黒すぐり徹底ガイド|栄養・健康サポート・活用法まで紹介
黒すぐり(カシス)は、小さな果実に鮮やかな色と豊富な栄養を秘めています。ビタミンCやポリフェノールを含み、古くからジャムやリキュールに利用されてきました。近年では健康を意識する食材としても注目されており、日常に取り入れやすい果物のひとつです。本記事では、黒すぐりの栄養や特長、活用法をわかりやすく解説します。

黒すぐり(カシス)とは?基本情報と特徴


黒すぐり(黒酢栗、クロフサスグリ)は、英語名でブラックカラント(Blackcurrant)、学名 Ribes nigrum と呼ばれる落葉性の低木です。フランス語では「カシス」とも呼ばれ、ベリー類の一種として世界中で親しまれています。

主な特徴

  • 樹高:約1.5mの低木
  • 果実:直径約1cm、濃い紫〜黒色で夏に収穫
  • 成分:ポリフェノール、ビタミンCを多く含む
  • 風味:甘酸っぱさと独特の苦味があり、食品や飲料に個性を加える
  • 利用部位:果実のほか、種子や葉も利用可能
果実の紫色はアントシアニンによるもので、色彩の美しさとともに、機能性の面でも注目される成分です。

世界と日本の黒すぐり(カシス)の生産・輸入状況

世界の生産状況

  • 最大の産地はポーランド
  • 年間収穫量:10万〜14万5千トン(世界全体の約半分を占める)
  • 特徴:輸出の中心地であり、品種改良・生産技術の向上にも積極的

日本の生産状況

  • 主産地:青森県(全国シェア72.1%、2018年時点)
  • 上位3道県(青森・北海道・岩手)で国内生産量のほぼ100%を占める
  • 年間生産量(2018年): 青森県:7.5t 北海道:2.0t 岩手県:0.9t 全国合計:約10.4t
    • 青森県:7.5t
    • 北海道:2.0t
    • 岩手県:0.9t
    • 全国合計:約10.4t
(出典: 農林水産省『特産果樹生産動態等調査』(2018年)を基にした解説, URL: https://urahyoji.com/crops-fusasuguri/, 2021-12-31)

日本の輸入状況

  • 生果:2013年に約17.5t輸入
  • 冷凍ベリー類:2013年に2,902t輸入(ブラックカラント単独ではなく、ラズベリーやブラックベリー等を含む)
  • HSコード0810.30-000(ブラックカラント・グーズベリー等)では、2021年の輸入量が16t、2022年以降のデータは未記載
(出典: 日本の果実貿易統計(輸入), URL: https://www.japanfruit.jp/Portals/0/resources/JFF/kaigai/jyoho/jyoho-pdf/KKNJ_166_3.pdf, 2024-03)
これらのデータから、日本市場における黒すぐりは国産品と輸入品が補完し合って供給されていることがわかります。青森県を中心とした国産カシスの存在感も大きい一方で、安定供給には海外からの輸入が欠かせない状況です。

古代からの歴史と薬用としての活用

黒すぐりは、16〜17世紀にかけて活動したスイスの植物学者 ガスパール・ポアン によって、食用として紹介されたといわれています。当時のヨーロッパでは、自然界から薬効が期待できる植物を探し出し、病気の予防や治療に役立てることが一般的でした。
こうした流れの中で、黒すぐりは単なる食品としてだけでなく「体に良い果実」として認識され、民間薬としても利用されてきました。

主な利用例(伝承)

  • 目の不調を和らげる
  • 壊血病(ビタミンC不足)対策
  • 健康維持のための民間療法

加工技術の発展と現代の用途

保存と加工の工夫

黒すぐりは収穫後に劣化しやすいため、古くから以下のように加工して保存されてきました。
  • 乾燥果実
  • ジャムやゼリー
  • 果実酒(リキュール)
特に果実酒は、薬草を加えて保存性を高めた「民間薬」として修道院を中心に広まりました。

現代に受け継がれるリキュール

現在でも「クレーム・ド・カシス」は世界的に有名で、その豊かな香りと味わいは世界中で楽しまれています。

食文化に根付く黒すぐり

黒すぐりは、酸味とわずかな苦味を持ち、幅広い食品に利用されています。

主な利用法

  • ジャム・ゼリー・キャンディー・ケーキ・パイ・タルト
  • ジュース・清涼飲料水・お茶・ワイン
  • サプリメントなどの健康食品
ヨーロッパでは、ヨーグルトや焼き菓子に乾燥した黒すぐりを加える食文化があり、生活に深く溶け込んでいます。
一方でアメリカでは、その独特の風味が好まれにくく、同じブランドの商品でも黒すぐりの風味が省かれることがあります。

国ごとに異なる呼び名と文化

  • イギリス:「ブラックカラント・コーディアル」「ブラックカラント・ジュース」
  • フランス:「クレーム・ド・カシス」
  • 日本:ジャムや飴、ジュース、ケーキ、サプリメントに幅広く利用
また、文学作品にも登場しており、アーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズでは、黒すぐりのシロップを飲む描写が見られます。
このように黒すぐりは、古代から現代に至るまで「食と健康に寄り添う果実」として、多くの人々に親しまれてきました。

豊富な有用成分の分析

黒すぐりは古くから民間療法に利用されてきましたが、近年の研究により含まれる成分についての理解が進んできています。特に注目されるのは、果実の濃い紫色を生み出すアントシアニンです。これはポリフェノールの一種であり、抗酸化性を持つ成分として広く知られています。
加えて、ビタミンCやミネラル類も豊富に含まれており、これらの栄養素は一般的に体の健康維持を支える上で重要とされています。含有量は栽培環境や品種によって変動することがあり、とくにニュージーランド産の黒すぐりは高品質な果実として評価されています。
このように黒すぐりは多彩な栄養素を含む果実であり、その特性については現在も科学的な研究が進められています。

健康維持への可能性と研究の広がり

黒すぐりには、アントシアニンやビタミンCをはじめとする複数の成分が含まれており、これらが相互に作用することで、抗酸化性などの働きが期待されています。そのため、黒すぐりの摂取が人々の健康的な生活にどのように関わるかについて、多方面からの研究が進められています。
国際黒すぐり協会(IBA)が主催する国際学会では、定期的に最新の研究成果が発表されており、世界的にも注目が高まっている分野です。こうした研究は、黒すぐりが現代の食生活において果たしうる役割を理解する上で重要な知見をもたらしています。

まとめ

黒すぐり(カシス)は、濃い紫色の小さな果実にアントシアニンやビタミンCなど多彩な栄養成分を含み、古くから食用や民間療法に用いられてきました。現在では、ジャムやリキュール、デザート、ドリンクなど幅広い加工品に活用されるとともに、科学的研究においても注目が高まっています。ポーランドを中心とした世界的な生産、日本国内では青森県を代表産地とし、国産と輸入品が市場を支えています。美しい色合いと爽やかな酸味を持つ黒すぐりを、ぜひ日常の食生活に取り入れて、その奥深い魅力を味わってみてください。

黒すぐりとブルーベリーの違いは何ですか?

黒すぐりはスグリ属に分類され、酸味と苦味を持つ果実です。ブルーベリーはツツジ科で甘味が強い点が異なります。

黒すぐりは生で食べられますか?

生食も可能ですが酸味が強いため、一般的にはジャムやリキュールなど加工して楽しむことが多いです。

黒すぐりの主な産地はどこですか?

世界ではポーランドが最大の産地です。日本では青森県が中心で、北海道や岩手県でも栽培されています。

黒すぐりに含まれる注目成分は何ですか?

アントシアニン、ビタミンC、ビタミンE、ミネラル類などが含まれており、栄養価の高い果実として知られています。

黒すぐりを使った代表的な食品は何ですか?

クレーム・ド・カシス(リキュール)、ジャム、ジュース、キャンディー、ケーキなど、幅広い食品に利用されています。



黒すぐり