アメリカンチェリーの魅力:品種、旬、選び方から栄養、保存方法まで徹底解説

鮮やかな深紅色と、甘酸っぱい濃厚な味わいが魅力のアメリカンチェリー。スーパーで見かけると、ついつい手に取ってしまう方も多いのではないでしょうか。この記事では、そんなアメリカンチェリーの魅力を徹底解剖!代表的な品種から、最も美味しい旬の時期、選び方のポイントを詳しく解説します。さらに、気になる栄養価や、長く美味しく楽しむための保存方法まで、アメリカンチェリーの全てをお届けします。

アメリカンチェリーとは

アメリカンチェリーは、主にアメリカ合衆国から輸入されるサクランボの総称として知られています。実際に、日本に輸入されるサクランボの大部分がアメリカ産であるため、輸入されたチェリー全体を指して「アメリカンチェリー」と呼ぶことも少なくありません。この記事では、アメリカンチェリーの様々な品種、最も美味しい旬の時期、上手な選び方のポイント、豊富な栄養価、適切な保存方法、そしてその歴史について詳しく解説していきます。

アメリカンチェリーの旬と産地

アメリカンチェリーが旬を迎えるのは夏の季節、具体的には5月から8月にかけてです。最初に収穫が始まるのは、比較的温暖な気候のカリフォルニア州で、5月頃から市場に出回ります。その後、産地は徐々に北へと移動し、オレゴン州、ワシントン州と続きます。7月中には、ほとんどの収穫が終了します。日本に輸入されるチェリーの約96%がアメリカ産であり、その大部分がカリフォルニア、オレゴン、ワシントンの各州で栽培されています。つまり、私たちが普段口にしているアメリカンチェリーは、そのほとんどがアメリカ西海岸地域で生産されたものと言えるでしょう。

国産さくらんぼとの違い

アメリカンチェリーと日本で栽培されている国産のさくらんぼには、いくつかの顕著な違いが見られます。代表的な品種であるビング種は、実が大ぶりで果肉が硬く、濃い赤色をしているのが特徴です。甘みと酸味のバランスが良く、濃厚な風味が楽しめます。一方、日本のさくらんぼは、明治初期に海外から導入された品種の試験栽培をきっかけに、独自の品種改良が重ねられてきました。例えば、佐藤錦は、ヨーロッパ各地で古くから栽培されてきたナポレオン種をルーツとしています。その結果、国産のさくらんぼは、アメリカンチェリーに比べて果肉が柔らかく、酸味が穏やかな傾向があります。ただし、レーニア種のように、見た目や味わいが国産のさくらんぼに近いアメリカンチェリーも存在します。

アメリカンチェリーの歴史:輸入解禁と国産さくらんぼの共存

かつて、チェリーの輸入には「輸入解禁日」というものが設けられていました。これは、国産の果物を保護するために設けられた輸入制限であり、この解禁日を過ぎるまでは、輸入されたチェリーを販売することができませんでした。チェリーも例外ではなく、1986年に輸入が自由化されるまでは解禁日が存在し、解禁日当日には、成田空港に荷物を積んだトラックが長蛇の列を作る光景が見られました。輸入解禁以前のさくらんぼは、流通システムの未発達により、生果として販売することが難しく、主に缶詰の原料として利用されていました。しかし、輸入自由化を機に、日本のさくらんぼ農家は、流通網の整備と品質向上に尽力し、現在のように美味しい生のさくらんぼを店頭で手軽に購入できるようになりました。その結果、輸入チェリーとの棲み分けに成功し、さくらんぼの作付面積は輸入自由化以前よりも増加しました。

アメリカンチェリーの種類:主な品種をご紹介

アメリカンチェリーは多種多様ですが、店頭では一括して「アメリカンチェリー」として販売されていることがよくあります。これは、レーニア種を除き、外見上の差異が少ないためです。しかし、実際には様々な品種が出回っており、収穫時期の異なる品種を組み合わせることで、供給期間を長くする工夫が凝らされています。ここでは、代表的な品種をカリフォルニア産とワシントン産に分けて解説します。

カリフォルニアチェリーの品種

カリフォルニアチェリーは、温暖な気候に適応した品種が中心です。代表的なものとして、ブルックスとコーラルが挙げられます。
  • ブルックス:レーニアとビングを交配させた品種で、カリフォルニア大学で開発されました。カリフォルニアの高温に強く、シーズン初期に市場に出回ります。外観はビングに似ています。
  • コーラル:ビングよりも耐暑性に優れ、カリフォルニアの土地に適しているため、生産量が増加傾向にあります。ビングより早く成熟するため、比較的早い時期に入手可能です。見た目や風味はビングとほぼ変わりません。

ワシントンチェリーの品種

ワシントンチェリーは、冷涼な気候下で良く育つ品種が中心です。代表的な品種には、シェラン、ビング、レジーナ、スイートハート、レーニアなどがあります。
  • シェラン:1971年にワシントン大学で開発された品種で、ワシントン州で最も早く店頭に並びます。ビングよりもやや明るい色合いで、ハート形をしています。
  • ビング:アメリカンチェリーの代名詞とも言えるほど有名な品種です。大ぶりで果肉まで赤く、甘みと酸味のバランスが取れた濃厚な風味が特徴です。1875年にオレゴン州で誕生した歴史ある品種であり、広く栽培されています。特にワシントン州産のビングは、品質が高いことで知られています。
  • レジーナ:1981年にドイツで開発された品種で、ビングよりも寒冷な地域での栽培に適しています。成熟が遅いため、ビングの後に出回ります。
  • スイートハート:かわいらしいハート形が名前の由来です。耐寒性があり、シーズン終盤に出荷されます。
  • レーニア:淡い黄色の果肉、穏やかな酸味と強い甘み、そして柔らかい食感が特徴です。日本のさくらんぼに似た性質を持ちます。デリケートで栽培や輸送が難しく、やや高価ですが、日本人の味覚に合うためか、一度食べるとファンになる人が多いようです。

アメリカンチェリーの選び方:おいしいチェリーを見つけるコツ

美味しいアメリカンチェリーを選ぶには、いくつかのポイントを押さえることが大切です。まず、果皮につやがあり、色鮮やかなものを選びましょう。軸が緑色で、しっかりと果実に付いているものが新鮮です。また、全体的にふっくらとしていて、傷やへこみのないものがおすすめです。品種によって風味が異なるため、好みの品種を選ぶのも良いでしょう。例えば、濃厚な味わいを求めるならビング、甘みが強く酸味が穏やかなものが好みならレーニアを選ぶのがおすすめです。

アメリカンチェリーの栄養価:健康への恩恵

アメリカンチェリーは、その甘美な風味に加え、優れた栄養源としても知られています。特に、鉄分が豊富で、貧血予防に役立ちます。また、食物繊維も豊富に含んでいるのが特徴です。さらに、カロテン、葉酸、パントテン酸などもバランス良く含まれています。研究によれば、アメリカンチェリーに含まれるアントシアニンなどのポリフェノールは、関節の痛み、痛風、高血圧、メタボリックシンドローム、神経痛といった症状の緩和に効果が期待できるとされています。

アメリカンチェリーの保存方法:鮮度を保つ秘訣

アメリカンチェリーの保存に最適な温度は0~2℃です。冷蔵庫での保存が基本となり、購入後はできるだけ早く消費するのがおすすめです。保存する際には、洗わずにそのまま冷蔵庫へ入れるのがポイントです。食べる直前に水洗いすることで、水っぽくなるのを防ぎ、本来の風味を損なわずに楽しめます。また、傷んだチェリーは他の実に影響を与える可能性があるため、見つけ次第取り除くようにしましょう。

アメリカンチェリーのレシピ:おすすめの楽しみ方

アメリカンチェリーは、フレッシュな状態のまま味わうのが一番のおすすめです。アメリカではチェリー味が非常にポピュラーで、チェリーパイなど様々なレシピが存在しますが、それらには酸味が強いサワーチェリーが使用されることが多いです。サワーチェリーはアメリカンチェリー全体の約4分の1を占めるほど一般的ですが、日本では生のものはほとんど流通していません。缶詰や冷凍品であれば入手可能です。

アメリカンチェリーと農薬:安全性について

輸入される生鮮食品に関して、残留農薬を懸念される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、アメリカでは果物の皮ごと食べる習慣があるため、残留農薬に関する検査は非常に厳格に行われています。輸入されるアメリカンチェリーは、日本の残留農薬基準をクリアしていることはもちろん、日本への輸入時にも再度検査が行われるため、安心して食べることができます。アメリカンチェリーの栽培には、病害虫から守るために様々な農薬の使用が不可欠ですが、哺乳類への毒性が低く、残留性の低いものが選ばれています。また、収穫時期が近づくと農薬の散布は行われないよう徹底されています。

アメリカンチェリーの家庭栽培

果樹園などで栽培する場合、収穫できるようになるまで通常4年程度、十分に成熟するには7年以上を要します。食べた後の種をまいても発芽はしますが、実を付ける目的には不向きと考えましょう。市販されているチェリーは、ほとんどが接ぎ木によって育てられています。美味しい実を収穫するには、適切な農薬の使用、鳥害対策のネット、丁寧な剪定、温度管理、人工授粉など、専門的な知識と手間が欠かせません。

アメリカンチェリーの缶詰について

輸入が自由化される以前は、流通網が整っていなかったため、生の状態で販売することが難しく、主に缶詰として加工されていました。現在でも、アメリカンチェリーの缶詰は広く販売されており、手軽に味わえる食品として親しまれています。缶詰のチェリーは、シロップに漬けられていることが多く、そのまま食べるのはもちろん、お菓子作りの材料としても重宝されています。

アメリカンチェリーと酸味の強いチェリーの違い

アメリカンチェリーには、甘みの強い品種だけでなく、酸味が際立つサワーチェリーという種類も存在します。サワーチェリーは、生で食べるのには適さないため、ジャムやタルトといった加工品に利用されるのが一般的です。日本では、生のサワーチェリーはあまり見かけませんが、缶詰や冷凍されたものが販売されています。

アメリカンチェリーの値段について

アメリカンチェリーは、国産のさくらんぼと比較して比較的リーズナブルに入手できるのが利点です。ただし、品種やシーズンによって価格は変動します。特に、レイニア種は、栽培や輸送が難しいため、他の品種に比べて値段が高くなる傾向があります。

アメリカンチェリーの輸入量について

アメリカにおける生産量は増加傾向にあるものの、価格高騰の影響で輸入量は減少傾向にあります。これは、アメリカ国内での需要増加と輸送コストの上昇が主な要因です。わずかな量ではありますが、12月頃にはチリ、オーストラリア、ニュージーランド産のものが輸入されます。また、オーストラリアなどでは日本で開発された佐藤錦や紅秀峰といった品種が栽培され、輸入されています。

アメリカンチェリーの世界の生産量について

グラフからわかるように、世界のチェリー生産の中心はヨーロッパと中東地域です。チェリーは有史以前から中東地域などに自生していたと考えられており、現在でもトルコ(生産量1位)やイラン(生産量3位)などが主要な産地となっています。アメリカへは17世紀頃にイギリス人によって持ち込まれました。現在ではカリフォルニア、オレゴン、ワシントン州といった西海岸地域で生産され、世界第2位の生産量を誇ります。日本では高級なイメージのあるチェリーですが、生産地では日常的に親しまれている果物です。

アメリカンチェリーの購入方法

アメリカンチェリーは、オンラインの販売サイトや身近なスーパーマーケットで容易に購入できます。オンラインストアでは、多様な品種やブランドのチェリーを比較検討し、自宅にいながら注文できます。スーパーマーケットでは、実際に手に取って新鮮なチェリーを選べるのが魅力です。

アメリカンチェリーの賢い選び方:こだわりのブランド選び

多くのアメリカンチェリーブランドが存在し、それぞれが最高品質のチェリーを生産するために技術を磨いています。特に、高品質なチェリーを提供することで知られるブランドに注目して選ぶのがおすすめです。ブランドごとの特徴を理解することで、より自分好みのチェリーを見つけられるでしょう。

アメリカンチェリーのブランド紹介:プリマベラ

プリマベラは、1920年代にイタリアからの移民が設立した企業です。広大な自社農園で栽培されたチェリーは、最新鋭の設備で丁寧に梱包され、その品質の高さから世界中で評価されています。カリフォルニアチェリー街道の南北400kmにわたる地域で、土壌や水質にまでこだわり、それぞれの土地に適した品種を栽培。その半数以上が自社農園で生産されています。選別においても一切の妥協を許さず、プリマベラ社専用にカスタムメイドされた自動選別機を使用。業界をリードするパッキング施設で加工されます。生産から出荷まで、全てにおいて徹底的にこだわり抜いた最高級のチェリーを提供できるのは、プリマベラだけです。

アメリカンチェリーのブランド紹介:ワシントンフルーツ

1916年創業のワシントンフルーツは、生産から梱包、出荷までを一貫して行う老舗ブランドです。最先端かつ最大規模の選別・梱包設備を有し、最高品質のフルーツを届けてきた実績から、ワシントン州No.1ブランドとして広く知られています。持続可能な農業を実践するGAP、薬剤の使用を最小限に抑えるIPM、食品の安全と品質管理を徹底するHARPCなど、数々の認証を取得しています。

まとめ

アメリカンチェリーは、その風味の豊かさ、優れた栄養バランス、そして手軽に食べられる点から、多くの方々に親しまれている果物です。この記事を参考にして、アメリカンチェリーの様々な魅力を味わってみてください。

アメリカンチェリーを長持ちさせるための保存方法は?

アメリカンチェリーは冷蔵保存が基本です。購入後はできるだけ早く食べるのがおすすめです。保存する際は、洗わずにそのまま冷蔵庫へ入れてください。食べる直前に水洗いすることで、水分による劣化を防ぎ、おいしさを保つことができます。

アメリカンチェリーの旬な時期はいつですか?

アメリカンチェリーが最も美味しい時期は、夏の5月から8月にかけてです。5月頃に温暖なカリフォルニア州で収穫が始まり、その後、オレゴン州、ワシントン州へと産地が北上していきます。

アメリカンチェリーと日本のさくらんぼ、何が違う?

アメリカンチェリーの主要品種、ビング種を例にとると、その特徴は実の大きさと硬さ、そして果肉の鮮やかな赤色です。味は甘みと酸味が際立ち、深みのある風味を堪能できます。対照的に、国産のさくらんぼは、アメリカンチェリーに比べて果肉が柔らかく、酸味も穏やかなものが多いようです。

アメリカンチェリー