赤ちゃんの離乳食を考える際、食材選びには特に気を使いますね。中でも毎日の食卓に欠かせない食パンは、栄養バランスと安心感を兼ね備えたものが理想です。本記事では、赤ちゃんに優しい食パンを選ぶためのポイントを詳しくご紹介します。安心して与えられる食パンを選ぶための基礎知識や注意点を押さえ、健やかな成長をサポートしましょう。これからの離乳食作りに役立つ情報を提供いたしますので、ぜひ参考にしてください。
離乳食に適したパン選びの6つの重要ポイント
赤ちゃんの離乳食の材料選びは、通常の食事よりも慎重に行いたいものです。離乳食に取り入れるパンは、6つの観点を基に選別することを心掛けましょう。
①『添加物を極力抑え、素材の良さを活かした製品』
赤ちゃん用のパンを選ぶ際には、可能な限りシンプルな原材料で、添加物を含まないものがおすすめです。日本ベビーフード協会は、「本当に必要な場合に限り、添加物使用を最低限に抑える」との方針を掲げており、更に許可される添加物を制限しています。そのため、できるだけシンプルな原材料を基にした製品を選ぶことが推奨されます。
市販のパンには、イーストフードで発酵を促したり、乳化剤を使用して柔らかさを保持するための添加物が入っていることがよくあります。製品の原材料はメーカーや商品によって異なるため、購入時にはパッケージに記載されている原材料リストをチェックし、添加物が少ないシンプルなものを選ぶようにしましょう。
②『国産小麦を使用』
離乳食には、日本国内で生産された小麦を使用したパンが適していると言えるでしょう。輸入小麦は、使用される農薬の量が多い可能性が高く、その影響で残留農薬が心配されています。
農民連食品分析センターでは、小麦製品や食パンに含まれるグリホサートという除草剤成分の残留状況を調査しています。調査の結果、国産の小麦製品からはグリホサートは検出されず、輸入小麦からは非常に微量で検出されました。農薬の規制は国ごとに異なり、残留基準値も各国で設定されています。
食品安全委員会が定める安全基準(健康に悪影響を及ぼさないとされる摂取量)に比べても、検出された量はごくわずかであり、安全性に問題はありません。しかし、赤ちゃんには、より安心感のある国産小麦を使用したパンを選んであげたいものです。
ちなみに、「小麦粉(国内製造)」の表示を見かけることがありますが、これは日本国内で製粉されたものであっても、海外で栽培された小麦が含まれる場合がありますので、必ずしも国産と言えるわけではありません。「小麦粉(小麦(国産))」など、小麦の産地が明示されている商品を選ぶことをお勧めします。
③アレルギーの原因になりやすい『卵・乳製品』に気を付けて
赤ちゃんのための食事には、アレルギーリスクも考慮することが大切です。特にパンには、注意が必要な特定原材料7品目の中で、卵、乳、小麦といった3つの成分が含まれることが一般的です。
日常的に使用される食パンには、乳製品が含まれていることが多く、ロールパンや菓子パンになると卵も使用されていることが多々あります。そのほか、小麦粉はさまざまな種類のパンに基本的に含まれています。
赤ちゃんにパンを初めて与える場合は、少量から始め、アレルギー反応が出ないか注意深く観察しましょう。アレルギーが発症した場合はすぐに医師の診察を受けられるよう、平日午前中のように医療機関を利用しやすい時間帯を選ぶと良いでしょう。
④トランス脂肪酸の含有がない『マーガリンなど』が使用されていない
トランス脂肪酸が含まれるマーガリンなどの油脂を避け、油脂不使用のパンを選ぶことをおすすめします。日本におけるトランス脂肪酸の摂取量は欧米より少ないとはいえ、動脈硬化や心臓疾患のリスクが懸念されるため、特に赤ちゃんへの摂取は控えましょう。
最近では、加工技術の進歩により、マーガリンやショートニング、ファットスプレッドに含まれるトランス脂肪酸の量は大幅に減っています。しかし、食が細い赤ちゃんには、トランス脂肪酸を避けるためにも、離乳食には油脂なしのパンを与えるようにしましょう。
⑤乳児ボツリヌス症のリスクを避けるために『はちみつ』が含まれていない
乳児に食べさせる離乳食として、はちみつを含むパンは控えてください。はちみつはボツリヌス菌を含む可能性があり、この菌は通常の加熱調理では死滅しません。
1歳未満の赤ちゃんは腸内の細菌バランスが未熟なため、ボツリヌス菌が体内に入ると乳児ボツリヌス症を発症する恐れがあります。乳児ボツリヌス症は、ボツリヌス菌が生成する毒素によって引き起こされ、便秘、筋力低下、脱力、さらには呼吸困難といった症状が現れます。1歳を迎えると腸内の環境が改善され、はちみつを摂取しても安全になります。それまでは、はちみつが含まれていないかを念入りに確認してください。
⑥『塩分や脂質の摂取量が控えめ』
赤ちゃん用のパンは、塩分や脂質が少ないものを選ぶことが重要です。離乳初期は、素材の純粋な味を楽しむことが味覚の発達を助けます。塩分が強い離乳食は、後の生活で濃い味を好む原因となり、生活習慣病のリスクを高めることがあります。このような病気には、がんや心臓病が含まれます。
さらに、赤ちゃんは消化機能が未発達であるため、体に負担をかけない食事が必要です。脂質は7ヶ月頃から消化しやすくなりますが、それ以前はあまり消化できない場合があります。これは、下痢などの体調不良の原因となる可能性があります。
赤ちゃんの味覚や消化機能はまだ成熟しておらず、離乳食を通じて発達します。フランスパンやバターロールなど、塩分や油脂が多いものは、離乳後期に与えるのが理想的です。最初のうちは普通の食パンが適しています。ただし、ライ麦や全粒粉を含む食パンは、消化が難しいため控えたほうがよいでしょう。
赤ちゃんの離乳食に適したパンの種類と適切な摂取量ガイド
離乳食は初期、中期、後期、完了期の4段階があり、それぞれの段階で異なる与え方があります。
各段階に適したパンの種類や適量についてご紹介します。
離乳初期から中期には『食パン』を使ったパン粥を取り入れる
離乳食が始まったばかりの頃から利用できる便利な食パン。赤ちゃんの成長段階に応じて、食パンの与え方や適量は異なります。
離乳食の後期には『フランスパン』も取り入れられる
離乳後期になると、消化機能や味覚がさらに発達するため、食パン以外のパンも取り入れることができます。フランスパンもその選択肢の一つです。
フランスパンの基本的な材料は、小麦粉、イースト、塩、水と非常にシンプルです。このため、食パンより塩分は多いものの、使う材料の少なさから離乳食にも適しています。ただし、離乳初期や中期には塩分が多いため控えるようにしましょう。
最初は、内側の白くて柔らかい部分を使ってパン粥を作るか、薄く切って与えるのが良いです。軽くトーストすると食べやすくなりますが、ミミが口に付着したり刺さったりすることがあるので注意してください。
フランスパンの外側は硬いので、内側の柔らかい部分を中心に与えると良いでしょう。パン粥にする場合、フランスパンを一度ゆでて塩分をゆで汁に溶かし、捨ててから調理すると安心です。
離乳食で余ったパンは冷凍保存がおすすめ
余ったパンは冷凍して保存するのが賢明です。常温で保管するとカビが生える恐れがあり、冷蔵庫では食感がかたくなってしまいます。冷凍ならパンの美味しさを長く保てるので、1~2週間で使い切るのがおすすめです。
冷凍するときは、一食分のサイズにカットし、ラップで包んで保存袋に入れます。凍った状態はすりおろしやすく、離乳初期に役立ちます。冷凍パンは加熱してから与えましょう。
赤ちゃんのためのパン選びは、購入前に食品表示の確認が重要!
赤ちゃんの成長をサポートするために、離乳食用のパンを選ぶ際は、その成分をしっかりと確認することが大切です。パン選びでは、材料表示を見て赤ちゃんに適したパンかどうかを判断することが必要です。また、ホームベーカリーを活用すれば、安心できる素材を選び、自宅で簡単に手作りパンを焼くことができるので、離乳食には最適です。