甘酸っぱく、鮮やかなオレンジ色が食欲をそそるアプリコット。その魅力は、見た目だけではありません。豊富な栄養価、とろけるような舌触り、そして何と言っても、口いっぱいに広がる芳醇な香り!生で味わうのはもちろん、ジャムや焼き菓子など、様々な形で楽しめるのも人気の秘密です。ところで、美味しい果物がどのように作られているかご存知ですか?近年、食の安全や環境への関心から、栽培方法にこだわる生産者が増えています。今回はその一例として、山梨県の『さとう農園』の取り組みをご紹介します
環境に配慮した栽培方法
健康への意識が高まるにつれて、食品の安全性に対する関心も高まっています。特に、農薬や化学肥料の使用をできる限り控えた、環境に優しい栽培方法で作られた果物が注目されています。これらの栽培方法は、環境への影響を抑えるだけでなく、果物本来の味を引き出すことにもつながると期待されています。
山梨県南アルプス市のさとう農園では、除草剤はもちろんのこと、化学合成農薬や化学肥料の使用を極力控えた果物栽培に取り組んでいます。桃、さくらんぼ、すもも、ぶどう、柿、ネクタリン、プルーンなど多種多様な果物を栽培しており、いずれも環境に配慮した方法で育てられています。堆肥と自家製ぼかし肥料、そして天然の液肥を使用し、南アルプスのふもとの豊かな自然の中で、自然環境に配慮した極めて農薬の使用を抑えた方法で育てた美味しい果物を届けています。
さとう農園の園長は、2015年4月まで東京で宇宙関連の仕事をしていました。その後、自然豊かな環境での子育てや自転車を楽しむ生活、そして自然と調和した暮らしを求めて山梨県南アルプス市に移住し、果物作りを一から学んだそうです。富士山や八ヶ岳、そして広大な盆地を見渡せる、果物栽培に最適な日当たりと寒暖差のある土地で、約1.4ヘクタールの農地を借り、土壌づくりから始め、桃、さくらんぼ、スモモ、ぶどう、柿、ネクタリン、プルーンなど、様々な果物を栽培しています。

化学農薬の大幅削減への挑戦
一般的な果物栽培では、多くの化学合成農薬が使われています。2025年度の桃(もも)防除暦によれば、山梨県など主要産地での露地栽培桃に対する農薬(化学合成農薬を含む)防除回数は、病害虫の発生状況や品種、気象条件によって異なるが、穿孔細菌病などの発生が多い場合には年間20回以上の防除が推奨されるケースがある。ただし、31回という具体的な成分回数については、2025年度の防除暦(例:山東農園の防除暦)や山梨県の公式資料には明記されていない。防除暦では、2月下旬から6月下旬までに複数回の薬剤散布が記載されているが、成分回数が31回に達するかは、個々の農家の実施状況や病害虫の発生状況による。(出典: 2025年度 桃防除暦(山東農園), URL: https://www.sandou-nouen.co.jp/new_boujo/2025/2025boujo_momo.pdf, 2025-01)`。果実の生育期間中は、通常、1週間から2週間ごとに殺菌剤と殺虫剤を混ぜて散布します。これらの農薬は、害虫やカビなどの菌による被害を最小限に抑える効果がある一方で、畑に生息する有益な昆虫や爬虫類、哺乳類を死滅させるほどの強い毒性を持つものもあります。
さとう農園では、就農してすぐに農薬の威力と影響を目の当たりにし、環境への負荷を減らすための取り組みを始めました。毎年、少しずつ環境への影響が大きい化学農薬の種類や散布回数を減らし、2018年には、芽も葉も出ていない冬季に有機JAS認定の農薬を1成分、畑によっては追加で化学合成の殺菌剤を1成分散布するだけで、桃を収穫し販売することができました。2019年には、一部の樹に化学合成殺虫剤を散布しましたが、それ以外は有機JAS農薬のみを使用、2020年は、2019年秋に広がった穿孔細菌病対策のため、春に化学合成殺菌剤を2成分散布しましたが、化学合成殺虫剤は使用しませんでした。2021年は、2020年春以降、一切化学合成農薬を使用していません。もちろん、毎年除草剤も、化学合成肥料も一切使用していません。桃以外にも、さくらんぼ、スモモ、ぶどう、梨などを栽培しており、FAO(国連食糧農業機関)調べでは、日本の農地1ha当たりの農薬使用量は11.8kg(2018年)であり、世界トップクラスの農薬使用量を誇る。主要作物における都道府県別の慣行栽培農薬散布回数(2021年)は、作物や地域によって異なるが、ハウス・路地、早播き・遅播き、促成・抑制栽培などの条件により回数に幅がある。(出典: FAO統計・日本の農薬消費の現状や使用量統計, URL: https://musubi-ichiba.jp/blogs/syoku/noyaku-genjyo, 2022-05-21)
この度、さとう農園では、栽培する桃すべてについて有機JAS認証を取得しました!...桃だけでなく、杏、柿、りんご、ブルーベリー、アーモンドについて有機JAS認証を取得できました。(※李については来年取得予定) (出典: たべチョク公式記事『有機JAS認証を取得することが出来ました!』, URL: https://www.tabechoku.com/producers/25237/articles/891156, 2024-05-11)`。

まとめ
環境に配慮した栽培方法は、消費者の健康を守るだけでなく、環境保全にも貢献します。さとう農園のように、自然と調和した農業を実践する生産者を応援することで、より安全で美味しい果物を未来につなげていくことができるでしょう。オンラインストアでは、季節ごとの旬な果物を購入できます。ぜひ一度、その味を試してみてください。
有機栽培と通常の栽培方法の違いは何ですか?
有機栽培では、化学合成農薬や化学肥料を一切使用せず、有機肥料や自然の力を利用して作物を育てます。一方、通常の栽培方法では、化学合成農薬や化学肥料を使用することが一般的です。
農薬削減栽培とは、どのような栽培方法を指しますか?
農薬削減栽培とは、従来の栽培方法と比較して、農薬の使用量を可能な限り減らした栽培方法のことです。環境への影響を最小限に抑えながら、作物の品質を維持することを目的としています。
さとう農園では、どのような果物を育てていますか?
さとう農園では、桃、さくらんぼ、すもも、ぶどう、柿、ネクタリン、プルーンといった、多種多様な果物を栽培しています。いずれも化学合成された農薬や肥料の使用を極力控え、自然に近い環境で大切に育てています。