林檎季節

林檎季節

一般的にりんごの旬は秋から冬というイメージがありますが、実際には収穫時期により旬が異なります。8月上旬から収穫が始まり、10月頃にピークを迎え、冬まで様々な品種が登場します。この記事では、収穫時期ごとのりんごの種類や特徴、産地による違いなどを解説します。

収穫時期で異なる4つの種類

りんごには様々な品種があり、果実が熟する期間によって旬の時期が異なります。大きく分けて、8月上旬以降に収穫される「極早生種」、9月上旬から収穫される「早生種」、9月下旬から10月にかけて収穫される「中生種」、11月上旬以降に収穫される「晩生種」の4つに分けられます。それぞれの旬の時期に合わせた品種を選ぶことで、よりおいしいりんごを楽しむことができます。

極早生種・早生種のりんご:夏から秋の味覚

極早生種と早生種は、夏の終わりから秋の始まりにかけて旬を迎えます。まだ暑さの残る時期にさっぱりと食べられる極早生種と、りんごのシーズン到来を感じさせる早生種、それぞれの特徴と代表的な品種を紹介します。

極早生種(8月上旬~下旬):さわやかな酸味

8月上旬から下旬に収穫される極早生種は、「ごくわせしゅ」と読みます。さわやかな酸味を持ち、夏の暑い時期にさっぱりと食べられるりんごです。栽培されている量が少ないため、希少品種が多いのが特徴です。
・夏緑(なつみどり):8月上旬~下旬 さわやかな酸味、果汁が多い。つやのある緑色の果皮が特徴で、「夏に収穫される緑色のりんご」が名前の由来です。流通量が少なく日持ちしにくい希少な品種です。
・ブラムリー:8月上旬~下旬 強い酸味と渋み。イギリス発祥の料理用りんごで「クッキングアップル」と呼ばれています。加熱すると果肉が柔らかくなります。

早生種(8月下旬~9月中旬):爽やかな甘さと軽快な食感

・つがる:8月下旬~9月中旬 穏やかな酸味と豊かな甘み、果肉は硬めでシャキシャキ。赤色の果皮に鮮やかな縞模様が特徴です。
・きおう:8月下旬~9月中旬 濃厚な甘みと適度な酸味、後味さっぱり、ジューシー。つやのある黄色い果皮が特徴で、完熟したものは梨のようなサクサクとした食感があります。

中生種・晩生種のりんご:深まる秋、滋味あふれる味わい

中生種と晩生種は、秋が深まる10月以降に旬を迎えます。種類が豊富で、生食はもちろん、ジュースやお菓子作りにも活用できます。それぞれの品種によって違う味わいや食感を楽しみましょう。

中生種(9月下旬~10月下旬):絶妙なバランスのおいしさ

9月下旬から10月下旬にかけて収穫される中生種は、「なかてしゅ」と読みます。甘みと酸味のバランスがよく、食感もよいのが特徴です。りんごの旬のピークにあたるため、生食用からジュース、料理などの加工用までたくさんの種類のりんごが出回ります。
・シナノスイート:9月下旬~10月下旬 濃厚な甘みと芳醇な香り、ジューシー。光沢のある赤色の果皮とシャキシャキした食感が特徴です。
・秋映(あきばえ):9月下旬~10月下旬 甘酸っぱい風味、果汁が多い、パリパリとした食感。完熟すると、果皮が深みのある濃い赤色になります。
・紅玉(こうぎょく):9月下旬~10月下旬 強い酸味、加熱すると香りが豊かになる。真っ赤な果皮と小ぶりなサイズが特徴です。
・むつ:9月下旬~10月下旬 豊かな香り、やや硬めの果肉。袋がけして育てたものは果皮が赤色、袋をかけずに育てたものは果皮が黄緑色で「サンむつ」と呼ばれます。
・トキ:9月下旬~10月下旬 強い甘みと穏やかな酸味、果汁が多い、ジューシー。旬の時期が短めです。

晩生種(10月下旬~11月中旬):芳醇な甘さと豊かな香り

晩生種は、10月下旬から11月中旬にかけて収穫されるりんごで「おくてしゅ」と読みます。晩生種は、甘みが豊かで香りも強く、貯蔵性が高いのが特徴です。国産りんごの代表的な品種である「ふじ」もこの時期に旬を迎えます。
・ふじ:10月下旬~11月中旬 酸味と甘みのバランスが良い、果汁が豊富。蜜が入りやすく食感も良く、日本のみならず海外でも人気の高いりんごです。
・シナノゴールド:10月下旬~11月中旬 甘みと酸味がしっかり、果肉は硬めでサクサク。きれいな黄色い果皮が特徴です。
・王林(おうりん):10月下旬~11月中旬 豊かな甘み、芳醇な香り、軽い食感。果皮はきれいな黄緑色で、王林の名前は「りんごの中の王様」という意味が由来とされています。

主要産地別 りんごの旬:青森・長野・山形

りんごの主要産地である青森県、長野県、山形県は、それぞれ独自の気候条件や栽培方法により旬の時期が異なります。各産地ごとに味わいや食感も微妙に違い、それぞれの特徴があります。

青森県:日本一のりんご生産地

青森県はりんごの生産量が全国の約6割を占めており、品種別では「ふじ」が県内の生産量の50%を占めています。8月ごろから収穫される極早生種から11月末まで収穫される晩生種まで、栽培品種も多岐にわたるのが特徴です。代表的な品種であるふじは、青森県では10月末から11月上旬に収穫されます。

長野県:寒暖差が育む、りんごの甘さ

長野県はりんごの生産量が青森県に次いで全国2位の産地です。旬の時期は8月下旬から12月中旬にかけてとされます。長野県では、ふじは11月上旬から12月上旬ごろに旬を迎え、青森県より収穫時期が遅いのが特徴です。日照時間が多く、昼夜の気温差が大きいため、色づきがよく甘みの強いりんごが栽培されています。

山形県:長く楽しめるりんご

山形県もりんごの代表的な産地として有名です。ほかの地域で生産されているりんごを含む、多くの品種が栽培されており、9月から12月上旬ごろに旬を迎えます。山形県のふじの収穫時期は10月下旬から12月中旬にかけてと、青森県や長野県と比べて長い期間収穫されます。

年間を通してリンゴを味わえる秘密:CA貯蔵技術

りんごが一年中楽しめる理由は貯蔵方法にあります。りんごは収穫したあとも呼吸を続けており、そのままにしておくと味や鮮度が落ちてしまいます。低温・低酸素濃度で貯蔵する「CA貯蔵法」の普及により、りんごの鮮度を保ったまま長期保存できるようになりました。6~9ヶ月間ほど保存できるため、秋に収穫したりんごを翌年の夏までおいしく食べられます。

まとめ

りんごは品種や産地によって旬の時期が異なり、それぞれ異なる味わいを楽しむことができます。最新の貯蔵技術により一年中手に入るようになりましたが、やはり旬の時期に味わうりんごは格別です。それぞれの品種の旬を意識して、その時期ならではのおいしさを堪能しましょう。

よくある質問

質問1:リンゴの最も美味しい時期はいつ?

りんごの旬は一般的に秋から冬にかけてですが、品種によって収穫時期が異なります。極早生種は8月上旬から、早生種は9月上旬から、中生種は9月下旬から10月、晩生種は10月下旬から11月が旬です。

質問2:リンゴをより長く保存するためのコツはありますか?

りんごは低温で保存するのが最適です。冷蔵庫に入れる際は、乾燥を防ぐためにビニール袋に入れると良いでしょう。また、エチレンガスを放出するため、他の果物や野菜と一緒に保存するのは避けてください。

質問3:りんごの品種選び、何に注目すればいい?

りんごを選ぶ際に大切なのは、あなたの味の好みや、どのように楽しみたいかという目的を明確にすることです。例えば、しっかりとした甘さを求めるなら「サンふじ」や「シナノゴールド」がおすすめです。一方で、さわやかな酸味がお好みなら「ジョナゴールド」を選ぶと良いでしょう。また、アップルパイなどを作る際には、煮崩れしにくく、風味も豊かな「紅玉」や、酸味が特徴的な「グラニースミス」が最適です。
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