冬の食卓に欠かせない白菜は、家庭菜園でも人気の高い野菜です。鍋料理や漬物、炒め物など、料理の幅が広く、一株あるだけで食卓が豊かになります。しかし、「なかなか結球しない」「虫に食べられてしまう」といった悩みを持つ方も少なくありません。実は、白菜は植え時期を守り、いくつかの基本ポイントを押さえるだけで初心者でも栽培しやすい野菜です。この記事では、白菜の適切な植え時期から土づくり、肥料の与え方、害虫対策、収穫までの流れをわかりやすく解説します。初めてでも失敗しにくい白菜栽培のコツを学び、冬に向けておいしい自家製白菜を育ててみませんか?
白菜の植え時期|地域別の目安と栽培カレンダー
白菜の栽培を成功させるためには、適切な植え時期を守ることが最も重要なポイントです。タイミングが早すぎても遅すぎても、結球しにくくなったり、害虫や病気のリスクが高まったりするため、地域ごとの気候に合わせたスケジュールで進めましょう。
地域別・種まきと植え付けの目安
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寒冷地(北海道・東北など) → 種まき:7月下旬~8月上旬/植え付け:8月中旬~下旬
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中間地(関東・関西・東海など) → 種まき:8月中旬~9月上旬/植え付け:9月上旬~中旬
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暖地(九州・四国・南関東など) → 種まき:8月下旬~9月中旬/植え付け:9月中旬~下旬
※品種によっても適期は多少異なります。種袋の説明も必ず確認しましょう。
直播きと育苗の選び方
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直播き(畑に直接種まき):スペースがある場合におすすめ。移植の手間がない分、生育もスムーズですが、害虫のリスクがやや高めです。
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育苗(ポットまき):虫や天候の影響を受けにくく、管理しやすいので初心者にも向いています。本葉4~5枚の苗を定植します。
適期を外すとどうなる?
白菜は短日植物で、気温と日照時間のバランスによって結球します。植え付けが遅れると、生育に必要な日数が足りず、結球不良になることも。逆に早すぎると暑さや害虫被害を受けやすくなります。

栽培に適した土と準備のポイント
白菜を健康に育てるためには、植え付け前の土づくりが非常に重要です。土壌の環境を整えることで、根の張りがよくなり、結球もうまくいきやすくなります。以下に、家庭菜園で取り組みやすい土づくりのポイントをご紹介します。
pHと土質の目安
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白菜は弱酸性〜中性(pH6.0〜6.5)の土壌を好みます。
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土が酸性に傾いている場合は、苦土石灰を植え付けの2週間前までにまいてよく耕しておくのが基本です。
水はけと保水性のバランスが重要
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白菜は適度な水分を必要とする一方で、過湿に弱い野菜です。
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水はけが悪い場合は、畝を高めにする、腐葉土やパーライトを混ぜるなどして調整しましょう。
元肥の与え方
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白菜は栄養を多く必要とするため、元肥(植え付け前に与える肥料)をしっかり施すことが大切です。
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基本的な目安としては、堆肥2〜3kg/㎡、化成肥料100〜150g/㎡を目安に全体によく混ぜ込みます。
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肥料の種類は「窒素・リン酸・カリ」3要素がバランスよく含まれているものを選びましょう。
日当たりと風通しの良い場所に植える
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白菜は日光をしっかり浴びることで丈夫に育ち、結球もしやすくなります。
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また、風通しが悪いと病気が発生しやすくなるため、周囲の草をこまめに取り除いたり、適度な間隔で植え付けるように心がけましょう。
植え付けから収穫までの流れ|栽培ステップを丁寧に解説
白菜の栽培は、適切なタイミングと日々の管理を守ることで、初心者でも安定して収穫が期待できます。ここでは、植え付け後から収穫までの主なステップをわかりやすく解説します。
1. 植え付け
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苗は本葉4〜5枚程度、草丈10〜15cm程度が定植の適期です。
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条間は45〜60cm、株間は35〜40cmを目安に、風通しと光がしっかり確保できるように植え付けます。
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根鉢を崩さず、やや深めに植えると安定しやすくなります。
2. 間引きと活着後の管理
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直播きの場合は、本葉2〜3枚の頃に1回目、5〜6枚で2回目の間引きを行い、元気な株を残します。
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苗が活着したら、土寄せして倒伏を防止し、根の張りを促進します。
3. 追肥と水やり
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追肥は植え付けから2〜3週間後、以降2週間おきに合計2〜3回行います。
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化成肥料を株元に軽くまいて土と混ぜ、株に触れないようにするのがポイントです。
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水やりは、乾燥が続くときに朝のうちにたっぷりと。過湿に注意しながら、適度な水分を保ちましょう。
4. 結球の促進と見極め
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白菜は日照不足や肥料不足、密植によって結球しにくくなることがあります。
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下葉をしっかり広げながら中心部が巻いてきたら、結球が順調に進んでいる証拠です。
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極端に早植え・遅植えを避け、栽培スケジュールに沿った管理を心がけましょう。
5. 収穫のタイミング
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収穫の目安は、葉がしっかり巻いて球がかたく締まり、持ったときにずっしりと重みを感じる頃です。
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株元から包丁で切り取り、外葉を2〜3枚残すと鮮度が保ちやすくなります。
白菜栽培でよくあるトラブルと対策

白菜は家庭菜園でも育てやすい野菜ですが、結球しない・虫に食べられる・病気が出るなどのトラブルに悩む方も少なくありません。ここでは、よくある失敗とその対策をまとめてご紹介します。
結球しない・巻かない原因と対策
主な原因
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植え付けの遅れや早すぎ
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肥料不足または過剰
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株間が狭すぎて光が不足
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品種に合わない気候条件
対策
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適期の種まき・植え付けを守る(地域に合ったカレンダーを参照)
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元肥・追肥を適切な量とタイミングで与える
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株間を十分に取り、風通しと日当たりを確保
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初心者は結球性の高い品種を選ぶと成功しやすい
害虫対策|アオムシ・ヨトウムシ・コナガなど
よく出る害虫と特徴
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アオムシ・コナガの幼虫:葉の表面を食害。放置すると成長に大きく影響
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ヨトウムシ:夜間に活動し、中心の若葉を狙う
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アブラムシ:葉の裏に群生して汁を吸う
対策
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防虫ネットで初期から予防するのが基本
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手での捕殺やテデトール(捕まえて取る)も有効
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株元の清掃や、不要な外葉の除去で虫の発生を減らす
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必要に応じて、安全性の高い農薬を適正に使用(使用前には表示を必ず確認)
病気対策|根こぶ病・べと病など
主な病気と症状
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根こぶ病:根にこぶ状の腫れができ、吸水・吸肥が阻害される。発症株は成長不良。
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べと病:葉に黄色い斑点が広がり、やがて枯れる。高湿で発生しやすい。
対策
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連作を避ける(アブラナ科野菜を3年以上空ける)
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水はけのよい場所を選ぶ、または高畝にする
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定期的な株元の清掃と通気確保
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耐病性のある品種を選ぶ
初心者でも失敗しにくい白菜の品種選び
白菜にはさまざまな品種があり、それぞれに耐病性・結球のしやすさ・収穫時期の違いなどがあります。初心者の方が安心して栽培できるよう、育てやすく家庭菜園向きの品種選びのポイントをご紹介します。
育てやすい定番品種
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黄ごころシリーズ(例:黄ごころ85、黄ごころ90など) → 結球性が高く、収穫までの期間が比較的短め。初めてでも育てやすい品種。
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無双 → 中型サイズで病気に強く、家庭菜園向き。定番で扱いやすい品種。
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晩輝(ばんき)85・晩輝90 → 秋まき専用で、比較的遅い時期でもしっかり結球しやすい。害虫にも比較的強い。
小型・省スペース品種
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娃々菜(わわさい) → 小型のミニ白菜で、ベランダ栽培やプランターにも対応可能。家庭用にぴったり。
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CRおはよう → 耐病性が高く、初期成育も良好。手軽に栽培を始めたい方におすすめ。
品種選びのポイントまとめ
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結球しやすさ重視なら中型早生品種
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スペースが限られるなら小型品種
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病気が心配な方は耐病性タイプを選ぶ
種袋には「栽培カレンダー」や「おすすめの地域・時期」も記載されているので、購入前に必ず確認して、自分の環境に合った品種を選びましょう。
まとめ|家庭菜園で冬の定番・白菜を育てよう
白菜は、栽培時期や手入れのコツさえ押さえれば、初心者でも十分に収穫を楽しめる冬野菜です。地域ごとの植え付けスケジュールを確認し、適した土づくりや肥料の管理を行えば、結球もうまくいきやすくなります。害虫や病気対策をしっかり行いながら、成長の様子を観察するのも、家庭菜園の楽しみのひとつ。小型品種を使えば、限られたスペースでも手軽にチャレンジできます。
今年の冬は、自家製の白菜で食卓を彩ってみませんか?育てる楽しみと、採れたての美味しさをぜひ体感してください。
白菜の栽培で結球しないのはなぜ?
主な原因は植え付けの時期のズレや、肥料不足、株間の不足です。日照や温度条件が適さない場合もあるため、地域に合った栽培時期を守りましょう。
プランターでも白菜は育てられますか?
可能です。娃々菜(わわさい)などの小型品種がおすすめです。深さ30cm以上、株間を十分に取ることがポイントです。
白菜栽培に向かない土はありますか?
水はけの悪い粘土質や酸性に偏った土壌は向きません。苦土石灰や腐葉土を加えて調整しましょう。
虫除けに農薬を使っても大丈夫?
家庭菜園用に販売されている農薬なら使用可能ですが、使用前に必ずラベルの指示を確認してください。防虫ネットと併用するのが安心です。
白菜の収穫後、次に植える野菜は何がいい?
白菜はアブラナ科のため、連作を避けてください。根菜類(大根やニンジン)や豆類、ナス科(トマト・ピーマン)などとローテーションさせるとよいでしょう。