バナナの種類

バナナの種類

朝食やおやつに手軽に食べられるバナナ。スーパーには様々な種類のバナナが並んでいますが、甘さや食感、用途に違いがあることをご存知でしょうか?この記事では、代表的なバナナの種類を徹底解説。それぞれの特徴を知れば、あなたの好みにぴったりのバナナがきっと見つかるはず。バナナ選びをもっと楽しく、もっと美味しくするための情報をお届けします。

バナナの基礎知識:名前の由来と故郷

バナナは、学術的にはMusa spp.と表記され、英語ではBananaとして親しまれている、バショウ科の植物です。食用となる果実全体を指す名称としても用いられます。そのルーツは東南アジアの熱帯地域にあり、現在では世界中で栽培されています。日本においては、古くは芭蕉の名で呼ばれており、甘蕉や実芭蕉といった異名も存在します。

バナナの多様性:デザートタイプとクッキングタイプ、300を超える品種

世界中で栽培されているバナナは、非常に多くの品種があると言われています。大きく分けると、「生食用バナナ(デザートバナナ)」と「調理用バナナ(プランテン)」の2種類に分類できます。生食用バナナは、主に生のまま食されることを目的とした品種であり、調理用バナナは、加熱調理(煮る、焼く、揚げるなど)を前提とした品種です。このバラエティ豊かな性質こそが、バナナが世界中で愛される理由の一つと言えるでしょう。

日本でよく見かけるバナナ:キャベンディッシュ

日本で最も一般的なバナナは、キャベンディッシュ種(Cavendish)です。スーパーマーケットや果物店で広く販売されており、世界のバナナ市場においても約50%の生産量を誇ります。果肉が厚く、保存性にも優れており、すっきりとした甘さが特徴です。標高400m~1000mの比較的高い場所で栽培されたものは、「高地栽培バナナ」としてブランド化され、より濃厚な甘みを持つと評価されています。

生食用バナナのバリエーション

世界には、多種多様な生食用バナナが存在します。それぞれの品種が持つ独自の風味や食感は、バナナの世界の奥深さを物語っています。

ジャイアント・キャベンディッシュ:日本人に最も親しまれているバナナ

日本で最もポピュラーなバナナといえば、ジャイアント・キャベンディッシュでしょう。世界市場でも約半分のシェアを誇る、まさに定番の品種です。鮮やかな黄色の果皮はやや厚めで、一口食べると、しっかりとした甘さと爽やかな後味が広がります。なめらかな舌触りも魅力で、そのままデザートとして、あるいは忙しい朝の栄養補給にもぴったりです。

グラネイン:芳醇な甘さと深みが特徴

日本で広く流通しているバナナの中には、「グラネイン」というキャベンディッシュ系の品種も含まれます。チキータブランドで販売されているバナナの中にも、このグラネイン種が含まれることがあります。主に南米やインドで栽培され、その特徴は、何と言っても濃厚で奥深い甘みです。味の良さはもちろん、生育が早く、風にも強いという、栽培する上での利点も持ち合わせています。

セニョリータ(モンキーバナナ):一口サイズの甘い誘惑

フィリピン原産のセニョリータは、その愛らしいサイズから「モンキーバナナ」とも呼ばれています。長さは7〜9センチほどと小ぶりで、見た目もキュート。薄い果皮からは、熟すと甘い香りが漂います。果肉はもっちりとした食感で、標高の高い場所で栽培されるため、甘みが凝縮され、酸味が少ないのが特徴です。

モラード(レッドバナナ):目を引く赤紫色のバナナ

モラードは、フィリピンで栽培されている珍しい赤いバナナです。スペイン語で「赤紫色」を意味する名前の通り、鮮やかな赤紫色の皮が特徴的。果肉は一般的なバナナと同様に黄色みを帯びていますが、甘さは控えめ。完熟すると、独特の爽やかな香りが楽しめる、少し変わったバナナです。

島バナナ:南国の恵み、凝縮された甘みと酸味

島バナナという名前には、特定の品種を指す厳密な定義はありません。主に沖縄県や小笠原諸島などの島嶼地域で育てられている小ぶりのバナナを、一般的に島バナナと呼んでいます。そのサイズは、重さにして約100~150グラム、長さは約7~9センチ程度と、手のひらに収まるかわいらしい大きさです。太めで短い、丸みを帯びたシルエットが特徴的です。熟すと、皮は緑色から鮮やかな黄色へと変化し、見た目にも楽しめます。果肉は濃い黄色で、もちっとした食感が楽しめます。口に含むと、濃厚な甘さと爽やかな酸味が広がり、まるでリンゴやキウイフルーツのような風味を感じられます。

台湾バナナ(北蕉):深みのある味わいが魅力

台湾では、多様な種類のバナナが栽培されていますが、中でも「北蕉(ほくしょう)」は台湾バナナの代表的な品種として知られています。北蕉はキャベンディッシュ種に分類される古い品種で、およそ260年前に中国南部から台湾へ持ち込まれたと言われています。日本の市場でよく見かけるバナナ(ジャイアントキャベンディッシュ)と比べると、やや小ぶりで、全体的に丸みを帯びた形状をしています。最大の特徴は、その濃厚で深みのある味わいです。

ラカタン:軽やかな酸味と爽やかな風味

ラカタンは、主にフィリピンで栽培されているバナナです。外見は一般的なバナナ(ジャイアントキャベンディッシュ)によく似ていますが、やや小ぶりで、果皮の色が金色に近いのが特徴です。ラカタンにはクエン酸が豊富に含まれているため、口に含むと、ほのかな酸味とさっぱりとした爽やかな風味が広がります。

グロスミシェル:かつて人気を博した豊かな香りと甘みを持つ品種

グロスミシェルは、かつて1950年代まで世界のバナナ市場を席巻した主要品種でしたが、パナマ病の蔓延により壊滅的な被害を受け、その座をキャベンディッシュ種に譲りました。しかし、現在でもわずかに生き残ったものが栽培されており、別の名前で流通していることもあります。近年、沖縄県産ではない国産バナナとして注目を集めている品種の中には、このグロスミシェルが含まれている場合があります。正確には、グロスミシェルを日本の技術によって改良し、耐寒性を高めた品種です。

銀バナナ:とろける食感と濃密な甘み

「銀バナナ(クルアイ・ナムワー・ヌアン)」は、比較的最近、2010年頃から沖縄県で栽培されるようになった品種です。まだ熟していない状態では、果皮が青く、表面に白い粉をまとっているように見えることが、名前の由来となっています。島バナナよりも肉厚で、非常に濃厚な甘さが特徴です。

アイスクリームバナナ:バニラの香りがする希少種

「アイスクリームバナナ」は、別名ブルー・ジャバと呼ばれる品種で、熟す前の果皮が青みがかった銀色をしている珍しいバナナです。熱帯の植物としては珍しく、耐寒性があります。一般的なバナナ(ジャイアントキャベンディッシュ)と比べて小ぶりで太く、果肉にはバニラカスタードのような独特の風味があり、非常に柔らかな食感が楽しめます。

キウイーナ:キウイのような爽快な酸味

「キウイーナ」は、フィリピンにあるスミフルバナナ研究所で、時間をかけて品種改良されて生まれたバナナです。一般的なバナナよりも酸味が強く、キウイフルーツを思わせるような、さっぱりとした味わいが特徴です。

三尺バナナ:かわいらしいサイズと甘酸っぱさ

三尺バナナは、高さが約90cmほどの木に実ることから名付けられ、沖縄などで親しまれている品種です。一般的なジャイアントキャベンディッシュよりも小型で、果実も少し短めです。その見た目の愛らしさに加え、果肉はもちもちとした食感で、甘さと酸味のバランスがとれた奥深い味わいが魅力です。熟して黄色くなり、シュガースポットが現れた頃が食べ頃で、特に追熟が進むと爽やかな酸味が際立ちます。

ラツンダン:独特の食感と爽やかな甘さ

ラツンダンバナナは、フィリピン原産の珍しいバナナで、別名アップルバナナとも呼ばれています。国内での流通は限られており、希少な品種と言えるでしょう。その特徴は、小さくて丸みを帯びたフォルムと、薄い皮にあります。大きさは一般的なバナナの約6割ほどで、セニョリータバナナより少し大きく、長さは10~14センチ、直径は約3センチ程度です。果肉は白色で、ねっとりとした独特の食感が魅力。濃厚な甘味に加え、ほどよい酸味が感じられ、後味はさっぱりとしています。

調理用バナナの種類:プランテンとプランテイン

調理用バナナは、プランテン(Plantain)という名前でも知られ、生で食べるバナナとは異なり、加熱調理を前提としたバナナのグループです。一般的なバナナに比べて甘さは控えめで、デンプンを豊富に含んでいるのが特徴。焼いたり、煮たり、揚げたりと、様々な調理方法で楽しまれています。

プランテイン(プランテン):調理用バナナの代表格

「プランテイン」は、調理用バナナの総称として広く使われています。そのため、特定の品種を指すものではありません。十分に熟すと甘味が増し、生で食べることもできるようです。日本でよく見かけるのは、フィリピン産のプランテインです。

サババナナ:バナナチップスの主役

「サババナナ」は、フィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポールなど、東南アジアを中心に栽培されている品種です。生で食べても美味しく、現地では加熱調理用のバナナとして親しまれています。日本に輸入されるバナナチップの多くは、このサババナナを原料としています。カルダバのバナナチップと比較すると、やや柔らかく、軽い食感が特徴です。フィリピンでは、バナナケチャップの材料としても使用されており、地元の人々に愛されています。

ツンドク:ホーンバナナ、牛角バナナとも呼ばれる

ツンドクは、フィリピン原産の代表的な調理用バナナです。一般的に食されるバナナ(ジャイアントキャベンディッシュ種など)と比較して、かなり大きめなのが特徴です。緑色の分厚い皮に覆われており、その重量は一本あたり500グラムを超えることも珍しくありません。長さも約30センチと、一般的なバナナの1.5倍から2倍程度の大きさになります。特徴的な形状から、ホーンバナナ、または牛角バナナという別名でも親しまれています。生食には適さないため、加熱調理をすることで美味しくいただけます。

カルダババナナ:フィリピンの食卓に欠かせない存在

「カルダババナナ」は、フィリピンを主な産地とするバナナの一種です。一般的に知られるバナナ(ジャイアントキャベンディッシュ種など)よりも、やや小ぶりで太い形状をしています。フィリピンでは、主食としてだけでなく、バナナチップスなどのスナックとしても広く食されており、その調理法は多岐にわたります。カルダバのバナナチップスは、独特の歯ごたえが特徴です。

リンキッドバナナ:合掌バナナとも呼ばれる個性的な姿

リンキッドは、フィリピンで栽培されているバナナであり、その独特な外観が目を引きます。果実同士が密着して成長し、まるで両手を合わせているかのように見えることから、合掌バナナ、あるいはプレイングハンズバナナという名でも呼ばれています。一本あたりの長さは約15センチ、幅は約3〜5センチ程度です。完熟すると鮮やかな黄色に変わり、生食に適した甘さと酸味の絶妙なバランスが楽しめます。濃厚な味わいとねっとりとした食感が特徴で、一般的なバナナよりも酸味がやや強めです。

バナナの植物学的特徴

バナナは、しばしば「バナナの木」と呼ばれ、数メートルの高さまで成長しますが、実際には草本植物であり、園芸学上ではなく果菜として分類されます。高く伸びる茎のように見える部分は、仮茎と呼ばれ、葉のつけ根(葉鞘)が幾重にも重なり合って形成されています。実際の茎は地中にあり、短く横方向に伸びています。この茎のような部分の先端から、長楕円形の大きな葉(葉身)が展開します。

バナナの花と実

バナナの花は、茎のように見える偽茎の先端から現れ、垂れ下がります。花序は一本の軸に複数の段があり、各段には約10~20個の実が並んでいます。大きく見える部分は苞葉と呼ばれ、その内側にあるのが実際のバナナの花です。それぞれの花が一本のバナナとして成長し、まとまって房を形成します。一つの偽茎からは一度しか花が咲かず、開花後は根元から新しい芽を出し、親株は枯れます。実は最初は下向きに成長しますが、次第に上向きになるため、独特の湾曲した形状になります。

バナナの皮の色と熟成

バナナの皮の色は、種類によって大きく異なり、一般的な黄色の他に、緑色、赤色、紫色などがあります。熟成が進むにつれて、エチレンガスの影響で緑色のクロロフィルが分解され、黄色のカロテノイドが目立つようになります。カロテノイドに光を当てると、青い蛍光を発することがあります。また、ポリフェノールオキシダーゼという酵素の働きで酸化が進み、皮が茶色く変色します。これは酵素的褐変と呼ばれ、表面に現れる黒い斑点は「スウィートスポット」または「シュガースポット」と呼ばれ、熟度を示す指標となります。バナナに含まれるアミラーゼは、70℃程度の加熱や追熟によって活性化し、デンプンをブドウ糖などの糖類に変えます。

バナナの種と増やし方

私たちが普段食べているバナナは、三倍体という性質を持つため種を作ることができません。そのため、株分けなどの方法で増やします。

バナナの言葉の由来

バナナの語源としてよく知られているのはアラビア語の「バナンナ (banaana)」ですが、「指」を意味するアラビア語のبَنَانَة(banāna または banānah)が元になっているという説もあります。

世界のバナナ生産地と日本の輸入事情

バナナは、主に熱帯および亜熱帯地域で栽培されており、赤道を中心に南北それぞれ約30度の範囲、いわゆるバナナベルトと呼ばれる地域が主な生産地です。日本で消費されているバナナの約8割はフィリピンからの輸入品で、その他にはエクアドルや台湾産のバナナも流通しています。

バナナの多様な利用法:食用から工芸品まで

バナナは、世界中で重要な食用果実として広く利用されています。年間生産量は、生食用バナナが約9581万トン、調理用バナナが約3581万トンと、合計で約1億3262万トンに達します。特にインドや中国では大規模な栽培が行われており、アフリカや中南米地域では、食料として小規模ながらも広く栽培されています。また、地域によっては花を食用として利用する習慣もあります。バナナの葉は、皿の代わりや食材を包んで蒸す際の材料として使われるほか、衣類や屋根を葺く材料としても利用されます。世界最大のバナナ生産国であるインドには、バナナの葉を専門に扱う店も存在します。葉の繊維を主に利用するイトバショウも、バナナと同属の植物です。

まとめ

バナナは世界中で親しまれている、用途の広い果物です。そのまま食べるだけでなく、料理の材料としても重宝され、その利用方法は多岐にわたります。この記事を通して、バナナの魅力を改めて感じていただき、より豊かなバナナのある生活を楽しんでいただければ幸いです。

よくある質問

質問1:バナナは1日に何本まで食べて良いですか?

バナナは栄養価の高い果物ですが、摂取量には注意が必要です。一般的に、1日に1本から2本程度を目安にするのが良いでしょう。過剰に摂取すると、糖分の摂り過ぎになる可能性もあります。

質問2:バナナの上手な保存方法とは?

バナナは、基本的に室温での保存が適しています。冷蔵庫に入れると低温により品質が損なわれ、皮が変色してしまうことがあります。より早く熟させたい場合は、リンゴと一緒に保管すると効果的です。ただし、熟れ過ぎてしまったバナナは、皮を剥いて冷凍保存することも可能です。

質問3:料理用バナナはどこで入手できますか?

料理用バナナは、特定のスーパーマーケットや輸入食品店などで見つけることができます。また、インターネット通販でも購入できる場合があります。プランテンやサバなど、様々な種類がありますので、料理に合わせて選んでみてください。
バナナ種類