「私を元気にして」という意味を持つティラミス。その発祥の地、北イタリアのトレヴィーゾは、ヴェネツィアからほど近い運河の街で、「ミニ・ヴェネツィア」とも呼ばれる美しい場所です。この記事では、本場のティラミスと、中世の面影を残す街並みの魅力を余すところなくご紹介します。
トレヴィーゾとは:ティラミス誕生の地「ミニ・ヴェネツィア」
トレヴィーゾは、イタリア北東部のヴェネト州に位置し、人口約8万5千人のこぢんまりとした街です。ヴェネツィアから北へ約40km(車で約40分)の場所にあり、その近さから「ミニ・ヴェネツィア」という愛称で親しまれています。旧市街には、静かに流れる運河や水路、小さな橋や歴史を感じさせる水車が点在し、まるで絵画のような美しい景観を作り出しています。運河沿いにはおしゃれなバーやレストランが並び、落ち着いた雰囲気の中で食事ができるのが、この街の魅力の一つです。
トレヴィーゾは美しいだけでなく、経済的にも重要な役割を担っており、世界的に有名なアパレルブランド、ベネトンや、家電メーカーのデロンギの本社があることでも知られています。また、この地域は美食の宝庫でもあります。世界中で愛されるスイーツ「ティラミス」が生まれた地であることはもちろん、イタリアを代表するスパークリングワイン「プロセッコ」の主要産地もトレヴィーゾのすぐ近くにあります。そのため、本場のティラミスだけでなく、新鮮な魚介類とプロセッコの組み合わせなど、豊かな食文化を堪能できるグルメな街としても有名です。街の中心はシニョーリ広場とドゥオモ広場の周辺で、夕方から夜にかけては、レストランのテラス席でアペリティーヴォを楽しむカップルや、ピザを囲む家族連れで賑わい、地元の人々の日常風景を垣間見ることができます。
トレヴィーゾのおすすめ観光スポット
トレヴィーゾの旧市街は、コンパクトながらも歴史的な魅力にあふれています。中世の面影を残す建物や広場、美しい運河沿いの道など、散策するだけでも豊かな歴史と文化を感じることができます。以下に、特におすすめの観光スポットをご紹介します。
シニョーリ広場(Piazza dei Signori):街の中心で歴史を体感
トレヴィーゾで最も有名な場所の一つがシニョーリ広場です。この広場は街の中心として活気に満ちており、オープンエアのレストラン、個性的なショップ、アート作品などが立ち並び、常に多くの人で賑わっています。アーケードに囲まれた広場の一角には、1210年に建てられたゴシック様式の壮麗なトレチェント宮殿(Palazzo dei Trecento)がそびえ立ち、その歴史的な威厳を今に伝えています。県庁舎も所在するこの広場では、夕方6時半頃はまだ人もまばらですが、8時半頃にはアペリティーヴォを楽しむカップルやピザを食べる家族連れでテラス席が埋め尽くされ、夜の活気あるイタリアの雰囲気を満喫できます。ローマの2階建て観光バスの最安値は『Green Line Tours』の一回乗りで12ユーロ、乗り降り自由の最安値は『Gray Line』で1日乗車券19ユーロ(大人)となっています。
トレヴィーゾの城壁:中世の息吹を感じる防御の要
トレヴィーゾの歴史を語る上で外せないのが、都市を囲む築500年の城壁です。かつて外敵から街を守ったこの堅牢な壁は、今もなお威風堂々とした姿を誇っています。特に、主要な拠点であったトマソ門は、歴史的な観光名所として親しまれています。この門の煉瓦壁には、14世紀にトレヴィーゾを統治していたヴェネツィア共和国のシンボル、「有翼の獅子」の彫刻が飾られ、当時の繁栄を静かに物語っています。城壁沿いには運河が流れ、時にはアヒルが優雅に泳ぐ姿も見られ、歴史的な風景と自然が調和した、趣のある空間となっています。
トレヴィーゾ大聖堂:壮大な歴史と芸術の宝庫
トレヴィーゾ大聖堂、正式には聖ペテロ使徒大聖堂は、初期キリスト教時代の遺跡の上に建てられた、1000年以上の歴史を持つ教会です。現在の建物は18世紀に再建されたものですが、その荘厳さは色褪せていません。大聖堂内部では、美しく装飾された主祭壇が訪れる人々を魅了します。また、ルネサンスの巨匠ティツィアーノによる傑作「受胎告知」が所蔵された礼拝堂は必見で、その芸術的価値の高さから多くの美術ファンを惹きつけています。ドゥオモ広場周辺では、地元の人々がジェラートを片手に談笑する光景が見られ、歴史的建造物と人々の生活が溶け合う様子が広がります。
サン・ニコロ教会:静寂の中で味わうフレスコ画の美
サン・ニコロ教会は、13世紀に建てられたカトリック教会で、トレヴィーゾの隠れた名所として知られています。石柱、美しい木造の天井、そして壁一面に描かれた色彩豊かなフレスコ画が特徴で、その荘厳な美しさは訪れる人を魅了します。街の中心部から少し離れた場所に位置していますが、教会へと続く道では静かな住宅街を通り、地元の人々の穏やかな暮らしを垣間見ることができます。この教会は、歴史的な価値と、中心部の喧騒から離れた静かで落ち着いた雰囲気が魅力で、時間をかけてフレスコ画を鑑賞し、心を静めたい方におすすめのスポットです。
街の魅力とイタリアの日常:地元の人々と触れ合う旅
シニョーリ広場や大聖堂周辺だけでなく、トレヴィーゾの街全体が魅力に満ち溢れています。ドゥオモ広場周辺では、ジェラートを楽しむ人々を多く見かけますが、興味深いことに、トレヴィーゾのジェラート店ではティラミス味のジェラートはあまり一般的ではありません。これは、ティラミスが生菓子として親しまれているためかもしれません。(ちなみに、フィレンツェではティラミス味のジェラートを見つけることができます。)代わりに、この地域ならではの「クレマ・ヴェネツィアーナ」ジェラートを試してみるのがおすすめです。キャラメルとチョコレートがトッピングされた濃厚なクリーム味は、まさに絶品です。全体的に、トレヴィーゾは観光地化されすぎておらず、古き良き雰囲気を残しつつ、穏やかで活気のある街です。フィレンツェやヴェネツィアのような観光客で溢れかえった街とは異なり、トレヴィーゾではイタリアの人々の飾らない日常を身近に感じることができ、本物のイタリア体験を求める旅行者にとって、忘れられない魅力的な場所となるでしょう。
ティラミス誕生の地:本場トレヴィーゾで味わう至福
ティラミス発祥の地として知られるトレヴィーゾ。この街を訪れたなら、本場のティラミスを味わうのは必須です。歴史を刻んだ名店から、地元の人々に愛されるスーパーのティラミスまで、様々な場所で本物の味に出会えます。日本で親しまれているティラミスとは異なる、その奥深い風味をぜひ体験してください。
元祖ティラミスを味わう「Le Beccherie(レ・ベッケリエ)」
トレヴィーゾでのティラミス体験で欠かせないのが、「Le Beccherie(レ・ベッケリエ)」です。この店は、レストランで初めてティラミスを提供した場所として有名です。店内は洗練された雰囲気で、運河沿いのテラス席も用意されています。窓際の席からは、美しい水辺の景色を眺めながら食事を楽しめます。Le Beccherieの料理はどれも絶品ですが、中でもティラミスは特別な味わいです。しっとりとした生地と、マスカルポーネチーズの優しい甘さが絶妙に調和し、一口食べればその繊細な口どけに感動するでしょう。本物のティラミスの味を知りたいなら、トレヴィーゾ訪問の際にはLe Beccherieに立ち寄ることをおすすめします。Le Beccherieの所在地はP.za G. Ancilotto, 31100 Treviso TVです。営業時間は水曜日は19:20〜22:15、木曜日から月曜日は12:20〜14:15と19:20〜22:15、火曜日が定休日です。詳細はこちら:https://www.lebeccherie.it/it/home
Le Beccherieの公式ウェブサイトにて、営業時間は以下の通り記載されています:
Lunch: 12:20 – 14:15 (Thursday to Monday)
Dinner: 19:20 – 22:15 (Wednesday to Monday)
Closed: Tuesday
(公式サイトの英語ページより) (出典: Le Beccherie公式サイト, URL: https://www.lebeccherie.it/en, 2025-09-05(アクセス日))
※店舗情報は記事公開時点のものです。訪問の際は、公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
運河を眺めながら伝統的なティラミスを堪能
トレヴィーゾには、Le Beccherie以外にも、本場のティラミスを堪能できる魅力的なレストランがたくさんあります。シニョーリ広場近くの運河沿いのレストランで味わったティラミスも、忘れられない味でした。特徴的なのは、たっぷりと盛られたクリーム。その黄色みがかった色合いから、卵黄がふんだんに使われていることがわかります。ティラミスのクリームは、マスカルポーネ、卵、砂糖が主な材料であり、その配合によって風味や口当たりが変化します。このレストランのティラミスは、濃厚でずっしりとした口当たり。口の中に広がる豊かなコクが、至福のひとときをもたらしてくれます。下の生地には、エスプレッソの風味がしっかりと染み込み、濃厚なクリームに負けない、深みのある味わいが全体のバランスを整えています。「ティラミス」という言葉には「私を元気にして」という意味がありますが、高カロリーのクリームとコーヒーの組み合わせは、まさにその名の通り、食べるごとに活力が湧いてくるかのようです。本場のティラミスを堪能し、トレヴィーゾでのティラミス探訪への意欲がさらに高まりました。
地元スーパーで発見!手軽に味わえる本格ティラミス
トレヴィーゾ滞在中、様々なティラミスを巡る時間がなくても、地元のスーパーマーケットで本格的なティラミスに出会えます。一般的な日持ちするパッケージではなく、ケーキ屋さんのように、スーパーのケーキコーナーには常に数種類のティラミスが並んでいます。他の都市では見られない品揃えに、「さすが本場」と感動するでしょう。一番小さいサイズでも十分なボリュームがあり、一人で満喫できます。ホテルで購入して味わったティラミスは、2層構造になっており、クリームは白っぽくなめらかで、ふわっとした食感が特徴的です。口の中でとろけるようなクリーミーな味わいが広がります。フィンガービスケットにはコーヒーがしっかりと染み込んでおり、手軽に購入できるにも関わらず、そのクオリティの高さに驚かされます。トレヴィーゾでは、レストランだけでなく、日常の生活の中でも気軽に本場のティラミスを楽しめるのです。
ティラミスだけじゃない!トレヴィーゾの美食探訪
ティラミスの誕生地として名高いトレヴィーゾですが、それだけに留まらず、ヴェネト州の豊かな食の宝庫としての魅力も持ち合わせています。ここでは、ティラミス以外にも、この土地ならではの美味を心ゆくまで堪能しましょう。
海の恵みとプロセッコ:ヴェネトの食文化を味わう
ヴェネツィアに近いという地理的条件から、トレヴィーゾの多くのレストランでは、新鮮な魚介を使った料理が豊富に揃っています。特に、エビの旨味が凝縮された濃厚なトマトソースと、たっぷりのエビが絡み合った「エビのタリオリーニ」は、一度食べたら忘れられないほどの絶品です。そして、これらの料理には、地元のスパークリングワイン、プロセッコが欠かせません。トレヴィーゾ周辺はプロセッコの主要な産地であり、その爽やかな口当たりとフルーティーな香りが、魚介料理の美味しさを一層引き立て、食卓を華やかに彩ります。
高級野菜ラディッキオ、地元のワインとチーズを堪能
トレヴィーゾは、「ラディッキオ・トレヴィーゾ」という名の高級野菜の産地としても知られています。独特のほろ苦さとほのかな甘みを持つ赤紫色のチコリは、サラダやリゾットなど、様々な料理に使用され、地元の食文化に深く根付いています。また、ヴェネト州はイタリア屈指のワイン産地であり、プロセッコ以外にも多彩なワインが造られています。地元のワインは、その土地の料理との相性を考慮して造られているため、ぜひ試していただきたい逸品です。さらに、新鮮なミルクで作られたチーズも豊富で、ワインと共に楽しむのに最適です。ティラミスはもちろんのこと、これらの特産品を通じて、トレヴィーゾの奥深い食文化を体験してください。
トレヴィーゾ旅行:日常に溶け込む街歩きのすすめ
美しい建築物が立ち並び、散策に最適なトレヴィーゾは、徒歩でも半日あれば十分に回れるコンパクトな街です。観光はもちろん、地元の人しか知らない美食を巡るのも醍醐味です。観光地化されすぎていないトレヴィーゾでは、穏やかな時間が流れ、飾らないイタリアの日常に触れられます。地元の市場を散策したり、運河沿いのカフェで休憩したり、地元の人との触れ合いを楽しんだり。オーバーツーリズムで本来の魅力が失われつつあるフィレンツェやヴェネツィアとは一味違う、あなただけの特別なイタリアの思い出が見つかるはずです。
まとめ
ティラミス誕生の地として知られるトレヴィーゾは、「小さなヴェネツィア」と称される北イタリアの美しい都市です。この街には、世界で初めてティラミスを提供したと言われる名店「Le Beccherie」があり、そこで濃厚で芳醇な本場のティラミスを堪能できます。歴史的なシニョーリ広場、荘厳なトレヴィーゾ大聖堂、中世の雰囲気を残す城壁など、数々の歴史的建造物が街の魅力を高めています。また、プロセッコの産地としても有名で、新鮮な魚介類や地元の特産品であるラディッキオなど、豊かな食文化も体験できます。観光客で混雑しすぎていない、穏やかで活気あるこの街は、イタリアの人々の日常を垣間見ることができる貴重な機会を提供します。ヴェネツィアからのアクセスも便利なので、次のイタリア旅行では、ぜひトレヴィーゾを訪れて、その美食、歴史、そして特別な雰囲気を満喫してください。本場のティラミスがもたらす感動的な味の記憶は、あなたの旅を忘れられないものにするでしょう。

ティラミスの発祥の地はどこですか?
ティラミスの起源は、イタリア北部のヴェネト州にあるトレヴィーゾという街です。中でも、「Le Beccherie(レ・ベッケリエ)」というレストランが、ティラミスを初めてメニューに載せた場所として広く知られています。
本場のトレヴィーゾのティラミスは日本のものとどう違いますか?
本場トレヴィーゾのティラミスは、一般的にクリームの量が非常に多く、卵黄をふんだんに使用しているため、色味が濃い黄色であることが特徴です。マスカルポーネチーズ、卵、砂糖という伝統的なレシピに基づいて作られ、濃厚でとろけるような口当たりを楽しめます。生地には、濃いエスプレッソの風味がしっかりと染み込んでおり、その覚醒効果が「私を元気にして」という意味を持つティラミスの語源をまさに体現しています。日本のティラミスと比べると、より濃厚で、素材本来の味が際立つ奥深い味わいを持っていることが多いでしょう。
トレヴィーゾは観光におすすめの街ですか?どんな見どころがありますか?
はい、トレヴィーゾは観光地化されすぎておらず、イタリアの日常生活を体験できる魅力的な街なので、非常におすすめです。美しい建築物に囲まれた街並みを散策するのに最適で、小さな街なので徒歩でも半日で十分に回ることができます。街には運河が流れ、「小さなヴェネツィア」とも呼ばれる美しい景色が広がっています。主要な観光スポットとしては、活気溢れるシニョーリ広場、ゴシック様式のトレチェント宮殿、500年前の城壁とトマージョ門、ティツィアーノの絵画が展示されているトレヴィーゾ大聖堂、美しいフレスコ画で飾られたサン・ニコロ教会などがあります。落ち着いた雰囲気の中で、歴史と美食を堪能できるでしょう。
ヴェネツィアからトレヴィーゾへのアクセス方法
トレヴィーゾは、水の都ヴェネツィアから約40km北に位置しています。車であれば、およそ40分で到着します。公共交通機関を使う場合は、ヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅からトレヴィーゾ中央駅まで、電車で30~40分程度とアクセス至便です。
トレヴィーゾでおすすめのティラミス店は?ティラミス発祥の店はどこ?
トレヴィーゾでティラミスを堪能するなら、「Le Beccherie(レ・ベッケリエ)」は外せません。ここは、レストランとして初めてティラミスを提供したと言われる名店です。しっとりとした生地と、マスカルポーネチーズの上品な甘さが絶妙。運河沿いの席で景色を眺めながら味わうのがおすすめです。Le Beccherieの所在地はP.za G. Ancilotto, 31100 Treviso TV、定休日は火曜日です。もちろん、運河沿いには他にもティラミスを提供するレストランが多数あります。地元のスーパーでも、新鮮なティラミスが手軽に手に入ります。
「ティラミス」という言葉の意味とは?
「ティラミス(Tiramisù)」は、イタリア語で「私を元気付けて」「私を奮い立たせて」といったニュアンスを持つ言葉です。その名の通り、高カロリーのクリームと、カフェイン豊富なエスプレッソの組み合わせが、食べた人に元気を与えると考えられています。まるで天国へ誘うような、幸福感をもたらすデザートです。
トレヴィーゾのティラミス以外に有名な名産品は?
トレヴィーゾは、ティラミス以外にも魅力的な特産品が豊富です。特に、スパークリングワイン「プロセッコ」は、この地域が主要な産地であり、地元の料理との相性も抜群です。また、独特の苦味と甘みが特徴の高級野菜「トレヴィーゾ産ラディッキオ」も有名で、サラダやグリルなど様々な料理に使われます。さらに、ヴェネト州産のワインや、地元の酪農製品を使ったチーズも、ぜひ味わっていただきたい逸品です。