チーズフォンデュチーズの種類

寒い季節にぴったりのチーズフォンデュは、家族や友人と囲む温かい食卓の定番。しかし、フォンデュの味わいを左右するのは、何と言ってもチーズ選びです。エメンタールやグリュイエールといった定番はもちろん、隠し味となるチーズを加えることで、奥深い味わいが生まれます。本記事では、チーズフォンデュに最適なチーズの選び方から、様々な種類のチーズの特徴までを徹底解説。あなただけのオリジナルフォンデュを見つけて、至福のひとときを過ごしましょう。

チーズフォンデュとは?

チーズフォンデュは、温めた白ワインに数種類のチーズを溶かし、パンや茹で野菜などの食材を浸して味わう料理です。アルプス山脈周辺が発祥とされ、スイスを中心に、フランスやイタリアなどでも広く親しまれています。「フォンデュ」はフランス語で「溶ける」を意味し、その名の通り、溶けたチーズを絡めて食べるのが特徴です。もともとは、硬くなったパンを美味しく食べるための工夫から生まれたと言われています。伝統的なレシピでは、エメンタールチーズとグリュイエールチーズがよく用いられますが、各家庭や地域によって使用するチーズの種類や配合が異なり、それぞれの味が受け継がれています。

チーズフォンデュに合うチーズの種類

チーズフォンデュに使われるチーズは多種多様ですが、主にハードタイプまたはセミハードタイプのものが適しています。中でも、エメンタールチーズとグリュイエールチーズは定番として知られています。しかし、特定のチーズでなければならないという厳格なルールはなく、様々なチーズの組み合わせを自由に楽しむことができます。

1. グリュイエール・チーズ

グリュイエールチーズは、スイスのグリュイエール地方を原産とする代表的なチーズです。加熱すると風味が際立ち、ナッツのような香ばしい風味、豊かなコク、そして程よい酸味が特徴です。チーズフォンデュには欠かせない存在であり、その他、フランス料理ではエメンタールチーズと並んで、オニオングラタンスープ、クロックムッシュ、グラタン、キッシュなど、幅広い料理に利用されています。かつてフランスでは、ハードチーズ全般をグリュイエールと呼ぶこともありましたが、現在ではスイス産のもののみがグリュイエールチーズとして認められています。

2. エメンタール・チーズ

エメンタールチーズは、スイスのエメンタール地方が原産のハードチーズで、「チーズの王様」とも称されています。木の実のような香ばしい独特の風味を持ち、加熱することでさらにその風味が引き立ちます。そのまま食べても美味しいのはもちろん、様々な料理にも使われ、特にチーズフォンデュにはなくてはならないチーズとして広く知られています。特徴的なのは、チーズ内部に見られる「チーズアイ」と呼ばれる丸い穴です。この穴が、アニメなどに登場するチーズのイメージとして定着しています。

3. ゴーダチーズ

オランダのチーズ生産量の過半数を占めるゴーダチーズは、エダムチーズと並び、オランダを代表するセミハードチーズとして世界中で愛されています。ロッテルダム近郊のゴーダという街がその発祥の地であり、この名前が付けられました。穏やかでクセがなく、マイルドな風味が特徴で、日本でも広く親しまれています。プロセスチーズの原料としてもよく使用されており、口にした瞬間にどこか懐かしい、安心感のある味わいが広がります。

4. コンテチーズ

フランスのジュラ地方で伝統的に作られているコンテチーズ。ナッツのような香ばしさと、後から追いかけてくるミルクの濃厚なコクが特徴です。しっかりとした味わいながらも、しつこさがないため、フォンデュだけでなくグラタンやサンドイッチなど、幅広い料理に活用でき、あなたの料理の腕をさらに引き立ててくれるでしょう。

5. ボーフォールチーズ

コンテチーズと同じく「山のチーズ」として知られるボーフォール。フランスのサヴォア地方、イタリアやスイスとの国境に近い山岳地帯で生産されており、その地名が名前の由来となっています。「チーズのプリンス」とも称されるボーフォールは、良質なミルクをたっぷりと使用して作られるため、上品なコクとフルーティーな風味が際立っています。しっとりとした食感としなやかさを持ち合わせ、爽やかな香りと蜜のような甘みが口の中で見事に調和します。ただし、風味が豊かなので、フォンデュに入れる際は量を調整しましょう。

6. ブルーチーズ

ブルーチーズは、牛乳や羊乳を原料とし、製造過程で青カビを繁殖させて熟成させたチーズです。内部に意図的に穴を開け、カビを増殖させることで、独特の風味を醸し出しています。ピリッとした刺激や強めの塩味が特徴で、そのクセの強さに魅了され、熱狂的なファンになる人も少なくありません。カビと聞くと有害なイメージを持つかもしれませんが、ブルーチーズに使用されるカビは製造過程で無毒化されるため、安心して食べることができます。イタリア産のゴルゴンゾーラ、フランス産のロックフォール、イギリス産のスティルトンは「世界三大ブルーチーズ」として広く知られています。フォンデュに使用する際は、風味の強さに注意して量を調整してください。

7. プロセスチーズ:手軽に楽しめるフォンデュの味方

プロセスチーズは、ナチュラルチーズを原料として、加熱や成形といった加工を経て作られます。製造過程で乳酸菌の活動が止まるため、熟成が進まず、長期保存が可能です。スーパーマーケットなどで広く販売されており、癖の少ないマイルドな味わいは、多くの人に親しまれています。手軽にチーズフォンデュを楽しみたい場合に最適な選択肢となるでしょう。

8. チーズフォンデュ用チーズミックス:時短調理の強い味方

近年、様々な種類のシュレッドチーズが販売されています。エメンタールチーズ単体で販売されているものもあれば、数種類のチーズをブレンドしたミックスチーズも存在し、それぞれ異なる風味が楽しめます。商品名に「チーズフォンデュ用」と明記されていなくても、フォンデュに利用できるものがほとんどです。シュレッドチーズのメリットは、フォンデュを作る際のカットの手間を省ける点にあります。さらに、チーズフォンデュ用に調味されたレトルトパックも多数販売されています。温めるだけで手軽に本格的な味が楽しめるため、すぐにチーズフォンデュを食べたい時に重宝します。

チーズフォンデュの作り方と楽しみ方:自分だけのオリジナルレシピに挑戦

自宅でチーズフォンデュを作る醍醐味は、自分好みの味を追求できる点にあります。ここでは、基本的な作り方からアレンジ方法まで、チーズフォンデュを存分に楽しむための秘訣をご紹介します。

基本の作り方をマスターする:フォンデュ作りの第一歩

一般的なチーズフォンデュの作り方は以下の通りです。

  1. まず、お好みのチーズを細かく刻み、コーンスターチ(または片栗粉や小麦粉)を全体に薄くまぶします。基本となるチーズの配合は、エメンタールチーズとグリュイエールチーズを2:1の割合で混ぜるのがおすすめです。3~4人前を作る場合は、それぞれ200gと100gを目安に用意しましょう。コーンスターチは、チーズ同士がくっつくのを防ぎ、溶けたチーズが分離するのを防ぐ役割があります。
  2. フォンデュ鍋の内側に、半分にカットしたニンニクの切り口をこすりつけ、香りを移します。鍋に白ワインを注ぎ、火にかけてアルコールを飛ばします。アルコールに弱い方や、白ワインの香りが苦手な場合は、牛乳で代用することも可能です。専用のフォンデュ鍋がなくても、ご家庭にある小ぶりで深さのある鍋で代用できます。
  3. 白ワインのアルコールが飛んだら、弱火にして、焦げ付かないように木べらでゆっくりとかき混ぜながら、チーズを少しずつ加えて溶かしていきます。お好みで、キルシュ(さくらんぼのリキュール)を加えると、より本格的な風味になります。キルシュは一般的な酒屋さんでは取り扱いが少ないですが、製菓材料店や大きめのスーパーなどで、ケーキ作り用の小瓶が手に入ることがあります。
  4. チーズが完全に溶けたらソースの完成です。冷めないように弱火で保温しながら、バゲット、茹で野菜、肉、魚介類など、お好みの具材をディップしていただきます。焦げ付き防止のため、時々かき混ぜることを忘れずに。

チーズの配合を工夫して、独自の味わいを探求

基本的なブレンドとして、エメンタールチーズとグリュイエールチーズを2:1の割合でご紹介しましたが、この比率に縛られる必要はありません。自由に調整することで、好みの風味を見つけられます。さらに、他の種類のチーズを加えたり、使用するチーズの数を増やしたりすることで、バリエーションは無限に広がります。スイスなどでは、各家庭で独自の配合が受け継がれ、それぞれの家庭の味が追求されているようです。ぜひ、あなただけのオリジナルレシピを開発してみてください。ただし、最初からクセの強いチーズをたくさん入れすぎないように注意しましょう。特に、ブルーチーズなどは風味が強いため、量を間違えるとブルーチーズの味だけが際立ってしまうことがあります。個性的なチーズを使用する場合は、少量から試すか、後述する味変の際に加えるのがおすすめです。

風味の変化を楽しむ、味変チーズ

味変とは、料理の途中で調味料などを加えて味に変化をつける楽しみ方のことです。チーズフォンデュも、この味変を取り入れることで、より一層楽しむことができます。最初は定番の味わいで楽しみ、後から少しずつ個性的なチーズを追加していくことで、味の変化を堪能できます。味変におすすめのチーズとしては、ブルーチーズの他に、トリュフやハーブ、スパイス、トマト、オリーブなど、特徴的な副原料が練り込まれたチーズが挙げられます。これらのチーズを使うことで、様々な風味のチーズフォンデュを楽しむことができるでしょう。

まとめ

チーズフォンデュは、選択するチーズの種類や調理方法によって、多種多様な風味を堪能できる魅力的な料理です。基本的な作り方を習得したら、ぜひあなただけのオリジナルレシピに挑戦してみてください。大切な家族や友人と共に、心ゆくまで美味しいチーズフォンデュを味わいましょう。

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