温州みかんとは?特徴や歴史、おいしさの秘密を徹底解説!
冬の食卓を彩る、甘くてジューシーな温州みかん。その名は、中国の温州に由来すると言われていますが、実は日本生まれの柑橘類です。手軽にむけて、種が少ないため、お子様からご年配の方まで幅広い世代に愛されています。この記事では、温州みかんの知られざる歴史や、おいしさの秘密を徹底解説。読めばきっと、みかんに対する愛情がさらに深まることでしょう。

温州みかんとは

温州みかんは、日本を代表する柑橘類のひとつで、多くの場合単に「みかん」と呼ばれる親しみやすい果実です。「おんしゅう」ではなく「うんしゅう」と読むのが正しい発音です。その特徴は、薄い皮でむきやすく、手軽に食べられる点にあります。温州みかんは日本原産であり、そのルーツは鹿児島県(不知火海沿岸)にあると考えられています。本格的な栽培は明治時代から始まりました。

温州みかんの歴史

温州みかんの発祥の地は、鹿児島県とされています。その根拠となっているのは、1936年に農学博士が鹿児島県(不知火海沿岸)で樹齢300年と推定される古木を発見したことです。この古木は残念ながら第二次世界大戦中に枯れてしまいましたが、その原木から穂を採って接ぎ木されたものが現在も残っています。「温州」という名称は江戸時代の後半に付けられましたが、中国の温州から伝わったものではありません。当時、中国の温州が柑橘の産地として広く知られていたため、その名前にちなんで名付けられたと言われています。

温州みかんの名称の由来

「みかん」という言葉は、蜜のように甘いという意味を持つ「蜜柑」に由来します。漢字では「蜜柑」「蜜橘」「樒柑」などと書かれることもありました。一方、「温州」という名前は、古くからミカンの名産地として知られる中国浙江省の温州にちなんでいます。古典に精通した人物が、その甘さが際立つこの品種に「温州」という名前を与えたと考えられています。英語では「satsuma mandarin」と呼ばれ、欧米では「Satsuma」や「Mikan」などの名称が一般的です。これは、明治時代に薩摩地方からアメリカへ輸出されたことがきっかけとなっています。

温州みかんの旬と産地

温州みかんの旬は、品種によって時期が異なりますが、おおむね9月から翌年の1月にかけてです。主な産地は、和歌山県、静岡県、愛媛県などです。温暖な気候を好み、日当たりが良く水はけの良い斜面で栽培されます。近年ではハウス栽培も広く行われており、ほぼ一年を通して市場に出回っています。
  • 極早生:9月~10月下旬頃に収穫
  • 早生:10月下旬~12月下旬頃に収穫
  • 中生:11月下旬~12月下旬頃に収穫
  • 晩生:1月以降に収穫

温州みかんの種類と主な品種

温州みかんは、収穫時期や栽培方法の違いから、多種多様な種類が存在します。それぞれの個性を理解して、お好みの温州みかんを見つけてみましょう。

極早生温州

9月から10月下旬にかけて収穫される、最も早く店頭に並ぶ温州みかんです。まだ果皮に緑色が残っていることがあり、果肉はみずみずしく、さっぱりとした酸味が特徴です。代表的な品種としては、宮本早生や日南1号、岩崎早生などが挙げられます。
  • 特徴:果皮に緑色が残る、みずみずしい、酸味が強め
  • 主な品種:宮本早生、日南1号、岩崎早生、崎久保早生、上野早生

早生温州

10月下旬から12月下旬にかけて収穫される温州みかんです。果皮は鮮やかなオレンジ色に染まり、甘さと程よい酸味が調和した味わいが魅力です。宮川早生や興津早生などが広く知られています。
  • 特徴:果皮はオレンジ色、甘味と酸味のバランスが取れている
  • 主な品種:宮川早生、興津早生

中生温州

11月下旬から12月下旬にかけて収穫される、最も一般的な温州みかんです。果皮は濃いオレンジ色で、丸みを帯びた形をしています。酸味が穏やかで、濃厚な甘さが際立つのが特徴で、南柑20号や向山温州などがあります。
  • 特徴:果皮は濃いオレンジ色、丸みを帯びた形、酸味が少なく甘味が強い
  • 主な品種:南柑20号、向山温州、藤中温州

晩生温州

年明けの1月以降に収穫される、シーズン終盤を飾る温州みかんです。収穫後、一定期間貯蔵することで甘みを増してから出荷されます。代表的な品種としては、青島温州、十万温州、寿太郎温州などが挙げられます。
  • 特徴:貯蔵による甘みの向上
  • 主な品種:青島温州、十万温州、寿太郎温州

青島温州

昭和20年代に静岡市で発見された品種で、その高い糖度と優れた味が特徴です。温州みかんの代表的な品種として、全国各地で広く栽培されており、特に静岡県では主要な品種となっています。静岡県内の温州みかん栽培面積の過半数を占めています。

寿太郎温州

昭和50年頃、沼津市西浦で発見された、沼津(西浦)地域原産の品種です。青島温州よりもさらに糖度が高く、濃厚な風味が楽しめます。栽培面積は年々増加傾向にあります。

ハウスみかん

温室で栽培されるみかんの総称で、主に5月から9月頃に市場に出回ります。果皮は鮮やかなオレンジ色でやや小ぶりなものが多く、強い甘みと食べやすさが特徴です。ハウスみかんのおかげで、一年を通して美味しいみかんを味わうことができます。
  • 特徴:温室栽培、5~9月頃に出荷、果皮は鮮やかなオレンジ色、小ぶり、強い甘み

温州みかんの栄養価と健康効果

温州みかんは、ビタミンCやβ-クリプトキサンチンといった、健康に役立つ栄養成分を豊富に含んでいます。

ビタミンC

ビタミンCは、水に溶けやすい性質を持つビタミンの一種で、体内でコラーゲンを作り出す際に不可欠です。また、抗酸化作用を持つビタミンとしても広く知られています。免疫機能をサポートし、風邪の予防や疲労回復に貢献します。

β-クリプトキサンチン

β-クリプトキサンチンは、ヒトの血液中に存在する主要なカロテノイドの一つとして知られています。研究によって、特定の種類のがん、糖尿病、関節リウマチ、動脈硬化などの発症リスクを低減する可能性が指摘されています。

その他の栄養成分

温州みかんの果肉を包む薄皮や筋には、毛細血管を強くする効果が期待されるビタミンP(ヘスペリジン)が含まれています。さらに、食物繊維も豊富で、腸内環境を整える働きがあります。
  • ビタミンP(ヘスペリジン):毛細血管の強化、血行促進
  • 食物繊維(ペクチン):腸内環境の改善、コレステロール値の低下

温州みかんのカロリー

温州みかんは、100gあたり約49kcalとされています。糖質も含まれますが、食物繊維も豊富であるため、食後の血糖値上昇を穏やかにする効果が期待できます。手軽に食べられることから、つい食べ過ぎてしまうこともありますが、適切な量を心がけて美味しくいただきましょう。
  • 温州みかん(じょうのう・普通)可食部100gあたり:カロリー 49kcal、ビタミンC 32mg、β-クリプトキサンチン 1700μg
  • 温州みかん(砂じょう・普通)可食部100gあたり:カロリー 49kcal、ビタミンC 33mg、β-クリプトキサンチン 1800μg

美味しい温州みかんの見分け方

美味しい温州みかんを選ぶには、いくつかのポイントがあります。下記を参考にして、より美味しいみかんを見つけてみましょう。
  • ヘタの切り口:小さく、色が薄いものが新鮮
  • 果皮:色が濃く、ハリがあるものが良質
  • 形:扁平で、手に持った時にずっしりと重みを感じるもの
  • 皮:薄く、表面のツブツブが細かく、きめ細かいもの
一般的に、小ぶりで皮が薄く柔らかいみかんほど甘みが強い傾向があります。多少の擦り傷は品質に影響ありませんが、日焼けしているものは水分が失われ、味が落ちていることがあるので注意が必要です。

温州みかんの保存方法

温州みかんをより長く美味しく保存するための方法をご紹介します。適切な保存方法を実践することで、みかんの風味を長く楽しむことができます。
  • 直射日光を避け、風通しの良い場所で保管する
  • 箱で購入した際は、傷んでいるみかんを取り除き、底にあるみかんから順に消費する
  • 冷蔵庫で保存する場合は、乾燥を防ぐためにビニール袋などに入れる
  • 冷凍みかんとして保存する場合は、皮をむかずに丸ごと冷凍する

まとめ

温州みかんは、私たち日本人に馴染み深く、その美味しさと栄養価から広く親しまれています。この記事では、温州みかんの栄養、美味しいみかんの選び方、保存方法など、様々な情報をお伝えしました。ぜひ本記事を参考に、温州みかんをより深く理解し、より一層美味しく味わってみてください。

質問:温州みかんにおける「じょうのう」とは何のことですか?

回答:温州みかんでいう「じょうのう」とは、果肉を包む薄い袋状の皮のことです。この薄皮には、ヘスペリジン(ビタミンP)や食物繊維といった栄養成分が豊富に含まれています。

質問:温州みかんをたくさん食べると、手が黄色くなるのはどうしてですか?

回答:温州みかんに多く含まれるβ-カロテンなどの色素が、皮膚に一時的に蓄積されることが原因です。これは柑皮症と呼ばれる現象で、健康上の心配はありません。

質問:温州みかんの果皮は、どのように活用できますか?

回答:温州みかんの皮は、乾燥させて陳皮として、漢方薬やスパイスとして使用できます。その他、入浴剤としてお風呂に入れたり、アロマオイルのように香りを楽しむことも可能です。
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