濃厚でとろけるような口どけが魅力の生チョコと、芳醇な香りとコクがたまらないバター。この二つが出会うことで誕生したのが「生チョコバター」です。まるで禁断の果実のように、一口食べたら止まらない魅惑のスイーツ。あなたもきっと、生チョコバターの虜になるはずです。
生チョコレートとは
生チョコレートとは、口の中でとろけるような食感が特徴的なチョコレートの一種です。これは、チョコレートのベースに生クリームや洋酒などを加えて、柔らかく仕上げたものです。この生チョコレートは、日本の洋菓子店であるシルスマリアのオーナーシェフ、小林正和氏によって1988年に生み出されました。シルスマリアはそれ以前からトリュフを多数販売していましたが、小林氏はトリュフの中身だけを味わうという発想から、試行錯誤を重ねて生チョコレートの原型を完成させました。彼はそのレシピを独占せず、広く共有するために公開しました。公正取引委員会の定める規約では、生チョコレートは「チョコレート生地が全重量の40%以上、クリームが10%以上、そして水分が10%以上」であるものと定義されています。生チョコレートは日本で独自に発展したお菓子であり、海外ではあまり知られていません。製法としては、チョコレートに生クリームなどを加えるガナッシュに近いですが、ガナッシュが他の菓子の材料として用いられるのに対し、生チョコレートはそのまま食べられるように工夫された点が異なります。ガナッシュを固めたお菓子には、スイスのパヴェ・ド・ジュネーブがあり、日本では「生チョコレート」として紹介されることもあります。
バターとは
バターは、牛乳から採取したクリームを練り固めて作られる乳製品です。わずかに黄みがかった白色の固体で、主成分は乳脂肪です。ビタミンAなど、様々なビタミンや栄養素が豊富に含まれています。バター100グラムを作るには、約4.8リットルの牛乳が必要とされます。英語の「butter」は、乳を原料とし、クリームから脂肪分を凝固させたものを広く指します。しかし、日本語の「バター」の語源である英語「butter」は、ラテン語の「butyrum」に由来し、さらに遡るとギリシャ語の「boutyron」、つまり「牛のチーズ」が語源です。また、漢語では「牛酪」と表記されます。これらのことから、バターは一般的に牛乳を原料とすることが分かります。牛乳以外の乳を原料としたバターも存在しますが、ここでは特に断りがない限り、牛乳を原料としたバターについて解説します。
バターの種類
バターは製造過程の違いで、大きく分けて2種類あります。一つは、乳酸発酵させたクリームから作る「発酵バター」、もう一つは、発酵させずに作る「無発酵バター」です。さらに、それぞれに塩を加えた「有塩バター」と、塩を加えていない「食塩不使用バター」があり、合計4つのタイプが存在します。以前は「無塩バター」と呼ばれていたものが、実際には生乳由来の微量の塩分が含まれていることから、「食塩不使用バター」と表示されるようになりました。これは、厚生労働省の栄養表示基準に基づくものです。日本の市場では、「無発酵、有塩」または「無発酵、食塩不使用」のバターが主流です。有塩バターには、1.8%以下の食塩が加えられています。発酵バターは製造に手間がかかるため、価格が高めに設定される傾向があり、市場に出回る量は少なめです。
バターの歴史
バターの起源は定かではありませんが、少なくとも紀元前5世紀頃のメソポタミア文明には存在していたと考えられ、『聖書』や『マハーバーラタ』にも記述が見られます。初期のバターは、皮袋に入れた生乳を棒で叩き、揺らすことで作られていたようです。その後、バターは牧畜が盛んなケルト、ヴァイキング、ベドウィンといった民族に伝わりました。古代ギリシア時代には、スキタイから地中海世界に伝わり、「ブトゥルム」(牛のチーズの意)と呼ばれていました。当初、バターは野蛮人の食べ物と見なされ、オリーブオイルが普及していたことや保存性の低さから、ごく一部で薬や化粧品、潤滑油として使用される程度でした。南ヨーロッパでは中世においてもバターはほとんど知られておらず、イタリアの料理書に登場するのは15世紀以降のことです。ピレネー・アルプス山脈以北の地域で、ヴァイキングやノルマン人の征服とともにバターが広まり、14世紀頃にはオランダやスイスにも普及しました。しかし、ノルマン系ではない貴族の間では依然として「野蛮人の食べ物」と見なされ、貧しい人々が食べるものとされていました。フランスで食用として本格的に利用され始めてから、ようやく貴族にも受け入れられるようになりました。歴史家のジャン・ルイ・フランドランは、14世紀から17世紀のヨーロッパにおけるバターとオイルの使用圏を区別しており、現在でもその境界は明確に残っています。一般的に、バターは保存しやすい寒冷な地域で普及していると考えられ、スカンジナビアでは12世紀頃にはバターの輸出が始まっていました。12世紀には、サン=ドニの司祭が四旬節の間にバターを食べる行為が「肉断ち」の禁を犯すかどうかを初めて問題提起しました。その後、14世紀には正式に禁じられることとなりましたが、バターに慣れ親しんでいた地域の貴族や富裕層は、バターを食べるための贖宥状を教会から購入し、教会は多大な利益を得ました。フランドランは、16世紀の宗教改革とバター・オイル文化圏の地図上の関連性について指摘しています。また、バターはランプの油の代わりとしても利用されました。ルーアン大聖堂にある「バターの塔」は、16世紀の四旬節にバターをランプの油として実際に使用したことに由来するとされています。日本では、江戸時代に徳川吉宗が、明治時代にはエドウィン・ダンがバターを試作しています。江戸時代には少量ながらもバターが生産されており、「ぼうとろ」または「白牛酪」と呼ばれ、削って食べたり湯に溶かして飲んだりしていました。明治維新後、政府が外国人向けに乳製品を供給するために酪農を開始したことで、バターが本格的に普及しました。19世紀末には、戦争の混乱でバターの価格が高騰したため、ナポレオン3世の命令によってバターの安価な代用品としてマーガリンが開発されました。
生チョコバターとは
日常に寄り添う生チョコレートとして、親しみやすく、より楽しんでいただけるよう開発されました。生チョコレートには、丁寧に刻んだカルピスバターを贅沢に混ぜ込んでいます。焼きたてのトーストにのせると、生チョコバターがじんわりと溶け出します。シルスマリアならではのなめらかな口どけに加え、バターの塩味が濃厚なチョコレートの風味を際立たせます。甘党にはたまらない、一枚で十分な満足感が得られるでしょう。新しいパンのお供として、一度お試しください。