甘さ、香り、食感の違いを楽しむ!びわの種類別徹底ガイド

初夏の訪れを告げる、甘くみずみずしい果実、びわ。一口にびわと言っても、その種類は多種多様で、それぞれに個性的な魅力があります。この記事では、びわの種類ごとの甘さ、香り、食感の違いを徹底的に解説します。定番品種から希少品種まで、それぞれの特徴を知れば、びわ選びがさらに楽しくなるはず。あなた好みのびわを見つけて、旬の味覚を心ゆくまで堪能しましょう。

ビワとは:基本情報と主な生産地

ビワは、バラ科に属する常緑高木のビワの木から収穫される果物です。生育には温暖な気候が適しており、日本では長崎県や千葉県などで広く栽培されています。中でも、千葉県南房総地域で育てられるビワは「房州びわ」という名称で地域ブランドとして保護されており、長崎県の茂木びわと並んで、国内の主要なビワの産地として知られています。

ビワ栽培の苦労:寒さ対策

ビワは冬の始まりに開花し、厳しい寒さの中で実を成熟させるため、栽培には寒さ対策が不可欠です。特に、花は-5℃、果実は-3℃を下回ると凍結する恐れがあり、栽培地域は温暖な場所に限られます。千葉県安房地域は黒潮の影響を受け比較的温暖なため、栽培の北限とされています。生産者は、気温が低下しにくい傾斜地を選んだり、寒波襲来時には暖房器具を使用するなど、様々な工夫を凝らして果実を守っています。ビワ園は、冬季の季節風や冷気が溜まりにくい南向きから東向きの斜面に多く見られます。

ビワ栽培の特徴:手間暇かけた袋掛け作業

ビワ栽培では、果実がまだ小さいうちに、生産者が一つ一つ丁寧に袋を被せ、害虫や強い日差しから保護します。この袋掛け作業は、見た目の美しいビワを育てる上で非常に重要な工程です。





ビワの育て方:自然のままの露地栽培と温度管理されたハウス栽培

ビワの栽培方法には、大きく分けて露地栽培とハウス栽培の二種類があります。露地栽培は自然環境を利用し、太陽の光をたっぷり浴びて育つため、旬の時期に収穫を迎えます。一方、ハウス栽培は温度や湿度を管理することで、露地栽培よりも早い時期に収穫することが可能です。

露地栽培で育つビワの代表的な品種

露地栽培の場合、収穫時期は一般的に5月下旬から6月下旬にかけてとなります。

大房(おおぶさ)

大房は、その名の通り一つあたり70~80グラムにもなる大きな果実が特徴です。酸味が少なく、上品な甘さが際立ちます。旬は5月下旬から6月上旬。農林水産省で開発され、昭和17年にその名が広く知られるようになりました。

田中(たなか)

田中は、一つあたり65~75グラムと大ぶりで、見た目の美しさが際立つ品種です。味も濃厚で、食感も楽しめます。収穫時期は6月中旬から6月下旬。明治12年に田中芳男氏によって生み出されました。

ハウス栽培のビワ品種

「富房」、「瑞穂」、「房光」、「希房」といった品種は、4月中旬から5月下旬にかけて収穫期を迎えます。

富房(とみふさ)

富房は、一つあたり65~75グラムと大きめの実をつけるのが特徴で、その美味しさも魅力です。主に温室で栽培されており、4月中旬から5月下旬にかけてが旬となります。千葉県で開発され、平成元年に品種登録されました。

瑞穂(みずほ)

瑞穂は、一つ75~85グラムにもなる非常に大きな実が特徴で、果肉は柔らかく、食味が良いと評判です。甘みと酸味の調和もとれています。ハウス栽培では4月中旬から5月下旬、露地栽培では6月中旬から下旬に収穫できます。農林水産省で開発され、昭和11年にその存在が発表されました。

房光(ふさひかり)

房光は、一つ70グラムほどの大きさで、酸味が効いた濃厚な味わいが特徴です。果肉は比較的柔らかめです。ハウス栽培では4月下旬から5月下旬、露地栽培では6月上旬に収穫時期を迎えます。千葉県で育成され、昭和57年に品種登録されています。

希房(きぼう)

希房は、世界で初めて開発された種なしビワです。重さはおよそ70グラムと大きく、種がない分、可食部が通常のビワよりも3割ほど多いのが魅力です。果肉はソフトで、ほどよい酸味と優れた食味が楽しめます。ハウス栽培の場合、5月上旬から下旬にかけて収穫されます。

長崎早生(ながさきわせ)

長崎県で生まれた品種で、一般的な茂木よりも寒さに弱いため、ハウス栽培が推奨されています。果実は茂木よりやや大きく、強い甘みが特徴です。果汁が豊富で、独特の風味があります。

茂木(もぎ)

江戸時代に長崎で誕生し、日本で最も広く栽培されている品種です。ビワの中では比較的小ぶりで、甘みが強く果汁が豊富、皮がむきやすいのが特徴です。

福原早生(ふくはらわせ)

千葉県で開発された品種で、果実は70~80gと大きく、中には100gを超えるものも存在します。

土肥(とい)

静岡県が主な産地であり、「土肥の白ビワ」の名で親しまれています。サイズはやや小ぶりで、果肉はそれほど多くありませんが、芳醇な香りと上品な味わいが魅力です。

なつたより

長崎県で生まれた品種で、比較的がんしゅ病への抵抗力があります。果実は大きく、とろけるように柔らかい果肉は、みずみずしさに溢れています。際立った甘さと高い糖度が特徴です。

富房(とみふさ)

千葉県で開発された品種であり、一つあたり70gほどの大きな果実が特徴です。味の良さに定評があり、輸送時の耐久性や日持ちにも優れています。

涼峰(りょうほう)

2007年に長崎県で品種登録された、希少価値の高いビワです。その特徴は、優れた食味と、大ぶりで食べ応えのある果実です。




ビワの保存方法:おいしさを長持ちさせるには

ビワは鮮度が落ちやすい果物なので、購入後はなるべく早く食べるのがおすすめです。すぐに食べられない場合は、冷蔵庫で保存し、早めに消費しましょう。

ビワの食べ方

ビワはそのままでも美味しくいただけますが、ジャムやコンポート、缶詰などの加工品としても楽しむことができます。


まとめ

繊細な性質を持つビワは、栽培に手間暇がかかりますが、初夏の訪れを感じさせる、格別な味わいの果物です。品種ごとに異なる風味や食感を堪能できるだけでなく、ジャムやゼリーといった加工品としても広く愛されています。この記事を参考に、ぜひ色々な種類のビワを味わってみてください。

ビワの旬な時期は?

千葉県産のビワの場合、ハウス栽培では4月下旬から5月下旬、露地栽培では5月下旬から6月下旬が最も美味しい時期です。

ビワを長持ちさせるには?

ビワは傷みやすい果物なので、手に入れたらなるべく早く食べるのが一番です。どうしても保存したい場合は、冷蔵庫に入れると多少日持ちします。

おいしいビワを見分けるコツは?

全体的に均一な色合いで、丸みがあり、表面の細かな毛がきちんと残っているものが良品です。
びわ