秋に旬を迎える柿。その甘みと香りを活かして楽しむ「柿酒」は、自宅で簡単に仕込める果実酒のひとつです。とろけるような自然の甘さと、柿ならではの濃厚な風味が特徴で、食後酒やデザートのお供にもぴったり。この記事では、手軽にできる自家製柿酒のレシピや漬け方のポイント、アレンジ方法まで詳しくご紹介します。今年の秋は、旬の果実を活かした柿酒作りに挑戦してみませんか?
【免責事項】本記事で紹介している内容は、家庭で楽しむ自家製果実酒に関する一般的な情報です。果実酒の漬け込みには酒税法や食品衛生法などの法律が関係する場合がありますので、作成・保管の際は必ずご自身で最新の法令をご確認ください。また、アルコールの摂取は20歳以上の方が対象です。未成年者の飲酒は法律で禁止されています。
柿酒とは?その魅力と特徴

柿の甘みと香りを活かした果実酒
柿酒とは、秋に旬を迎える柿をアルコールに漬け込んで作る果実酒の一種です。熟した柿の自然な甘みと、ほのかなフルーティーな香りがじっくりと溶け込むことで、まろやかで優しい味わいに仕上がります。
市販されることが少ないため、自家製でしか味わえない特別感があり、季節限定の楽しみとして人気があります。自分好みの味に調整できるのも、手作りならではの魅力です。
秋ならではの贅沢な味わい
柿酒の魅力は、その“秋らしさ”にあります。とろりとした甘みは、まるで完熟柿をそのまま飲んでいるような感覚。ストレートやロック、ソーダ割りなど飲み方を変えることで、風味の違いも楽しめます。
さらに、冷たいデザートにかけると華やかな香りが加わり、大人のスイーツにも早変わり。秋の夜長に、ゆったりと楽しむのにぴったりの一杯です。
柿に含まれる栄養と期待される働き
柿には、ビタミンCやカリウム、β-カロテンなどの栄養素が含まれています。これらの成分は、日々の健康をサポートする栄養素として知られており、食生活の中でバランスよく摂ることが推奨されています。
とくに秋の果物である柿は、乾燥が気になる季節に嬉しい水分や食物繊維も含まれており、果実として食べるのはもちろん、お酒にすることでまた違った形でその風味を楽しむことができます。
なお、果実酒として漬け込んだ場合、アルコールとの組み合わせによって栄養成分が変化する可能性もあるため、健康目的というよりも、季節の味覚を楽しむ嗜好品としての楽しみ方がおすすめです。
自家製柿酒に適した材料と選び方
おすすめの柿の品種
柿酒作りには、甘柿・渋柿どちらでも使用可能ですが、仕上がりの風味に違いが出ます。
-
甘柿(富有柿など):とろりとした自然な甘みがそのまま酒に移り、やさしい口当たりの柿酒に。
-
渋柿(平核無柿など):アルコールに漬け込むことで渋みが抜け、深みのある味わいになります。
どちらを使っても美味しく仕上がりますが、完熟気味で果肉がやわらかいものを選ぶと、甘みと香りがよく出やすくなります。
使用するお酒(焼酎・ホワイトリカーなど)
果実酒に使うお酒は、アルコール度数20%以上のものが基本です。おすすめは以下のようなタイプです。
-
ホワイトリカー(35度):クセがなく、果実の香りを引き立てやすいため初心者向き。
-
米焼酎や甲類焼酎(35度程度):やや風味が残るため、味わいに奥行きを出したい場合に。
-
ブランデー:まろやかで高級感ある仕上がりにしたいときに適しています(上級者向け)。
甘さを抑えたい方は、砂糖を加えず柿の甘みだけで漬けるのもおすすめです。
その他に必要な材料と道具
-
保存瓶(密閉できるガラス容器):アルコール対応で清潔なものを使用しましょう。煮沸消毒が可能な耐熱タイプがおすすめです。
-
氷砂糖(お好みで):甘みを加えたい場合に使用。溶けやすく、風味も安定します。
-
竹串やナイフ:柿のヘタや種を取り除くのに使います。
事前に道具をしっかり準備し、衛生管理を徹底することで、安心して果実酒作りを楽しめます。
柿酒の基本レシピ|作り方の手順
下準備のポイント
柿酒作りを始める前に、まずは材料と道具を清潔に整えることが大切です。
-
保存瓶は煮沸消毒し、しっかり乾かしておきましょう。
-
柿はよく洗って水気を拭き取り、ヘタを取り除きます。 皮はむいてもむかなくても構いませんが、果皮に風味があるため、皮ごと使う人も多いです。
完熟しすぎて柔らかくなりすぎた柿よりも、果肉がしっかりしている完熟手前の柿が扱いやすく、漬け込みにも適しています。
漬け込みの手順と保存方法
【材料の目安】
-
柿(甘柿または渋柿)…500g(中〜大サイズ3〜4個)
-
ホワイトリカー(35度)…900ml
-
氷砂糖…100g(お好みで調整)
【作り方】
-
柿は皮ごと使う場合はよく洗い、水気を拭き取る。皮をむく場合は軽く剥き、4〜6等分のくし切りにする。
-
煮沸消毒・乾燥させたガラス瓶に、柿と氷砂糖を交互に入れる。
-
ホワイトリカーを静かに注ぎ入れ、しっかり蓋を閉める。
-
直射日光の当たらない涼しい場所で保存。
-
1〜2か月ほど漬け込むと香りがなじみ、美味しく飲めるようになります。
※長期間置くことで風味が変化し、よりまろやかな味わいに。漬けた柿の実は、お好みで取り出して食べることもできます。
飲み頃の目安と保管期間
-
飲み頃:1か月〜2か月目以降 柿の甘みと香りがリカーにしっかり移り、角の取れたまろやかな味になります。氷砂糖を加えた場合は、1週間程度で溶け始め、味に丸みが出てきます。
-
保存期間の目安:6か月〜1年 長く漬けると色味が濃くなり、ドライフルーツのような香りが出てくる場合もあります。ただし、風味の変化が気になる場合は、3〜6か月で飲み切るのがおすすめです。
柿酒をもっと楽しむアレンジ方法
自家製の柿酒は、そのままでも十分美味しくいただけますが、少しアレンジを加えることで、より幅広い楽しみ方が広がります。季節や気分に合わせて、自分好みのスタイルで味わってみましょう。
ロックやソーダ割りで楽しむ
一番シンプルな飲み方は、ロックやソーダ割りです。
-
ロック:氷を入れたグラスに柿酒を注ぐだけで、ひんやりとした口当たりと濃厚な甘みをじっくり味わえます。
-
ソーダ割り:炭酸水で割れば、爽やかなのどごしが加わり、食前酒や気軽な晩酌にぴったりです。柿のやさしい甘みと香りが引き立ちます。
ヨーグルトやアイスにかけてデザート風に
柿酒はデザートのアクセントとしても優秀です。以下のようなアレンジもおすすめです。
-
バニラアイスにひとさじかける:甘さと香りがプラスされて、まるで大人向けのスイーツに。
-
ヨーグルトに少量加える:さっぱりとした酸味に柿酒の甘みがよく合い、朝食や食後にもぴったり。
※アルコールが残るため、お子さまやアルコールに弱い方がいる場合は注意してください。
贈り物としてのラッピングアイデア
手作りの柿酒は、秋の贈り物としても喜ばれます。ちょっとした工夫で、見た目も素敵に演出できます。
-
ガラス瓶にクラフトラベルや麻ひもを巻いて、手書きのラベルを添える。
-
仕込み日や飲み頃を記載すると、受け取る側も安心して楽しめます。
-
季節感のある布や和紙で包むと、秋らしい雰囲気がぐっと高まります。
大切な人へのプチギフトに、自家製柿酒の温かみを添えてみてはいかがでしょうか。
注意点と法律上のポイント

自家製の果実酒を楽しむ際には、安心・安全に仕込むことはもちろん、日本の酒税法や食品衛生法に関する基礎的な知識も知っておくことが大切です。
酒税法・食品衛生法についての基本知識
日本では、個人が酒類を製造・販売することは原則として法律で禁止されています。ただし、以下のような条件を満たす場合には、酒税法上の例外として自家製果実酒の作成が認められています。
-
使用するアルコールは、酒税が課された市販の蒸留酒(アルコール度数20%以上)であること
-
使用する材料は「糖分を含む果実類」であること
-
漬け込む目的は、自家消費に限られること(販売不可)
-
発酵を伴う可能性がある材料(米や麦など)は使用不可
このルールを守ることで、家庭での果実酒作りは合法的に楽しむことができます。
また、漬け込んだ容器や使用する果物が清潔でない場合、カビや異臭の原因となる可能性もあります。衛生管理をしっかり行い、保存中も定期的に状態を確認するようにしましょう。
家庭で安全に楽しむための心得
-
保存瓶は耐熱ガラス製で、必ず煮沸消毒すること
-
柿はよく洗って水分を完全に拭き取ること
-
保存場所は直射日光を避けた冷暗所にすること
-
開封後はなるべく早めに消費するよう心がけましょう
こうした基本を押さえることで、安心して柿酒作りを楽しむことができます。
出典:
厚生労働省『家庭における食品衛生管理のポイント』 (URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/eisei/index.html 最終確認日:2025年8月)
まとめ|秋の味覚を閉じ込めた、自分だけの柿酒を楽しもう
柿のやさしい甘みと芳醇な香りをぎゅっと閉じ込めた柿酒は、秋にしか味わえない贅沢な一杯です。作り方はシンプルながらも、使う柿の品種やお酒の種類によって風味に個性が生まれ、自分好みの味わいに仕上がるのが自家製ならではの楽しみです。
手間をかけて仕込んだ柿酒は、ロックやソーダ割り、デザートアレンジなどさまざまな形で楽しめます。秋の夜長、心をほどく一杯として、自分だけの果実酒づくりにぜひ挑戦してみてください。
柿酒はどのくらいの期間で飲めるようになりますか?
通常、漬け込みから1〜2か月程度で飲み頃を迎えます。時間が経つほど風味がまろやかになり、味わいに深みが増していきます。
渋柿でも柿酒を作れますか?
はい、作れます。アルコールに漬けることで渋みは自然に抜け、甘みのある果実酒になります。ただし、熟しすぎない柿を使うのがおすすめです。
冷蔵庫で保存したほうがよいですか?
基本的には直射日光を避けた冷暗所で常温保存できます。ただし、高温多湿の時期や漬け込み後長期間保存する場合は、風味の劣化を防ぐために冷蔵庫保管も有効です。
柿酒のアルコール度数はどのくらいですか?
ベースに使用するホワイトリカーなどの度数に左右されますが、一般的にアルコール度数は20〜30%前後になります。加水や炭酸で割れば度数は下がります。
漬けた柿はそのまま食べられますか?
はい、食べられます。お酒がしっかりしみ込んでいるので、そのままでも美味しく、大人向けのデザートやトッピングにもおすすめです。ただし、アルコールが含まれているため、未成年やアルコールに弱い方は控えましょう。