「ピーマン嫌い」の声も聞かれる一方で、その栄養価と独特の風味は料理に深みを与える存在です。実はピーマン、奥深い世界が広がっているのをご存知でしょうか?緑色のイメージが強いですが、赤や黄色、オレンジなど、彩り豊かな種類が存在します。この記事では、知られざるピーマンの種類や特徴、そして、ピーマンが苦手な方でも美味しく食べられる調理法まで、その魅力を徹底解剖します。
ピーマンとは?特徴と基本情報
独特の風味とほろ苦さが特徴のピーマンは、好き嫌いが分かれる野菜の一つかもしれません。しかし、実は唐辛子の仲間であり、その中でも比較的甘みがあり、丸みを帯びた形状のものを指すことが多いです。一般的に店頭で見かける緑色のピーマンは、実は熟す前の状態で収穫されたもので、完全に熟すと赤色に変わり、苦味が和らぎ甘みが増します。
ピーマンの栄養価:ビタミンCとβカロテン
ピーマンは、ビタミンC、β-カロテン、カリウムが豊富な機能性野菜です。ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を有することで知られています。ビタミンA(β-カロテン当量)は目・皮膚・粘膜の健康維持、感染症・老化・ガン・動脈硬化の予防に寄与すると言われています。βカロテンは脂溶性のため、油を使った調理法で摂取すると吸収率が高まります。
ピーマンとパプリカの違い:見た目、味、栄養
ピーマンとパプリカは、どちらもナス科トウガラシ属に分類される野菜ですが、外観や収穫時期などに違いが見られます。一般的に、緑色で果肉が薄く、小ぶりで苦味を持つものをピーマンと呼び、赤や黄色などのカラフルな色合いで果肉が厚く、大ぶりで甘味が強いものをパプリカと呼ぶことが多いです。ピーマンは熟す前の緑色の状態で収穫されることが一般的で、特有の苦味や青臭さがありますが、パプリカは完熟した状態で収穫されるため、色鮮やかで甘みが強く、苦味が少ないという特徴があります。
ピーマンの種類:特徴と選び方
ピーマンには様々な品種が存在し、それぞれ異なる特徴を持っています。ここでは、代表的なピーマンの種類についてご紹介します。
獅子唐型ピーマン
多くのお店で見かける、ポピュラーなピーマンです。サイズはおよそ7cmで、果肉は薄めで、独特の苦味があります。通常は緑色の状態で出荷されますが、赤色や黄色のピーマンとして販売されているものもあります。
中型ピーマン
中型ピーマンは、重さが30~40g程度で、手に収まるサイズが特徴です。生のままでも加熱しても美味しく、ピーマンの苦みが少ない品種もあります。自宅の庭でも比較的育てやすく、収穫期間も長いため、初めて栽培する方にもおすすめです。
ベル型ピーマン
ベル型ピーマンは、果肉が分厚く、「厚肉ピーマン」とも呼ばれています。大きめで甘味が強く、サラダなど生食に適しています。見た目や食感がパプリカとよく似ており、ベル型ピーマンはパプリカとして販売されていることもあります。完全に熟すと赤色や黄色、オレンジ色などに変化し、より甘みが増します。
カラーピーマン
カラーピーマンは、熟していくにつれて赤、黄、オレンジなど色鮮やかに変化するピーマンです。甘みが強く、苦味が少ないため、ピーマンが苦手な方でも比較的食べやすい品種が多く、サラダや炒め物など様々な料理に利用できます。ベル型のものはパプリカと区別されないこともあります。
細長ピーマン
細長ピーマン、またはホルン型ピーマンと呼ばれる種類のピーマンは、一般的なピーマンと比較して、その細長いシルエットが際立っています。サイズは大小様々で、小さいものから比較的大きなものまで存在します。特筆すべきは、ピーマン特有の苦味が少ない点で、中には甘みを感じられるものもあります。特に甘みが強い品種は、生のままサラダなどで味わうのがおすすめです。
タネなしピーマン
タネなしピーマンは、その名の通り、果肉の中に種がほとんど存在しない品種です。調理前の種取りの手間が省けるため、忙しい方にとって非常に便利です。代表的な品種としては、横浜植木株式会社が開発した「タネなっぴー」が挙げられます。受粉なしで結実する特殊な性質を持つため、種なしでの収穫が可能です。ピーマン特有の青臭さも軽減されており、料理に丸ごと使用できるため、家庭料理の効率化を求める方におすすめです。
長円筒ピーマン
縦方向に長い形状が特徴的な長円筒ピーマンは、一般的なピーマンよりも一回り大きいサイズをしています。ホルン型ピーマンと同様に苦味が少ないため、お子様でも食べやすいのが魅力です。
中獅子ピーマンの多様な品種:厳選4種
中獅子ピーマンには、様々な個性を持つ品種が存在します。ここでは、その中でも特におすすめの4つの品種について、それぞれの特徴を詳しくご紹介します。
エース
エースは、やや細長い形状が特徴の早生ピーマンです。果肉は厚く、甘みと歯ごたえのある食感が魅力です。種をまいてから比較的早い時期に収穫でき、家庭菜園でも人気の高い品種です。生育が旺盛で、長期間にわたって収穫を楽しめます。実の長さが7cm程度になったら収穫適期です。種まきは2月中旬から4月初旬、収穫は5月中旬から7月初旬を目安にしてください。
ニューエース
ニューエースは、大人の握りこぶしほどの大きさに育つピーマンです。肉厚で、生食でも美味しくいただけるほどの甘みがあります。重さは40g程度と、ずっしりとした実がなります。初期段階から実付きが良く、長期間にわたってたくさんの収穫が期待できる品種です。
ひじり
比較的低温の環境下でも生育が良く、安定して実をつけるのがひじりです。実は30~40g程度の大きさで、やや細長い形状をしています。表面の緑色が鮮やかで、果肉の厚みも程よく、ピーマンらしい味わいが楽しめます。生育が旺盛なため、栽培期間を通して大きな実に育ちます。収穫期間を通して実付きが良く、最後まで安定した収穫量が見込めます。
グリーンベルピーマン
非常に生育の早い極早生でありながら、ボリュームのある実をつけるのがグリーンベルピーマンです。実は40g程度で、つやのある美しい実が育ちます。ハウス栽培やトンネル栽培に適した品種です。トンネル栽培の場合、1月に種まきをすると、4月~10月頃に収穫できます。4~5月に種まきをした場合は、7月~11月頃に収穫が可能です。
中型ピーマンの品種:6選
中型のピーマンにも、個性豊かな品種が多数存在します。ここでは、特におすすめの品種をピックアップしてご紹介します。
京鈴
京鈴は、ピーマン栽培の難しい環境下でも安定した収穫が期待できる中型ピーマンです。特に、低温や日照時間が短い場所でも生育が可能な点が魅力です。また、ピーマンの病気であるタバコモザイクウイルス(PMMoV-L)3型に対する抵抗力も備えています。ハウス栽培では周年栽培も可能で、露地栽培の場合は6月から9月頃が旬となります。
京波
京波は、1果約30gの中型ピーマンで、尻腐れ病への耐性が強い品種です。尻腐れ病は、カルシウム不足によって果実のお尻が黒く腐ってしまう生理障害で、高温乾燥時に発生しやすくなります。京波は、光沢のある果実をたくさん収穫でき、6月から11月頃までと収穫期間も長いため、家庭菜園初心者にもおすすめです。
京ゆたか
京ゆたかは、低温や日照不足の環境でも比較的育てやすく、多収穫が期待できる品種です。果肉が厚く、実がしっかりと詰まっているため、日持ちが良いのが特徴です。露地栽培では6月~10月中旬頃が旬ですが、ハウス栽培を行うことで長期間の収穫が可能です。安定した品質を誇る人気の品種です。
京みどり
家庭菜園初心者でも育てやすく、栄養価も高いピーマンとして知られる京みどり。その特徴は、夏の暑さに強いことです。近年の猛暑でも、夏バテすることなく秋まで安定した収穫量が見込めます。果肉が柔らかく、BBQなどでも美味しく食べられるため人気があります。プランター栽培にも適しており、ベランダ菜園でも気軽に栽培を楽しめます。露地栽培での旬は、6月から9月頃です。
京ひかり
京ひかりは、肉厚で鮮やかな緑色が美しい中型ピーマンです。他の品種と比較して苦味が少なく、まろやかな味わいが特徴です。比較的低温の時期でも順調に生育するため、安定した収穫が期待できます。旬の時期は、5月中旬から11月中旬頃までと比較的長期間楽しめます。
ししピー
種ごと食べられる、苦味が少ないピーマンがししピーです。見た目はししとうに似ており、ヘタを取るだけで調理可能。柔らかい果肉をまるごと味わえます。焼く、煮る、炒めるといった様々な調理法に対応でき、料理によって異なる表情を見せてくれます。暑さ、寒さ、病害虫への抵抗力も高く、初心者でも育てやすい品種です。20g程度の大きさまで成長しますが、小さいうちに収穫すれば、ししとうの代用としても使えます。春に種をまき、夏から秋にかけて収穫できます。旬の時期は7月から10月頃です。
ベル型ピーマンの種類:おすすめ3選
ベル型ピーマンにも、個性豊かな品種が存在します。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
ワンダーベル
ワンダーベルは、約150gまで成長し、果肉の厚さが5mmにもなる大型のピーマンです。未熟な緑色の状態でもつやがあり食欲をそそりますが、完熟すると鮮やかな赤色に変わり、強い甘みが生まれます。苦味が少ないため、ピーマン特有の風味が苦手な方にもおすすめです。収穫適期は6月から11月頃で、実が9割程度色づいたタイミングで収穫するのが良いでしょう。
サラダピーマン
サラダピーマンは、名前が示す通りサラダに最適なピーマンです。肉厚でシャキシャキとした食感が特徴で、水分が多く甘みがあります。赤や黄色といったパプリカのような色に加え、オレンジ、紫、白など様々なカラーバリエーションがあり、サラダを華やかに彩ります。生食だけでなく、炒め物にしても甘みが損なわれず美味しくいただけます。収穫時期は6月から10月上旬が目安ですが、栽培環境や植え付け時期によって変動します。一般的に、植え付けから約1ヶ月で収穫できるようになり、秋頃まで収穫を楽しめます。
ちぐさ
ちぐさは、パプリカのように大きな実をつける、みずみずしい甘さが特徴のピーマンです。しかし、約70gになるまで収穫せずに育てる必要があるため、実の重みで落下しやすい、病気に弱いなどの理由から栽培が難しく、希少品種とされています。気候を選ばず、日本全国で栽培可能です。夏から秋にかけての栽培に適しており、7月に種をまけば10月末頃から、9月に種をまけば12月初旬頃から収穫できます。
カラーピーマンの種類:4選
カラーピーマンには多様な品種が存在します。それぞれの個性的な特徴を見ていきましょう。
フルーピー(イエロー・レッドEX)
1個あたり約120gにもなる、存在感のあるカラーピーマン(パプリカ)です。鮮やかな赤色と黄色の品種があり、それぞれの種が販売されています。非常に生育が早く、開花からおよそ60日で収穫可能です。栽培が容易なため、初心者の方でもたくさんの実を収穫できます。
ぷちピー
まるでフルーツのような甘さが特徴の「ぷちピー」。美味しさや香りもさることながら、1個約30gという可愛らしいサイズ感も魅力です。完熟すると赤、オレンジ、黄色へと色を変え、食卓を華やかに彩ります。熟す前の緑色の実も、さわやかな甘みが楽しめます。調理時にはヘタが小さく、種も少ないため下処理が簡単です。デザート感覚でそのまま生で食べるのもおすすめです。収穫時期は8月~11月頃です。
浜クロピー
ピーマンといえば緑色、赤色、黄色などが一般的ですが、「浜クロピー」は、深く美しい黒紫色の果実が特徴的な珍しい品種です。国内でも栽培している農家が少ない貴重な固定種です。夏の暑さにも強く、比較的育てやすいのが特徴です。肉厚でしっかりとした果肉は、収穫時期が終盤に近づくにつれて赤色に変化します。黒紫色の色素はアントシアニン由来で、加熱すると緑色に変わります。収穫時期は7月~10月で、期間中はたくさんの実を収穫できます。
浜ニュークリーム
珍しいクリーム色のピーマン「浜ニュークリーム」は、まだ見たことがないという方も多いのではないでしょうか。完熟するとオレンジ色へと変化します。他のピーマンと大きく異なるのは、その色だけではありません。なぜか逆さまに実をつけるため、果実のお尻の部分が上を向いているのが特徴です。この独特な姿を見れば、「浜ニュークリーム」だとすぐにわかります。ピーマン特有の青臭さが少なく、食べやすいのが魅力で、加熱調理はもちろん、サラダなど生食にも適しています。3月に種をまいた場合、6月~8月頃に収穫時期を迎えます。
細長ピーマンの品種
細長い形状のピーマンにも、様々な種類が存在します。ここでは、特におすすめの品種を3つご紹介します。
ピー太郎/子供ピーマン
お子様がピーマン嫌いを克服できるように開発されたのが、ピー太郎です。別名、子供ピーマンとも呼ばれます。苦味や青臭さを極力抑え、肉厚で食べ応えのある食感が特徴です。また、一般的なピーマンよりもビタミンCやカロテンが豊富で、お子様の成長に必要な栄養素を効率的に摂取できます。加熱調理してもシャキシャキとした食感が損なわれにくく、従来のピーマンが苦手なお子様でも食べやすいと評判です。収穫時期は、実の表面に細かなひび割れが見え始めた頃が目安です。
バナナピーマン
カラーピーマンの一種であるバナナピーマンは、その名の通りバナナのような細長い形をしています。未熟なうちは黄緑色やクリーム色をしており、熟すにつれて黄色、オレンジ、赤色へと変化します。肉質は柔らかく甘みがあり、完熟したものはピーマン特有の苦味や青臭さがほとんどありません。まるでフルーツのような味わいで、お子様にも喜ばれます。熟度が増すほど甘みも増すため、様々な色のバナナピーマンが人気を集めています。収穫時期は6月から9月頃ですが、生産量が少ないため、一般のスーパーではあまり見かけないかもしれません。
ライムホルン
ライムホルンは、みずみずしい甘さが特徴のピーマンです。苦味が少ないため、生食でも美味しくいただけます。夏から秋にかけて長期間収穫でき、様々な料理に活用できる汎用性の高さも魅力です。
タネなっぴー
種なしピーマンとして広く知られているのが、タネなっぴーです。これは横浜植木株式会社が開発し、特許を取得した独自の品種です。名前が示す通り、果実の中に種がないため、調理前の下処理が不要で、そのまま手軽に食べられるのが大きな利点です。種がない理由は、タネなっぴーの花の構造にあります。通常の植物の花には花粉があり、受粉によって種と実が形成されますが、タネなっぴーには花粉が存在しません。受粉しなくても実をつける性質と、花粉がないという特徴が組み合わさり、種のない実が生まれるのです。収穫時期は主に6月から8月にかけてです。
ジャンボピーマン
肉厚で甘みが強く、その美味しさが人気のジャンボピーマンは、大きく育ってからだけでなく、小さめの段階で収穫しても美味しくいただけます。大きさは約15〜20センチ程度です。味はピーマンとパプリカの中間のような印象で、苦味や独特の青臭さが少ないのが特徴です。通常のピーマンのように細かく切るだけでなく、大胆にザク切りにして調理するのもおすすめです。種も散らばらず一箇所にまとまっているため、下処理も簡単に行えます。7月から9月にかけて収穫されることが多く、夏の訪れと共に味わえるピーマンです。
とんがりパワー
大きな実と、甘みのある厚い果肉が特徴的なのが、とんがりパワーです。苦味や青臭さが少ないため、非常に食べやすいピーマンとして知られています。大きさ15センチ、重さ70グラム程度が収穫に適していますが、小さいうちに収穫して食べるのもおすすめです。4月から5月に種をまいた場合、6月から10月にかけてが収穫時期となります。
まとめ
ピーマンには多種多様な品種が存在し、それぞれ独特の風味や特徴を持っています。苦手意識のある方でも食べやすい品種も増えており、調理方法によってもその味わいは大きく変化します。ぜひ様々なピーマンを試してみて、ご自身にとって一番のお気に入りの品種を見つけてみてください。
ピーマン嫌いのお子様でも食べやすい品種はありますか?
お子様向けには、苦味が少なく食べやすいピーマンがおすすめです。例えば、「ピー太郎」という品種は、その名の通り子供でも食べやすいように開発されています。また、細長い形状のバナナピーマンも、マイルドな味わいで人気があります。これらの品種は、従来のピーマンに比べて甘みが強く、まるでフルーツのように楽しめるものもあります。
カラーピーマンは、緑色のピーマンよりも栄養が豊富ですか?
カラーピーマンは、成熟するにつれて栄養価が高まる傾向があります。特に、βカロテンやビタミンCの含有量が増加します。中でも、赤色のピーマンは、緑色のピーマンと比較して、これらの栄養素がより多く含まれていることが多いです。
種なしピーマンは、どのように栽培されているのですか?
種なしピーマンは、特殊な品種改良によって生み出されます。受粉を行わなくても実をつけることができる品種を開発することで、種のないピーマンが栽培されています。「タネなっぴー」という品種は、花粉を作らない性質を利用しており、受粉をせずに実がなるため、種なしピーマンとして販売されています。