近年、メディアで話題のパンは数あれど、お店に足を運ぶのはなかなか難しいもの。そんな時、自宅で手軽に流行りのパンを作れたら嬉しいですよね?今回は、進化系クロワッサンとして注目を集める「パンスイス」の作り方をご紹介します。サクサクの生地に、濃厚なカスタードクリームとチョコチップが織りなすハーモニーは、まさに至福の味。少しの手間をかければ、お店に負けない本格的な味わいを自宅で楽しめます。さあ、あなたも話題のパンスイス作りに挑戦してみませんか?
パンスイスとは?クロワッサン生地で進化した、とっておきのパンの魅力
パンスイスは、従来のパンの概念を覆す「進化形パン」として、今、熱い視線を集めています。その原点は「ブリオッシュスイス」にあり、ブリオッシュスイスは、リッチなブリオッシュ生地に、なめらかなカスタードクリームや風味豊かなチョコレートを挟んだパンです。「ブリオッシュスイス」は、名前こそスイスですが、実はフランスで愛されている伝統的なパンなのです。それに対し、パンスイスは、ブリオッシュ生地の代わりに、あのサクサクとした食感がたまらないクロワッサン生地を使用しているのが特徴です。このクロワッサン生地を使うことで、外側は軽やかで香ばしく、内側に挟んだカスタードクリームとチョコレートの、とろけるような甘さとのコントラストが、口の中で素晴らしいハーモニーを奏でます。目を引く美しい縞模様も特徴で、一口食べれば、その幾層にも重なったサクサクの食感と、とろけるフィリングの組み合わせに、きっと夢中になるはずです。
パンスイス作り成功の秘訣!美しい層と極上の食感を生み出す重要ポイント
ご家庭でクロワッサン生地を使ったパンスイスを作る際、あの美しい層と、誰もが憧れる食感を実現するためには、いくつかの押さえておきたいポイントがあります。これらのポイントを意識することで、まるで専門店のような本格的な仕上がりを目指すことができます。まず、何よりも大切なのは「バターと生地(デトランプ)の硬さを均一にすること」です。もしバターが生地に対して硬すぎたり、逆に柔らかすぎたりすると、生地全体に均一にバターを伸ばすことが困難になり、結果として、美しい層が形成されません。次に重要なのが、「折り込み作業中は、生地をこまめに冷やしながら作業を進めること」です。特に気温が高い時期は、折り込んでいる間にバターが溶け出してしまうことがあります。バターが一度溶けてしまうと、その後の作業で冷やし固めても、バターの伸びが悪くなり、生地の中でバターが割れやすくなってしまいます。これが、美しい層にならず、パンスイスならではの縞模様や、あのサクサクとした食感が生まれない原因となります。そのため、生地が少しでも柔らかくなったと感じたら、迷わず冷蔵庫や冷凍庫で冷やし固める工程を挟むことが、成功への近道となります。冷やすのは少し手間ですが、生地が扱いやすくなるだけでなく、あの極上のサクサク食感に繋がります。今回のレシピでは、バターの作業性をさらに向上させるために、バターに準強力粉を混ぜて使用します。こうすることで、バターが溶けにくくなり、生地と一体化しやすくなるため、より安定して美しい層を作り出すことが可能になります。また、二次発酵の際も、バターが溶けないように、低い温度でじっくりと発酵させることも、美味しく仕上げるための大切なポイントです。
パンスイス作りにチャレンジ!お家で楽しむ基本レシピ(6個分)
あの美味しいパンスイスが、クロワッサン生地にカスタードクリームやチョコレートを挟むだけで、ご自宅でも作れるようになります。ここでは、具体的な材料と、詳しい手順を6個分としてご紹介します。生地作りの基本はクロワッサンと同じですが、パンスイスならではの成形方法をしっかりとチェックしてください。このレシピでは、主な材料として、シートバター、カスタードクリーム、仕上げに使うシロップ(30ボーメ)、そして生地のベースとなるデトランプを使用します。それぞれの材料を正確に準備し、一つ一つの工程を丁寧にこなすことが、美味しいパンスイスを作るための重要な鍵となります。
パンスイスの材料(6個分)
<シートバター>
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無糖バター:75g
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準強力粉:15g
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塩:0.5g
 
<デトランプ>
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準強力粉:150g
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無塩バター:12g
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塩:2.8g
 
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ドライイースト:1.5g
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水:10g
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牛乳:70g
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グラニュー糖:20g
 
<カスタードクリーム>
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牛乳:100g
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卵黄:1個
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グラニュー糖:15~20g
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バニラオイル:2滴
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練乳(あれば):5g
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薄力粉:10g
 
<30ボーメシロップ>
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水:25g
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グラニュー糖:32.5g
 
パンスイスの作り方:手順
1. シートバターの準備:おいしいパンスイスを作る上で、シートバターの準備は非常に重要です。冷蔵庫で一晩寝かせて、しっかりと冷やしておきましょう。材料は正確に計量し、バターは特に冷たい状態を保つことがポイントです。可能であれば、ステンレス製のボウルに入れ、冷凍庫で1時間程度冷やすと、より扱いやすくなります。フードプロセッサーにすべての材料を投入し、最初はサラサラになるまで混ぜ、その後5秒ほど追加で回して生地がまとまり、「ゴトゴト」と塊になり始めたらすぐに停止します。ラップに取り出し、約10cm×15cmの長方形に成形します。
2. デトランプ(生地ベース)の準備(液体部分):牛乳と水を混ぜ合わせ、電子レンジ(600W)で20秒ほど温めます。そこにグラニュー糖とイーストを加え、完全に溶かします。この工程でイーストが活性化し、発酵を促進します。
3. デトランプの準備(粉とバターのすり合わせ):準強力粉、バター、塩を正確に計量します。準強力粉と塩をホイッパーで混ぜ合わせた後、冷えたバターを加え、指先でバターを細かくしながら、粉類とすり合わせるように混ぜていきます。フードプロセッサーを使用すると、この工程をより簡単に行うことができます。
4. デトランプの準備(生地のまとめ):粉とバターが均一に混ざったら、ステップ2で用意した液体を加え、ゴムベラで混ぜてひとまとめにします。生地を台に取り出し、グルテンが出過ぎないように、軽く30回ほどこねます。粉っぽさがなくなったら、丸い形に整えます。
5. デトランプの一次発酵と冷却:丸めた生地をボウルに入れ、乾燥を防ぐためにラップなどで覆い、30℃で約60分間、一次発酵させます。生地が約2倍の大きさになったら、軽く潰してバットに移し、ラップをかけて冷凍庫で20〜30分冷却します。この冷却により、生地が引き締まり、後の折り込み作業がスムーズになります。
6. カスタードクリームの準備(卵黄ベース):一次発酵中に、カスタードクリームを作って冷やしておきましょう。ボウルに卵黄とグラニュー糖を入れ、グラニュー糖が完全に溶けるまでしっかりと混ぜ合わせます。次に薄力粉を加え、均一になるようによく混ぜます。最後にバニラオイルを加えて、香りをつけます。
7. カスタードクリームの準備(加熱):小鍋に牛乳を入れ、湯気が出る程度(沸騰させないように注意)に温めます。温めた牛乳を、ステップ6で作った卵黄液に少しずつ加えながら、ホイッパーで絶えず混ぜ合わせます。しっかりと混ざったら、ストレーナーで濾しながら鍋に戻し、中火にかけます。焦げ付かないように、常にホイッパーで混ぜながら加熱します。
8. カスタードクリームの準備(仕上げと冷却):鍋底からカスタードがフツフツと湧いてきたら火を止め、練乳を加えてよく混ぜ合わせます。練乳を加えることで、より濃厚で滑らかな味わいになります。完成したカスタードクリームはバットに移して平らに広げ、表面にぴったりとラップをかけ、冷蔵庫で冷やします。これにより、表面の乾燥と雑菌の繁殖を防ぎます。
9. バターの折り込み(1回目):デトランプが十分に冷えたら、いよいよバターの折り込み作業に入ります。デトランプを横15cm、縦25cm程度に伸ばし、中央にシートバターを配置します。上下の生地をシートバターを覆うように折りたたみます。生地を90度回転させ、麺棒に体重をかけながら、均一な厚さになるように丁寧に伸ばしていきます。
10. バターの折り込み(2回目以降と冷却の重要性):生地を約40cmの長さに伸ばしたら、三つ折りまたは四つ折りにします。四つ折りの方が層が多くなり、焼き上がりが軽くなりますが、伸ばすのが難しくなるため、折り込みに慣れていない場合は、まず三つ折りから試してみることをおすすめします。折り込んだら生地を90度回転させ、同様に体重をかけながら丁寧に伸ばし、最後に三つ折りにします。この折り込み作業では、生地を冷やしながら行うことが非常に重要です。生地が柔らかくなってきたと感じたら、すぐにバットに入れ、乾燥しないようにラップをかけて冷凍庫で15分ほど冷やしてから作業を再開してください。伸ばしている最中に少しでも柔らかいと感じたら、すぐに冷やすことで、バターが溶け出すのを防ぎ、美しい層を保つことができます。
11. 生地の成形(切って重ねる):三つ折りにした生地を、横15cm、縦30cmほどの長さに伸ばします。伸ばした生地の端から約5mm幅で均一にカットし、切った生地を反対側の生地の上に、断面が表面に向くように丁寧に並べていきます。この「切っては乗せる」作業を、切れる部分がなくなるまで繰り返したら、上から軽く麺棒で押さえて生地全体を馴染ませます。
12. 生地の最終成形に向けた冷却と伸ばし:生地を麺棒で軽く抑えて馴染ませたら、再度冷凍庫で15分ほど冷やします。これにより生地が引き締まり、次の工程で層を潰さずに伸ばしやすくなります。冷凍庫から取り出した生地を、層を潰さないように慎重に伸ばしていきます。最終的に、横20cm、縦25cmの長方形に伸ばします。この状態まで伸びたら、再度冷凍庫に入れて15分ほど生地を冷やし、次の工程に備えます。
13. 成形(カットとフィリングの準備):生地を冷やしている間に、用意しておいたカスタードクリームを絞り袋に入れます。生地が十分に冷えたら、横20cm、縦25cmの大きさに伸ばし、そこから4cm幅で均等に5枚にカットします。
14. 成形(フィリングと二次発酵):カットした生地の真ん中に、絞り袋に入れたカスタードクリームを丁寧に絞り出します。お好みでレーズンやチョコチップなどをカスタードの上に散らしても良いでしょう。カスタードが乗っていない両端の生地を折りたたみ、フィリングを包み込みます。成形した生地は、天板にシルパンまたはオーブンシートを敷き、裏返して乗せます。二次発酵は、25〜28℃の温度で90〜120分を目安に行います。発酵温度が高すぎると(30℃以上)、折り込んだバターが溶け出し、層が崩れる可能性があるため、温度管理には十分注意してください。
15. 30ボーメ シロップの準備:二次発酵中に、焼き上がりの艶出しと風味付けのために、30ボーメ シロップを作ります。シロップの材料(水、グラニュー糖など)をすべて小鍋に入れ、砂糖が完全に溶けるまで加熱します。沸騰させ、グラニュー糖の粒が見えなくなれば完成です。熱いため、耐熱容器に移し替えて冷ましておきます。
16. 焼成と仕上げ:発酵完了の目安は、生地表面が少しずつ開き、層の隙間が開き始めることです。発酵中は生地が乾燥しないように注意が必要です。発酵完了に合わせて、オーブンを230℃に予熱します。発酵が完了した生地を、予熱したオーブンで230℃で3分焼き、その後220℃に下げて10〜12分ほど焼きます。オーブンから取り出したら、熱いうちに準備しておいた30ボーメ シロップを刷毛で全体に丁寧に塗ります。焼き上がってから15分ほど置き、シロップが乾いて粗熱が取れた頃が、パンスイスの一番美味しい食べごろです。
折り込み回数とリベイクで変わるパンスイスの食感
パンスイスの食感は、生地の折り込み回数によって大きく左右されます。例えば、三つ折りで仕上げた生地は層が厚くなるため、サクサクとしたしっかりとした食感になります。一方、四つ折りで仕上げた生地は、より多くの層が生まれるため、パリパリとした軽い食感が楽しめます。お好みに合わせて折り込み回数を選んでみてください。また、時間が経って表面が柔らかくなってしまったパンスイスも、トースターで軽くリベイク(焼き直し)し、その後冷ますことで、再びサクサクとした食感を蘇らせることができます。大量に作って冷凍保存する場合は、自然解凍した後、同様にトースターで軽くリベイクすると、焼きたてに近い美味しさを味わうことができます。
アレンジレシピ:手軽なチョココーティング
焼き上がったパンスイスに、粉糖の代わりにコーティングチョコレートで仕上げるのもおすすめです。湯煎や電子レンジでチョコレートを溶かし、冷ましたパンスイスにつけるだけで、手軽に市販の菓子パンのような仕上がりになります。見た目も可愛く仕上がるので、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、ストロベリーチョコレートなど、様々なフレーバーのチョコレートで試してみてください。チョコレートをコーティングすることで、風味と甘さがさらに豊かになり、見た目も華やかになります。
涼しさが決め手!自家製パンスイスで極上の食感を追求
いかがでしたでしょうか?人気のパンスイスをご自宅で再現するための詳細なレシピをご紹介しました。生地を折り込むパン作りの成否は、工程中に生地を適切に冷やすことができるかにかかっています。この一手間によって、バターが溶け出すのを防ぎ、美しい層を崩すことなく、理想的な状態に仕上げることができます。気温が高い時期はバターが溶けやすいので少し工夫が必要ですが、涼しい時間帯を選んで、ぜひこの美味しいパンスイス作りに挑戦してみてください。
まとめ
パンスイスは、ブリオッシュスイスから進化し、クロワッサンのような軽やかな食感が楽しめるパンです。ご自宅で美しい層と風味を再現するには、「バターと生地の温度を均一に保つこと」と「作業中は生地を常に冷やしておくこと」が成功の鍵となります。シートバター、デトランプ、カスタードクリームの準備から、バターの折り込み、適切な温度での発酵と焼き上げまで、各工程での細心の注意が、理想的な層と食感を生み出します。特に、折り込み作業中の冷却は、バターが溶けて層が崩れるのを防ぐために重要で、生地の扱いやすさと食感の向上に繋がります。また、二次発酵も低温でじっくり行うことが大切です。3つ折りか4つ折りかで食感(ザクザクかパリパリか)を調整でき、冷めてもリベイクすれば美味しくいただけます。チョコレートでコーティングするなど、アレンジ次第で見た目も味も楽しいパンスイスになります。気温が低い時期に、これらのポイントを意識すれば、本格的なパンスイスをご家庭でも作れるはずです。ぜひ、このレシピを参考に、手作りのパンスイスに挑戦し、その魅力を堪能してください。
パンスイスとブリオッシュスイス、何が違うの?
パンスイスは、フランスの菓子パン「ブリオッシュスイス」から生まれたパンです。ブリオッシュスイスは、ブリオッシュ生地にチョコレートやカスタードクリームを挟んだものですが、パンスイスは、ブリオッシュ生地の代わりにクロワッサン生地を使用しています。そのため、パンスイスはクロワッサンのようなサクサクとした食感が特徴で、カスタードクリームやチョコレートとの相性も抜群です。
パンスイス作りで、クロワッサン生地を扱う際のコツは?
最も大切なコツは、「バターと生地の温度を揃えること」と「生地を冷やしながら作業すること」です。バターと生地の温度が異なると、生地が均一に伸びず、きれいな層ができません。また、作業中にバターが溶け出すと、生地の伸びが悪くなり、層が崩れてしまいます。生地が柔らかくなってきたと感じたら、すぐに冷蔵庫で冷やすようにしましょう。この冷却作業が、生地の扱いやすさを高め、サクサクとした食感を生み出す秘訣です。
パンスイスの生地を折り込む回数で、食感はどのように変化するのでしょうか?
生地の折り込み回数は、パンスイスの食感を大きく左右します。例えば、生地を三つ折りで重ねる場合、層が比較的厚くなるため、しっかりとした歯ごたえのある、ざっくりとした食感になります。一方で、四つ折りで重ねる場合は、層の数が多くなるため、より軽やかで、パリパリとした食感に仕上がります。ご自身の好みに合わせて、折り込み回数を調整してみてください。
焼き上げたパンスイスの保存方法と、風味を損なわずに美味しく温め直す方法(リベイク)を教えてください。
焼き立てのパンスイスは、少し粗熱が取れたくらいが最も美味しい状態ですが、時間が経過すると表面がしっとりとしてしまうことがあります。そのような場合は、トースターで軽く焼き直し、その後冷ますことで、再びサクサクとした食感を取り戻すことができます。冷凍保存する際は、自然解凍してから、同様にトースターで軽く温め直すと、美味しくお召し上がりいただけます。
パンスイス作りに適した季節はありますか?
パンスイスを作るのに特に適しているのは、気温が低い、比較的涼しい時期です。パンスイスの生地はバターを多く使用するため、気温が高いとバターが柔らかくなりすぎてしまい、作業が困難になる場合があります。涼しい時間帯、例えば朝や晩などを利用すると、バターが溶け出す心配が少なく、より美しく層が分かれた生地を作ることができます。また、二次発酵も低温でゆっくりと行うことが推奨されています。
パンスイスのおすすめのアレンジレシピはありますか?
はい、あります。焼き上がったパンスイスに、粉糖の代わりにチョコレートでコーティングするアレンジはいかがでしょうか。湯煎や電子レンジで溶かしたチョコレートを、冷ましたパンスイスにディップするだけで、手軽に市販の菓子パンのような見た目と味わいを楽しむことができます。ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、ストロベリーチョコレートなど、様々なフレーバーのチョコレートを試して、見た目も可愛らしく、風味豊かなパンスイスを創作してみてください。













