中国ナシは、その多様な種類と爽やかな甘さで世界中の食通を魅了しています。西洋ナシとは異なるシャキシャキとした食感と、果汁たっぷりのジューシーさが特徴です。日本でも「幸水」や「豊水」といった品種が人気ですが、中国ではさらに種類が豊富で、それぞれの品種が持つ独特の風味や食感が楽しめます。この記事では、そんな中国ナシの魅力や代表的な品種、さらに美味しく味わうための方法をご紹介します。
中国梨
中国梨(チュウゴクナシ)は、シベリアナシまたはホクシヤマナシ(英語ではSiberian pear)として知られるP. ussuriensisvar.ussuriensisが中国で家畜化された変種です。時には独立した種としてP. bretschneideriとされることもあります。中国では白梨(はくり)と呼ばれることもあります。
「チャイニーズ・ホワイト・ペアー」と呼ばれる英語名は、中国や東アジアで栽培されているいくつかの梨の品種を指し示しています。
日本では、1868年に「鴨梨」、1912年に「慈梨」が導入されたものの、広く普及するには至らず、現代では北海道、青森県、長野県、岡山県と限られた地域で少量のみ栽培されています。
果実の形状にはびん形や球形があり、外皮は淡い黄緑色をしています。一部熟成させてから食べると、和なしに似た風味を楽しむことができるほか、石細胞を多く含むためシャリシャリした食感も特徴です。
中国梨にはどのような品種が存在するのか?
千両梨(身不知)
北海道を中心に栽培される中国ナシの一種で、「身不知(みしらず)」とも呼ばれることがあります。果皮が黄緑色で、さわやかな酸味と甘さ、さらに和梨に似たシャリっとした歯応えが特徴です。日本では、栽培されている中国ナシの多くがこの千両梨です。
鴨梨(ヤーリー)
岡山県周辺で多く育てられている中国ナシです。形状は洋梨に似ており、追熟が進むと果皮が黄色になり、独特の甘い香りが漂います。果肉は柔らかく、舌触りがシャリッとしています。ほどよい甘味と豊富な果汁が魅力です。
慈梨(ツーリー)
非常に稀少な品種で、鴨梨(ヤーリー)と同様に洋梨に似た形を持っています。果皮の色は黄から黄緑で、茶色の果点があります。熟すと特有の香りが感じられます。
栄養成分
100gあたりの中国ナシに含まれる栄養価は下記の通りです。
・カロリー 49kcal
・プロテイン 0.2g
・脂肪 0.1g
・糖質 12.7g
・ビタミンB1 0.02mg
・ビタミンB2 0.01mg
・ビタミンB6 0.02mg
・葉酸 6μg
・ビタミンC 6mg
・カリウム 140mg
・食物繊維 1.4g
フレッシュさを保つ秘訣
中国ナシは、カリウムや食物繊維が豊富で水分もたっぷり含まれています。和梨、洋梨、中国ナシの栄養素の違いは大きくはなく、ビタミンが少ない点は共通しています。
瑞々しい中国ナシは、その約85%が水分です。冷やして食べれば、ひんやりとした果汁が口いっぱいに広がり、とても爽やかに感じられます。
カリウム
体内の水分バランスを整える重要なミネラルです。不要なナトリウムを体外に排出し、むくみの改善に寄与します。また、筋肉の働きや神経の伝達にも関与しており、欠乏すると疲れを感じることがあります。
食物繊維
人の消化酵素では分解できない成分で、水溶性と不溶性の2種類があります。中国ナシには両方が含まれ、水溶性はコレステロールの吸収を抑え、糖質の吸収も緩やかにします。不溶性は便のかさを増して排便を促し、腸内環境を整える効果があります。
美味しい中国梨を見つけるコツ
おいしい中国ナシを見つけるための重要な3つのポイントをご紹介します。
丸みがあり形が整っていて、皮にツヤのあるもの
梨を選ぶ際には、形をよく確認しましょう。下膨れで丸みがあり、皮に張りが見られるものがおすすめです。皮がしわしわしていて張りのないものは、乾燥している可能性があるため避けてください。
傷のない果皮
果皮に傷があると、その部分から急速に傷んでしまいます。梨の鮮度を保つためにも、表面がきれいで傷のないものを選ぶことが大切です。
最適な色合い
完熟時の色は品種によって異なります。たとえば、千両梨(身不知)は完熟しても黄緑色の段階で、さらに黄緑色に変わるものはジャムやコンポート向きです。鴨梨(ヤーリー)は成熟すると緑から淡い黄色に変化し、これが食べ頃のサインです。