コンコードとは?特徴から用途、生産量まで徹底解説

芳醇な香りと濃厚な甘みが特徴の「コンコード」。アメリカ原産のこのぶどうは、生食はもちろん、ジュースやジャムなど様々な用途で親しまれています。特有の「フォックス臭」と呼ばれる香りや、果肉がするりと剥ける「スリップスキンタイプ」であることなど、他の品種とは異なるユニークな特徴を持っています。この記事では、コンコードの魅力を余すことなくご紹介。特徴から用途、驚きの生産量まで、コンコードの全てを徹底解説します。

コンコードブドウの品種特性と全体像

コンコードは、北米原産のラブルスカ種を代表する品種です。別名フォックスグレープとも呼ばれ、独特の芳香、いわゆる「フォックス臭」が特徴です。この香りはワイン醸造には不向きとされることもありますが、ジュースやジャムなど、加工品原料としてはその個性が活かされます。果粒は直径約2cm、濃紺色から赤紫色の果皮はブルームと呼ばれる白い粉で覆われています。果肉は黄緑色で、弾力があり、種が大きいのが特徴です。果皮は厚めで、果肉が滑り出てくるスリップスキンタイプに分類されます。外観は同じラブルスカ種のキャンベル・アーリーに似ています。生食も可能ですが、ウェルチのグレープジュースに代表されるように、ジュース、ジャム、甘口ワインの原料として広く利用されています。コンコードはカリウム不足による生理障害「リーフ・スコッチ」(葉の縁が焼けたように枯れる症状)が発生しやすい傾向があります。

コンコードブドウの味わいと最適な旬の時期

コンコードブドウの味わいは、何と言ってもその強い香りが特徴です。皮ごと口にすると、豊かな果汁とともに強い甘みと酸味が広がり、果皮由来の渋みも感じられます。この甘み、酸味、渋みのバランスが、コンコードならではの風味を形作っています。旬は産地によって異なりますが、国内主要産地である長野県では、9月上旬頃から収穫が始まり、9月中旬から下旬に最盛期を迎えます。この時期に生食はもちろん、ジュースやジャムなどの加工品として、濃厚な風味を堪能できます。

コンコードブドウの誕生と歴史的発展

コンコードブドウの歴史は、19世紀のアメリカに始まります。1849年、マサチューセッツ州コンコードで、育種家のエフライム・ウェールズ・ブル氏が選抜・育成しました。ブル氏は、ラブルスカ種の野生種から種を採取し、22,000本もの苗を評価するという地道な作業を経て、コンコードを選び出しました。1853年、ボストン園芸協会の品評会で優勝し、翌1854年から市場に出荷されるようになりました。アメリカ系ブドウの中でも、特に古くから栽培されている品種の一つです。日本には明治時代初期に導入され、栽培が広がりました。コンコードの歴史を語る上で欠かせないのが、ウェルチ社との関係です。1869年、トーマス・B・ウェルチ博士が、低温殺菌により発酵を抑えたコンコードのブドウジュースを開発しました。当初は教会の聖餐式用として開発されましたが、その美味しさと利便性から一般にも普及しました。1893年には、ウェルチ博士の息子、チャールズ・E・ウェルチがウェルチ・フーズ社を設立し、コンコードブドウを使った製品は世界中で愛されています。

コンコードブドウの主な産地と生産量

コンコードブドウは、用途が広く世界中で栽培されていますが、特にアメリカ合衆国が主要な産地です。2011年のアメリカでの生産量は417,985トンに達し、そのうち27トンが果汁飲料として消費されました。ニューヨーク州、ミシガン州、ワシントン州などで大規模な栽培が行われ、生食用だけでなく、ジュース、ジャム、ワインなど、様々な加工品向けに生産されています。日本国内では長野県が主な産地です。生果としての出荷もありますが、多くはジュースやワイン、ジャムなどの加工用として利用されます。

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コンコードブドウの多彩な用途と製品

コンコードブドウは、その特徴的な風味と性質から、様々な形で活用されています。そのまま生で食べるのも美味しいですが、特に加工品としての利用価値が高いです。コンコードブドウは「ワイン」の醸造にも使われますが、「フォクシーフレーバー」と呼ばれる独特の香りが強いため、ワイン用としては好みが分かれることがあります。伝統的に、コンコードワインは甘口が多いですが、ブドウが十分に熟せば、辛口ワインも造ることが可能です。さらに、その鮮やかな紫色を活かし、ブドウ風味の炭酸飲料やキャンディの着色料として、コンコードブドウの果汁が用いられることがあります。コンコードブドウに含まれる「アントラニル酸メチル」は、これらの食品の香料としても使用され、独特の風味を再現するのに役立っています。このように、コンコードブドウは生食から多様な加工品に至るまで、幅広い用途で私たちの食生活を豊かにしています。

まとめ

この記事で見てきたように、コンコードは単なる甘いブドウではなく、その独特の香りと加工適性がアメリカの食文化の発展、特にブドウジュースの歴史と深く結びついてきた特別な品種です。生食から加工品まで、その個性を理解することで、コンコードの魅力をより一層楽しむことができるでしょう。

コンコードブドウは生で食べられますか?

はい、コンコードブドウは生のままでも美味しくいただけます。強い甘味と酸味、そして皮の渋みが特徴で、独特の「フォックス臭」と呼ばれる香りも楽しめます。ただし、種が大きく果皮が厚い「スリップスキン」タイプなので、皮を剥いて食べるのが一般的です。ジュースやジャムなど、加工用としても優れた品種です。

コンコードブドウの「フォックス臭」とは何ですか?

「フォックス臭」とは、コンコードブドウを含むラブルスカ種に特有の、ややワイルドでムスクに似た強い香りのことです。これは、ブドウに含まれる「アントラニル酸メチル」という成分に起因します。この香りはワイン用としては好みが分かれるものの、ジュースやジャムなど、加工品の風味を豊かにする要素として評価されています。

コンコードブドウの主な栽培地域はどこですか?

海外においては、アメリカ合衆国がコンコードブドウの主要な生産地であり、ニューヨーク州、ミシガン州、ワシントン州などが大規模な栽培地として知られています。日本国内においては、長野県が主な産地であり、生食用としての出荷も一部ありますが、大部分はジュース、ワイン、ジャムなどの加工品向けに栽培されています。

コンコードブドウ