冬の果物の代表格として親しまれるいよかん。その爽やかな香りと甘酸っぱい味わいは、多くの人々に愛されています。しかし、いよかんの魅力はその美味しさだけではありません。この記事では、いよかんの歴史から栽培方法、さらにその美味しさの秘密にまで迫りたいと思います。古くから親しまれるいよかんの知られざる側面を探ることで、その唯一無二の魅力を再発見していただけるでしょう。
いよかんとは何か?その品種、味の特性、そして起源を解説
いよかんとはどんな柑橘類なのか、その特徴を探ります。
このセクションでは、いよかんの特性について詳しく説明します。
さらに、成分情報やその歴史についても触れます。
いよかんの魅力
いよかんは山口県で誕生した柑橘類であり、明治時代に山口県阿武郡東分村(現萩市)の中村正路氏が農園で見つけました。親は不詳ながら、ミカンとオレンジの性質を持つことから、それらの交雑種と考えられています。
その特徴として、いよかんは甘みが際立ち、酸味は控えめです。果肉は柔らかく非常にジューシーであり、手で簡単に皮がむける点も魅力となっています。
多くのいよかんは「宮内いよかん」と呼ばれ、これは山口県で発見された「普通いよかん」の枝変わりで1955年に愛媛県松山市の宮内義正氏の農園で発見されました。「宮内いよかん」は、普通いよかんよりも早熟で収量が多く、種が少ないなど優れた特性を持つため、栽培面積が拡大しました。1966年に名称が登録され、昭和50年代には全国的に広まり人気品種となりました。
伊予柑の起源とその歴史
いよかんは、明治19年に山口県阿武郡東分村(現在の萩市)の中村正路氏の園で発見されたことから始まりました。
この品種は、山口県で誕生しましたが、明治時代中頃には愛媛県へ移植され、広く栽培されるようになりました。
その結果、愛媛県の旧国名「伊予」にちなんで、「伊予密柑」や「伊予柑」と呼ばれ、昭和初期には正式に「いよかん(伊予柑)」と名付けられました。
最初は「伊予みかん」という名前でしたが、温州みかんと区別するために「いよかん」と変更されました。
その後、1990年代には日本で最も人気の品種となり、愛媛県のいよかんは一世を風靡しました。
当時、いよかんは愛媛の主要な品種の一つとして知られていました。
伊予柑の成分と栄養素の特徴
いよかんは、多様な栄養素の宝庫です。ビタミン類では、C、A、Eに加え、葉酸、パントテン酸、ナイアシンが豊富に含まれています。ミネラル面では、カリウム、マグネシウム、銅、カルシウムなどが注目されます。これらの栄養成分が、いよかんの健康効果を支えています。
いよかんの持つ栄養素とその効能
いよかんの栄養素の効能や効果を表にしました。
いよかんに含まれるビタミンCやクエン酸は、風邪予防や疲労回復、血液浄化などの作用があります。
いよかんの風味・糖度・甘さの特性
いよかんの糖度は平均的に11〜12度程度です。
品種により異なりますが、10月頃に市場に出回る早生みかんと似た糖度になります。
いよかんの味の特徴は、酸度が高いことにより、早生みかんよりも甘酸っぱい風味が特徴です。
特に1月〜2月にかけて出荷されるいよかんは、酸味と甘さの絶妙なバランスが楽しめます。
いよかんのテクスチャについて
さらに、1月から2月にかけてのいよかんは、新鮮で粒が立ち、シャキッとした食感を楽しめます。
また、さわやかな香りが特徴でもあります。
いよかんの形状や寸法および重量の特徴
小さいものでは200gほど、大きなものでは280gほどあるいよかん。
この写真は小さいサイズのいよかんを示しています。
こちらの写真は大きいサイズのいよかんです。
同じいよかんでも、サイズの違いにより約100gの差があります。
一般的な温州みかんのMサイズは約100gで、これと比較するといよかんはサイズが大きいのが特徴です。
いよかんの皮の特性とは?簡単に剥けるのか?
温州みかんの皮は、動画で示されているように柔軟で薄いため、手で簡単に剥けます。しかし、いよかんは皮が厚くて硬いので、包丁やナイフを使って剥くのが推奨されます。
手で剥くこともできますが、握力が要求されるため、剥くのが難しい場合があります。
いよかんの内皮は厚みがあります
いよかんの内皮はやや厚めですので、剥いてから召し上がることをお勧めいたします。
また、内皮を剥く際には、包丁などで切れ目を入れてから皮を剥く方法が効果的です。
いよかんの種にはどのような特徴があるのか?
いよかんには普通、種が含まれています。
食べるときは、大きな種があることもあるので取り除いてから食べるのが良いでしょう。
農家さんによると、周囲に他の品種が存在すると、種の数が増えることが多いそうです。
まれに全く種のないいよかんもあります。
いよかん(伊予柑)の品種のルーツは何か?
いよかんは、みかんとオレンジ系の交配種とされていますが、詳細は不明です。
伊予柑の種類ごとの特性
皮が厚いため、ナイフを使って切るのが最適で、手で剥くことも可能です。
内皮を剥いて食べることを推奨します。
皮が厚いため、ナイフを使って切るのが最適で、手で剥くことも可能です。
内皮を剥いて食べることを推奨します。
いよかんには複数の品種があります。
市場によく出回るのは普通いよかんと宮内いよかんで、1月から2月にかけてです。
1月から2月のいよかんは粒が立ち、内皮を剥いても実がしっかりしているため、手があまり汚れず、果実が潰れることもありません。
味は酸味があり甘酸っぱいのが特徴です。
弥生紅は3月頃に酸味が抜け、マイルドで粒が柔らかくジューシーになるのが魅力です。
大きな違いとしてはこの点が挙げられます。
完熟いよかん(弥生紅)の風味と特性
3月には市場に登場し、完熟いよかんとも呼ばれています。
宮内いよかんは、1月まで木の上で完熟し、3月まで専用貯蔵施設でじっくりと熟成された品種で、センサーによる選果で糖度が11.5度以上のものにブランド名が付けられます。
見た目は通常のいよかんと変わりませんが、果皮がやや厚めの特徴があります。
果肉は果汁が豊富で、甘味と酸味が濃厚でバランスも良く、とても美味しいです。
いよかん(ダイヤオレンジ)の特性
1月中旬から3月下旬にかけてが旬です。
愛媛県北宇和郡の大谷さんの果樹園で昭和52年に見つかった枝変わり品種です。
非常に滑らかな果皮が特徴で、他の品種と簡単に区別できます。
糖度が高く、酸味は控えめです。食味は良好ですが、伊予柑の特有の芳香は少ない品種です。
いよかんの主要生産地の特色
いよかんの生産量の大部分は愛媛県から来ています。
これは2018年のデータによるもので、ほとんどが愛媛県で栽培されていることがわかります。
一部は和歌山県や佐賀県のものも存在しますが、主に愛媛県のものと考えて良いでしょう。
1990年代には高級品種として日本一の人気を誇っていたいよかんですが、様々な新品種の登場により、現在ではお手頃な価格で購入できるようになっています。
いよかんを新鮮に保つためのコツ
保存は冷暗所がベストです。いよかんの保存期間は状態によりますが、通常1週間から10日程度です。水分が減ると食感が悪くなるため、早めに食べるのが賢明です。長持ちさせたいなら、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室での保存を推奨します。
いよかんの楽しみ方
いよかんは皮が柔らかいため、手軽にむけるのが特徴です。ただし、袋状の膜は少し厚いので、一つずつむいて果肉を楽しむのが良いでしょう。
たくさんある時は、ジャムやシロップ漬けにするのも良い方法です。
各地におけるいよかんの年間収穫量
2021年のいよかんの収穫量で最も多いのは愛媛県で、約21,611トンが収穫されています。次いで佐賀県が約632トン、三番目に和歌山県が約469トンの収穫量を誇ります。
出典:農林水産省統計
いよかんの栽培面積と収穫量の変遷
2021年のいよかんの栽培面積はおよそ1,709ヘクタールに及び、収穫された量は約2万3,575トンに達しました。その内、およそ2万1,815トンが出荷されています。
出典:農林水産省統計