが代表的な銘柄として知られています。

白毫とは、芽の表面にある白い産毛のことで、この部分が多いほど品質が良いとされています。「ピコー(pekoe)」の語源ともされるこの白毫は、茶葉の良さを示す重要な指標なのです。2000年代には白毫を立体的に表現した工芸茶も流行しました。

近年では、老白茶への需要の高まりを受け、良質な白茶の多くが固形茶の原料に使われるようになりました。この製法は、雲南の普洱茶に倣ったものと言われています。かつては廉価だった白茶がブームによって高価な老白茶として取引されるに至った経緯から、「高級茶」の概念が時代とともに変遷することが分かります。

淡い緑色と繊細な味わいを持つ白茶は、日本人の心にも響く魅力があります。ゆったりと白茶を味わう時間は、日常から離れた安らぎを感じさせてくれるでしょう。希少な白茶は、茶道を通じて日本の伝統文化の一部となり、茶通に愛されている逸品なのです。

黄茶(弱後発酵)

黄茶は生産量が極めて少ない希少なお茶です。黄土色がかった独特の色合いが特徴的です。製造工程は緑茶に似ていますが、発酵を止めた後に茶葉を包んで一定期間酸化を促す「悶黄(もんおう)」という独自の工程があります。

この特別な製造方法により、黄茶には緑茶とは一線を画するまろやかでコクのある味わいが生まれます。透き通った琥珀色の美しい出汁に、滑らかな渋みと上品な香りが漂います。

知る人ぞ知る名品として、中国の君山銀針や霍山黄芽、蒙頂黄芽などが名高い黄茶です。一服でその魅力に酔いしれ、日本茶の新たな可能性を堪能してみてはいかがでしょうか。

烏龍茶/青茶(半発酵)

ジャスミンの香り漂う烏龍茶は、中国福建省の代表的な茶葉です。緑茶と紅茶の中間に位置する半発酵茶で、苦味と渋味のバランスが絶妙な味わいが人気の理由です。

中国では地域ごとに烏龍茶の銘柄や製法が異なり、様々な風味が楽しめます。福建省北部では岩茶が、南部では鉄観音が有名です。岩茶は濃く焙煎されていてコゲ茶色をしており、鉄観音は青緑色が特徴的です。更に広東省や台湾でも地元独自の烏龍茶があり、華やかな香りや繊細な旨味が魅力です。

製造工程は複雑で、手間暇を惜しまず丁寧に作られています。茶葉を揉み空気に触れさせて発酵を進行させ、適度な発酵度合いを見極めて高温で炒ります。この独特の手作業が香りと味の奥深さを生み出しています。

健康面でも注目されており、ポリフェノールが豊富で代謝を高める作用があるとされています。カフェインも適量含まれるため、疲労回復にも一役買います。銘柄や製法によって味や香りの個性は様々で、お好みに合わせて気に入った一品を見つけられるでしょう。

紅茶(完全発酵)

紅茶は、長い歴史を持つ伝統的な飲み物です。茶葉を完全に発酵させることで、濃厚な香りと味わいが生まれます。

紅茶は元々中国が発祥の地で、正山小種など古くから愛されてきました。しかし、19世紀にイギリス東インド会社がインドでプランテーションを立ち上げると、アッサムやセイロンなどの産地の紅茶が世界に広まっていきました。

日本でも明治時代から紅茶が輸入され、現在は様々な産地の個性的な香りや味わいを楽しむことができます。温かいうちから冷めるまでの香りの移り変わりも、紅茶の魅力の一つです。

伝統的な飲み方に加え、近年ではフレーバー紅茶なども登場し、新しい紅茶の楽しみ方が広がっています。豊かな味と香りの世界に酔いしれる、大人の嗜み品としての魅力は尽きることがありません。

中国茶種類

黒茶(後発酵茶)

黒茶は、独特の製造方法により旨味と豊かな香りに富んだ健康茶です。伝統的な発酵工程を経ることで、緑茶の渋みが和らぎ、濃厚な味わいが生まれます。中国湖南省安化県に名門があり、手工黒茶や老蜷窩茶など三大名茶が知られています。日本国内でも広島県大納言などの黒茶製造が盛んで、喉を潤す旨味とコクがあり、水出しに適しています。発酵過程で食物繊維やポリフェノールが増え、高い抗酸化作用が期待できる健康茶なのです。

再加工茶

茶葉の加工方法は、伝統的に"加工茶"と呼ばれてきましたが、近年では革新的な手法が生まれ、"再加工茶"という新たなジャンルが誕生しています。

再加工茶とは、すでに一度加工された茶葉に対し、更なる工程を施すことで、新しい風味や香りを引き出した茶のことを指します。代表例が「ほうじ茶」です。焙煎によりすでに加工された茶葉に甘く香ばしい香りと味わいが生まれます。

このように茶葉に熱を加えたり発酵させたり、粉末状にして調理したりと、さまざまな再加工方法が編み出されています。新たな味体験を求める茶通からも人気があり、茶葉の可能性を広げる存在となっています。

伝統の中に革新を取り入れ、新しい価値を創出する。再加工茶には、茶文化の継承と進化が凝縮されているのです。

茶外茶(茶の外)

日本の伝統的な緑茶は、私たちの生活に深く根付いています。しかし、茶葉の可能性はそれにとどまらず、多岐にわたる分野で活用されつつあります。

近年、"茶外茶"と呼ばれる取り組みが注目を集めています。茶葉は抗酸化作用に優れ、さまざまな効果が期待できるため、食品や化粧品など、様々な分野で活用されているのです。

例えば、茶葉パウダーを練り込んだ麺類は、香り高く風味豊か。茶葉エキスを含むサプリメントは、アンチエイジングやスポーツ後の疲労回復に好適です。さらに、茶葉に含まれるポリフェノールは天然の保湿成分として化粧品に配合され、しっとりなめらかな肌へと導いてくれます。

このような茶外茶の試みは、茶産地の新たな付加価値創出にも貢献しています。生産者が6次産業化に乗り出し、素材の魅力を最大限に活かした新商品が誕生しつつあります。日本が世界に誇る"おもてなしの心"とともに、茶の新たな可能性を切り拓く茶外茶に、注目が高まっているのです。

まとめ

中国茶の魅力は実に多様です。古くから伝統的な製法で作られてきた上級茶から、近年開発された新茶まで、風味や香り、色合いなど、様々な楽しみ方があります。一口に中国茶といっても、産地や製造過程によって個性が異なります。奥深い中国茶の世界に足を踏み入れ、自分好みの一杯を見つけてみてはいかがでしょうか。