温州みかん:日本の冬を彩る、手軽でおいしい国民的柑橘

冬の食卓を彩る、甘くてジューシーな温州みかん。手軽にむけて、そのままパクッと食べられる国民的柑橘として、老若男女問わず愛されています。甘くてジューシーな国民的柑橘、温州みかん。その歴史やおいしさの秘密、選び方まで魅力をたっぷりご紹介します。この記事では、温州みかんの歴史やおいしさの秘密、選び方や保存方法まで、その魅力をたっぷりご紹介します。

温州みかんとは:その定義、正しい読み方、歴史と特徴

温州みかんは、一般的に「みかん」として親しまれている、日本を代表する柑橘系の果物です。読み方については、「おんしゅう」ではなく「うんしゅう」が正しいとされています。このみかんの特筆すべき点は、皮が薄くて剥きやすく、手軽に食べられることです。原産地は日本であり、1936年に農学博士が鹿児島県の不知火海沿岸で樹齢300年と推定される古木を発見したことが、その根拠となっています。明治時代以降、温州みかんの栽培が本格化し、日本全国で広く愛される果実となりました。

温州みかんの旬と主な産地について

温州みかんは、収穫時期によって様々な種類があり、それぞれの時期に独特の風味を堪能できます。2022年度産(令和4年産)の生産量ランキングにおいて、収穫量が多い産地(都道府県)は、1位が和歌山県、2位が愛媛県、3位が静岡県となっています。収穫時期による分類は、一般的に以下の4つに分けられます。「極早生(ごくわせ)」は、9月から10月下旬にかけて収穫され、果皮にまだ青みが残っているのが特徴です。早い時期に収穫されるため、果肉は水分を多く含んでおり、酸味がやや強めで、甘酸っぱい味わいを好む人に適しています。また、じょうのう膜(果肉を包む薄い膜)が比較的薄く、食べやすいのも利点です。「早生(わせ)」は、10月下旬から12月下旬に収穫されます。果皮はオレンジ色に色づき、早めに収穫されることで、甘さと程よい酸味が調和した美味しさを楽しめます。そして、「中生(なかて)」、または「普通」と呼ばれるタイプは、11月下旬から12月下旬にかけて収穫される、最も一般的な温州みかんです。濃いオレンジ色の果皮と扁球形が特徴で、じょうのう膜は早生種に比べてやや厚めですが、酸味が少なく甘味が強い傾向にあります。最後に「晩生(おくて)」は、1月以降に収穫されるシーズン終盤のみかんです。通常、収穫後1ヶ月ほど貯蔵され、甘みを増してから出荷されます。さらに、温室で栽培される「ハウスみかん」は、5月から9月頃に出回ります。果皮は鮮やかなオレンジ色でやや小ぶり、甘味が強く食べやすいため、一年を通して楽しむことができます。

温州みかんの多様な種類と代表的な品種

温州みかんは、収穫時期による分類の他に、地域ごとの特性を持つ多種多様な品種が存在します。極早生種としては、宮本早生、日南1号、岩崎早生、崎久保早生、上野早生などがよく知られています。これらは、先述の通り、まだ果皮に青みが残る時期に収穫され、水分が多く酸味のある風味が特徴です。早生種では、宮川早生や興津早生が代表的で、甘味と酸味のバランスが取れた美味しさが魅力です。中生種には、南柑20号、向山温州、藤中温州などがあり、甘みが強く酸味が穏やかな点が人気です。晩生種として有名なのは、青島温州、十万温州、寿太郎温州などです。これらは貯蔵することでさらに甘みが増し、濃厚な味わいとなります。特に「青島温州」は、昭和20年代に静岡市で発見された品種で、糖度が高く食味も優れているため、温州みかんの代表的な品種として日本全国で広く栽培されています。また、「寿太郎温州」は沼津市西浦で発見された、沼津(西浦)地域のオリジナル品種です。青島温州よりもさらに糖度が高く、風味が豊かで濃厚であることが特徴です。和歌山県の『有田みかん』や愛媛県の『真穴みかん』など、各産地を代表するブランドも高い人気を誇ります。

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温州みかんのカロリーと豊富な栄養成分について

温州みかんは、その美味しさはもちろんのこと、豊富な栄養成分も魅力の一つです。温州みかんの可食部100gあたりのカロリーと主な栄養価は以下の通りです。まず、果肉の粒々を包んでいる薄皮である「じょうのう」を含む普通のみかんの場合、カロリーは49kcal、ビタミンCは32mg、β-クリプトキサンチンは1700μgです。一方、薄皮を剥がした粒々の果肉である「砂じょう」の場合もカロリーは同じく49kcalですが、ビタミンCは33mg、β-クリプトキサンチンは1800μgと、薄皮の有無によって栄養素の量にわずかな違いが見られます。ここでいう「じょうのう」とは果肉の粒々を包む薄皮の袋を指し、「砂じょう」は薄皮を剥がした粒々の果肉を指します。温州みかんに特に豊富に含まれる栄養素である「ビタミンC」は、水溶性ビタミンの一種で、体内でコラーゲンの生成に関与する重要な役割を担うほか、強力な抗酸化ビタミンとしても知られています。また、「β-クリプトキサンチン」は、人の血液中に存在する主要なカロテノイドの一つであり、近年の研究では、β-クリプトキサンチンを含む温州みかんの摂取が、健康維持における様々な役割を果たす可能性が示唆されています。これらの栄養素が豊富に含まれているため、温州みかんは美味しく手軽に食べられるだけでなく、健康維持にも役立つ果物と言えるでしょう。

おいしい温州みかんを見極めるコツと保存方法

おいしい温州みかんを選ぶには、いくつかのポイントをチェックしましょう。まず、「ヘタの切り口」です。小さくて、色が薄いものがおすすめです。これは、みかんが木からしっかりと栄養を吸収し、十分に熟している証拠とされています。次に、「果皮の色とハリ」を確認しましょう。色が濃く、ピンとハリのあるものは、新鮮で水分がたっぷり含まれていることを示しています。「形と重さ」も重要です。少し平たい形をしていて、手に持った時にずっしりと重みを感じるものは、果汁が豊富でおいしい可能性が高いです。さらに、「皮の薄さと表面のツブツブ」にも注目しましょう。皮が薄いみかんは、果肉の割合が多く、甘みが強い傾向があります。皮の表面のツブツブが小さく、きめ細かいものを選ぶと良いでしょう。お店でみかんを選ぶ際、表面に少し傷があるものを見かけることがありますが、これは特に問題ありません。ただし、日焼けして皮が硬くなっているものは、水分が失われて味が落ちている可能性があるため、避けた方が良いでしょう。購入した温州みかんを美味しく保つには、保存方法も大切です。直射日光を避け、温度変化の少ない涼しい場所で、風通しの良い状態で保存するのがおすすめです。こうすることで、みかんの美味しさをより長く楽しむことができます。

まとめ

日本の冬に欠かせない温州みかんは、手軽さだけでなく、収穫時期や品種による味の違いも楽しめる奥深い果物です。ビタミンCなどの栄養も豊富で、選び方や保存法を工夫すれば、その魅力を余すことなく味わえます。ぜひ、お好みの温州みかんを見つけて、冬の食卓を彩ってみてください。

温州みかんの正しい読み方を教えてください。

温州みかんの正しい読み方は「うんしゅうみかん」です。「おんしゅうみかん」と間違われることがありますが、「うんしゅう」と読むのが正解です。

温州みかんの原産地はどこですか?

温州みかんは、日本が原産地であると考えられています。1936年に農学博士が鹿児島県(不知火海沿岸)で樹齢約300年と推定される古木を発見し、その地域が発祥の地ではないかと考えられるようになりました。

温州みかん、一番美味しい時期はいつ?

温州みかんは、収穫される時期によって様々な種類があります。 9月から10月下旬にかけては極早生みかん、10月下旬から12月下旬にかけては早生みかん、11月下旬から12月下旬にかけては中生みかん、そして1月以降は晩生みかんが楽しめます。さらに、ハウス栽培のみかんは5月から9月頃に出荷されます。

温州ミカン