冬の訪れを告げる、スパイスの香りがたまらない焼き菓子「スペキュロス」。その名は、ラテン語の「speculum(鏡)」に由来するとも言われ、型抜きで作られる美しい模様が特徴です。シナモン、クローブ、ナツメグなど、数種類のスパイスをブレンドした独特の風味が、口の中に広がる幸福感。今回は、そんなスペキュロスの魅力をたっぷりご紹介。今年の冬は、スペキュロスで心温まるティータイムを過ごしてみませんか?
スパイス香る伝統的なクリスマス菓子「スペキュロス」の魅力
ヨーロッパでは、クリスマスシーズンになるとシナモンやジンジャーなどのスパイスを使ったお菓子をよく目にします。中でも、じっくりと時間をかけて作るシュトーレンは人気ですが、もっと手軽に楽しめる焼き菓子として「スペキュロス」があります。スペキュロスは、基本的なクッキーの作り方とほぼ同じで、生地作りと型抜き・焼成を別の日に行っても大丈夫です。忙しい毎日の中で少し時間を見つけて生地を仕込み、焼き立てのスペキュロスとともに温かいお茶を飲む時間は、ささやかな贅沢と言えるでしょう。カリッとした食感と、何種類ものスパイスが織りなす複雑な香りが特徴的なスペキュロスは、寒い冬にぴったりの、心も体も温まるお菓子です。
スペキュロスのルーツと聖ニコラスの日との深い繋がり
スペキュロス(フランス語ではspéculoos)は、ベルギー生まれの伝統的なお菓子で、毎年12月6日の「聖ニコラスの日」に食べられるスパイスクッキーとして広く知られています。聖ニコラスの日は、オランダでは12月5日、ベルギーでは12月6日と、地域によって日にちに若干の違いがありますが、どちらも4世紀頃の聖人ニコラスの命日を祝うものです。彼は貧しい子供たちを救ったという逸話があり、それがサンタクロースの原型になったと言われています。スペキュロスには、そのニコラスにちなんだ型で模様がつけられることが多く、薄くてパリパリとした食感と、淡い茶色がかった色合いが特徴です。
ヨーロッパ各地への広がりと年間を通して愛されるスペキュロス
スペキュロスは、発祥の地であるベルギーだけでなく、オランダ、フランス、ドイツなど、ヨーロッパ各地で広く親しまれています。もともとはクリスマスの時期、特に聖ニコラスの日に食べる伝統的なスパイスクッキーでしたが、近年はその人気から一年を通して楽しめるお菓子として定着し、日本でも輸入食品店などで見かけることが増えました。「クリスマスの時期に食べられるスパイスクッキー」という点では、ジンジャーブレッドクッキーとも共通点がありますが、地域によってその特徴は異なります。クリスマスシーズンになると家庭で作られ、親しまれており、英語圏のクリスマススパイスビスケットである「ジンジャーブレッド」に近い存在と言えるでしょう。このように、スペキュロスは地域によって異なる歴史や製法、名前を持ち、多様な魅力にあふれた伝統菓子なのです。

スペキュロスの風味の特徴:ブレンドスパイスと食感を生むブラウンシュガー
スペキュロスの最も特徴的な風味は、何種類ものスパイスをブレンドした奥深い香りにあります。一般的にはシナモンをベースに、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、クローブ、ホワイトペッパーなどが組み合わされ、レシピによってその配合は様々です。アニスやメースといったスパイスが使われることもあり、特にオランダやベルギーでは、風味をより豊かにするために少量を加えることがあります。また、スペキュロスにはブラウンシュガーがよく使われ、この砂糖がカリッとした独特の食感を生み出します。多くのレシピでは、白い砂糖、ブラウンシュガー、カソナードなど、複数の種類の砂糖を組み合わせて、複雑な甘みと食感のバランスを追求しています。さらに、アーモンドプードルを使用したり、クッキーの底にスライスアーモンドを敷き詰めることで、風味や食感に変化を加える工夫も凝らされています。スペキュロスの生地は、一般的にあまり膨らまない性質を持っており、この薄くて締まった食感が多くの人に愛される理由の一つです。
伝統的な木型とその豊かなデザイン
スペキュロスを作る上で欠かせないのが、独特な模様を形作る型です。昔ながらの木製型に加え、最近では金属製の型もよく使われています。これらの型には様々なデザインが施されており、その繊細さから収集家がいるほどです。代表的なモチーフとしては、お菓子の名前の由来となった聖ニコラウスに関する物語や、聖ニコラウス自身を象ったものがあります。さらに、聖ニコラウスの祭りが農村部で祝われていたことから、風車や農家、色々な動物といった田園風景をかたどったモチーフも人気があり、スペキュロスの歴史と文化を物語っています。
まとめ
今回は、ベルギーの伝統的な焼き菓子、スペキュロスについて、その歴史や特徴を詳しく解説しました。聖ニコラウスの日という特別な日に食されてきたこのお菓子は、シナモンをはじめとする数種類のスパイスが絶妙に調和した芳醇な香りと、ブラウンシュガーによる独特の風味、そしてカリッとした食感が魅力です。ベルギーのみならず、オランダやドイツなどヨーロッパの国々で愛され、近年では一年を通して楽しめる人気の焼き菓子となっています。寒い冬のティータイムやクリスマスシーズンに、少し大人な味わいのスパイシーな焼き菓子「スペキュロス」を、存分にお楽しみください。
スペキュロスはどこの国のお菓子として知られていますか?
スペキュロスはベルギーを起源とする伝統的なお菓子ですが、オランダ、フランス、ドイツなど、ヨーロッパ各地で広く親しまれています。
スペキュロスが「聖ニコラウスの日」に食べられるのはなぜですか?聖ニコラウスの日は地域によって異なるのですか?
スペキュロスは、12月6日の「聖ニコラウスの日」に食べられる習慣があります。聖ニコラウスは、困窮している子供たちを救った聖人であり、現代のサンタクロースのモデルの一人とも言われています。この聖ニコラウスの日は、オランダでは12月5日、ベルギーでは12月6日と、地域によって日にちが異なります。
スペキュロスに使われるスパイスの種類
スペキュロスには、複数のスパイスが絶妙なバランスで配合されています。代表的なものとしては、シナモン、ジンジャー(生姜)、ナツメグ、カルダモン、クローブ、そして隠し味としてホワイトペッパーなどが挙げられます。また、オールスパイスが加えられることもあり、各家庭やレシピによってスパイスの組み合わせや分量は異なります。













