アボカドの品種

アボカドの品種

濃厚でクリーミーな味わいから「森のバター」とも呼ばれるアボカド。サラダやディップ、スムージーなど、様々な料理で活躍する万能食材として、その人気は年々高まっています。一口にアボカドと言っても、実は様々な品種が存在することをご存知でしょうか?この記事では、代表的な品種の味や栄養価、旬の時期を徹底解説。それぞれの個性を知れば、アボカドの楽しみ方がさらに広がること間違いなし。さあ、奥深いアボカドの世界へ足を踏み入れてみましょう。

アボカドとは?栄養価と人気の秘密

アボカドは、クスノキ科の常緑樹になる果実で、その風味は濃厚でクリーミーです。見た目は少々無骨ですが、その味わいはまるでマグロのトロのようだと形容され、サラダや寿司の具材として人気を博しています。「森のバター」とも称されるほど栄養が豊富で、口当たりの良さと独特の風味が魅力です。現在、日本で消費されているアボカドの大部分はメキシコ、ニュージーランド、チリなどからの輸入品ですが、国内でも和歌山県や愛媛県などでわずかに栽培されています。
アボカドは「世界で最も栄養価の高い果物」としてギネス世界記録にも登録されています。「森のバター」や「食べる美容液」とも呼ばれるほど栄養価が高く、ビタミンE、葉酸、不飽和脂肪酸など、健康と美容に役立つ成分が豊富に含まれています。特に、アボカドに含まれるオレイン酸は、悪玉コレステロールを減らす効果があると言われています。また、若返りのビタミンと呼ばれるビタミンEも豊富で、アンチエイジング効果も期待されています。
アボカドは一年を通して手に入りますが、日本に多く輸入されているメキシコ産のハス種は、特に秋から冬にかけてが旬の時期にあたります。その他にも、フエルテやベーコンといった品種があり、それぞれ風味や果肉の滑らかさに違いがあります。

アボカドの選び方:食べ頃の見分け方

日本で最も一般的なハス種の場合、果皮の色が黒っぽくなり、軽く押すと弾力を感じるようになったら食べ頃です。ハス種以外の品種では、熟しても緑色のままだったり、わずかに黒い斑点が出る程度のものもあります。そのため、触ってみて柔らかくなっていれば食べ頃と判断して良いでしょう。まだ熟していないアボカドは、冷蔵庫に入れずに常温で追熟させてください。熟したアボカドは、ポリ袋に入れて野菜室で保存するのがおすすめです。カットしたアボカドを保存する場合は、種を取り除き、切り口にレモン汁を塗ってからラップをし、冷蔵庫に入れましょう。
もし切ってみてまだ熟していないと感じたら、加熱調理するのがおすすめです。天ぷらやソテーなど、加熱することで柔らかくなり、美味しく食べられます。

アボカドの国内栽培:現状と可能性

アボカドはその独特な風味から日本でも人気が高まっていますが、国内で流通しているアボカドのほとんどは輸入品です。日本の財務省貿易統計によると、日本の2023年のアボカド輸入は、数量ベースで61,654トン、金額ベースでは約225億円で、主な輸入元はメキシコやペルーである。一方で、国内での栽培は、冬の寒さが比較的穏やかな地域に限られています。主な栽培地である和歌山県と愛媛県を合わせた2016年の生産量はわずか8.1トンです。つまり、国産アボカドは全体のごくわずか0.01%程度であり、非常に希少な存在と言えます。

国産アボカドと輸入アボカド:品種の違い

輸入アボカドの主流は「ハス種」という品種です。ハス種は、見た目が黒っぽく、皮が厚くて硬いため、長距離輸送に適しています。スーパーでよく見かけるアボカドのほとんどがこのハス種です。一方、輸入アボカドの主流は「ハス種」です。一方、国産アボカドでは「ベーコン種」がよく栽培されています。各品種の詳しい特徴は、後述の品種図鑑で解説します。

アボカドの品種:家庭菜園に最適な21選

アボカドには様々な種類が存在し、それぞれ独特の風味と個性を持っています。ここでは、家庭菜園での栽培に適した人気のアボカド品種を厳選して21種類ご紹介します。各品種の特性、栽培のコツ、そして収穫時期について詳しく解説していきます。

はじめに:アボカドの開花タイプ(A/Bタイプ)について

アボカドにはAタイプとBタイプの2種類の開花タイプがあります。Aタイプは午前中に雌花として機能し、午後に雄花へと変化します。一方、Bタイプはその逆で、午前中に雄花、午後に雌花として機能します。異なる開花タイプの品種を近くに植えることで、受粉が促進され、実がつきやすくなります。果実は約100グラムと小さめで、収穫期には緑色から紫色へと変化し、追熟が進むと全体が黒色になります。非常に薄い果皮が特徴で、剥く際には包丁やピーラーの使用がおすすめです。耐寒性が高いため、日本国内でも比較的容易に栽培できる品種であり、旬の時期は10月頃です。メキシコーラはAタイプであるため、自然受粉を促すには、Bタイプの品種(カハルー、フェルテ、マラマ、ミゲルなど)との混植が効果的です。

ウィンターメキシカン:冬に収穫できる寒さに強い品種

ウィンターメキシカンは、メキシコ系と西インド諸島系の交配種であり、寒さに強いのが特徴です。-5℃までの耐寒性を持ち、日本でも育てやすいアボカドとして知られています。果実は約300グラムとやや小ぶりで、縦長の洋ナシ型をしています。果皮は濃い緑色で薄く、手で簡単に剥くことができます。果肉は滑らかで油分が多く、濃厚な風味とほのかな甘みが楽しめます。収穫時期は11月~12月頃で、冬に新鮮なアボカドを味わうことができます。ウィンターメキシカンもAタイプに分類されるため、Bタイプの品種との組み合わせ栽培が推奨されます。

ベーコン:上品であっさりとした味わい

ベーコンは、メキシコ系とグアテマラ系の交配によって生まれたBタイプの品種で、比較的高い耐寒性を持ち、日本での栽培に適しています。果実は丸みを帯びた形状で、果皮は薄く滑らかな緑色をしています。一般的なハス種と比較するとやや大きく、重さは200~450グラム程度です。熟しても果皮の色が変化しないため、ヘタ周辺の柔らかさで食べ頃を判断します。味わいはハス種に比べてあっさりとしており、上品な舌触りが特徴です。ほんのりとした甘みと滑らかな口当たりが楽しめます。旬の時期は11月〜1月頃で、国内では愛媛県、和歌山県、沖縄県、静岡県などで生産されています。

フェルテ:コクのある風味と豊かなオイル感

フェルテは、メキシコ系とグアテマラ系の交配によって生まれたアボカドで、開花タイプはBタイプです。軸の部分が細く、お尻にかけてふっくらとした洋梨のようなシルエットが特徴。アボカドの系統には、味が良いとされるグアテマラ系と、寒さに強く栽培しやすいメキシコ系があります。フェルテは、この両系統を交配して生まれた品種で、それぞれの長所を兼ね備えています。フェルテは、しっかりとした風味と豊かなオイル感が特徴で、口に含むとまったりとした舌触りと、かすかな甘みが広がります。クセが少なく、食べやすいのも魅力です。果実の重さは200~400グラム程度で、種が小さく果肉が多いのも嬉しいポイント。果皮は薄く、熟しても緑色のままなので、軸の周辺の柔らかさで食べ頃を判断します。旬の時期は11月〜1月頃で、愛媛県や沖縄県などで栽培されていますが、生産量が少ないため、市場にはあまり出回っていません。

エッティンガー:まろやかな口当たりで食べやすい

エッティンガーは、イスラエルで開発され、後にアメリカに導入されたメキシコ系のアボカド品種です。果実は300~400グラムと大きく、果肉はなめらかで高品質。濃厚な風味ながらクセが少なく、食べやすいのが特徴です。寒さに強く、-4℃程度の低温にも耐えることができるため、日本でも比較的育てやすい品種です。Bタイプなので、Aタイプの品種と一緒に育てると結実しやすいでしょう。収穫時期は11月〜12月頃で、フェルテよりも少し早く収穫できます。果皮は薄く、緑色を保ったまま熟すため、熟度を確認するには、手で触れて柔らかさを確かめるのがおすすめです。

ズタノ:さっぱりとした風味となめらかな口どけ

ズタノは、メキシコ系とグアテマラ系の交配種で、耐寒性と育てやすさを兼ね備えたBタイプの品種です。耐塩性もあり、塩害に強いため、苗木の土台として利用されることもあります。果実は大きく、果皮はなめらかな緑色で、薄くて剥きやすいのが特徴です。果肉はみずみずしく、油分は控えめながらも、アボカドならではの風味がしっかりと楽しめます。クセが少なくさっぱりとした味わいで、サラダに加えたり、そのまま食べるのに最適です。熟しても皮の色が変わらないため、触った感触で熟度を判断する必要があります。国内では10月〜12月頃に和歌山県などで収穫されますが、生産量が少なく希少な品種です。

シモンズ:家庭菜園にもおすすめの大玉品種

シモンズは、西インド諸島系のAタイプの品種で、500~800グラムにもなる大きな果実が魅力のアボカドです。緑色の果皮は光沢があり、卵型の可愛らしい形状をしています。油分は控えめながらも、食味が優れており、クリーミーでまろやかな味わいが楽しめます。実付きが良く、比較的育てやすいことから、家庭菜園にもおすすめです。収穫期は10月〜11月頃です。

カハルー:料理人が認める、とろけるような風味

カハルーは、グアテマラ種と西インド諸島種の血を引く品種で、ハワイで広く栽培されています。特に、その味わいの良さから、多くの料理人に支持されていると言われています。重さは350~500グラム程度で、中くらいからやや大きめの果実です。特徴は、その油分の多さと、クセがなくまろやかな口当たり。そして、何よりも豊かな香りが、サラダや様々な料理を引き立てます。また、皮が薄くて剥きやすく、日持ちが良いのも嬉しいポイントです。開花タイプはB型で、旬は冬の12月~1月頃です。

サンミゲル:なめらかさとコクが際立つ美味

サンミゲルは、ハワイでよく見られるアボカドで、Aタイプの品種です。雫型、または洋梨のような美しいフォルムが目を引きます。重さは300~400gほど。熟す前の果皮は緑色をしていますが、成熟が進むにつれて、実の付け根部分が赤紫色に変化します。さらに追熟が進むと、全体的に赤みを帯びたり、黒っぽくなることもあります。特筆すべきは、その果肉のなめらかさ。そして、一口食べればわかる、濃厚な味わいです。クリーミーでコクのある食感を、ぜひお試しください。収穫時期は、12月~2月頃。寒い時期に旬を迎えます。皮が薄く手で剥ける手軽さも魅力です。たくさん実をつけますが、耐寒性は-1℃程度と低めなので、東北地方や北海道などの寒冷地では、防寒対策が欠かせません。

ポペーノ:香り高く、ずっしりとした大玉

ポペーノは、フロリダのアボカド研究家によって紹介された品種です。450~1000グラムにもなる大きな果実が特徴で、収穫量が多いのも魅力です。その風味の良さは定評があり、サラダやディップなど、様々な料理に活用できます。比較的寒さに強く、育てやすいため、家庭菜園にもおすすめです。収穫時期は、秋の9月~10月頃です。

チョケテ:とろける舌触りと濃厚な味わい

チョケテは、グアテマラ種と西インド諸島種の交配によって生まれた品種で、600~1000グラムという、非常に大きな果実を実らせます。実付きが良く、たくさん収穫できるのが特徴です。果皮は濃い緑色でやや厚め。果肉は、まるでクリームのように濃厚で、とろけるような舌触りが楽しめます。適度な油分と、しっかりとした甘みがあり、サラダはもちろん、スイーツにもよく合います。収穫時期は、12月~1月頃です。

モンロー:甘美で美味な大型品種

モンローは、グアテマラ種と西インド諸島種の交配によって生まれた品種で、重さ500~900グラムにもなる大きな実が特徴です。果皮は深緑色でつやがあり、わずかにざらつきのある質感が特徴的です。皮はやや厚めですが、手で容易に剥けるため、扱いやすさに優れています。果肉はなめらかで、まるでフルーツのような甘さと、ミルクのようなまろやかな風味が感じられます。比較的クセが少なく、非常に美味しく食べやすい品種と言えるでしょう。収穫時期は1月頃で、完熟しても果皮の色が緑色のままなので、実の柔らかさやヘタの浮き具合で熟度を判断するのがおすすめです。耐寒性は0℃程度とされており、温暖な地域での栽培に適しています。

リンダ:さっぱりとした風味が魅力の大玉品種

リンダは、ハワイで高い人気を誇るアボカドで、800グラムを超える大きな実でありながら種が小さく、果肉をたっぷり楽しめるのが魅力です。グアテマラ種でありながら、油分は控えめでさっぱりとした味わいから、「ダイエットアボカド」と呼ばれることもあります。クセが少なく、クリーミーな食感が楽しめます。果皮は厚くて硬めですが、熟すと柔らかくなります。半分に切って種を取り除き、スプーンで果肉をすくって食べるのがおすすめです。収穫時期は1月から3月頃で、冬から春にかけて旬を迎えます。

ロレッタ:濃厚でクリーミーな特大品種

ロレッタは、アメリカのフロリダ州で開発された高級品種のアボカドです。果実は550~1000グラムにもなる特大サイズで、細長い楕円形の美しいフォルムが特徴です。種が小さく、果肉部分を存分に味わえます。果皮は濃緑色で滑らか、わずかに凹凸があり、見た目にも高級感があります。油分が豊富で、クリーミーで濃厚な味わいが楽しめるため、サラダやディップに最適です。収穫時期は12月から1月頃です。希少な品種であり、日本では流通量が限られているため入手困難ですが、オンラインショップなどで販売されていることがあります。

ミゲル:味と品質に優れた大玉品種

ミゲルは、グアテマラ種と西インド諸島種の交配種で、Bタイプに分類され、600~700グラムの大きな実が特徴です。味が良く、品質も高い、収穫量の多いアボカドです。果皮は濃い緑色で、熟すとやや黄緑色や部分的に茶色へと変化します。旬の時期は9月中旬から11月頃です。

リード:とろける食感の大玉アボカド

リードは、その丸みを帯びたフォルムが特徴的な、カリフォルニア原産のアボカドです。まるでソフトボールのような形状で、一個あたり300~600グラムというボリューム感。濃い緑色の果皮は厚めですが、熟しても色が変わらないため、食べ頃を見極めるには少しコツが必要です。しかし、熟した果肉は非常に滑らかな舌触りで、濃厚な味わいが楽しめます。保存性にも優れていますが、完熟後はなるべく早めに味わうのがおすすめです。国内での栽培は限られており、主に4月から6月にかけて鹿児島県などでわずかに収穫されます。輸入品は夏から秋にかけてが旬です。

ハス:クリーミーで奥深い味わい

日本で最もポピュラーなアボカド、ハス。その理由は、濃厚でコクのある味わいはもちろんのこと、栽培のしやすさ、そして日持ちの良さにあります。果皮は熟すと暗緑色から黒紫色へと変化し、150~200グラムほどの果実がなります。旬は12月から翌年4月中旬と長く、家庭菜園でも完熟アボカドを収穫できます。ただし、耐寒性はあまり高くありません。ハスはAタイプの品種なので、Bタイプのベーコンやフェルテなどと一緒に植えると、より実付きが良くなります。

スチュワート:ほんのり香るナッツフレーバー

スチュワートは、洋梨のような形をした美しいアボカドで、熟すと果皮が濃い紫色になります。170~360グラムと手頃なサイズで、果肉は鮮やかな緑黄色。特徴的なのは、ナッツのような香りで、濃厚な味わいを引き立てます。また、比較的寒さに強く、日本でも育てやすいのが魅力です。収穫時期は10月~12月頃です。

シャーウィル:まろやかで食べやすい

シャーウィルは、オーストラリアで生まれた、ハワイでよく栽培されているアボカドです。西洋ナシ形で、一個280~560グラムと中くらいのサイズ。種が小さく、果肉が多いのが特徴です。油分が20~24%と豊富で、濃厚な味わいが楽しめます。クセが少なく、まろやかな味わいなので、アボカド初心者から上級者まで幅広い層に人気です。果皮は緑色を保ち、熟しても見た目の変化が少ないため、果実の柔らかさで食べ頃を判断するのがおすすめです。旬の時期は11月~2月頃です。

マラマ:とろける舌触りと芳醇な風味

ハワイ原産のマラマは、なめらかな表皮を持つアボカドです。熟すと果皮の色が深みを増し、濃い紫から黒へと変化し、食べ頃を迎えます。一つあたり500~700グラムと大きく、口に含むと広がるクリーミーな食感と、ナッツを思わせる香りが特徴です。20%を超える豊富な油分が、とろけるような舌触りを生み出します。手で皮を剥くこともできますが、表面のざらつきが気になる場合は、ナイフやスプーンで丁寧に剥くのがおすすめです。旬は11月下旬から1月にかけてで、冬の食卓を彩ります。自家受粉しにくい性質のため、受粉樹としてハスやメキシコーラといったAタイプのアボカドを一緒に植えると、より実がつきやすくなります。耐寒温度は0℃程度とやや低めなので、寒冷地では防寒対策をしっかりと行いましょう。

ピンカートン:濃厚な風味と優れた保存性

ピンカートンは、カリフォルニア生まれのアボカドで、細長い洋梨のような形をしています。300~500グラムと比較的大ぶりで、厚みのある皮は緑色で表面はゴツゴツしており、熟しても色は変わりません。油分が豊富で、濃厚な味わいが楽しめます。種が小さい分、食べられる部分が多いのも嬉しいポイントです。また、日持ちが良いので、ゆっくりと味わいたい方にもおすすめです。収穫時期は12月上旬から1月上旬頃で、追熟には20~30日ほどかかり、全体が柔らかくなるまで時間を要することがあります。国内では愛媛県などで栽培されていますが、他の品種に比べて流通量は少なく、希少価値があります。

アボカドの育て方:自宅の庭でアボカドを育てる

アボカドは、ご自宅でも栽培できる果樹です。一般的に熱帯の植物として知られていますが、品種によっては比較的寒さに強く、-6℃程度の低温にも耐えることができます。アボカドを家庭菜園で育てるなら、苗木から育てるのがおすすめです。種から育てるよりも生育が早く、数年で実がなる可能性があるので、初心者の方にも向いています。

アボカド栽培に適した時期と場所

アボカド栽培を始めるのに最適な時期は春です。気温が20℃を超える日が続くようになったら植え付けを行いましょう。水はけの良い土壌と、日当たりの良い場所を選びます。ただし、幼木は直射日光に弱いため、日差しを和らげる工夫が必要です。地植えの場合は、一度植えると移動が難しいため、場所選びは慎重に行いましょう。鉢植えであれば、樹の大きさを調整しやすく、移動も簡単なので、迷っている場合は鉢植えから始めるのが良いでしょう。

アボカドの開花タイプ:受粉成功の鍵

アボカドは春、具体的には5月頃に開花を迎えます。その際、無数の小さな薄黄緑色の花を咲かせますが、その花の形は独特で、つぼみに似ています。アボカドの花の大きな特徴として、「両性花」であることが挙げられます。これは、一つの花が雌しべと雄しべの両方の機能を持つということです。さらに、アボカドの木は開花タイプによってAタイプとBタイプの2種類に分けられます。Aタイプは、午前中に雌花として機能し、午後に雄花へと変化します。一方、Bタイプはその逆で、午前中に雄花、午後に雌花として機能します。このように、一つの花が2日間かけて役割を変えるため、自然状態では受粉の確率が低くなりがちです。アボカドは、より多様な子孫を残すために、異なる個体間での受粉(他家受粉)を好む性質があります。そのため、一本の木だけでは実がつきにくいのですが、AタイプとBタイプの異なる品種を近くに植えることで、受粉が促進され、実がつきやすくなります。アボカドを長く育てて実を収穫したいのであれば、近くに異なる品種を植えて受粉を促しましょう。アボカドには非常に多くの品種が存在しますが、栽培する際には日本の気候、特に寒さに耐えられる品種を選ぶことが重要です。初めてアボカド栽培に挑戦する方でも、しっかりと準備をすれば、家庭菜園でアボカドを育てる喜びを味わうことができるでしょう。

アボカド栽培の具体的なステップ

アボカド栽培において最も一般的な方法は、苗木を植えて育てることです。アボカドの苗木は、国内の専門業者や種苗会社から購入することができ、インターネット通販でも手軽に入手可能です。購入した苗木は、すぐに植え替えるのではなく、まずは購入時の鉢の中で十分に根を張らせ、ある程度成長させてから植え替えるようにしましょう。

水やりと施肥のコツ

植栽後のアボカドは、特に水を多く必要とします。生育が活発な3月から9月にかけては、水切れを起こしやすいため、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにしてください。肥料を与えるタイミングもこの時期が適しています。3月と9月の年2回、緩効性の肥料を与えましょう。また、十分に成長し、花が咲くようになったら、開花時期である5月頃にも追肥を行うと良いでしょう。

植え替えの時期と注意点

アボカドは成長が非常に早いため、1~2年ごとに一回り大きな鉢に植え替える(鉢増し)必要があります。鉢の中でしっかりと根が張るまで育てた後、地面への植え替えを行いましょう。アボカドは根が非常にデリケートなため、植え替え作業の際は根を傷つけないように細心の注意を払うことが重要です。

病害虫対策

アボカド栽培において、病害虫の発生は避けて通れない課題です。アボカドに付きやすい害虫としては、ハダニ、カイガラムシ、コナジラミなどが挙げられます。また、炭疽病などの病気にも注意が必要です。これらの原因として、枝が密集し風通しが悪い状態や、土壌が常に湿っている状態が考えられます。病害虫が発生した場合は、枝の剪定や植え替えなどの対策を講じることが重要です。

メキシコーラ / メキシコーラグランデ:優れた耐寒性を持つ早生品種

アボカドは品種によって耐寒性が大きく異なります。そのため、栽培地域の気候に適した品種を選ぶことが大切です。加温栽培を行う場合は、比較的寒さに弱いハス種やピンカートン種でも、適切な温度管理を行えば問題なく栽培できます。無加温栽培の場合は、ベーコン種、フェルテ種、メキシコーラ種など、耐寒性の強い品種が適しています。ただし、気温が頻繁に-2~-3℃を下回るような地域では、安定した栽培は難しいとされています。

収穫時期と成熟の判断

アボカドを苗木から育てた場合、結実までには通常3~7年程度の期間が必要です。収穫時期である10月~3月頃になったら、果実の柔らかさを確認し、成熟度を判断して収穫を行いましょう。

種から育てるアボカド

アボカドは、食べ終わった後の種からでも育てることができます。しかし、種から育てた場合、果実が収穫できるようになるまでには5~10年もの年月がかかるため、観葉植物として楽しむのがおすすめです。栽培方法としては、15℃以上の環境下で、種の尖った部分を上にして、土から少しだけ頭を出して植えます。すると、約2週間~1か月ほどで種が割れて発芽します。まれに種が黒く腐ってしまうことがありますが、そのような種は発芽の可能性が低いので、新しい種を植え直しましょう。

国産アボカド栽培に情熱を注ぐ人々

国内でアボカド栽培を志すパイオニアたちが、試行錯誤を重ねながら栽培技術を確立してきました。ここでは、日本各地におけるアボカド栽培の事例をご紹介します。

和歌山県海南市のパイオニア

和歌山県海南市で30年以上も前からベーコン種のアボカド栽培に取り組んでいる、日本の国産アボカド栽培における草分け的存在です。栽培技術の普及を目指し、アボカドの苗木販売も行っています。

雪国・新潟県の挑戦

意外にも、雪深い新潟県でもアボカド栽培が行われています。ハウス栽培により、雨風や寒さからアボカドを守り、昼夜の寒暖差を利用することで高品質なアボカドを育てています。40種類以上の品種を栽培し、収穫時期を調整しながら生産しています。

日本各地に広がるアボカド栽培

温暖な気候の九州(宮崎、鹿児島、沖縄)や関東(千葉)をはじめ、さまざまな地域でアボカド栽培が始まっています。東北や北海道といった寒冷地での栽培に挑戦している方もいるようです。国産アボカドの収穫時期は10月頃から。数年後には、お歳暮などで国産アボカドが選ばれる時代が来るかもしれません。

まとめ

アボカドを育てる旅は、どの品種を選ぶかから始まります。そして、最適な環境を整え、愛情を込めて世話をすることで、自宅の庭でも十分にその喜びを味わうことができるでしょう。日本国内での栽培例も増えてきており、国産アボカドがもっと手軽に手に入る未来もそう遠くないかもしれません。あなたもアボカド栽培に挑戦して、採れたての新鮮なアボカドを味わってみませんか?

よくある質問

質問1:アボカド栽培に最適な品種は?

寒さに強い品種を選ぶなら、ベーコン、フェルテ、メキシコーラなどが良いでしょう。暖かい地域であれば、ハスも選択肢に入れることができます。

質問2:アボカドは種から育てられますか?

はい、種から育てることも可能です。しかし、実がなるまでには5年から10年ほどの時間がかかります。観葉植物として育てるのも一つの楽しみ方です。

質問3:アボカドの収穫時期はいつ頃ですか?

収穫時期は品種や地域によって異なりますが、一般的には10月から3月頃が目安です。実の柔らかさを確認して、熟しているかどうかを判断しましょう。
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