バナナは、手軽に食べられる黄色い果物として親しまれていますが、その世界は驚くほど多様です。バナナは、世界で1000種類以上が存在すると言われ、甘くてそのまま食べられるものから、加熱して初めておいしくなるものまで、様々な種類があります。それぞれのバナナが持つ独特の風味、食感、そして用途を知れば、バナナに対する認識がきっと変わるでしょう。今回は、知られざるバナナの多様な世界へご案内します。
生食用バナナ
生食用バナナは、熟した状態のものをそのまま食べることができ、その柔らかい果肉と甘さが魅力です。日本で普段よく食べられているバナナの多くは、この種類に分類されます。
キャベンディッシュバナナ:世界中で愛される代表的な品種
キャベンディッシュバナナは、世界で最も流通量の多い品種であり、日本でも最も一般的なバナナと言えるでしょう。主な産地は、フィリピン、エクアドル、ペルー、メキシコ、グアテマラ、コスタリカなどです。
【特徴】品質が安定しており、手頃な価格で購入できるため、普段使いに最適です。
モラードバナナ(レッドバナナ):赤色が目を引く希少な品種
モラードバナナは、果皮が赤みを帯びているのが特徴的な品種で、レッドバナナという別名でも知られています。日本ではあまり見かける機会は少ないですが、独特の風味を持っています。主な産地は、フィリピンや中南米地域です。
【特徴】ねっとりとした食感と、ベリーを思わせる甘みが特徴です。
セニョリータバナナ(モンキーバナナ):小ぶりながら凝縮された甘み
セニョリータバナナは、通常のバナナに比べて小ぶりでスリムな形状が特徴です。特にフィリピン産は「セニョリータ」、エクアドル産は「ボニータ」という名前で親しまれています。また、モンキーバナナという愛称でも知られています。主な産地はフィリピンやエクアドルです。
【特徴】凝縮された甘さと、もちもちとした食感が魅力です。
北蕉(ホクショウ):台湾を代表するバナナ
北蕉は、主に台湾で栽培されているバナナであり、台湾バナナの代表的な品種として知られています。風味豊かで果肉が詰まっているのが特徴です。主な産地は台湾です。
【特徴】ねっとりとした舌触りと、深みのある甘さが特徴です。他のバナナに比べて、わずかに酸味を感じられることもあります。
ラカタン
ラカタンは、フィリピンで広く親しまれている品種です。
【特徴】濃厚な甘さと、とろけるような食感が特徴です。
ラツンダン
ラツンダンは、フィリピンでよく見られる品種です。
【特徴】小ぶりながら、強い甘さと酸味のバランスがとれているのが特徴です。
調理用バナナ
加熱調理を前提としたバナナは、生の状態では硬く、加熱によって甘みが増すのが特徴です。じゃがいもなどのイモ類に似た食感で、主食として用いられることもあります。
ツンドク(ホーンバナナ、牛角バナナ):フィリピンの代表的な料理用バナナ
ツンドクは、フィリピンで広く栽培されている調理用バナナの一種で、「ホーンバナナ」あるいは「牛角バナナ」という別名でも知られています。主な産地はフィリピンです。
【特徴】加熱することで、ほくほくとした食感と増した甘みを楽しめます。揚げる、焼く、煮込むなど、様々な調理法で食されています。
リンキッドバナナ:房がグローブ状になるユニークな形状
リンキッドバナナは、その独特な形状が特徴で、隣り合うバナナ同士がくっつき、房全体がまるでグローブのような形になります。主にインドネシアで栽培されています。
【特徴】加熱するともちもちとした食感になり、甘味が引き立ちます。揚げ物や焼き物として食されることが多いです。
カルダバ:栄養豊富なフィリピン原産のバナナ
カルダバは、(リョウキュウバショウ)と(マレーヤマバショウ)の交配種で、フィリピン原産の三倍体雑種バナナです。栄養価に優れており、フィリピンをはじめとする東南アジア諸国で広く利用されています。主な産地はフィリピンおよび東南アジア地域です。
【特徴】加熱調理によってほくほくとした食感となり、かすかな酸味と甘みが感じられます。スープやシチューなど、幅広い料理に用いられています。
バナナの多様な用途
バナナは食用として親しまれていますが、それ以外にも観賞用や装飾品として活用される種類も存在します。
フェイバナナ:南国の赤い宝石
フェイバナナは、南太平洋地域が原産の珍しいバナナです。果皮だけでなく果肉も赤みを帯びているのが特徴で、その鮮やかな色彩は、画家ポール・ゴーギャンの絵画にも描かれています。
【特徴】生食には適さず、加熱調理することで、その独特な風味が引き立ちます。
アビシニアバショウ:装飾を彩る種子
アビシニアバショウは、果肉を食用とすることはほとんどありません。主に種子が装飾用として利用されています。
【特徴】美しい姿から、観賞用として栽培されることが多い種類です。
日本の食卓で調理用バナナを味わうには
国内ではまだ一般的ではない「調理用バナナ」ですが、入手が難しい場合は、未熟な「生食用バナナ」をフリッターなどに代用することも可能です。ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。その美味しさに魅了されるかもしれません。
まとめ
バナナは世界中で親しまれている果物であり、その品種は非常に豊富です。そのまま食べるのはもちろん、加熱調理することで様々な風味を堪能できます。この記事を参考に、多様なバナナを試して、バナナの持つ奥深さを体験してみてください。
バナナの種類によって栄養成分は変わりますか?
はい、バナナの品種によって栄養成分は多少異なります。一般的に、調理用バナナは生食用バナナよりもデンプンを多く含み、ビタミンやミネラルの量も品種によって差が見られます。
調理用バナナはどこで購入できますか?
調理用バナナは、一部の大型スーパーや輸入食材店などで購入可能です。また、インターネット通販でも販売されていることがあります。
バナナの鮮度を保つ秘訣はありますか?
バナナをより長く楽しむためには、房から丁寧に分け、直射日光を避けた涼しい場所で保管することが大切です。さらに、黒ずみを抑えるには、冷蔵庫に入れる際に新聞紙などで包んであげると効果的です。