春の訪れとともにやってくる花粉症。毎年悩まされている方も多いのではないでしょうか?そんな辛い症状の緩和に役立つと近年注目されているのが、和歌山県原産の柑橘類「じゃばら」です。この記事では、じゃばらが花粉症対策に役立つと考えられている理由、その成分やメカニズムを詳しく解説。さらに、効果的な選び方から、毎日の生活に取り入れやすい活用術まで、じゃばらで花粉症を乗り切るための情報を徹底的にご紹介します。

じゃばらとは?知られざる柑橘の魅力
じゃばらは、花粉症対策として注目されている柑橘系の果物です。和歌山県北山村という限られた土地で育つ、柚子と九年母が自然に交配した希少な品種で、「幻の果実」とも呼ばれています。「邪気を払う」という意味を持つ名前で、種が少ないのが特徴です。北山村では古くから、お正月料理の調味料として親しまれてきました。実は11月頃から色づき始め、12月頃に収穫時期を迎えます。じゃばらの栽培は、北山村の民家の庭に自生していた一本の木から始まりました。その木の所有者である福田国三氏が、幼い頃から慣れ親しんだ味を広めようとしたのがきっかけです。
じゃばらの成分:花粉症へのアプローチ
じゃばらには、ビタミンB群、ビタミンC、カロテン、クエン酸など、様々な栄養素が豊富に含まれています。中でも特に注目されているのが、フラボノイドの一種である「ナリルチン」です。和歌山県工業技術センターの研究によると、ナリルチンには花粉症の症状を引き起こす「脱顆粒」という現象を抑制する効果が期待されています。脱顆粒とは、体内のアレルギー物質と結合した細胞が、くしゃみや鼻水などの原因となる物質を放出する反応のことです。ナリルチンは比較的速効性があり、摂取後1~2時間程度で効果を感じる人もいるようです。岐阜大学医学部の研究論文では、じゃばら果汁を朝夕5mlずつ摂取することで、スギ花粉症の症状と生活の質(QOL)の改善に有効であると報告されています。ナリルチンは果肉よりも果皮に多く含まれており、花粉症だけでなく、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのⅠ型アレルギー症状を緩和する効果も期待されています。
苦難を乗り越えて:じゃばらが村を救った物語
じゃばらが新しい柑橘類と認められ、小規模な農園から始まった栽培は、少しずつ収穫量を増やしていきました。しかし、売上はなかなか伸びず、平成3年から11年までは生産調整を余儀なくされ、「じゃばら事業から撤退もやむなし」という状況に陥ったそうです。そんな中、毎年20kgものじゃばらを購入する顧客が現れました。村の職員が理由を尋ねたところ、「じゃばらのおかげで花粉症が楽になった」という答えが返ってきました。村がインターネットでアンケートを実施したところ、同様の意見が多数寄せられたため、和歌山県工業技術センターで成分を分析した結果、じゃばらにアレルギー反応を抑制する成分「ナリルチン」が豊富に含まれていることが判明しました。この発見がテレビやネットショップで取り上げられ、じゃばらは北山村だけで栽培される“幻の柑橘”から、村の経済を支える“救世主”へと変わっていきました。
じゃばらの味:独特の風味を堪能する
じゃばらは、ユズよりも少し大きく、種がほとんどありません。ユズやカボスに比べて果肉が柔らかく果汁が豊富で、非常に絞りやすいのが特徴です。「にがうま」と表現されるように、ユズとは異なる爽やかな香りと、独特の苦味が楽しめます。口に含むと、柑橘系の爽やかな香りと共に、強い苦味と酸味が広がります。酸味が強いため、ミカンのようにそのまま食べるには向きませんが、成分分析の結果、ユズやカボスよりも糖度が高いため、酸味と苦味の後にほんのりとした甘みも感じられます。子供よりも大人向けの柑橘と言えるでしょう。じゃばらは漢字で”邪払”と書き、縁起の良いものとして、北山村では昔からお正月料理(さんま寿司、昆布巻、海苔巻き)の食酢として利用されてきました。生の果実や果汁は、寿司酢や鍋物、湯豆腐などに使われています。
じゃばらの食べ方・使い方:果汁、粉末、ピューレ
じゃばらの果汁は、独特の風味を活かして、様々な料理に活用できます。そのままストレートで飲むのはもちろん、例えば、ソーダやアルコール飲料に加えて、爽やかなじゃばらドリンクやお酒として楽しむのもおすすめです。また、ドレッシングやソースに少量加えることで、風味豊かなアクセントになります。じゃばらの果皮を粉末にしたものは、「粗びき」と「粉末」の2種類があります。「粗びきタイプ」は、紅茶などの茶葉に混ぜて、香り高いオリジナルブレンドを作るのに最適です。「粉末タイプ」は、ヨーグルトやスムージーに混ぜたり、お菓子作りの材料として使用したりするのに向いています。じゃばらのピューレは、ヨーグルトやアイスクリームのトッピングとして、また、パンに塗るジャムの代わりとしても美味しくいただけます。さらに、肉や魚料理のソースに加えたり、カレーやシチューの隠し味として使用したりするのもおすすめです。
多様なじゃばら商品:果汁から加工品まで
和歌山県北山村では、じゃばらの魅力を広く伝えるため、様々な商品の開発に取り組んでいます。特に、じゃばら果汁は、旬の時期に収穫されたじゃばらをそのまま搾った100%ストレート果汁で、添加物を一切使用していないのが特徴です。じゃばら果皮粉末は、収穫したじゃばらの果皮を、冷凍、解凍、乾燥、粉砕、ふるい分けという独自の工程を経て加工したものです。また、じゃばらピューレは、じゃばらの果実を丸ごとミキサーにかけてピューレ状にし、加熱処理を施したものです。これらの他にも、はちみつじゃばら、じゃばらまる、じゃばらぽん酢じゃぽんなど、様々なアイデアを活かした商品が開発されています。じゃばらを原料としたお酒やスイーツなども製造されています。
じゃばら栽培へのこだわり:エコファーマーの取り組み
じゃばら栽培に取り組む生産者の中には、安全性と品質を重視し、環境への負荷を低減するために、化学合成農薬や化学肥料の使用量を抑えた栽培方法を実践している事業者も存在します。また、栽培から加工までの全工程を一貫して管理することで、品質向上に努めている事業者もいます。
じゃばらの持つ栄養と将来性
じゃばらは、花粉症の症状緩和に効果が期待されるフラボノイドの一種である「ナリルチン」を豊富に含んでいるだけでなく、ビタミンB1・B2・C、カロテン、クエン酸などの栄養素も豊富です。じゃばらを加工した製品は、多様な用途に活用できるため、新しい食品の開発に積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
じゃばらは、花粉症の緩和が期待されるだけでなく、その個性的な風味と優れた栄養バランスで、様々な可能性を秘めた魅力的な果物です。北山村の人々の情熱とたゆまぬ努力によって育まれたじゃばらを、ぜひ一度お試しください。その独特な「苦味と旨味」が織りなすハーモニーは、あなたの食生活に新たな発見をもたらすことでしょう。
本記事で紹介する内容は、特定の効果・効能を保証するものではありません。じゃばらの摂取は食品として、普段の食事の補助としてお考えください。アレルギー症状の治療や改善を目的とする場合は、必ず専門の医療機関にご相談ください。
じゃばらはどこで購入できますか?
じゃばらの果実や加工品は、和歌山県北山村の公式オンラインストアや、ふるさと納税の特典として手に入れることができます。また、一部の食料品店や百貨店でも販売されていることがあります。
子供や妊婦がじゃばらを食べても大丈夫ですか?
じゃばら自体は、お子様や妊娠中の方が口にしても基本的に問題ありません。ただし、じゃばらを使用した加工食品には、添加物や砂糖が含まれている場合があるため、原材料表示をしっかりと確認してから摂取してください。
じゃばらを摂取する上で注意すべき点はありますか?
じゃばらは柑橘類の一種ですので、柑橘系のアレルギーをお持ちの方は摂取を控えてください。また、過剰に摂取すると、お腹が緩くなることがありますので、適切な量を守って摂取するように心がけてください。