銀杏の種類徹底解説:味、選び方、保存方法から栽培まで
秋の味覚を代表する銀杏。街路樹で見かける身近な存在ですが、実は様々な種類があり、それぞれに味や食感が異なることをご存知でしょうか?この記事では、金兵衛、久寿、藤九郎、栄神といった代表的な品種の特徴、美味しい銀杏の選び方、鮮度を保つ保存方法、ご家庭で銀杏を栽培する方法、安全に美味しく味わうための調理のポイントなどを解説します。銀杏の魅力を余すことなく堪能できるはずです。

銀杏とは?基本情報と歴史

銀杏とは、イチョウ科イチョウ属の樹木であるイチョウの種子、つまり果実の中にある種子の部分のことです。イチョウの木そのものは「生きた化石」とも称され、恐竜が生息していた時代から存在するという非常に古い植物です。日本へは室町時代頃に中国から伝来したとされ、戦国時代には籠城戦における食料としても活用されました。現代では、秋の味覚として広く親しまれています。イチョウの木は街路樹としてもよく見かけられますが、これはイチョウが排気ガスや大気汚染に対する耐性が高いことに起因します。東京のような都市部においても、イチョウは他の樹木に比べて生育しやすいという特徴があります。

銀杏の種類:代表的な品種と特徴

銀杏には多種多様な品種が存在し、それぞれに味、食感、収穫時期などが異なります。主な栽培品種としては、「金兵衛(きんべえ)」、「久寿(きゅうじゅ)」、「藤九郎(とうくろう)」、「栄神(えいしん)」、「長瀬(ながせ)」などが挙げられます。これらの品種の多くは、愛知県稲沢市(旧中島郡祖父江町)で栽培されており、この地域は銀杏の栽培が非常に盛んな場所として知られています。祖父江町で銀杏栽培が発展した背景には、伊吹おろしの強い風から家屋を守るための防風林として、また燃えにくい性質から防火用として、江戸時代からイチョウの木が多く植えられていたことが挙げられます。当時、イチョウの木から採れる大粒の銀杏が高値で取引されたため、大粒種を増やすための接ぎ木が広まり、地域全体に普及しました。その後、品種の選抜と淘汰を経て、愛知県は現在、銀杏の生産量において国内トップクラスとなっています。

銀杏の代表品種:金兵衛(きんべえ)

金兵衛は、愛知県祖父江町の横井金兵衛氏の家の原木が起源とされる品種です。完熟期は9月中旬頃ですが、7月中旬には市場に出回る早生品種です。実は3~4g程度の中粒で、イチョウの木には比較的多くの実がなります。殻の表面はきめが粗く、針で小さな穴を開けたような細かな凹凸があります。形状は先端がやや尖った卵型で、わずかに黄色味を帯びており、甘みが控えめでさっぱりとした、もちもちとした食感が特徴です。加熱すると銀杏の緑色がより鮮やかになります。金兵衛は、他の品種に比べて収穫時期が早いため、比較的早い時期から秋の味覚を楽しみたい方におすすめです。また、そのあっさりとした風味は、様々な料理に合わせやすく、和食はもちろんのこと、洋食にも活用できます。

銀杏の代表的な種類:久寿(きゅうじゅ)・久治(きゅうじ)

「久寿」または「久治」という名前で知られるこの品種は、およそ140年前、愛知県祖父江町山崎にお住まいの富田久次郎氏が接ぎ木によって育成したと伝えられています。現在では祖父江町での栽培が最も盛んであり、かつては「久治ぎんなん」として広く知られていましたが、昭和30年代に「久寿」へと名称が変更されました。成熟期は10月上旬から中旬にかけての中晩生種です。実は3~4g程度の中~大粒で、表面には微細な穴が見られ、殻は厚くて硬いという特徴があります。色は乳白色で、丸みを帯びた形状をしています。苦味が少なく、もちもちとした食感が際立っており、濃厚な味わいが楽しめます。特に、久寿はその風味の豊かさともちもち感から、和食との相性が抜群で、茶碗蒸しやおこわといった料理によく用いられます。また、加熱しても形が崩れにくい性質を持つため、料理の見た目を美しく保つ効果も期待できます。

銀杏の代表的な種類:藤九郎(とうくろう)

藤九郎は、現在栽培されている銀杏の種類の中で、特に実が大きいことで知られています。この品種の名前は、岐阜県瑞穂町の井上藤九郎氏の邸宅にあった樹齢約300年の原木に由来します。成熟期は10月中旬から下旬にかけての晩生種です。実は平均して4~5g程度の大粒で、殻の厚さは比較的薄く、楕円形をしています。表面は滑らかで光沢があり、サクサクとした食感と、さっぱりとした甘み、そしてほのかな苦味が特徴で、長期保存にも適しています。その大きさから、贈答品としても選ばれることが多い品種です。また、そのさっぱりとした甘さとほろ苦さは、お酒のお供にもぴったりです。他の品種と比較して、サクサクとした食感が楽しめるため、食感にこだわりたい方には特におすすめです。

銀杏の代表的な種類:栄神(えいしん)

栄神は、愛知県祖父江町の古川栄次郎氏が、およそ140年前に接ぎ木によって育成を始めたとされています。10月中旬頃に成熟期を迎える中晩生種です。銀杏のサイズがやや小ぶりであるため、市場への流通量はあまり多くありません。しかし近年、抗酸化成分が豊富に含まれていることが明らかになり、地元では商品開発が進められています。実は3~4g程度の中粒で、殻は薄く、色は乳白色、やや細長く滑らかな表面をしています。もちっとした食感が特徴です。市場に出回ることは少ないかもしれませんが、健康を意識する方には特におすすめです。また、その独特のもっちりとした食感は、他の品種とは一線を画す風味を楽しむことができます。

銀杏の鮮度:実の色とクロロフィルとの関係

銀杏の実は、黄色いものと緑色のものがありますが、これは収穫の時期や品種、栽培される場所だけでなく、鮮度の影響を強く受けています。新鮮な銀杏は、殻を割るとわずかに黄色がかった乳緑色をしており、時間が経過するにつれて乳白色へと変化していきます。加熱することによって鮮やかな緑色(翡翠色と呼ばれることもあります)に変わりますが、この色の変化は、加熱前の銀杏の実の色によって大きく左右されます。生の銀杏を半分に切った際、見た目が乳白色であっても中が緑色であれば加熱後に緑色になりやすく、中も黄色がかっていれば、黄色がかった色になります。この緑色は、銀杏に含まれるクロロフィルという色素によるもので、クロロフィルが多く含まれているほど、より鮮やかな緑色になるのです。したがって、鮮度が低下して表面だけでなく内部の色も黄色味が強くなった銀杏は、加熱しても美しい緑色にはなりません。

銀杏の選び方:おいしいイチョウの実を見極めるコツ

おいしい銀杏を選ぶには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。まず、殻の色をチェックしましょう。白っぽく、つややかなものが良品です。殻に黒ずみや傷が見られるものは、鮮度が落ちている可能性があります。次に、重さを比べてみましょう。同じくらいの大きさであれば、ずっしりと重い方が実が詰まっていておいしいことが多いです。さらに、可能であれば、殻を少し割って中身の色を確認するのがおすすめです。新鮮な銀杏は、淡い緑色を帯びた乳白色をしています。黄色みが強いものは、鮮度が落ちていると考えられるため、避けた方が良いでしょう。これらの点に注意して、おいしい銀杏を選んでみてください。

銀杏の保存方法:長期保存のためのヒント

銀杏は生鮮食品ですので、できるだけ早く食べるのが理想的ですが、適切な方法で保存すれば、比較的長く風味を保つことができます。冷蔵保存する場合は、殻付きのままチルド室に入れることで、約1ヶ月間保存することが可能です。より長期間保存したい場合は、一度茹でて殻と薄皮を取り除き、実だけの状態にしてから冷凍するのがおすすめです。冷凍する際は、水気をしっかりと拭き取り、密閉できる保存袋に入れて冷凍庫で保存してください。冷凍保存した銀杏は、約3ヶ月程度保存可能です。また、別の方法として、殻付きのまま紙封筒などに入れ、電子レンジで加熱して殻を割り、冷まして乾燥させて保存する方法もあります。この方法で保存すると、常温で数ヶ月間保存することができます。

銀杏の調理方法:安全でおいしい食べ方

銀杏を調理する際には、いくつかの注意点があります。まず、銀杏にはわずかな毒性成分が含まれているため、食べ過ぎには注意が必要です。特に小さなお子様は、大人よりも影響を受けやすいので、食べる量を制限するように心がけましょう。ぎんなん(銀杏)の摂取目安量について、厚生労働省や消費者庁など日本の公的機関が『大人は1日に7~8粒、子供は2~3粒』と明確に推奨している一次情報は確認できませんでした。厚生労働省の公式情報や学術論文、政府機関の資料を調査したが、具体的な粒数を示した摂取目安は見当たりません。 (出典: 厚生労働省、消費者庁、学術論文(2024年7月時点での調査結果), URL: https://www.mhlw.go.jp/, 2024-07-20)
銀杏を加熱する方法としては、殻付きのまま紙封筒などに入れて電子レンジで加熱する方法や、フライパンで炒る方法などがあります。電子レンジで加熱する際は、破裂を防ぐために、封筒に数カ所穴を開けてから加熱するようにしましょう。フライパンで炒る場合は、焦げ付かないように弱火でじっくりと炒めるのがポイントです。加熱した銀杏は、殻を割って薄皮を剥いてから食べます。薄皮は苦味があるので、気になる場合は取り除いてください。

銀杏の栄養価:健康効果と注意点

銀杏には、様々な栄養素が含まれており、健康に良い効果も期待できます。銀杏には、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどのビタミン類や、カリウム、鉄、亜鉛などのミネラルが含まれています。銀杏には、エネルギー代謝を助けるビタミンB群や、体の調子を整えるカリウムなどのミネラルが含まれています。また、抗酸化物質として知られるフラボノイドも含有しています。本記事で紹介する内容は、特定の効果効能を保証するものではありません。前述したように、銀杏には微量の毒性があるため、食べ過ぎには注意が必要です。特に、小さなお子様や高齢者、体調が優れない方は、食べる量を控えるようにしましょう。また、銀杏アレルギーをお持ちの方は、摂取を避けるようにしてください。

銀杏の育て方:自宅の庭で楽しむ

自宅の庭でも銀杏を育てることができます。イチョウは比較的丈夫で、手入れもそれほど難しくないため、ガーデニング初心者にもおすすめです。栽培場所は、日当たりの良い場所を選びましょう。また、水はけの良い土壌を用意することが大切です。苗木は、ガーデニングショップなどで手に入れることができます。植え付けに適した時期は、葉が落ちた後の休眠期間である11月から3月頃です。植え付ける際は、根を傷つけないように丁寧に扱いましょう。肥料は、年に1、2回程度、有機肥料を与えます。剪定は、不要な枝や密集している枝を整理する程度で十分です。実がなるまでには時間がかかることもありますが、じっくりと育ててみましょう。

まとめ

銀杏は、秋の味覚として親しまれるだけでなく、様々な魅力を持つ食材です。この記事では、銀杏の種類、選び方、保存方法、調理方法、栄養価、育て方など、銀杏に関する様々な情報を詳しく解説しました。それぞれの品種の風味や食感の違いを知り、新鮮さを見極めるポイントを理解し、安全に美味しく食べるための注意点を守ることで、銀杏をより深く堪能できるでしょう。ぜひ、この記事を参考にして、銀杏の魅力を再発見してみてください。

質問1

銀杏特有の臭いの原因は何ですか?
銀杏独特の臭いは、果肉に含まれる酪酸やヘプタン酸などの成分が原因です。これらの成分は、銀杏が熟成する過程で生成されます。特に、十分に熟していない銀杏や、収穫後の処理が適切でない場合に臭いが強くなる傾向があります。この臭いを軽減するためには、収穫後すぐに水に浸して果肉を取り除く、しっかりと乾燥させるなどの処理が重要です。

質問2

銀杏の殻を簡単に割る方法はありますか?
銀杏の殻を割る方法はいくつかあります。手軽な方法としては、封筒に入れて電子レンジで加熱する方法があります。封筒に数カ所穴を開けてから、500Wで1分程度加熱すると、殻が自然に割れやすくなります。また、ペンチや銀杏割り器を使う方法もあります。ペンチを使う場合は、銀杏を挟んで軽く力を加えることで、殻を割ることができます。銀杏割り器は、銀杏専用の道具なので、より安全に、そして簡単に殻を割ることができます。

質問3

イチョウの実である銀杏を過剰に摂取すると、どのような影響がありますか?
銀杏には、ごくわずかながらメチルピリドキシンという有毒な物質が含まれています。この成分を大量に摂取すると、神経系統に作用し、けいれんや意識の混濁といった症状が現れることがあります。特に、お子様は大人よりも影響を受けやすいので、摂取量には十分な注意が必要です。目安として、大人は1日に7~8粒程度、お子様は2~3粒程度が適切とされています。もし、銀杏を摂りすぎて体調に異変を感じた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

質問4

銀杏の薄皮は必ず剥がさなければいけませんか?
銀杏の薄皮は、剥かずにそのまま食べても問題ありません。しかし、薄皮には苦味があるため、気になる場合は剥くことを推奨します。薄皮を剥く際は、加熱した銀杏を冷水に浸し、指で軽くこすると簡単に剥がれます。また、竹串や楊枝を使うと、よりきれいに剥くことができます。薄皮を取り除くことで、銀杏本来の味わいをより一層楽しむことができるでしょう。

質問5

銀杏はアレルギー反応を引き起こす可能性はありますか?
はい、銀杏はアレルギーを引き起こす可能性があります。銀杏アレルギーは比較的稀ですが、発症すると皮膚のかゆみや発疹、呼吸困難といった症状が現れることがあります。銀杏アレルギーの疑いがある場合は、医療機関でアレルギー検査を受けることをお勧めします。初めて銀杏を食べる際は、少量から試して、体調に変化がないか確認するように心がけましょう。

質問6

銀杏が最も美味しく食べられる旬な時期はいつですか?
銀杏の旬な時期は、9月下旬から11月頃にかけてです。この時期に収穫される銀杏は、実が大きく、風味も格別です。特に、10月中旬から下旬頃に収穫される銀杏は、十分に熟しており、最も美味しいとされています。旬の時期には、スーパーマーケットや産地直売所などで新鮮な銀杏を手に入れることができます。また、銀杏狩りが楽しめる農園も存在します。

質問7

銀杏のおすすめ調理法はありますか?
銀杏は多様な料理に活用できます。定番としては、茶碗蒸し、おこわ、炒り銀杏、銀杏ご飯などが挙げられます。茶碗蒸しやおこわでは、銀杏特有の風味と食感が際立ちます。炒り銀杏は、素材本来の味をシンプルに味わえる一品です。銀杏ご飯は、お米と一緒に炊き上げることで、ご飯全体に銀杏の香りが広がり、食欲をそそります。その他、天ぷらや炒め物など、様々な料理にアレンジ可能です。

質問8

イチョウの木を庭に植えても良いですか?
イチョウの木は庭植え可能ですが、注意すべき点があります。まず、イチョウは大きく成長するため、十分なスペースが必要です。また、イチョウには雄株と雌株があり、実をつけるのは雌株のみです。庭に植える際は、雌株を選ぶか、受粉用に雄株も合わせて植えることを検討しましょう。さらに、銀杏の実は独特の臭いを放つため、近隣への配慮も大切です。これらの点に留意すれば、庭でイチョウの木を楽しむことができます。


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