湘南ゴールドとは

太陽の恵みをたっぷり浴びて育った、神奈川県生まれの柑橘「湘南ゴールド」。その名の通り、鮮やかな黄金色が目を引くこの柑橘は、爽やかな香りと、一口食べれば広がるジューシーな甘みが特徴です。開発から品種登録まで12年の歳月を費やし、今や神奈川を代表する味覚として、その名を全国に広げつつあります。この記事では、湘南ゴールドの魅力を余すところなく徹底解説。その誕生秘話から、味わい、旬の時期、美味しい食べ方まで、湘南ゴールドのすべてをご紹介します。

湘南ゴールドは、神奈川県農業技術センターによって開発された柑橘系の果物です。2003年11月18日に品種登録され、農林水産省のデータベースに登録されています。この品種は、もともと神奈川県の西部で栽培されていた「黄金柑（ゴールデンオレンジ）」と、温州みかんの一種である「今村温州」を掛け合わせて誕生しました。湘南ゴールドは、神奈川県が選定する優れた農林水産物「かながわブランド」にも選ばれています。

開発には12年もの長い年月が費やされています。かつてはみかんの産地として栄えていた神奈川県西部地域ですが、消費者のみかん離れや、他県産のみかんとの競争激化により、生産量が大きく減少していました。温暖な気候の海岸沿いでは、「ゴールデンオレンジ(黄金柑)」という希少なオレンジが栽培されていましたが、実が小さく、食べにくいという課題がありました。そこで、農業技術センターは、「みかん」の手軽さと「ゴールデンオレンジ」の風味を兼ね備えた湘南ゴールドの開発に着手したのです。生産者と関係機関が協力し、栽培技術の向上と品質の安定化に力を入れています。例えば、摘果（間引き）の方法について研究会を開いたり、試験用の木を植えたりするなど、様々な工夫を凝らしています。

湘南ゴールドの最も注目すべき点は、その外観と実際に味わった時の印象のギャップです。鮮やかな黄色の果皮は、まるでユズやレモンを思わせ、酸っぱい味を想像させますが、実際にはバランスの取れた甘さと酸味が口の中に広がり、その意外性に驚かされます。ゆら早生（温州みかん）の糖度の平年値（平成13年から平成25年までの平均値）は、11.3度から12.0度程度である。特に際立っているのは、その芳醇で爽やかな香りです。『気分がすっきりする』『心が安らぐ香り』とも表現されます。この香りの高さから、湘南ゴールドは「幸せを呼ぶ、新感覚オレンジ」というキャッチフレーズで親しまれています。大きさはピンポン玉よりも少し大きく、手軽に食べられるサイズ感も魅力です。果皮と果肉の間には香りの成分が豊富に含まれているため、皮ごとすりおろして料理に使うことで、より一層風味が豊かになります。

湘南ゴールドの味の特徴は、何と言ってもそのフレッシュな香り、爽やかな甘さ、たっぷりの果汁、そしてほどよい酸味の絶妙なバランスです。湘南ゴールドを栽培する農家の方々は、特に、黄色い柑橘類が好きな方、手で皮を剥いて手軽に味わいたい方、新しいものや珍しいものが好きな方、そして柑橘類や果物全般を愛する方々に、この湘南ゴールドを自信を持ってお勧めしています。湘南ゴールドは、日向夏(ニューサマーオレンジ)や黄金柑(ゴールデンオレンジ)、はるか、グレープフルーツ、さらにはレモンといった他の黄色い柑橘類と共通する魅力を持っています。これらの柑橘類と比較して、特に際立っているのがその香りです。また、一つ一つの実は小ぶりながらも、果汁がたっぷりでジューシーな点も、他の柑橘類に引けを取りません。

湘南ゴールドは、おおむね3月中旬から4月中旬にかけて市場に出回ります。特に4月が最も美味しい時期です。神奈川県内のJAが運営するファーマーズマーケットや、デパートで開催される販売イベント、県内の大型農産物直売所などで手に入れることができます。さらに、栽培農家から直接購入することも可能です。初めて出荷された2006年にはわずか450キログラムでしたが、2010年には約41.6トンにまで増加し、そのすべてが神奈川県内で栽培されています。しかし、流通量はまだ限られているため、「幻の柑橘」とも言われています。

湘南ゴールドは、そのまま味わうのはもちろん、様々な加工品や料理の材料としても利用されています。例えば、湘南ゴールドのピューレを使ったお菓子や、湘南ゴールドのワイン、湘南ゴールド果汁をベースにした炭酸飲料などが販売されています。また、湘南ゴールドを使った多様なレシピも公開されており、スイーツから本格的な料理まで、その風味を活かした様々な楽しみ方ができます。ある野菜ソムリエは、「湘南ゴールドは香りが非常に良いので、皮も捨てずに活用したい。細かく刻んで砂糖で煮詰めれば、風味豊かなマーマレードを作ることができます。また、果肉を食べた後に残った皮を乾燥させて粉末状にしたものを陳皮のように保存しておけば、料理にアクセントを加える際に役立ちます。」と語っています。地元農家のおすすめレシピとしては、湘南ゴールドを加えた唐揚げがあります。柑橘特有の爽やかな香りと果汁の酸味が、唐揚げをさっぱりと美味しく仕上げてくれます。

湘南ゴールドは、神奈川県を代表する地域ブランドとして、その地位を着実に築き上げています。生産者の方々は、より多くの方々に湘南ゴールドの魅力に触れ、その美味しさを体験していただくために、様々な活動に取り組んでいます。湘南ゴールドの美味しさは、その品質だけでなく、生産者の情熱と努力によって支えられています。今後、湘南ゴールドがさらに多くの人々に愛される果物として成長することを期待しましょう。

湘南ゴールドは、神奈川県が生み出した特別な柑橘です。その他に類を見ない香りと甘酸っぱさのバランスは、一度味わうと忘れられない印象を残します。ぜひ、旬の時期にその美味しさを体験してみてください。そして、湘南ゴールドを通して、神奈川県の豊かな自然と生産者の情熱を感じ取っていただければ幸いです。

湘南ゴールドは、主に地元神奈川県のJAが運営するファーマーズマーケットや、デパート、地元の農産物を扱う直売所などで手に入れることができます。また、一部のインターネット通販サイトでも販売されています。

湘南ゴールドの旬は、おおよそ3月中旬から4月中旬にかけてです。この時期に収穫されたものが最も味が良く、芳醇な香りも楽しめます。

湘南ゴールドは、生で味わうのはもちろんのこと、ジュースや自家製ジャム、お菓子作りなど、幅広い用途で活用できます。皮ごと摩り下ろして料理に加えると、柑橘の香りがより一層際立ちます。