ベーグル作りは粉選びから!理想の食感を実現する小麦粉レシピガイド
ベーグル作りの第一歩は、粉選びから。シンプルな材料で作るベーグルだからこそ、小麦粉の種類が食感や風味を大きく左右します。もちもち、ふわふわ、それぞれの理想を叶えるためには、どの粉を選べば良いのでしょうか?本記事では、様々な小麦粉の中から、ベーグル作りに最適なものを見つけるためのガイドをご提供します。小麦粉の種類ごとの特徴から、おすすめの小麦粉レシピまで、ベーグル作りをさらに楽しむための情報が満載です。あなただけの理想のベーグルを、粉選びから実現しましょう!

ベーグル作りで小麦粉が重要な理由:薄力粉・中力粉との違い

小麦粉は、主にタンパク質(グルテン)の量によって分類されます。このタンパク質こそが、生地の食感を決める重要な要素です。小麦粉に水を加えてこねると、タンパク質が水分を吸収し、粘りと弾力を持つグルテンに変化します。生地を伸ばすと、グルテンは薄い膜を形成し、これがグルテン膜です。発酵で生まれるガスは、このグルテン膜に閉じ込められ、生地を膨らませます。タンパク質が少ないと、グルテン膜が十分に作られず、生地は膨らみにくくなります。タンパク質が多いほど丈夫なグルテン膜ができ、多くのガスを保持できるため、ふっくらとしたパンになるのです。タンパク質の含有量は、薄力粉が約9%以下、強力粉が約12%以上と定められ、中力粉はその中間に位置します。薄力粉はケーキやクッキーに、中力粉はうどんや天ぷらに適しています。そして、パン作りにはタンパク質が豊富な強力粉が最適です。ベーグルは発酵を控えめにするパンですが、独特のもちもち食感を出すには、強力なグルテン形成力を持つ小麦粉が欠かせません。

小麦粉の種類と選び方のポイント

小麦粉の種類はたくさんありますが、まずは近所のスーパーで手に入るものから試してみるのがおすすめです。同じ強力粉でも、タンパク質含有量や特性は製品によって異なり、色々な種類を試すことで、理想のベーグルに合う小麦粉が見つかります。お気に入りの小麦粉を探す過程も、ベーグル作りの醍醐味と言えるでしょう。小麦粉は、タンパク質含有量によって大きく2つのタイプに分けられます。タンパク質が多い小麦粉は、焼くと「ふわふわ」になりやすく、カナダ産やアメリカ産などの海外産小麦に多く見られます。一方、タンパク質が比較的少ない小麦粉は、「もちもち」とした食感になりやすく、北海道産小麦などの国産小麦に多い傾向があります。この違いを参考に、小麦粉を選んでみましょう。ここからは、ベーグル作りにおすすめの小麦粉を、特徴とともに詳しくご紹介します。

1. 春よ恋100:定番中の定番!最高のモチモチ感と豊かな風味

「春よ恋100」は、ベーグル作りにおいて「定番中の定番」と言える人気の小麦粉です。その圧倒的な「モチモチ」感は、まさに「ベスト・オブ・モチモチ」。理想的なもちもちベーグルを作るのに最適です。多くのベーグル専門店やレシピ本でもよく紹介されています。この小麦粉は、北海道産小麦「はるゆたか」の血統を受け継ぐ品種から作られています。最大の特長は、豊かな風味と、噛むほどに増すモチモチ感の両立です。このバランスの良さが、「春よ恋」が高く評価される理由でしょう。筆者もベーグル作りを始めた当初から愛用しており、扱いやすさも抜群なので、初心者の方にも自信を持っておすすめできます。「はるゆたか」よりも手頃な価格なのも嬉しいポイントです。「春よ恋」は複数の製粉メーカーから販売されていますが、中でも「前田産業」のものが品質が安定していておすすめです(製粉会社によって品質に差があるため、注意が必要です)。

2. 「幻の小麦」はるゆたか100:ソフトな口どけと上品な甘さ

「幻の小麦」とまで呼ばれる「はるゆたか100」は、その希少性と卓越した品質で、多くの人々を魅了する北海道産の小麦です。前出の「春よ恋」の親品種にあたるため、その特性は非常によく似ています。「春よ恋」と比較すると、もちもち感はやや控えめですが、「はるゆたか」で作られたベーグルは、驚くほどソフトで口当たりが良く、食べやすいのが特徴です。さらに、しっとりとした食感と、かすかに感じられる上品な甘みが大きな魅力となっています。高級食パンにも頻繁に使用されており、そのきめ細やかさと豊かな風味で多くのファンを虜にしています。東京で人気のベーグル専門店「マルイチベーグル」でも、「はるゆたか」を使用しているという噂があり、その品質の高さが伺えます。希少性が高いため、価格はやや高めですが、試す価値は十分にあります。

3. キタノカオリ:力強い小麦の風味と奥深い甘みが特徴

北海道産の強力粉といえば、春に種をまく「春まき小麦」が一般的で、「はる」と名のつく品種が多いですが、「キタノカオリ」は、国産小麦と西洋小麦を掛け合わせて生まれた珍しい「秋まき小麦」です。この小麦の最も顕著な特徴の一つは、その鮮やかな黄色みを帯びた粉の色です。そのため、焼き上がったベーグルも美しい黄色に染まります。風味は、もちもちとした食感が特徴で、噛むほどに口の中に広がる独特の甘みが楽しめます。そして何よりも注目すべきは、その圧倒的な「小麦感」です。粉そのものの風味が強く感じられるため、小麦本来の味を堪能したい「粉好き」にはたまらない強力粉と言えるでしょう。通常、秋まき小麦は春系小麦よりも手頃な価格で入手できることが多いのですが、近年は気候変動の影響で生産量が減少し、入手が難しくなっているのが残念な点です。富澤商店などでも取り扱っていますが、筆者はYahoo!ショッピングに出店している「ファーム十勝」の「キタノカオリ」を長年愛用しており、その品質に絶大な信頼を寄せています。

4. テリア特号:ずっしりとした食感と奥深い香りが魅力

「テリア特号」は、50年以上の歴史を持つ岩手県を代表する小麦粉です。全国の有名なパン屋さんで愛用され、熱狂的なファンを持つ隠れた名品として知られています。分類上は中力粉ですが、丁寧に時間をかけて捏ねることで、その真価を発揮します。しっかりと捏ねることで、まるで強力粉のような力強さとボリュームが生まれ、「もちっ」として「ずっしり」とした独特の食感に仕上がります。「キタノカオリ」と同様に黄色みが強い粉で、焼き上がりは食欲をそそる美しい焼き色になります。風味も特筆すべき点で、甘みと香りが非常に強く、深い「コク」と表現できる独特の風味を持っています。小麦粉そのものの旨みと甘みを存分に味わえるため、小麦粉の奥深さを追求したい「粉好き」の方には特におすすめです。ベーグルに力強いもちもち感と豊かな香りを求めるなら、「テリア特号」は間違いのない選択肢となるでしょう。

5. リスドォル:むぎゅっとした食感が特徴のフランスパン用準強力粉

「リスドォル」は、フランスパン用の「準強力粉」として非常に有名ですが、ベーグル作りにおいてもその個性を発揮します。この粉の最大の特徴は、一般的な小麦粉に加えて「モルトパウダー」があらかじめ配合されている点です。モルトパウダーが含まれていることで、生地の焼き色がつきやすくなり、焼き上がりが美しい色合いになります。また、窯伸び(オーブンに入れた際の生地の膨らみ)が良く、フランスパンに求められる「外はパリッと、中はもちもち」という理想的な食感をベーグルにもたらします。「リスドォル」は、単なる「もちもち」を超えて、より弾力があり、噛み応えのある「むぎゅむぎゅ」とした密度の高いベーグルを作りたい方におすすめです。フランスパンのような香ばしい風味と、独特の噛み心地を持つベーグルを追求したい場合は、ぜひ「リスドォル」を試してみてください。その個性的な特性が、ベーグルの新たな可能性を広げてくれるでしょう。

ベーグル作りのヒント:おすすめ強力粉レシピ

この記事では、おすすめの強力粉を使って、理想的なもっちりベーグルを作るためのレシピをご紹介します。パン作り初心者さんでも大丈夫!「こね時間10分、発酵時間5分」という簡単ステップで、本格的なもちもちベーグルが作れる、試行錯誤の末に生まれたレシピです。まるで専門店のようなベーグルを自宅で作りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。粉の選び方から作り方まで、詳しく解説しているので、初めての方でも安心して挑戦できます。お気に入りの強力粉を見つけたら、ぜひこのレシピでその魅力を最大限に引き出してください。

作り方

ボウルに強力粉を入れ、中央にドライイーストと砂糖、端に塩を置きます。中央にお湯を注ぎ、菜箸で軽く混ぜてまとめます。まとまったら、手で10分ほど力強くこねましょう。こねが足りないと生地が硬くなるので注意が必要です。生地がなめらかになったら4等分にして丸め、クッキングシートを敷いた天板に並べます。さらにクッキングシートをかぶせ、4~5分ほど休ませます。
生地を休ませている間に、オーブンを200℃に予熱し、ベーグルを茹でるお湯を沸かします。お湯に蜂蜜(大さじ4程度)を加えます。蜂蜜を入れると、お湯がほんのり茶色になります。茹でる際は火加減に注意しましょう。焼き色をきれいにしたい場合は、蜂蜜の代わりにモルトを使うのもおすすめです。
お湯が沸騰したら、生地を軽く平らに伸ばし、端から棒状に丸めます。それを円形にし、片方の端をもう片方の端で包むようにして、繋ぎ目をしっかり閉じます。沸騰したお湯で、生地の両面をそれぞれ1分ほど茹でます。茹で上がったら、クッキングシートを敷いた天板に並べ、水気をよく切ります。フライパンで茹でる場合は、カットしたクッキングシートに生地を1つずつ乗せ、シートごと茹でると便利です。ゴマやチーズなどをトッピングする場合は、茹で上がった生地に乗せましょう。
200℃に予熱したオーブンで12~15分焼けば完成です。このレシピなら、生地を休ませている間に使った道具を洗えるので、焼き上がりと同時に片付けも終わり、気持ちよく作業できます。具材を混ぜるタイミングは、コメント欄も参考にしてみてくださいね。

成型方法のヒント

ベーグルの形を作るのが難しいと感じる方もいるかもしれません。そんな方のために、簡単な成型方法をご紹介します。丸めた生地を平らにして端を伸ばし、裏側に丸め込んでから穴を開ける方法でも、きれいに仕上がります。また、生地を手で細長く伸ばし、片方の端を平たくしてから、もう片方の端を包み込むようにして円形にする方法もおすすめです。
棒状から丸めて形を作るには、まず分割した生地の切り口を内側に丸めてから平らに伸ばします。その後、端からくるくると丸めて棒状にし、丸めて片方の端を広げ、もう片方を差し込んでしっかりとくっつけます。この方法で、コーヒーベーグルやシナモンシュガーを乗せたコーヒーシナモンシュガーベーグル、ジャムを入れたベーグル、すりゴマを混ぜ込んだベーグルなど、様々なアレンジが楽しめます。

まとめ

ベーグル作りの成否は、強力粉選びにかかっていると言っても過言ではありません。なぜなら、強力粉の特性がベーグルの食感や風味を大きく左右するからです。この記事では、強力粉に含まれるグルテンの性質、そして薄力粉や中力粉との違いについて解説しました。ベーグルならではの「もちもち」とした食感を実現するためには、強力粉が不可欠であることをご理解いただけたかと思います。「春よ恋100」「はるゆたか100」「キタノカオリ」「テリア特号」「リスドォル」という、それぞれに個性的な5種類の強力粉について、その特徴と、どのような食感のベーグル作りに適しているのかをご紹介しました。さらに、パン作り初心者の方でも、手軽に本格的なもちもちベーグルを作れるレシピと、その際のヒント、よくあるトラブルとその解決策を詳しく解説しました。これらの情報が、あなたの理想のベーグル作りの手助けになれば幸いです。同じレシピでも、使う粉を変えるだけで、想像以上に様々なベーグルが生まれます。ぜひ、いろいろな強力粉を試して、あなたにとって最高のベーグルを見つけてください。今回ご紹介した強力粉を使ったレシピも参考に、最高のベーグル作りに挑戦してみましょう。

ベーグル作りに最適な強力粉を選ぶポイントは何ですか?

ベーグル作りに最適な強力粉を選ぶ上で最も重要なポイントは、「タンパク質(グルテン)の含有量」と「小麦本来の風味」です。ベーグル独特の「もちもち」「むぎゅむぎゅ」とした食感は、強力粉に豊富に含まれるグルテンが、生地に強い粘りと弾力をもたらすことで実現されます。特に、タンパク質含有量が12%以上の強力粉が適しています。また、使用する小麦の種類によって、焼き上がりの風味や甘味が大きく変化します。例えば、北海道産の「春よ恋」や「はるゆたか」は、豊かな風味ともっちりとした食感が特徴で、「キタノカオリ」は、独特の甘みと小麦の風味が楽しめます。様々な種類の小麦粉を試して、ご自身の好みに合った食感や風味を見つけることが大切です。

薄力粉や中力粉ではベーグルは作れないのでしょうか?

薄力粉や中力粉を使ってベーグルを作ることは可能ですが、強力粉を使った場合のような、理想的な「もちもち」とした食感を再現するのは難しいでしょう。薄力粉は、タンパク質含有量が約9%以下と低いため、グルテンがほとんど形成されず、サクサクとした食感や、口の中でほろほろと崩れるような食感に適しています。中力粉は、タンパク質含有量が約9~12%で、うどんのようなコシのある食感には向いていますが、パンのような強い弾力は得られにくいです。ベーグル特有の噛みごたえと弾力、そして内側のモチモチ感を追求するなら、やはりグルテンを形成する能力が高い強力粉を選ぶことが不可欠です。あえて薄力粉や中力粉を使用する場合は、柔らかく、軽い食感のベーグルになります。

強力粉の種類でベーグルの仕上がりが変わる?

ベーグル作りにおいて、使用する強力粉の種類は、最終的なベーグルの出来栄えに大きな影響を与えます。例えば、国産の強力粉である「春よ恋」や「はるゆたか」は、際立ったもちもち感と、小麦本来の豊かな風味が持ち味で、しっとりとした食感のベーグルになります。「キタノカオリ」を使用すると、生地の色が少し黄色みを帯び、焼き上がりも濃い色になり、噛むごとに甘みが増す、小麦の風味豊かなベーグルに仕上がります。また、「リスドォル」のようなフランスパン用の準強力粉を使用すると、モルトパウダーの効果で焼き色がつきやすく、外はパリッと、中は「むぎゅむぎゅ」とした独特の弾力が生まれます。このように、小麦粉の特性は、ベーグルの食感、風味、色、膨らみ具合に直接影響するため、理想のベーグルに合わせて小麦粉を選ぶことが大切です。

「春よ恋」と「はるゆたか」、ベーグル作りにはどちらが良い?

「春よ恋」と「はるゆたか」は、どちらも北海道産の人気強力粉で、ベーグル作りに適しています。「春よ恋」は、「はるゆたか」の血統を受け継いで開発された品種で、非常に強い弾力とモチモチ感が特徴です。そのバランスの取れた風味と扱いやすさから、初心者にもおすすめの粉として広く知られています。一方、「はるゆたか」は、「幻の小麦」とも呼ばれる希少な小麦で、価格は高めですが、「春よ恋」よりもモチモチ感は控えめながら、口当たりの良いソフトな食感と、上品な甘みが特徴です。どちらの粉も優れていますが、より強いモチモチ感と手軽さを求めるなら「春よ恋」、ソフトな食感と繊細な風味、希少性を楽しみたいなら「はるゆたか」を選ぶと良いでしょう。

強力粉のたんぱく質含有量がベーグルに与える影響

強力粉に含まれるたんぱく質の量は、ベーグルの食感と膨らみに大きく影響します。たんぱく質が水分と結合して作られるグルテンは、生地の粘りと弾力の源となるため、たんぱく質含有量が多いほど、より強固で弾力のあるグルテン膜が形成されます。このグルテン膜が、発酵中に発生するガスをしっかりと閉じ込めることで、生地がふっくらと膨らみます。ベーグルの場合、特にグルテンによる強い弾力と粘りが、「もちもち」「むぎゅむぎゅ」とした独特の食感を生み出すために不可欠です。たんぱく質含有量が低い粉を使用すると、このような強い食感は得られにくく、軽い仕上がりになる傾向があります。
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