甘くて瑞々しい果肉が魅力的なメロンは、夏のフルーツの王様と称され、多くの人々に愛されています。しかし、世界には驚くほど多彩なメロンの品種が存在し、それぞれが独自の風味と質感を持っています。例えば、香り高いマスクメロンや、シャキシャキとした食感が楽しめるプリンスメロンなどが挙げられます。この記事では、知っておきたいメロンの品種とその特徴について詳しく紹介し、あなたのメロン選びをサポートします。
メロンの分類方法は主に3つ
メロンの品種は、網目の有る無しや果肉の色、また栽培の仕方によって分類できます。果皮は網目模様のあるものとそうでないものがあり、果肉は緑のものやオレンジのものなどに分かれます。また、異なる栽培方法が用いられ、それによって風味や食感が変わってきます。
網目の有無による分類
メロンは、その表面が網状になっているかどうかで区別されます。網目があるものはネットメロン、ないものはノーネットメロンと呼ばれています。ネットメロンの有名な例はアールスメロン(またはマスクメロン)やアンデスメロンです。甘みが強くジューシーなものを選ぶには、網目の形状に注目してください。網目がはっきりと広がっているものが、美味しいメロンの目印です。ノーネットメロンの代表には、プリンスメロンやホームランメロン、ハニーデューメロンが挙げられます。ネットメロン同様、表皮の状態を吟味して選ぶのが良いでしょう。表面が滑らかで傷のないものを選ぶと間違いありません。
色調による果肉の分類
メロンの果肉は、青肉、赤肉、白肉の3タイプに分類されます。黄色がかった緑色の果肉を持つ青肉メロン、鮮やかでオレンジ色の果肉が印象的な赤肉メロン、そして柔らかな乳白色の果肉を持つ白肉メロンがあります。果肉の色によって、味わいや風味に違いがあります。栄養面では、3種類ともビタミンとカリウムが豊富ですが、特に赤肉メロンは他の2種と比較してベータカロテンの含有量が多いのが特徴です。
栽培手法による分類
メロンの栽培には、ガラス温室、ビニールハウス、トンネル栽培の3つの手法があります。ガラス温室は、光を効率よく取り入れるためにガラスを用いる栽培法です。ビニールハウス栽培は、ビニールの構造物を用いて内部環境を調整しながら育てる方法を指します。一方、トンネル栽培は、露地においてガラス温室やビニールハウスを使用せずに行われます。
ネット系青肉種6選
青肉系のメロンは、魅力的な黄緑色の果肉を持ち、ネット系メロンの一部として知られています。その豊かな甘みと香りが魅力で、後口が爽やかです。マスクメロンやアンデスメロンなどの品種が、青肉メロンに属します。
・マスクメロン
マスクメロンは特に名高い品種で、一つのツルから選び抜かれた一果のみが丹念に育てられます。濃厚で甘い果汁とその豊かな香りが特徴的です。温室で育てられるため、年間を通じて市場に出回ります。名前はフランス語で麝香を意味する"ムスク"に由来します。
・クラウンメロン
静岡県の特産品であるクラウンメロンは、マスクメロンを独自に改良し、ガラス温室で育てられた品種です。厳格な品質管理と優れた栽培技術により、クラウンメロンは最高品質とされ、その価値の高さから贈答品に最適とされています。
・アンデスメロン
1970年代に誕生したアンデスメロンは、マスクメロンに似た豊かな香りと濃厚な甘みを持ちます。その誕生当時、高級フルーツとされていたネット系メロンが、ハウス栽培によって手ごろな価格で流通し、身近な存在となったのがアンデスメロンです。
・アムスメロン
アムスメロンは深い緑色の果皮に縦じまが特徴であり、薄い皮と多くの果肉、果汁が楽しめます。芳香と強い甘みを持ち、人気のある品種で、各地で生産されブランド化されています。
・イバラキング
茨城県が誇るオリジナル品種のイバラキングは、2010年に登場した新しいメロンです。大きく高貴な香りと甘さを持ち、ジューシーで滑らかな果肉を楽しむことができ、長持ちする特性も優れています。
・肥後グリーン
熊本県を代表する肥後グリーンは、その地の条件を活かして育てられ、高糖度でジューシー、しかし後味は爽やかです。果肉が締まり、シャキシャキとした食感が楽しめます。
ネット系赤肉種6選
赤肉メロンはオレンジ色の果肉が魅力的で、ネット系メロンの中でも大変人気のある品種です。特に有名なものに夕張メロンがあり、豊かな甘みと芳醇な香りで知られています。このメロンにはビタミンやカリウムだけでなく、ベータカロテンも多く含まれています。
・夕張メロン
夕張メロンの栽培は1960年に遡る歴史があります。北海道夕張市という生産地は、昼と夜の気温差が大きく、土壌も水はけが良く、メロンを育成するのに最適な環境を提供しています。このメロンは特有の香りと強い甘さが特徴で、オレンジ色の果肉は繊維が少なく、口当たりがとても滑らかです。
・クインシーメロン
サーモンピンク色の果肉が特徴で、しっかりと詰まった実に滑らかな舌触りが楽しめるクインシーメロンは、果汁が豊富で甘さも十分に感じられます。保存期間が比較的長く、風味が変わりにくいことから赤肉メロンの代表として流通しています。
・ルピアレッド
このメロンはオレンジ色の美しい果肉が特徴で、皮が薄く、果肉が厚いので食べ応えがあります。糖度が高く、ジューシーな味わいを楽しめます。主な生産地は北海道と茨城県で、「らいでんメロン」や「富良野メロン」といったブランドメロンとして出荷されています。
・レノン
茨城県、青森県、熊本県で主に生産されるレノンは高い糖度と豊富な果汁を持っています。柔らかで滑らかな果肉とさっぱりとした後味、種が少なく皮が薄いことから可食部が多いのが特徴です。
・オレンジハート 熊本県で栽培されるこのオリジナルブランドメロンは、糖度16度以上のものだけがオレンジハートの名で販売できます。果肉は深いオレンジ色で、マイルドな口当たりと強い甘みが魅力です。
・鶴姫レッド 山形県産の鶴姫レッドは、庄内砂丘メロンの一部で、良い水はけと豊富な地下水で育てられます。オレンジ色の果肉と滑らかな食感、さわやかな甘さで愛されているメロンです。
ネット系白肉種2選
乳白色の果肉が魅力の白肉種メロンは、青肉種や赤肉種に比べて品種が限られています。控えめな香りとさわやかな甘さ、ほどよくさっぱりした後味が食べやすさのポイントです。柔らかな果肉となめらかな舌触りが、その風味をさらに引き立てています。
・新芳露
1960年代に砂丘地帯で栽培が始まりましたが、現在では主に京都府の京丹後地域で作られています。真珠のような光沢の乳白色果肉が特徴で、このメロンは柔らかい果肉と豊かな香りに加え、たっぷりの甘みも兼ね備えています。全国的には広まっておらず、主に生産地域周辺でのみ取引されています。
・グランドール
山形県の庄内地域や新潟県の佐渡地域で主に栽培される希少価値の高いメロンです。生産者の数も限られており、全国的に見ることはほとんどありません。ジューシーな甘さに加え、なめらかな口当たりと柔らかな果肉がこのメロンの特長です。
ノーネット系メロン3選
ノーネット系メロンは、見た目に特徴的な網目模様がなく、滑らかな外皮を持っています。食べるときの食感はシャキシャキしており、甘さは優しく後味がすっきりしています。また、栽培の手間が少ない点もネット系メロンに対しての利点です。
・ホームランメロン
熊本県発の白肉系のノーネットメロンで、一般に知られています。未熟なときはシャキッとした食感ですが、成熟すると果肉が柔らかくなり、滑らかな食べ応えが楽しめます。香りは控えめですが、上品で深い甘みが魅力です。
・プリンスメロン
昔は手ごろな価格で親しまれていた代表的なメロン品種です。今では安価なネット系メロンが市場に増えたため、取扱量は減少傾向にあります。主に熊本県で生産され、4月から6月頃がシーズンです。豊かなジューシーさと強い甘味が特徴です。
・ハニーデューメロン
アメリカやメキシコで栽培され、日本には年中供給されています。果肉は薄いオレンジ色と黄緑色の2種類があり、強い甘さと爽やかな後味が持ち味です。サクサクした食感が追熟により柔らかくなり、口当たりも滑らかになります。
メロンのバリエーションと特性を学び、芳香と甘さを堪能しよう
メロンは、その品種や生産地によってユニークな特徴を持ち、皮の質感や果肉のタイプが異なるため、味わいも多種多様です。豊かな香りとジューシーな甘さを持つメロンは、初夏を代表するフルーツとして広く親しまれています。ぜひこの記事を参考にして、おいしいメロンを堪能してみてくださいね。