ベトナムコーヒー
コーヒーはその香り豊かな味わいから世界中に多くの愛好者を持つ飲み物です。上質なアラビカ種から苦みを引き立てるロブスタ種まで、さまざまな種類のコーヒーが存在しますが、この中で特にその風味と個性で注目を集めているのがベトナムコーヒーです。その歴史や豊かな味、さらにユニークな飲み方まで、ベトナムコーヒーがもつ魅力を一緒に深掘りしていきましょう。
ベトナムコーヒーとは?
ベトナムコーヒーはその豊かな香りと独特の味わいで、世界中のコーヒーラバーから広く愛されています。ブラジルに続き、世界第2位のコーヒー生産国であるベトナムでは主に、力強い味わいとコクが特徴のロブスタ種を使用しています。それがユニークな風味の秘訣となっているのです。
コーヒーの抽出法もまた、ベトナム流の独特のもの。伝統的なフィルター「フィン」を使うことで、コーヒーの濃厚なアロマと風味が余すことなく引き立てられます。さらに、砂糖や練乳を混ぜ込むことで、エキゾチックな味わいに仕立て上げられます。
特筆すべきは、「カペスアダ」と称される練乳コーヒー。甘さと苦味が見事に調和しており、一度飲めばその余韻が忘れられなくなるほど。また、ベトナムコーヒーの魅力はその味わいの深さにとどまらず、抽出工程や飲むスタイルなど、ベトナムの文化を顕著に表現する点にもあります。
なお、コーヒーにコンデンスミルクを加える習慣は、歴史的な背景が関与しています。それは、ベトナムで栽培されたコーヒー豆が強い苦味を持つロブスタ種であった事と、当時のベトナムでは一般的なミルクが手に入らなかった事から、苦みを和らげるためにコンデンスミルクが使われるようになったそうです。
ベトナムのコーヒー豆の特長
ベトナム産の豊かで力強い風味のコーヒー豆は、その独特の気候と地理から生まれています。中部の高原や南部、約500mまでの高さの地域が主な栽培エリアで、特に熱帯気候に適したカネフォラ種(ロブスタ)のコーヒーノキが主に生産されています。一方、アラビカ種の生産は全体の1%ほどにとどまり、地域も限定的です。
ベトナムのコーヒー豆の生産は、約260万人もの人々が関わっており、その多数が中小規模の農園での栽培です。10月から翌年4月にかけてが収穫時期で、収穫された豆はナチュラル精製法により、天日干しまたは機械乾燥されます。
ベトナムコーヒーの品質は、スクリーンサイズ(コーヒー豆のサイズ)と欠点豆数で評価されています。豆のサイズが16以上で、欠点豆が300gあたり60個以下ならば最高級のグレード1に、12.5以上で欠点豆が90個以下ならばグレード2に格付けされます。
科学的な格付けはもちろん、その風味もベトナムコーヒーの魅力の一部です。ロブスタ種は、そのカフェイン含有量の高さと、チョコレートや堅果といった風味を持ち合わせています。また、エクセルサ種のように独特の甘みを備えた豆も存在します。その多様性は全てがベトナムのコーヒー文化を象徴しており、その一杯一杯でベトナムの豊かな土地と風土を感じることができます。
ベトナムコーヒーの淹れ方
ベトナム独特の深いコーヒーの風味とコクを引き立てる方法について解説します。ベトナムコーヒーの淹れるためには、ベトナムならではの特殊なフィルター、「カフェ・フィン」が必要となります。
まず、適切なベトナムコーヒーの淹れ方の準備物を確認しましょう。
<心地よい一杯を作るために必要な準備>
・12~15gの中挽きの深煎りコーヒー豆
・約120mlの温水
・独特の風味を加えるための20~25gのコンデンスミルク
・特殊なベトナムのフィルター、「カフェ・フィン」
・細口のケトル
・耐熱性のグラス
・混ぜるためのスプーン
そして、ベトナムコーヒーの淹れ方について見ていきましょう。
<淹れ方のステップ>
1.カフェ・フィンにコーヒー豆をセットします。
2. 中蓋をカフェ・フィンに固定します。ネジタイプの場合は、中蓋をネジで締めます。
3.耐熱グラスに入れたコンデンスミルクの上にカフェ・フィンをセットします。
4.中蓋の上からゆっくりと温水を注ぎ、20秒間コーヒー豆を湿らせます。
5.その後再度温水を注ぎ、蓋をして約5~10分、じっくりとコーヒーを抽出します。
6.抽出が終わったらカフェ・フィンを取り外し、コンデンスミルクとコーヒーをスプーンでしっかりと混ぜ合わせます。これで、濃厚なベトナムコーヒーの完成です。
特筆すべき注意点として、カフェ・フィンを用いるとき、粉を細く砕きすぎるとフィルターの隙間から流れ出してしまう事がありますので、中挽き以上の粗さにすることを忘れないでください。また、中蓋の締め付け具合でコーヒーの苦味を調節できます。お好みに合わせて締め付けを調整して、最高の一杯を楽しんでください。
ベトナムコーヒーのアレンジレシピ
ベトナムコーヒーのアレンジレシピを取り上げます。ベトナムコーヒーは、濃厚な味と香りが特長の一方で、日本でも数多くの愛好者を惹きつけています。
「コンデンスミルクコーヒー」は濃い味のコーヒーと甘いミルクが見事に融合しています。氷を加えて楽しむと、夏の日にぴったりな飲み物になります。
トロピカルフルーツをベトナムコーヒーにトッピングする「フルーツミックスコーヒー」もおすすめです。バナナやマンゴーなど、季節のフルーツとの相性は格別です。このレシピを楽しむ事でベトナムコーヒーの可能性を一層探ることができます。
ベトナムコーヒーを利用したブラックアイスコーヒーは、コンデンスミルクを加えずに堪能します。氷をたくさん使用し、ミルクを加えても楽しめるでしょう。
ベトナム風ヨーグルトコーヒーは、コーヒーとヨーグルトが絶妙にマッチ。コーヒーはヨーグルトよりも少量使用します。
まとめ
ベトナムコーヒーは、その味わいと特殊な製法から生まれる独特の風味が、コーヒー愛好家たちを虜にしています。ベトナムコーヒーは、一度飲んだら忘れられない存在となるでしょう。ベトナムが誇るこのコーヒー文化を経験することで、あなたのコーヒーライフは新たな出会いとなります。