柑橘界のトロ!と称される「せとか」は、とろけるような舌触りと濃厚な甘みで、一度食べたら忘れられない味わいです。温州みかんの面影を残しつつ、薄皮で食べやすく、果汁がたっぷり。その極上の味は、産地によって個性豊かな表情を見せることをご存知でしょうか?この記事では、せとかの産地ごとの特徴を徹底比較し、それぞれの気候や栽培方法が、どのようにあの至福の味を生み出しているのか、その秘密を解き明かします。
せとかとは?柑橘の大トロと呼ばれる理由

柑橘類の中でも特に人気の高い「せとか」は、タンゴール類に分類される高級柑橘です。デコポンや清見といった品種と同様の仲間であり、外見は温州みかんに近いものの、その味わいは格別です。薄い皮の中に詰まった果肉は、とろけるような舌触りで、濃厚な甘さとそれを引き立てるわずかな酸味が絶妙なバランスを生み出しています。この上質な味わいが、まるでマグロのトロのようだと例えられ、「柑橘の大トロ」と呼ばれる所以となっています。
せとかの品種のルーツ
せとかは、「清見」×「アンコール」を掛け合わせたものに、さらに「マーコット」を交配して生まれた品種です。 この3つの親品種はいずれも濃厚な甘みと香りが特徴で、それらの良さを受け継いだせとかは、まさに柑橘界のサラブレッドといえる存在です。なお、せとかと親品種が似ていることから姉妹品種とされる「麗紅(れいこう)」という柑橘もあります。 ただし、せとかは麗紅に比べて酸味が少なく、まろやかな味わいが魅力です。
せとかの大きさ
せとかは、1玉あたり200g〜300g程度と、温州みかんよりやや大きめです。 皮が薄く果肉がぎっしり詰まっており、ジューシーで食べ応えがあります。
せとかの値段相場
せとかは生産量が限られており、希少価値の高い柑橘として知られています。 そのため市場価格も高めで、通販では3kgあたり3,500円〜6,000円前後。 1玉あたりに換算すると、350円〜600円程度になることが多いです。
せとかの旬はいつ?
せとかの旬は、1月から4月にかけてで、特に3月頃が出荷の最盛期を迎えます。1月から2月にかけては、主にハウス栽培されたものが出回り、3月以降は露地栽培されたものが旬を迎えます。ハウス栽培のせとかは、1月下旬から2月上旬にかけて収穫され、露地栽培のものは3月から収穫が始まります。
せとかの主要な産地と特徴
せとかは、特に温暖な気候のエリアで多く栽培されています。
愛媛県:せとかの主要産地
せとかといえば愛媛県。国内で流通するせとかの約7割が愛媛県産であり、その生産量は全国No.1です。温暖な気候と恵まれた地形は、みかん栽培にも最適。愛媛県は、みかん全体の生産量も常に上位を占めています。
和歌山県:多彩なフルーツの宝庫
せとかの生産量で第2位を誇るのが和歌山県です。温暖な気候と水捌けの良い土壌が特徴で、せとか以外にも、桃、ぶどう、梅、柿など、多種多様なフルーツが栽培されるフルーツ王国として知られています。
佐賀県:麗紅のトップ産地
佐賀県は、せとかの生産量で全国第3位に位置しています。また、せとかの姉妹品種である「麗紅」においては、日本一の生産量を誇り、「はまさき」というブランドせとかも有名です。
美味しいせとかの見分け方:選び方のポイント
せっかく購入するなら、最高に美味しいせとかを選びたいですよね。ここでは、甘くてジューシーなせとかを選ぶためのポイントをご紹介します。
見た目の確認ポイント
光沢があり、肌理が細かいものが良いでしょう。また、ヘタの部分がまだ緑色を保っているものが新鮮な証拠です。
重さの確認ポイント
手に持った際に、しっかりと重みを感じられるものは、果汁が豊富で美味しく味わえるでしょう。
せとかの保存方法
せとかは、基本的に涼しくて暗い場所での保存が適しています。乾燥を防ぐために、新聞紙やビニール袋などで包んで保存すると、より長く美味しく保てます。冷蔵庫に入れる場合は、食べる少し前に取り出し、室温に戻してからいただくと、風味がより一層引き立ちます。
せとかの栄養価
せとかには、ビタミンC、β-カロテン、カリウムなどの栄養成分が含まれています。ビタミンCは皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用があります。β-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。カリウムは、ナトリウムの排出を促す作用があります。
せとかの多彩なレシピ
せとかは、そのままでも十分に美味しいですが、工夫次第で様々な料理やスイーツに大変身します。ここでは、せとかの風味を活かした、とっておきのレシピをご紹介しましょう。
自家製せとかジャム

せとかの芳醇な香りと上品な甘さを凝縮した手作りジャムは、朝食のパンやヨーグルトに添えるだけで、贅沢な味わいになります。
材料
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せとか:500g(皮と種を除いた状態)
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グラニュー糖:250g
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レモン果汁:大さじ1
作り方
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せとかは丁寧に皮を剥き、薄皮と種を完全に取り除きます。
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果肉を包丁で細かく刻んでいきます。
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鍋に刻んだせとか、グラニュー糖、レモン果汁を入れ、中火で加熱します。
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焦げ付かないように木べらで丁寧に混ぜながら、 とろみが出るまでじっくりと煮詰めます。
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事前に煮沸消毒しておいた清潔な瓶に熱いうちに詰め、粗熱を取ってから冷蔵庫で保存してください。
せとかゼリー
せとかの豊かな果汁を贅沢に使用したゼリーは、その清涼感あふれる風味で、食後のデザートとして最適です。
材料
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せとかジュース:300ml
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水:100ml
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砂糖:大さじ2
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ゼラチン:5g
作り方
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ゼラチンを水に浸して柔らかくする。
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小鍋に水と砂糖を入れ、弱火にかけながら砂糖を完全に溶かす。
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火からおろし、ふやかしたゼラチンを加えてよく混ぜて溶かす。
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せとかジュースを加え、全体を均一に混ぜ合わせる。
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お好みの型に静かに流し込み、冷蔵庫でしっかりと冷やし固める。
せとかを味わう上での留意点
せとかはその風味の良さから人気がありますが、食べ過ぎには注意が必要です。せとかは糖分を含んでいます。糖尿病の診断を受けている方や、血糖値が高い傾向にある方は、摂取量について医師や管理栄養士にご相談ください。また、柑橘類にアレルギーをお持ちの方は、摂取を控えることをお勧めします。
まとめ
せとかは、際立つ甘さと、とろけるような口当たりが特徴的な柑橘類です。旬の時期にはぜひその味を試してみてください。選び方や食べ方を参考にして、せとかの美味しさを心ゆくまで堪能してください。
せとかは、みかんと同様に手で皮を剥いて食べられますか?
はい、せとかは一般的な温州みかんと同じように、手を使って皮を剥いて食べることができます。ただし、皮が非常に薄いため、優しく丁寧に剥くようにしてください。もし剥きにくいと感じる場合は、スマイルカットで召し上がるのがおすすめです。
せとかは、どこで購入できますか?
せとかは、通常のスーパーマーケットや百貨店、あるいは果物専門店などで手に入れることができます。さらに、インターネット通販サイトでも購入可能です。特に旬の時期には、産地から直接届けられるものがおすすめです。
せとかの日持ちについて
せとかは、風通しの良い涼しい場所で保管すると、およそ7日間程度は美味しくいただけます。冷蔵保存する際は、乾燥しないようにポリ袋などに入れてください。ただし、冷蔵庫に入れると風味が損なわれることがあるため、召し上がる少し前に冷蔵庫から出し、常温に戻してからお召し上がりいただくことを推奨します。