ワイン 葡萄 品種一覧

ワイン 葡萄 品種一覧

ワインの世界は、ブドウ品種によって大きく変化します。世界に1万種以上存在するブドウ品種のうち、13品種が世界のブドウ畑の3分の1を占め、33品種が半分を占めていることが、国際ブドウ・ブドウ酒機構(OIV)のレポートでわかった。それぞれの土地の気候や土壌に適応して栽培されています。これらの品種を知ることは、自分好みのワインを見つけるための第一歩となります。

ワイン用ブドウと生食用ブドウの違い

ワイン造りに使用されるブドウは、食用ブドウとは異なる特徴を持っています。食用ブドウは皮が薄く種が少ない傾向がありますが、ワイン用ブドウは皮が厚く種があり、香りや味わいが濃いのが特徴です。特に赤ワイン用のブドウは、タンニン(渋味成分)を豊富に含んでいます。ワイン用ブドウを選ぶ際には、これらの特徴を考慮することが重要です。

赤ワイン用ブドウ品種:代表的な品種とその個性

赤ワイン用のブドウ品種は、その味わい、香り、粒の大きさなど、それぞれに異なる個性を持っています。以下に、特に有名な赤ワイン用ブドウ品種の特徴を紹介します。

カベルネ・ソーヴィニヨン:力強さと豊かなタンニンが特徴

カベルネ・ソーヴィニヨンは、世界中で栽培されている国際品種であり、赤ワインの代表格です。カシスやブラックベリーのような黒系果実の風味と、力強いタンニンが特徴です。色合いも濃く、深みのある赤色をしています。フランスのボルドー地方、イタリアのトスカーナ州、アメリカ、チリなどが主な生産国です。

メルロー:円熟した口当たり

メルローもまた、カベルネ・ソーヴィニヨンと並ぶ国際品種です。マイルドでシルキーなタンニンとなめらかな口当たりが特徴で、ブラックチェリーやプラムのような黒系果実の風味を楽しめます。カベルネ・ソーヴィニヨンよりも果実味が華やかで、渋味が穏やかな印象です。フランスのボルドー地方やアメリカなどが主な生産国です。

ピノ・ノワール:エレガントな赤ワインの女王

ピノ・ノワールは、イチゴやクランベリーのような赤系果実の風味と、爽やかな酸味が特徴的なブドウ品種です。フランス・ブルゴーニュ地方のピノ・ノワールは特に有名で、高級ワインのロマネ・コンティもピノ・ノワールから造られています。味わいは繊細でエレガント、香りは華やかで、美しい赤ワインが生まれます。フランスのブルゴーニュ地方、アルザス地方、ドイツ、アメリカなどが主な生産国です。

ガメイ:爽やかで親しみやすい

ガメイは、ボジョレー・ヌーヴォーに使用されるブドウ品種です。果実味の甘味が強く、ジューシーで飲みやすい赤ワインが多く造られます。渋味や酸味が穏やかなため、ワイン初心者にもおすすめです。主にフランス・ブルゴーニュ地方のボジョレー地区で栽培されています。

シラー:刺激的なスパイス感

シラーは、ベリーの果実味とジューシーさ、そしてスパイシーさが特徴的なブドウ品種です。コショウやスパイスのような独特の風味が楽しめます。オーストラリアでは「シラーズ」と呼ばれていますが、同じ品種です。フランス・ローヌ地方、オーストラリアなどが主な生産地です。

白ワイン用ブドウ品種:多種多様な魅力

白ワイン用のブドウ品種も、その風味、粒の大きさ、栽培産地など、品種によってさまざまな違いがあります。以下に、代表的な白ワイン用ブドウ品種の特徴を紹介します。

シャルドネ:世界中で愛されるオールラウンダー

シャルドネは、世界中で栽培されている国際品種です。クセがなく、ワイナリーや造り手の個性を表現しやすいブドウ品種です。栽培産地によって、トロピカルな風味になったり、柑橘系のスッキリとした味わいになったりと、さまざまな表情を見せます。フランス、イタリア、アメリカ、オーストラリア、チリ、日本など、有名な産地が多いのも特徴です。

リースリング:甘口から辛口まで楽しめる

リースリングは、甘口から辛口までさまざまな味わいのワインが造られるのが特徴です。ハチミツのようなフルーティーでほんのり甘いニュアンスと、爽やかな酸味、フローラルな風味が楽しめます。甘口タイプは、デザートワインとして食後に飲まれることもあります。ドイツ、フランス・アルザス地方などが主な産地です。

ソーヴィニヨン・ブラン:フレッシュでアロマティック

ソーヴィニヨン・ブランは、トロピカルなフルーティーさと、スッキリした爽やかさを兼ね備えた白ワインを造ります。産地によっては、トロピカルさが強かったり、爽やかさが強かったりと、土壌特有の味わいも感じられます。華やかな香りを持つ白ワインとしても知られています。フランス・ロワール地方、ニュージーランドなどが主な産地です。

ピノ・グリ:複雑な風味

ピノ・グリは、赤ワイン用のブドウ品種であるピノ・ノワールの突然変異種です。ほんのりピンクがかった表皮が特徴的です。白ワインの爽やかな風味の中に、コクやほんのりとした苦味を感じることができる、奥深い味わいのワインが生まれます。ドイツ、フランス・アルザス地方、イタリアなどが主な産地です。

セミヨン:甘美な貴腐ワイン

セミヨンは、極甘口から辛口までさまざまなタイプのワインに用いられるブドウ品種です。ドライフルーツや洋梨のような、酸味よりも果実の甘味をしっかりと感じられる味わいのワインが造られます。長期熟成可能なワインは、黄金色の色合いになり、濃密で緻密な旨味を味わえます。フランス・ボルドー地方では、貴腐ワインという極甘口の白ワインが造られ、セミヨンが主要な品種として用いられます。フランス・ボルドー地方、オーストラリア、南アフリカなどが主な生産地です。

その他の白ワイン用ブドウ品種:豊富なバリエーション

白ワインの世界には、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング以外にも、多様なブドウ品種が存在します。

ヴェルデッキオ:魚介料理に合う清涼感

ヴェルデッキオは、イタリアの中央部、東海岸に位置するマルケ州で広く栽培されています。フレッシュな柑橘フルーツや瑞々しい果実のアロマと風味が魅力で、爽やかでドライなスタイルの白ワインが造られます。シーフードとの相性が抜群で、ランチタイムから気軽に楽しめます。

アルバリーニョ:潮風を感じる白

アルバリーニョは、イベリア半島に位置するスペインの北西部のワイン産地、リアス・バイシャスの主力品種です。「海のワイン」と称され、爽やかな辛口で潮のニュアンスを伴うスタイルが特徴です。ポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデでも主力品種として栽培されています。

ゲヴュルツトラミネール:芳醇なアロマ

ゲヴュルツトラミネールは、フランスのアルザス地方と北イタリアのトレンティーノ・アルト・アディジェ州で多く造られています。非常に香りが豊かで、ライチや白いバラの香りを感じるアロマティックな白ワインを生み出します。まろやかな果実味で、お肉料理との相性も良いです。

シュナン・ブラン:多様な表情

シュナン・ブランは、フランスのロワール地方と南アフリカが代表的な産地です。ロワールでは、フルーティーなタイプから甘口貴腐ワイン、スパークリングワインが造られています。南アフリカでは、軽快な辛口タイプからオーク樽由来のスモーキーなニュアンスを持つタイプまで幅広く生産されています。

ミュスカ:甘美なスパークリング

ミュスカは、アロマティックな香りを持つ品種として知られています。フランスのアルザス地方では香り豊かなフルーティーでフレッシュなタイプの白ワインが、イタリアのピエモンテ州のアスティでは、低アルコールの甘口タイプのスパークリングワインが造られています。

ロゼワインに使用されるブドウ:赤ワイン品種が中心

ロゼワインには、特定のブドウ品種というものはありません。主に赤ワイン用のブドウ品種が使用されます。ただし、生産国によっては、圧搾時に赤ワイン用と白ワイン用のブドウ品種をブレンドすることが許可されている場合もあります。カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、シラーなど、さまざまな品種が用いられています。

日本ワインを彩るブドウ:在来品種と国際品種

日本では、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングなどの国際品種も多く栽培されていますが、日本固有のブドウ品種や、日本で多く栽培されているブドウ品種もあります。

マスカット・ベーリーA:日本を代表する赤ワイン用ブドウ

1927年に岩の原葡萄園の創業者・川上善兵衛によって作出された同品種は、今もなお日本ワインにとって重要な存在です。赤ワイン用のブドウ品種ですが、ロゼワインやスパークリングワインなど、さまざまなワインに用いられています。イチゴやクランベリーのような赤系果実の風味が強く、マイルドなタンニンとほどよい酸味が特徴的です。山梨県、山形県、長野県などが主な生産地です。

甲州:日本固有の白ワイン用品種

甲州は白ワイン用のブドウ品種で、主に山梨県の甲府盆地で栽培されています。少し紫がかった表皮が特徴的です。柑橘系のフルーティーでスッキリとした風味と、後味に少し苦味を感じるところが味わいの特徴です。

龍眼:日本料理に寄り添う白ワイン

龍眼(りゅうがん)は、白ワイン用のブドウ品種です。長野県善光寺周辺で栽培されたことから、「善光寺」とも呼ばれています。柑橘系のすっきりとした風味と、穏やかなフローラルな香りを楽しめます。クセがなく、和食に合わせやすいのが特徴です。

ナイアガラ:フルーティーな甘口白ワイン

ナイアガラは白ワイン用のブドウ品種です。主に長野県、北海道、山形県などで栽培されています。マスカットのような華やかでオリエンタルな風味が特徴で、甘口から中辛口タイプがあります。飲みやすいので、ワインが苦手な方でも親しみやすいでしょう。

ワインビギナー必見:タイプ別おすすめブドウ品種

ワイン初心者にとって、数多くのブドウ品種からどれを選べばいいか迷ってしまうこともあります。そこで、ワイン初心者におすすめのブドウ品種をタイプ別に紹介します。

赤ワイン:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワール

濃厚で渋味もしっかり味わいたい方にはカベルネ・ソーヴィニヨン、濃厚さはほしいけれど渋味はマイルドな方が良いという方にはメルロー、爽やかでエレガントな軽やかな赤ワインを飲みたい方にはピノ・ノワールがおすすめです。

白ワイン:シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング

フルーティーでクセのない飲みやすい白ワインを味わいたい方にはシャルドネ、爽やかさとフルーティーさ、華やかさを楽しみたい方にはソーヴィニヨン・ブラン、ほんのりとした甘味やスッキリとした切れ味の酸味を感じたい方はリースリングを選んでみましょう。

ワインギフトの選び方:相手に喜ばれるワインを選ぶには

ワインギフトを選ぶ際には、相手の好みや贈るシーンを考慮することが大切です。ここでは、ワインギフトを選ぶ際のポイントをご紹介します。(ワインそのものではなく)例えば、ワインのラベルやボトルデザインがおしゃれなもの、ワイングラスやオープナーなどワイン関連グッズ、ワインと相性の良い食品の詰め合わせなどが考えられます。

1. エスタンドン「アンソランス」

スタイリッシュなデザインで、さっぱり辛口なロゼワインです。南フランスのプロヴァンス地方で造られ、グルナッシュとシラーを使用しています。和洋中どんな料理にも合わせやすく、ホームパーティーやお土産にもおすすめです。

2. クラウディー・ベイ「ソーヴィニヨン・ブラン」

ニュージーランド産の芳醇な風味を楽しめるソーヴィニヨン・ブランです。パッションフルーツやオレンジのような果実味が豊かで、後味でハーブのようなさわやかさを楽しめます。コクのある白ワインが好きな方におすすめです。

3. グランポレール「長野古里カベルネ・ソーヴィニヨン2019」

長野県産の重厚感と深みのあるカベルネ・ソーヴィニヨンです。カシスやブラックベリーなどの黒系果実味が豊かで、バランスのいい渋味と酸味が味わえます。長期熟成も可能なので、思い出のワインとしてワインセラーで寝かせてみるのもおすすめです。

4. ラルノーディ・イロー「ブラン ド ノワール」

ピノ・ノワール100%で造られたコクのあるシャンパーニュです。家族経営の小規模メゾンが手掛けており、深みと複雑味があります。白桃や洋梨のような果実味、パンのようなイースト香が広がり、ゆったりとした時間を演出してくれます。

5. ドメーヌ・セルヴァン「シャブリ グラン クリュ レ・クロ」

特級畑の贅沢なシャブリを堪能したい方におすすめです。フランス・ブルゴーニュ地方産で、ミネラル感や柑橘系の風味の中に、キリッとした後味と余韻の長いコクを楽しめます。ワイン上級者へのギフトにも最適です。

まとめ

この記事で紹介したように、ブドウ品種はワインの個性(味わい、香り、色、ボディ感など)を決定づける重要な要素です。代表的な国際品種から日本固有品種まで、それぞれの特徴を知ることで、自分の好みやシーンに合ったワイン選びがより楽しく、深くなるでしょう。ぜひ様々な品種のワインを試して、お気に入りを見つけてください。

よくある質問

質問1:ワインに使われるブドウの品種はどれくらい存在しますか?

回答:世界には800種類以上のワイン用ブドウ品種が存在すると言われています。ただし、同一品種でも異なる名称(シノニム)で呼ばれる場合もあります。

質問2:赤ワイン用ブドウと白ワイン用ブドウの主な違いは何ですか?

回答:赤ワイン用ブドウ(黒ブドウ)は、果皮に色素が多く含まれており、タンニンも豊富です。白ワイン用ブドウ(白ブドウ)は、果皮の色素が少なく、タンニンも少なめです。

質問3:ワインを飲み始めたばかりの人におすすめの赤ワイン用ブドウ品種は何ですか?

回答:ワインに慣れていない方には、渋みが穏やかで飲みやすいメルローや、フルーティーな風味が特徴のガメイなどがおすすめです。

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