愛媛果試第28号とは?「紅まどんな」の知られざる素顔
「紅まどんな」という名前を聞いたことがありますか?その美しい響きと、とろけるような食感で、近年ますます人気を集めている柑橘です。しかし、その本当の名前を知っている人は意外と少ないかもしれません。実は、「紅まどんな」は全国農業協同組合連合会(JA全農)の登録商標です。正式な品種名は「愛媛果試第28号」といいます。今回は、「紅まどんな」の知られざる素顔、つまり「愛媛果試第28号」としての魅力に迫ります。その誕生秘話から、美味しさの秘密、そして「紅まどんな」以外の名前で販売される理由まで、詳しく解説していきます。

紅まどんな(愛媛果試第28号)とは?その特徴と歴史

「紅まどんな」は、愛媛県が生んだ特別な柑橘で、その正式名称は「愛媛果試第28号」と言います。「南香」と「天草」という二つの優れた品種を親に持ち、愛媛県で1990年から時間をかけて研究開発され、2005年に品種として登録されました。愛媛果試第28号の栽培は愛媛県内に限定されており、「紅まどんな」という名前はJA全農えひめが商標登録しており、厳格に管理されています。そのため、愛媛県内のJA系統を通じて、定められた高い基準を満たした高品質なものだけが「紅まどんな」として市場に出回ります。基準を満たさないものや、JAを通さないルートで販売されるものは、「あいか」や「愛果28号」、「瀬戸のまどんな」、「媛まどんな」など、別の名前で販売されることがあります。
果皮は鮮やかな濃いオレンジ色で、一つあたり約200~250gと、手に取るとしっかりとした重さを感じます。特筆すべきはその芳醇な香りと、高い糖度と爽やかな酸味が調和した、奥深い味わいです。そして、この品種の最大の魅力は、薄皮が非常に薄く、まるでゼリーのようなとろけるような食感と、果肉のみずみずしさです。この素晴らしい食感は、他の柑橘類にはない特別な体験をもたらします。品種名「紅まどんな」は、愛媛県松山市を舞台にした夏目漱石の小説「坊っちゃん」に登場するヒロイン、マドンナにちなんで付けられたと言われており、愛媛の文化と深く結びついた名前です。
ちなみに、紅まどんなの親である「南香」は、「三保早生」と「クレメンティン」の交配種で、濃いオレンジ色の皮と甘味と酸味が調和した濃厚な味が特徴です。さらに、その三保早生の親は「宮川早生」であることも、その歴史の深さを物語っています。果皮が薄く傷つきやすい紅まどんなは、雨に直接当たらないようにハウス栽培や袋掛けをするなど、生産者の方々によって丁寧に育てられています。旬の時期は11月下旬から1月上旬までで、この時期だけの特別な味覚として多くの人々に愛されています。

紅まどんな(愛媛果試第28号)の選び方と見分け方

紅まどんなを選ぶ際には、品質を見分けるためのいくつかのポイントがあります。まず、最も大切なのは果皮の色です。紅まどんなはその名の通り、濃いオレンジ色をしているのが特徴なので、全体がムラなく鮮やかに色づき、皮にツヤとハリがあるものを選びましょう。色合いにムラがなく、生き生きとしているものは、樹上で十分に熟し、美味しく育った証拠と言えます。
次に、手に取った時の重さも重要なポイントです。ずっしりと重みを感じるものは、果汁がたっぷりと詰まっていて、ジューシーで濃厚な味わいが期待できる良い品です。逆に、見た目は良くても持った時に軽く感じるものは、水分が少なく、味が落ちる可能性があるので注意が必要です。皮の表面に傷が少なく、ピンと張っていることも新鮮な紅まどんなを見つけるためのヒントになります。これらの点に注意して選ぶことで、最高の状態の紅まどんなを選び、その豊かな風味を存分に味わうことができるでしょう。

紅まどんな(愛媛果試第28号)の最適な保存方法

紅まどんなはとても繊細な果物なので、適切な方法で保存することで、その美味しさを長く保つことができます。保存場所として最適なのは、直射日光を避けられる、涼しくて暗い場所です。暖房の効いた部屋や温度の高い場所に置いておくと、果実の鮮度が落ちやすく、風味が損なわれる可能性があるので避けましょう。購入後、常温での保存期間は通常5日から1週間程度ですが、時間が経つにつれて酸味が弱まり、味がぼやけてしまうことがあります。そのため、購入したらできるだけ早く食べることをおすすめします。もし、長く保存したい場合は、一つずつポリ袋などに入れて乾燥を防ぎ、冷蔵庫の野菜室で保存すると良いでしょう。冷蔵庫に入れることで鮮度を長く保ち、美味しさをキープできますが、それでもなるべく早く食べることが、紅まどんな本来の美味しさを味わうためのコツです。

紅まどんな(愛媛果試第28号)の美味しい食べ方


紅まどんなは、その独特の食感と豊かな風味を最大限に楽しむために、いくつかおすすめの食べ方があります。まず、皮の剥きやすさについてですが、他の柑橘類に比べると少し剥きにくいと感じるかもしれませんが、手で丁寧に剥くことは十分に可能です。最も特徴的なのは、薄皮が非常に薄いので、みかんのように袋ごとそのまま食べられることです。これにより、果汁を余すことなく味わうことができ、ゼリーのようなとろける食感を存分に楽しめます。種はほとんど入っていないため、小さなお子様からご年配の方まで安心して食べられるのも魅力の一つです。
また、オレンジのように「スマイルカット」と呼ばれる放射状にカットして食べるのもおすすめです。カットすることで、果汁が溢れ出すジューシーさをより一層感じられ、食べやすさも増します。紅まどんなの甘さと酸味のバランスがとれた味わいは、そのまま食べるだけでなく、様々な加工品にも適しています。例えば、その爽やかな香りと上品な甘さを活かして、手作りのジャムやゼリーの材料として使うと、とても美味しく仕上がります。さらに、ケーキやタルトなどの洋菓子に加えることで、風味豊かなアクセントとなり、デザートのクオリティをさらに高めてくれるでしょう。

紅まどんな(愛媛果試第28号)の旬と出回り時期

紅まどんな、すなわち愛媛果試第28号は、愛媛県でのみ栽培される特別な柑橘です。そのおいしさを最大限に味わえる旬の時期は、非常に限られています。具体的には、毎年11月下旬頃から翌年の1月上旬頃までが、紅まどんなが市場に姿を現し、最もおいしくいただける期間です。この1ヶ月半から2ヶ月という短い期間に収穫・出荷されるため、年末年始の贈り物やお歳暮として非常に喜ばれます。この時期を逃すと、次のシーズンまで待つ必要がある、まさに季節限定の味覚と言えるでしょう。愛媛県が独自に開発したこの品種は、出荷時期も厳格に管理され、最高の状態で消費者のもとに届けられるよう、細心の注意が払われています。

紅まどんな(愛媛果試第28号)の生産量と栽培状況

紅まどんな(愛媛果試第28号)の栽培は、その名が示す通り、愛媛県のみで行われています。農林水産省の統計を見ても、愛媛県以外での愛媛果試第28号に関するデータは見当たりません。2021年の統計によると、紅まどんなの栽培面積は約299ヘクタールに及び、同年の収穫量は約4,904トンと報告されています。また、別の情報源では、2021年の収穫量を約4,266トンとするデータもあります。これは、市場への出荷量や集計方法の違いによるものと考えられますが、いずれにしても愛媛県内で大規模な生産が行われていることを示しています。これらのデータは、紅まどんなが愛媛県にとって非常に重要な特産品であり、その生産量が安定して推移していることを明確に示しています。

まとめ


「紅まどんな(愛媛果試第28号)」は、愛媛県が誇る唯一無二の高級柑橘です。そのとろけるような食感、芳醇な甘さ、そして爽やかな酸味が絶妙に調和した味わいは、多くの人々を虜にしています。正式な品種名である「愛媛果試第28号」として愛媛県でのみ栽培され、JA全農えひめの登録商標「紅まどんな」として、厳しい基準をクリアしたものだけが出荷されます。その開発の歴史から名前の由来、選び方、保存方法、そして様々な食べ方まで、そのすべてが特別な存在です。11月下旬から1月上旬という限られた期間にしか味わえないこの逸品は、大切な方への贈り物にも、自分へのちょっとしたご褒美にも最適です。この記事でご紹介した情報を参考に、旬の紅まどんなをぜひ味わってみてください。その特別な魅力を存分に堪能できるはずです。

紅まどんなの正式名称は何ですか?

「紅まどんな」の正式な品種名は「愛媛果試第28号」といいます。愛媛県で生まれたオリジナルの品種であり、「紅まどんな」という名前はJA全農えひめによって商標登録されています。

愛媛果試第28号は、どこで育てられているの?

現在、愛媛果試第28号、通称「紅まどんな」は、愛媛県でのみ栽培されています。ですから、お店で手に入る紅まどんなは、すべて愛媛県産ということになります。

愛媛果試第28号の一番美味しい時期は?

紅まどんなが最も美味しく味わえる旬な時期は、11月下旬から翌年の1月上旬にかけてです。この時期に、特に品質の良いものが多く出荷されます。

愛媛果試第28号の、おすすめの食べ方は?

紅まどんなは、皮が少しむきにくいかもしれませんが、手で丁寧にむくことができます。また、果肉を包む薄皮が非常に薄いので、袋のまま美味しく食べられます。種はほとんどありません。オレンジのようにカットして食べるのも良いでしょう。甘さと酸味のバランスが良いので、ジャムやゼリー、ケーキなど、お菓子作りの材料としても楽しめます。

「あいか」や「愛果28号」という名前の柑橘は、紅まどんなと同じもの?

「あいか」、「愛果28号」のほか、「瀬戸のまどんな」や「媛まどんな」という名前で販売されている柑橘は、実はすべて「愛媛果試第28号」という品種です。ただし、JA全農えひめが定めた「紅まどんな」としての品質基準を満たしていないものや、JAを通さずに流通している場合に、これらの名前が使われます。品種としては同じですが、品質管理やブランドの観点から区別されています。
オレンジ