中華スイーツ

世界各国の文化が交錯する中華街は、エキゾチックな雰囲気と多様なグルメ体験が魅力の一つです。その魅惑の街並みにある数々の店舗で提供されるスイーツは、見る者、食する者の心を躍らせる逸品ばかり。中華街で楽しめる絶品スイーツ特集として、口の中でとろける本場の甘味、美しい盛り付け、そして伝統と革新が織りなす一皿をご紹介します。独特な風味と風情を感じられるスイーツを通して、異国情緒溢れる中華街の世界へ旅立ちましょう。

中華圏在住者が選ぶ本場の中華デザート11選

中華スイーツと聞いて、いくつ思い浮かぶでしょうか?以前、日本でも人気を博したタピオカミルクティーや、バーミヤンでおなじみの杏仁豆腐がありますね。

私も初めはその程度しか知りませんでした。しかし、中華のスイーツは非常に多様で、地域ごとに名前や調理方法が異なるなど、本当に奥深いのです。

今回は、ミルクティーや杏仁豆腐以外の、日本ではあまり知られていない、中国で評判の中華スイーツを11種ご紹介します。

定番から外れているが、やはり本場の味は格別な中華デザート:杏仁豆腐

中華デザートとして日本で人気の高い杏仁豆腐ですが、中国ではその知名度が意外にも低いことがあります。なぜでしょうか?多くの異なるデザートが存在するからかもしれません。台湾では杏仁豆腐の専門店をよく見かけますが、これは日本からの影響なのでしょうか。

杏仁豆腐は江蘇省に特有のもので、歴史を三国時代にまで遡るとされます。甜杏仁を砕き、撹拌して茹で、固めたものが一般に「杏仁豆腐」として知られています。

日本では杏仁豆腐というとジェル状のデザートを想像しますが、中華圏では杏仁は体を温める効果があり、栄養が豊富で肺にも良いとされ、杏仁茶として飲まれることもあります。スーパーでは溶かして飲める杏仁粉がよく売られており、ドリンクとして手軽に楽しむことができます。現地ではクコの実をトッピングして食べることが多いです。

双皮奶:ミルクプリン

佛山市で親しまれている、この特別なデザートは中華版の牛乳プリンとも言われ、濃厚な水牛のミルクを使って作られています。風味はさっぱりとしており、口触りが滑らかで日本人にも好まれる味わいです。特にミルク好きにはたまらない一品であり、その仕上がりは日本の牛乳プリンに非常に似ています。卵白を利用して作られるこのデザートは、多くの人に愛されています。

この双皮奶は広東省を起源とするデザートで、特に深センを含む広東省のレストランや地域のチェーン店のデザートメニューでよく見かけることができます。

仙草:伝統的な漢方デザート

薬草の一種である仙草を煮て、ゼリー状にしたデザートです。この料理は、中華圏だけでなく東南アジアでも人気があり、日本でも輸入雑貨店で「Grass Jelly」として知られ販売されています。見た目は黒く、特有の風味を持つため初めて食べる際には少し抵抗があるかもしれません。しかし、多くの場合はココナッツミルクや牛乳と一緒に食べられ、その苦味とクリーミーな味わいが絶妙なバランスを生み出しています。個人的には、そのユニークな風味と食感に魅了され、いずれ日本でもブームが巻き起こるのではと期待しています。

糖水:中国風ぜんざいの魅力

糖水は、中華料理の甘いスープデザートで、日本で言うぜんざいに似ています。南部ではこのデザートを「糖水」と呼びますが、北部では「甜汤」と称されます。

広東地方では、このデザートは食後や夜遅くの軽食として親しまれています。糖水は温かいものと冷たいものがあり、季節に応じてさまざまな具材が加えられます。

夏には冷却効果のある「緑豆」のペーストを煮込んだ「绿豆沙糖水」が人気です。一方、冬には身体を温める「芝麻煳」が好まれます。他にも「红豆沙」と呼ばれる小豆のペーストもあり、これらは美容に良いとされています。

また、中華圏でよく親しまれる「豆花」、豆乳プリンも糖水の一種と考えられています。

冰粉:涼やかなスイーツ、水ゼリーの魅力

「冰粉」は中国西南地方の夏によく食べられるデザートです。もともとは雲南省と貴州省の名物おやつとして知られており、その後四川省の彭山へと伝わり、四川省と重慶で人気が高まりました。現在でも西南部で親しまれています。

このデザートは透明で口当たりが滑らかで、美味しさと手頃な価格から、庶民に愛される定番おやつです。主な材料は「冰粉樹」という植物で、ペルーを原産地とし、雲南省、広西地方、貴州省、湖南省、四川省で栽培されています。

「冰粉」は涼やかで甘く、柔らかな食感と爽やかさが特徴であり、低価格なことから多くの人々に人気があります。

具材の加え方によって、さまざまな種類の「冰粉」が楽しめます。

サゴ米スープ:西米露の味わい

西米露は、中国各地で親しまれている夏の人気デザートです。これは、インドネシア原産のサゴ米とも呼ばれる独特な加工米を使った甘味で、日本ではあまり見かけることのない中華デザートの一つです。原材料としては、タピオカ粉やデンプン、コーンスターチが用いられています。サゴ米は粒の大きさにより小西米、中西米、大西米の三種類に分類されます。

このデザートは、果物や飲み物と共に楽しまれています。特に話題の組み合わせとしては、マンゴーを用いた「芒果西米露」や、ココナッツミルクを加えた「椰奶西米露」が挙げられます。筆者の一押しは、マンゴーとココナッツミルクを組み合わせた「椰奶芒果西米露」です。また、サゴには肌の潤いを取り戻す力があるとされ、特に女性の間で多くの支持を得ています。

蛋挞とは:エッグタルトの魅力

エッグタルトの起源は1920年代の広州にさかのぼり、そこから香港に広まり、中華系の人々によって海外の店舗でも広がりました。この菓子は広東料理の「四天王」の一つとされています。

香港の数多くのレストランでは、点心メニューの中にエッグタルトが含まれています。タルトの種類には、クリスピー生地(酥皮蛋)、クッキー生地(牛油蛋挞)、ポルトガル式の三つがあります。

エッグタルトを作るには手間がかかるため、地元の人々は購入することが一般的です。地元のパン店では必ず売られており、4個入りでおおよそ360円です。新鮮な焼き立ては特に美味しいです。

果実を楽しむティー:フルーツティー

果物を活用したフルーツティーは、中国で古くから親しまれているお茶の一つです。

フルーツを加えることで、体に良いとされる様々な健康効果が期待される飲み物として認識されています。各フルーツには、体重管理、消化を助ける効果、デトックス、抗がん作用など、異なる効果があり、季節や自分の体調に合わせて選んで楽しむことができます。

代表的なものには、葡萄ティー(葡萄水果茶)、オレンジティー(桔茶)、杏茶(アプリコットティー)、そしてミックスフルーツティー(综合果茶)などがあります。

フルーツティーは、中国ではミルクティーと並ぶ人気を誇り、甘さ控えめを好む人々に特に支持されています。

レモンティー:柠檬茶

今、急速に増えているレモンティーの専門店が中国では人気を集めています。

レモンティーといえば、日本でもなじみ深い飲み物で、レモンスライスを加えたお茶が定番です。特に暑い夏には、アイスレモンティーを飲むことで体を冷やし、喉の渇きを潤す効果が期待できます。

レモンティーは、もともと広東、香港、マカオ、台湾で高い人気を誇り、それが中国各地に広まったとされています。

さまざまなカフェでは、香港スタイルやタイスタイルのレモンティー、そしてオリジナルのレモンティーなどを楽しむことができ、特に暑い夏には、ミルクティーよりもさっぱりとしたレモンティーが飲まれることが多いです。

日本ではレモンといえば黄色が一般的ですが、中国や他のアジアの国々では「緑」のイメージを持つ人が多いようです。実際、中国では緑色のレモンが普及していることが多いようです。

 

緑豆のデザート:綠豆糕

古来より安全と健康を願い、端午節に中国の祖先はちまきだけでなく緑豆糕も食べ始めたとされています。

緑豆糕の主な材料は緑豆粉で、それを蒸した後に砂糖と植物油(主にごま油)を混ぜ、形を整えて作られます。

作り方は地域によって異なり、北方では北京風として知られ、油を使用せず「乾豆糕」として柔らかく油っこくないのが特徴です。南方では油脂を加え、より柔らかで繊細な味を追求しています。

また、ベトナムでもbánh đậu xanhという名前で親しまれています。

このお菓子は、解熱や解毒、暑気払い、喉の渇きを癒し、利尿作用、むくみの軽減、視力改善、そして目の疲れを和らげるといった効果があるとされています。

黄金のケーキ: ゴールドケーキ

広東省でよく食べられている金色のケーキは、広東人の朝の飲茶の場でお茶とともに楽しまれます。元々はインドネシア発祥のデザートでありながら、現在の形へと進化させたのは広東省の人々だと言われています。このケーキはタピオカ粉、卵、砂糖、蜂蜜、イースト、ココナッツミルクなどを用いて作られるのが一般的です。通常はパンダンやバナナ、プレーンなどの味が親しまれていますが、最近ではドリアンやチーズ、チョコレートなどのバラエティ豊かなフレーバーも登場しています。

中華スイーツまとめ

中華スイーツは、多様な国の影響を受けており、ベトナムを含む東南アジアでも親しまれているスイーツがあることに驚かされます。

さらに、中国人は食事を通じて健康を維持する意識が高く、デザートさえも健康を意識しており、季節に応じて他の食材と組み合わせることで多様な健康効果を引き出していることがわかりました。