さくらんぼの品種

さくらんぼは、その甘酸っぱい味わいと魅力的な見た目で多くの人々に愛されています。しかし、一言で「さくらんぼ」と言っても、実は多くの種類が存在し、それぞれに異なる特徴や魅力があります。酸味が強いものから甘みが豊かでジューシーなものまで、多様な品種が日本各地で栽培されています。この記事では、さくらんぼの種類ごとの特徴やその魅力について詳しく紹介し、皆さんのお気に入りのさくらんぼを見つける手助けをしたいと思います。

さくらんぼの主要品種とその特性

日本では約100種類の品種が栽培されているさくらんぼですが、どのような品種があるのでしょうか。ここでは特に人気の高い12の品種をピックアップしてご紹介します。それぞれの品種の特徴や旬の時期について詳しく解説しますので、お気に入りのものを見つけてみてください。

佐藤錦

佐藤錦はさくらんぼの中でも特に有名な品種で、その豊かな甘みとジューシーな食感が多くの人を魅了します。また、見た目の美しさもその魅力の一部です。鮮やかな紅色の粒はまるで「食用の宝石」です。主な生産地は山形県で、さくらんぼのシーズン初めである6月中旬から下旬の限られた期間にしか味わえないため、短い期間の贅沢な楽しみとなっています。

紅秀峰の魅力

紅秀峰は、山形県で佐藤錦と同様に栽培されており、7月初旬から中旬にピークを迎えるため、お中元用として非常に人気があります。このさくらんぼは、大きめの粒とやや硬めの果肉が特徴で、食べ応えが抜群です。また、甘さもしっかりしているため、非常に満足度の高い味わいを提供します。そのため、近年では佐藤錦と並んで注目されることが増えてきています。

高砂

高砂という名前からは日本生まれを連想しますが、実際はアメリカ生まれの外来種です。かつては「ロックポートピガロー」という名前が付けられていました。粒はやや小ぶりで、種が大きく、柔らかな果肉が特色となっています。また、しっかりした酸味があり、さっぱりとした味わいを楽しめます。甘いさくらんぼが苦手な人にも食べやすい品種です。高砂は主に山梨県で栽培され、5月中旬から6月にかけて旬を迎える早生種です。

ナポレオン

ナポレオンは、その栽培が17世紀ヨーロッパにまで遡る、歴史あるさくらんぼの品種です。「佐藤錦」や「南陽」の親として知られています。果実はやや大きめのハート型で、完熟すると鮮やかな紅色に染まるため、非常に美しい外観です。果肉は少し硬めですが、噛むと甘みと酸味のバランスが取れた濃厚な果汁が楽しめます。山形県が主要な生産地となっており、6月下旬から7月上旬が旬の時期です。

水門

北海道独自の品種である水門(すいもん)は、その発祥地である北海道で栽培されています。旬は7月の上旬から下旬にかけてで、1911年に小樽市の奥沢で発見されたことにちなんで命名されました。一部地域では「北光(ほっこう)」としても知られていますが、実際には同じ品種です。このフルーツは非常に高い糖度を持ち、豊かな酸味が引き立てるコクのある味わいが特徴です。加えて、柔らかくジューシーな果肉が子供たちにも人気があります。

紅さやか

紅さやかは、6月の初旬から中旬にかけて収穫される早生品種です。このさくらんぼは、甘さと酸味のバランスに優れ、その果皮は熟すと紫黒色に変化します。特に他の品種とは異なり、果肉まで赤く染まるのが際立った特徴です。山形県が主な生産地であり、その柔らかくジューシーな味わいは多くの子供たちに愛されています。

紅てまり

紅てまりは、その大粒さが際立っており、一般的なさくらんぼは一粒あたり5〜7gであるのに対し、紅てまりは平均で約10〜11gあります。さらに、果皮と果肉がしっかりしているため保存性が高く、贈答品として非常に人気があります。この品種は7月の初旬から中旬にかけて最も美味しい晩生種で、主に山形県で育てられています。

豊錦

豊錦という品種は山梨県で特別に発見されたもので、その外観の見事さが際立っています。光沢に満ちた黄色の地に紅色が散りばめられた風合いがとても鮮やかで、他のさくらんぼにはない美しさを誇っています。味わいは酸味が少なく、甘さがはっきりと感じられるため、子供たちにも大変好まれています。このような豊錦は、5月末から6月初旬にかけて収穫のピークを迎える早生品種で、7月の主要なさくらんぼシーズンを待ちわびる方々にもぴったりの選択肢です。

南陽

南陽は北海道を主な産地とし、山形県でも少量ながら栽培が行われています。果実は8〜10gとやや大きく、黄色い果皮に日光が当たると赤く色づき、そのコントラストが魅力的です。味わいは、しっかりとした甘さと、適度な酸味があり、ジューシーでありながらさっぱりとしています。山形県では6月下旬から7月上旬、北海道では7月中旬から下旬が旬とされています。

香夏錦

香夏錦は、親である佐藤錦と高砂の優れた特徴を持つさくらんぼ界の秀逸な品種です。香夏錦は、程よい甘さと果汁、そして柔らかな果肉を併せ持ち、そのバランスの良さが際立っています。この品種は早生で、5月から6月中旬にかけて市場に出回ります。知名度はそれほど高くはありませんが、さくらんぼ愛好家の間での人気は抜群です。

月山錦

月山錦(がっさんにしき)は中国で開発された珍しい黄色のさくらんぼの品種で、見た目は普通のさくらんぼと異なります。生産者が非常に限られているため、市場に出回る数はきわめて少なく、その価値が一層高まっています。見た目とは裏腹に、味は甘くてクリーミーで、さらに後味がさわやかで飽きが来ないのが特徴です。栽培地は山形県をはじめ、山梨県や北海道でも行われており、6月下旬から7月上旬に最も美味しい時期を迎えます。

アメリカンチェリー

アメリカンチェリーは、アメリカから輸入されるさくらんぼの一種で、「レーニア」や「ビング」などさまざまな品種が存在します。国産のさくらんぼと比較すると、粒が大きく、果皮が濃い色をしています。また、濃厚な甘さとフレッシュな香りが特徴で、生食だけでなくケーキやジャムへの加工にも適しています。多くの品種があり、旬の時期が4月から7月とやや長いのも魅力の一つです。

まとめ

さくらんぼの種類は世界中で1000を超え、日本国内だけでも約100種類が存在しています。全ての品種に出会うのは難しいですが、市場での流通が限られた種類も、お取り寄せやさくらんぼ狩りを利用することで比較的手に入りやすくなります。旬の時期には、各品種のさくらんぼをぜひ楽しんでみてくださいね。

さくらんぼ