苺とは

甘酸っぱい香りと、宝石のような赤い姿が魅力の苺。ケーキやパフェなど、様々なスイーツを彩る人気者ですが、その正体や栄養について、あなたはどれだけご存知でしょうか? 実は私たちが「果実」と思っている部分は、植物学的には少し違う場所なんです。この記事では、苺の知られざる秘密を徹底解説! 美味しさだけでなく、美容と健康をサポートする豊富な栄養や、意外な一面まで深掘りしていきます。

イチゴとは:基本情報と特徴

イチゴ(苺、ストロベリー、学名:Fragaria × ananassa)は、バラ科オランダイチゴ属に分類される植物です。一般的に食べられているのは、果実のように見える「花托(かたく)」と呼ばれる部分で、表面にある小さな粒々が本当の果実です。甘みと酸味のバランスが良く、愛らしい見た目も相まって、多くの人々に親しまれています。栄養面では、ビタミンCを筆頭に、様々な栄養素を豊富に含んでいます。

イチゴは野菜?果物?分類についての考察

植物学的な分類において、果物は木になる実、野菜は草になる実と定義されることがあります。イチゴは草になるため、この定義に従うと野菜に分類されます。農林水産省の統計上も野菜として扱われていますが、デザートとして楽しまれることが多いため、「果実的野菜」という呼び方もされます。

イチゴの構造:美味しさの秘密

イチゴの表面に見られる小さな粒は種ではなく、それぞれが独立した果実です。そして、各々の粒の中に種が内包されています。つまり、一つのイチゴは、約200~300個もの果実が集まって形成された「集合果」なのです。私たちが甘くて美味しいと感じている赤い部分は、花を支えていた花床(かしょう)が肥大化したもので、厳密には果実ではない「偽果(ぎか)」と呼ばれる部分です。

イチゴの歴史:日本への伝来

日本にイチゴが伝わったのは、江戸時代後期の1830年代のことです。オランダ船によって運ばれてきたため、当初は「オランダイチゴ」と呼ばれていました。明治時代に入り、農業技術が発展すると、欧米から様々な品種が導入され、20世紀初頭には、外国の品種を用いた商業的な栽培がスタートしました。

いちごの栄養成分:ビタミンC、葉酸、アントシアニン

いちごは、特にビタミンCを豊富に含んでいます。その量は、みかんやグレープフルーツのおよそ2倍にもなります。さらに、ビタミンB群の一種である葉酸や、ポリフェノールの一種であるアントシアニンも豊富に含んでいます。アントシアニンは、視機能の改善や眼精疲労の軽減に効果が期待されています。また、いちごに含まれるクエン酸は、カルシウムの吸収を促進する作用があるため、いちごミルクとして摂取するのも良いでしょう。

いちごの甘さ:どこが一番甘い?

いちごは、先端部分から成熟していく性質があります。そのため、ヘタに近い部分よりも先端部分の方が糖度が高くなります。より甘さを堪能したい場合は、ヘタを切り落とし、中央部分から食べ始めるのがおすすめです。

いちごの旬:本来の旬と栽培方法による変化

本来、露地栽培におけるいちごの旬は春から初夏(5月から6月頃)です。しかし、近年では温室栽培技術の進歩により、秋から翌年の春にかけて広く市場に出回るようになりました。特に、クリスマスケーキの需要が高まる12月頃が出荷量のピークとなっています。

いちごの選び方:おいしいいちごを見分けるポイント

おいしいいちごを選ぶためには、全体がムラなく鮮やかな赤色に染まっているか、表面の種(果実)がはっきりと際立っているか、そして果皮にツヤがあるかを確認しましょう。また、ヘタがしっかりとピンとしていて、濃い緑色をしているものは新鮮である証拠です。

いちごの保存方法:生のまま?加工する?

デリケートないちごは、保存方法次第で美味しさが大きく変わります。

  • 【生食する場合】パックから出し、重ならないように間隔を空けて冷蔵保存しましょう。ヘタは付けたままにすることで、水分の蒸発を抑えられます。食べる前に優しく水洗いするのがポイントです。
  • 【加工するなら】冷凍保存が便利です。ヘタを取り除き、水気を丁寧に拭き取ってから冷凍保存用袋へ。これで長期保存も安心です。

いちごの食べ方:定番からちょっと変わった楽しみ方

いちごはそのままでも十分美味しいですが、様々なアレンジでさらに楽しめます。練乳やチョコレートをかけたり、ケーキやタルトの材料にするのは定番。ジャムやスムージー、サラダに加えても美味しくいただけます。意外なところでは、バルサミコ酢との組み合わせもおすすめです。ぜひ試してみてください。

代表的なイチゴの品種:その特徴と選び方のコツ

  • とちおとめ:主に東日本で広く栽培されており、甘味と酸味の調和が取れた味わいが魅力です。果肉は柔らかく、口に含むとみずみずしさが広がります。
  • あまおう:福岡県が誇る大粒の品種で、濃厚な甘さが際立っています。「あかい」「まるい」「おおきい」「うまい」の四つの要素を体現した名前が特徴的です。
  • さがほのか:西日本で親しまれている品種で、酸味が控えめで、上品な甘さが楽しめます。果肉は比較的しっかりとした食感です。
  • 章姫:静岡県で生まれた品種で、果肉が非常に柔らかく、水分をたっぷり含んでいるのが特徴です。酸味が少ないため、甘さをより強く感じられます。
  • 紅ほっぺ:こちらも静岡県生まれの品種で、甘味と酸味のバランスが絶妙で、深みのある味わいが楽しめます。豊かな香りも人気の理由の一つです。

イチゴの産地:都道府県別生産量ランキング

日本におけるイチゴの主要な生産地は、栃木県、福岡県、熊本県、静岡県、長崎県などです。各県では独自の品種や栽培技術が用いられ、地域ごとに特色豊かなイチゴが栽培されています。特に、栃木県のとちおとめや福岡県のあまおうは、全国的に知られています。

まとめ

甘さと程よい酸味が魅力のいちごは、その愛らしい姿とともに、幅広い世代に親しまれています。品種改良によって、多種多様な個性を持ついちごが生まれており、それぞれの風味を堪能するのも醍醐味の一つです。