夏に贈るお中元と、冬に贈るお歳暮。どちらも日頃の感謝を伝える贈り物ですが、贈る時期や意味合いには違いがあります。この記事では、お中元とお歳暮の違いを徹底解説。それぞれの贈る時期や意味、相場、そして知っておきたいマナーまで、詳しくご紹介します。この記事を読めば、相手に失礼なく、気持ちよく感謝の気持ちを伝えることができるでしょう。
お中元とは？そのルーツと意義
お中元は、いつもお世話になっている方々へ、感謝の気持ちを込めて贈る夏の贈り物のことです。日頃の感謝を込めて贈る品物であり、多くの場合、特にお世話になっている上司、親族、取引先など、立場が上の人に対して、立場が下の人から贈るのが一般的です。そのルーツは中国の道教における「三元」という考え方にあり、その一つである7月15日の中元祭が起源とされています。この中国の風習が日本のお盆の習慣と混ざり合い、祖先への供養と結びつき、現在のような形でお世話になった方へ贈り物を贈る習慣として根付きました。また、暑い夏に相手の健康を気遣う意味合いも込められています。
お歳暮とは？そのルーツと意義
お歳暮もまた、日ごろお世話になっている方々や仕事関係の方に対し、感謝の気持ちを伝えるために、年末に贈る贈り物のことです。一年の締めくくりとして、その年に受けた感謝の気持ちを込めて贈られます。お中元と同様に、お歳暮も基本的には目下の人から目上の人に贈るのが一般的で、お中元を贈った相手にはお歳暮も贈るのが礼儀とされています。お歳暮として贈る品物は、お中元よりも少し高価なものを選ぶのが良いとされています。その起源は、年末に祖先の霊を祀り、供え物をしていた「御霊祭」にあると言われています。この風習が、親族間で贈り物をする習慣へと変化し、時を経て、日頃お世話になっている方への贈り物へと発展しました。ただし、近年では、会社全体でお中元やお歳暮を禁止している企業も存在するため、会社の人に贈る際には事前に規則を確認することが大切です。
お中元とお歳暮、５つの違い
お中元とお歳暮は、どちらも感謝の気持ちを表す贈り物ですが、そのルーツ、贈る時期、金額、のし紙の種類、選ぶ品物に違いが見られます。これらの相違点を理解することで、より適切に感謝の気持ちを伝えることができるでしょう。
1. ルーツの違い
お中元のルーツは、中国の道教の「三元」という考え方に由来し、日本のお盆の習慣と融合して発展しました。一方、お歳暮のルーツは、年末に行われていた「御霊祭」にあり、祖先を祀る風習が変化して、贈り物をする習慣になったとされています。
2. 贈る時期の相違点
お中元は夏季に、お歳暮は年末に贈るのが通例ですが、その時期は地域によって差があります。例えば、関東地方ではお中元は7月初めから7月15日頃まで、お歳暮は12月13日頃から12月20日頃までに贈るのが一般的です。地域ごとの目安となる時期は以下の通りです。
お中元
- 北海道: 7月15日～8月15日
- 東北・関東: 7月初旬～7月15日
- 北陸: 地域によって異なる
- 関西・東海・中国・四国: 7月中旬～8月15日
- 九州: 8月1日～8月15日
- 沖縄: 旧暦7月15日前後
お歳暮
- 北海道: 12月13日～12月20日
- 東北: 12月13日～12月25日
- 関東: 12月初旬～12月31日
- 北陸: 12月13日～12月20日
- 関西: 12月13日～12月31日
- 東海・中国・四国: 12月13日～12月25日
- 九州: 12月13日～12月20日
- 沖縄: 12月13日～12月20日
贈り物をする相手の地域性を考慮して、時期を選ぶことが大切です。
3. 金額の相違点
一般的に、お歳暮は1年間の感謝の気持ちを表す意味合いがあるため、お中元に比べてやや高価な品を選ぶ傾向が見られます。金額の目安は、贈る相手との関係性によって変わりますが、親戚や友人には3,000円程度、上司や仲人の方には5,000円程度が目安とされています。ただし、日頃から格別にお世話になっている方へは、相場よりも高価な品を選ぶこともあります。
4. 熨斗（のし）の相違点
お中元とお歳暮では、品物にかける熨斗（のし）の表書きにも違いがあります。お中元の場合、贈る時期に応じて「御中元」の他に、「暑中御見舞」や「残暑御見舞」といった表書きを用いることがあります。お歳暮では、「御歳暮」の表書きを使用するほか、時期が遅れた場合には「寒中御見舞」とすることもあります。
お中元の表書き
関東の場合:
- 6月中旬～7月15日頃: 御中元
- 7月16日～8月7日頃: 暑中御見舞
- 8月8日～9月上旬頃: 残暑御見舞
関西の場合:
- 7月中旬～8月15日頃: 御中元
- 8月16日～9月上旬頃: 残暑御見舞
お歳暮の表書き
- 12月初旬～12月20日頃: 御歳暮
- 12月21日頃～立春（2月4日頃）: 寒中御見舞
- 1月1日～1月7日頃: 御年賀
水引は、何度あっても喜ばしいお祝い事に用いられる紅白の蝶結びを選びます。喪中の場合でも、お中元やお歳暮を贈ることは可能ですが、相手方が喪中の際には、紅白の水引を避けて白無地の熨斗を使用するなど、配慮が必要です。
5. 贈る品物の相違点
お中元は、夏の暑い時期に贈るため、涼しさを感じられる品や、夏バテ対策に役立つ品が喜ばれます。具体的には、ゼリーやジュース、ビール、そうめんなどが選ばれることが多いです。一方、お歳暮は年末に贈るため、家族や親戚が集まって楽しめる品や、冬の寒さをしのぐのに役立つ品が適しています。具体的には、高級な牛肉や新鮮な魚介類、お菓子、アルコール類などが人気です。
お中元・お歳暮のエチケット
お中元とお歳暮には、贈り手と受け手の双方に、守るべき作法があります。これらの作法を心得て適切に対応することで、相手に不快感を与えることなく、気持ちよく贈り物をやり取りし、良好な関係を育むことができます。
贈り手の作法
お中元やお歳暮を贈る際は、直接持参する場合と、配送業者を利用する場合で、それぞれ異なるマナーが存在します。また、添え状や熨斗（のし）の書き方にも注意が必要です。
持参と配送
本来、お中元やお歳暮は、品物を持参して直接相手の家を訪れるのが慣習でしたが、近頃では配送サービスを利用するのが一般的です。持参する場合は、事前に訪問の連絡を入れ、早朝や食事時を避けて訪問しましょう。訪問に適した時間帯の目安は、午前10時から11時、または午後2時から4時頃です。もし、事前に連絡せずに訪問する場合は、玄関先で手短に品物を渡して、長居しないように心掛けましょう。
添え状の書き方
配送でお中元やお歳暮を送る場合は、品物が届く前に、添え状を送るのがより丁寧な作法です。添え状には、日頃お世話になっていることへの感謝の気持ちと、お中元・お歳暮を贈った旨を記します。親しい間柄の相手には、自身や家族の近況などを書き添えると、より喜ばれるでしょう。添え状は品物に同封しても構いませんが、事前に送る方が、より丁寧な印象を与えることができます。
熨斗（のし）の書き方
お中元やお歳暮を贈る際には、感謝の気持ちを込めて熨斗を添えるのが一般的です。熨斗の上段には「御中元」または「お歳暮」と書き、下段には贈り主の氏名を少し小さめの文字で記します。連名にする場合は、立場が上の人から順に右側から名前を書きましょう。もし5名以上になるようでしたら、代表者の名前を中央に書き、その左に「他一同」と小さく添えます。水引は、紅白の蝶結びを選ぶのが一般的です。百貨店やオンラインストアで購入する際は、熨斗の用意を依頼できる場合が多いです。
受け取る際のエチケット
お中元やお歳暮を受け取った際、お返しは必須ではありません。しかし、品物を受け取ったら、なるべく早めに感謝の気持ちを伝えるお礼状を送るのが礼儀です。お礼状には、確かに品物を受け取った旨と、心からの感謝の気持ちを書き記しましょう。親しい間柄であれば、電話で品物の到着を伝え、感謝の言葉を述べるのも良いでしょう。
時期を逃した場合や不幸があった場合のマナー
お中元やお歳暮の時期が過ぎてしまった場合は、お中元であれば「暑中見舞い」または「残暑見舞い」として、お歳暮であれば「寒中見舞い」として贈るのが適切です。ご自身または相手方が喪中の場合は、紅白の水引は避け、無地の白い熨斗を使用するなど配慮が必要です。特に、相手が喪中の際は、四十九日の法要が終わるのを待ってから贈るか、時期をずらして贈るように心がけましょう。
お中元とお歳暮、両方贈るべき？
お中元とお歳暮は、必ずしも両方贈る必要はありません。どちらか一方を贈る場合は、一年の感謝を込めるという意味合いから、お歳暮を優先して贈るのが良いでしょう。ただし、一度贈り始めたら、基本的に毎年続けることが大切です。もし贈るのを控えたい場合は、品物の金額を少しずつ下げたり、年末の挨拶状のみを送るようにするなど、相手に失礼のないように配慮しながら、徐々に負担を減らしていくのがおすすめです。
お中元に最適な贈り物
お中元には、夏の厳しい暑さを和らげるアイテムや、季節を感じさせる品が好まれます。具体的には、以下のようなものがおすすめです。
- お菓子・デザート：ゼリーやアイスクリームなど、冷たくて爽やかなものが人気です。旬の果物を使用した品も喜ばれます。
- 飲み物：ジュース、アイスコーヒー、麦茶など、冷やして味わうものがおすすめです。
- 麺類：そうめんや冷麦など、夏らしい麺類は食欲がない時でも食べやすく、喜ばれます。
- 鰻：土用の丑の日に合わせて、鰻を贈るのも良いでしょう。特に、日頃お世話になっている方や大切な方への贈り物として最適です。
お歳暮に最適な贈り物
お歳暮には、年末年始に家族や親戚が集まって楽しめる品や、冬の寒さを凌ぐのに役立つ品が喜ばれます。具体的には、以下のようなものがおすすめです。
- お菓子・デザート：焼き菓子や和菓子など、常温で保存可能なものがおすすめです。個別に包装されているものが重宝されます。
- 飲み物：ドリップコーヒー、紅茶、お茶のティーバッグなど、温かい飲み物がおすすめです。
- お肉・蟹：ハム、ローストビーフ、蟹など、大人数で分けられるものが喜ばれます。
避けるべき贈り物
お中元・お歳暮として贈るのに適さない品も存在します。靴下や下着は「下に見る」「みすぼらしいものを施す」、刃物は「縁を切る」を連想させるため、避けるのが賢明です。現金や商品券は、目上の方には失礼にあたる場合があるため注意が必要ですが、相手の好みが分からない場合など、近年では許容されるケースもあります。これらの品は、相手に無礼な印象を与える恐れがあります。
贈り物選びに困ったら
相手の好みが不明な場合は、カタログギフトがおすすめです。カタログギフトであれば、相手が自分の好きな品を選べるため、喜ばれる可能性が高まります。
お中元とお歳暮の贈り方
お中元やお歳暮を贈るにあたっては、品選びはもちろんのこと、その渡し方にも配慮が求められます。直接手渡す際は、事前に連絡を入れて都合の良い時間を確認しましょう。配送の場合は、挨拶状を添えるのが礼儀です。品物には熨斗をかけ、表書きを適切に記入することを忘れないようにしましょう。近年ではオンラインストアで手軽に購入し、配送手配をする人が増えていますが、メッセージ機能などを活用して挨拶状の代わりとすることも可能です。
まとめ
お中元とお歳暮は、日本ならではの美しい風習であり、日頃お世話になっている方々へ感謝の気持ちを伝える大切な機会です。それぞれの意味合いや贈る際のマナーをきちんと理解し、心を込めて品物を選ぶことで、相手との関係性をより良好に保つことができるでしょう。この記事を参考に、今年の夏と冬は、感謝の気持ちを込めて、お中元やお歳暮を贈ってみてはいかがでしょうか。
質問1
お中元とお歳暮は、必ず両方贈るべきものでしょうか？
必ずしも両方を贈る必要はありません。どちらか一方を贈るという場合は、一年の感謝の気持ちを込めるという意味合いから、お歳暮を優先して贈ると良いでしょう。
質問2
自分が喪中の場合、お中元やお歳暮は控えるべきでしょうか？
喪中であっても、お中元やお歳暮を贈ること自体は問題ありません。ただし、紅白の水引は避け、無地の熨斗を使用するなどの配慮が必要です。また、相手が喪中の場合は、四十九日の忌明けを待ってから贈るか、時期をずらして「暑中見舞い」や「年始のご挨拶」として贈るなどの配慮をすると良いでしょう。
質問3
お中元とお歳暮、贈る金額の目安はありますか？
大まかな目安として、親戚や知り合いには3,000円程度、お世話になっている上司や仲人の方には5,000円程度が一般的です。ただし、特別な感謝を伝えたい場合は、これよりも高価な品を選ぶことも検討しましょう。