山北みかんとは
高知県香南市香我美町山北地区で育つ山北みかんは、温暖な気候と豊かな自然に育まれた特別な存在。「みかんといえば山北!」と考える県民も少なくありません。今回は、高知県民に愛される山北みかんの秘密に迫ります。
山北みかんの旬:一年を通して楽しめる美味しさ
山北みかんは、品種ごとに旬が異なり、年間を通して様々な風味を堪能できます。5月から8月上旬にはハウス栽培ものが出回り、夏の贈り物としても人気です。8月下旬から9月上旬には、雨よけ栽培されたみかんが登場。9月中旬頃から露地栽培ものが徐々に始まり、12月に最盛期を迎えます。1月末頃までがおすすめの時期で、その後は他の柑橘類が旬を迎えます。
- ハウスみかん(5月~8月上旬):夏場の高級ギフトとして人気があり、特に高品質な「特撰秀品」が中心です。
- 雨よけみかん(8月下旬~9月上旬):高知県が商標権者の登録商標の一つである「はちきんキッス」と呼ばれるみかんが出回ることがあります。さっぱりとした酸味と上品な甘さが特徴です。
- 極早生みかん(9月~10月):露地物が出回る前の時期に楽しめる、甘酸っぱい風味が魅力です。
- 早生みかん(11月頃~):緑色から徐々に濃い黄色に変化し、色づきと共に風味も深まります。
- 中生みかん(12月頃~):露地物の最盛期で、濃厚な風味と甘み、酸味のバランスが絶妙です。
- 晩生みかん(1月頃~):露地みかんのシーズンを締めくくる品種で、年末年始の需要が高く、高値で取引されることもあります。
- なつみ(4月): 温州みかんのシーズンが終わる頃に、濃厚な味わいのオレンジとして栽培される、カラマンダリンと吉浦ポンカンの交配種です。
山北みかんの種類:多様な品種とそれぞれの個性
山北みかんには、様々な品種が存在し、それぞれが異なる特徴を持っています。
- 興津(おきつ):早生品種として知られ、まろやかで濃厚な甘さが特徴です。ハウス栽培と露地栽培の両方で栽培されています。
- 南柑20号:興津の後に旬を迎える品種で、その新鮮さが魅力です。
山北みかんの選び方:品質を見極めるポイント
山北みかんを選ぶ際には、サイズや等級、選別方法に注目することで、より自分好みのものを見つけやすくなります。
サイズについて
一般的に、山北みかんはそのサイズが小さいほど味が凝縮されていると言われています。箱入りで購入する場合、目安として2Sサイズ(小玉)は約80個、Sサイズ(小さめ)は約64~68個、Mサイズ(大きめ)は約52個程度入っていることが多いです。
等級について
山北みかんの等級は、生産者や販売元によって基準が異なります。多くの場合、「特選」「秀品」「優品」といった区分が用いられ、「特選」は外観・味ともに優れた、最高品質のものとされています。
選別方法について
山北みかんの選別方法には、「個選」と「共選」の二つの方法があります。「個選」は、各農家が独自の基準で選別したもので、味の良い生産者を見つける楽しみがあります。「共選」は、複数の農家が共同で選果場に持ち込み、共通の基準で選別されるため、品質が安定しやすいという利点があります。光センサー選果機で糖度などを測定している場合もあります。
山北みかんの購入方法:通販サイト、直売所、ふるさと納税
山北みかんは、様々な場所で手に入れることができます。
- 通販サイト:インターネットの通販サイトを利用すれば、自宅にいながら山北みかんを購入できます。高知県の特産品を専門に扱うECサイトや、大手ECモール、各農園やJAが運営するオンラインストアなどで購入可能です。
- 直売所:高知県内の直売所では、採れたての新鮮な山北みかんを直接購入できます。生産者と直接話ができるのも魅力の一つです。
- ふるさと納税:香南市へのふるさと納税の返礼品として、山北みかんを選択することも可能です。
山北みかんを長持ちさせる保存方法
山北みかんを美味しくいただくために、適切な保存方法を知っておきましょう。以下の点に注意することで、より長く美味しさを保てます。
- 直射日光を避け、風通しの良い涼しい場所で保管してください。
- 長期保存の場合は、冷蔵庫の野菜室が適しています(ただし、冷風が直接当たらないように注意)。
- 傷みやすいものから先に食べるようにしましょう。
- 冬場は、みかんが凍ってしまうような極端に寒い場所での保管は避けてください。
山北みかんに秘められた栄養と効果
山北みかんには、以下の栄養成分が含まれています。
- クエン酸:爽やかな酸味のもとです。
- ビタミンC:健康維持に役立つ栄養素です。
- ペクチン:食物繊維の一種です。
- 食物繊維:お腹の調子を整えるのに役立ちます。
- カリウム:体内の水分バランスを調整するのに役立ちます。
- ビタミンP:ポリフェノールの一種です。
山北みかんの現状:農家の減少と高齢化
高知県で親しまれている山北みかんですが、農家の高齢化と減少という課題に直面しています。2015年のデータによると、過去10年間で40軒もの農家が廃業しており、新規就農者だけではその穴を埋めきれていません。このままでは、山北みかんの生産地が衰退する恐れがあります。
山北みかんの未来:次世代育成と地域活性化
この状況を改善するため、様々な取り組みが進められています。中心的な役割を担っているのが、株式会社山北みらいです。山北みらいは、地域おこし協力隊の研修生を受け入れ、農家への負担を軽減しながら、自立できる人材育成を目指して設立されました。
地域おこし協力隊に山北みかん研修生の枠を設け、全国から意欲ある新規就農者を募集しています。さらに、会社が農地を借り上げ、研修生が独立に向けて実践的な経験を積めるようにサポートすることで、農家の負担を減らしつつ、後継者を育成する仕組みを作っています。
山北みらいの挑戦:堀川さんの情熱が未来を拓く
山北みらいを設立したのは、香南市役所を退職された堀川里望さんです。農林水産課時代に目の当たりにした山北みかん産地の苦境に心を痛め、その現状を打破しようと決意しました。
堀川さんは、農家の収入増加と、誰でも農業に挑戦できる環境を作ることを目標に掲げ、加工品の開発やストレートジュースの製造、新規就農者の支援など、多岐にわたる活動を展開しています。行政職員から転身し、山北みかんの将来を切り開こうとする堀川さんの熱意が、山北みかんの産地を力強く支えています。
山北みかんを味わう:多彩なレシピの提案
山北みかんは、生で味わうのはもちろんのこと、工夫次第で様々なレシピで楽しむことができます。
- みかんバター:規格外のみかんを活用し、地元のお菓子屋さんと協力して開発された一品。
- ストレートジュース:山北みかん本来の風味を凝縮した贅沢なジュース。
その他にも、ジャムやゼリー、ケーキといったスイーツにも最適です。また、サラダやマリネなど、料理にアクセントを加えたい時にも活用できます。
高知の恵み:多様な特産品を紹介
高知県には、山北みかんに負けず劣らず、カツオ、土佐文旦、小夏など、魅力的な特産品が豊富にあります。
- カツオ:高知県を代表する味覚。タタキや刺身でその美味しさを堪能できます。
- 土佐文旦:上品な香りと甘さが特徴の柑橘類。
- 小夏:爽やかな酸味が心地よい柑橘。
まとめ
山北みかんは、神奈川県足柄上郡山北町で栽培されている温州みかんです。丹沢山地のふもとに位置する山北町は、昼夜の寒暖差が大きく、みかん栽培に適した気候風土を持っています。そのため、山北みかんは甘みと酸味のバランスが良く、濃厚な味わいが特徴です。主に早生温州が栽培されており、秋から冬にかけて収穫されます。地域ブランドとして確立されており、地元だけでなく県内外でも人気を集めています。
よくある質問
質問1:山北みかんにはどのような品種があり、旬の時期はいつですか?
山北みかんには複数の品種があり、年間を通して楽しむことができます。例えば、5月~8月上旬にはハウスみかん、8月下旬~9月上旬には雨よけみかん(「はちきんキッス」など)、9月~10月は極早生みかん、11月~は早生みかん、12月~は中生みかん、1月~は晩生みかん、そして4月には「なつみ」という品種もあります。品種ごとに風味や特徴が異なります。
質問2:山北みかんの品質を見分けるには、どのような点に注目すればよいですか?
山北みかんを選ぶ際には、サイズ、等級、選別方法に注目するのがポイントです。小さいサイズの方が味が凝縮されている傾向があります。等級には「特選」「秀品」「優品」などがあり、「特選」が最高品質とされています。また、選別方法には農家独自基準の「個選」と共通基準の「共選」があり、共選は品質が安定しやすい利点があります。
質問3:山北みかんの生産が直面している課題と、その対策にはどのような取り組みがありますか?
山北みかんの生産地では、農家の高齢化と減少が課題となっています。これに対し、株式会社山北みらいが中心となって、地域おこし協力隊の研修生を受け入れ、次世代の農業人材育成を進めています。農地を会社が借り上げて研修生に提供する仕組みや、加工品の開発・販売などにより、農家の収入増加と地域の活性化を目指しています。